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2023/09/15

吸収合併時の社員待遇-給与やリストラ

吸収合併時の社員待遇-給与やリストラ

M&Aにおける吸収合併は、中小企業の後継者不在の問題を解決するための手法の一つとして注目されています。

しかし、勤めている会社が吸収合併を行うことで消滅してしまうと聞いた社員は、雇用条件や給与体系などがどのように変化するのか不安な気持ちになるでしょう。実際に吸収合併が行われる場合、被合併会社の社員の待遇はどうなるのでしょうか。

ここでは吸収合併後の、社員に対する給与や手続き、告知のタイミングについて説明します。

なお、本記事の「会社」は株式会社を指し、吸収合併を行った後に存続する会社を「合併会社」、吸収合併を行った後に消滅する会社を「被合併会社」とします。また、混同されることも多い「雇用契約」と「労働契約」ですが、雇用契約は労務供給契約の一つとして民法で用いられている概念で、労働契約は労働関係諸法規で用いられる概念です。法律上の違いはありますが、ほぼ同一の意味として扱われることが多いです。本記事では、「雇用契約」と表記します。

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吸収合併の場合、被合併会社の社員はどうなる?

吸収合併とは

M&Aにおける吸収分割実施前後の違い

合併とは、2つ以上の会社が1つになることを指し、「吸収合併」と「新設合併」の2つの手法があります。吸収合併とは、合併する2つ以上の会社のうち、一方の法人格を存続させ、もう一方の法人格を消滅させたうえで権利義務のすべてを合併会社に承継することを指します。

▷関連記事:M&Aにおける吸収合併とは?手続きやメリット、登記方法を解説

吸収合併は包括承継となり、社員のリストラや解雇に直結するわけではない

吸収合併の特徴は、被合併会社のすべての権利義務が合併会社へ包括的に承継される点です。被合併会社で適用されていた雇用関係や就業規則、労働協約などは合併会社へと包括して引き継がれます。そのため、基本的には有給休暇や勤続年数なども引き継がれることになります。

親会社に吸収合併される子会社も基本的に同じ

合併会社が親会社である場合は、基本的には権利義務や就業規則は子会社に勤めていたときと変わりません。しかし、親会社とはいえ元は別々の会社であったため、勤務地や労働条件の変更や調整すべき部分が生じることもあります。例えば、親会社の事業所が遠方にある場合、吸収合併に伴って一部の従業員が親会社の事業所へ転勤になるといったこともあり得ます。

▷関連記事:M&Aで譲渡された企業の社員は その後どうなる?

吸収合併したときの社員の給与や退職金

吸収合併では、被合併会社の権利義務が合併会社に包括的に承継されるため、そのままだと2つ以上の異なる労働条件が併存することになります。そのため、労働条件等の調整や統一を図る必要があります。吸収合併後は、被合併会社の社員の雇用契約も合併会社にそのまま承継されますが、両社の給与体系や退職金、就業時間などの就業条件を合わせるために、労働条件を統一することが多いです。その場合、経過措置として緩和期間を設けるのが通常です。

このように、M&A実施後の企業間の融合プロセスをPMI(Post Merger Integration)と呼びます。PMIには労働条件だけでなく、評価制度や昇進制度なども含まれます。これらは合併会社側の制度に合わせていくことが多いようです。またPMIにおいては、被合併会社の社員が合併後の会社で働きにくさを感じて退職してしまわないように、一方的な制度の押し付けとはならない、より良い職場環境にするための融合が必要だといえます。

▷関連記事:PMIとは?M&A成立後の統合プロセスについて株式譲渡を例に解説

吸収合併の手続きで社員に告知は必要か

吸収合併の際、債権者への催告や株主への通知義務はありますが、社員への告知が法律で定められているわけではありません。吸収合併において社員の雇用契約は合併会社に包括して承継されるため、社員の拒否権が想定されていないからです。吸収合併を行うことにより社員に不安を与えたくないといった理由で、社員に気付かれないように話を進めたい場合もあるでしょう。

しかし、社員にこれまで通り就業し続けてもらうためには、ある段階で告知して合併後の就業規則や雇用契約について協議をする必要があります。特に、労働条件の切り下げは問題になりやすいので、社員への告知のタイミングについては、専門家に相談するのが賢明です

まとめ

吸収合併は会社が持続的に成長していくための選択肢の1つですが、被合併会社の社員はどのような待遇を受けることになるのかといった、不安な気持ちを抱えてしまうこともあります。吸収合併では被合併会社のすべての権利義務を合併会社が包括して承継するのが基本です。被合併会社の社員の雇用条件や待遇等もそのまま承継されるため、会社の都合で退職を余儀なくされることはほとんどの場合ありません。

しかし、2つの会社が1つに融合していく過程で、合併会社との時間をかけた調整が必要となるでしょう。吸収合併を行う当事者は手続きにとらわれるのではなく、社員一人ひとりのことを十二分に考慮に入れて、慎重に進めるよう心がけることが大切です。

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