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2023/09/14

株式会社と個人事業主の廃業・解散の手続きの流れや費用について解説

株式会社と個人事業主の廃業・解散の手続きの流れや費用について解説

会社の経営に行き詰まったり、事業継承者がいなかったり、様々な理由で「廃業・解散をするべきなのか…」と考えている経営者も多いのではないのでしょうか。特に2020年・2021年は経営者にとって厳しい年になりましたので、廃業について検討している人も増えています。

しかし会社の立ち上げよりも、廃業の手続きは手間がかかり、費用も結構かかります。
そこでこの記事では、会社の廃業・解散の手続きや流れ、必要になってくる費用などについて詳しく解説していきます。

廃業を選択したときのメリット・デメリットもお伝えしているので、ぜひ参考にしてください。
さらに、廃業以外の選択肢についても提案していますので、最後まで読んでください。

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廃業・解散とは

法人や個人事業主として会社を運営していると、あらゆる理由で事業をやめる決断をしなければならない時があります。

後継者がいなかったり、業績の悪化で事業が続けられなくなったり様々です。
そんなときに使われるのが「廃業」や「解散」ですが、それぞれの違いは何なのでしょうか?

廃業は何となく字の通りな感じがしますが、解散とはどのようなことを指すのか、またよく聞く「倒産」や「破産」とはどのような違いがあるのか詳しく解説します。

廃業とは

廃業とは、個人事業主や会社の経営者が自分の意思で事業をやめることです。

廃業する場合は会社の債務などの清算、従業員の解雇や登記などの様々な手続きがあるので、計画的に行う必要があります。また取引先にも影響が出るので、慎重に検討する必要があります。

解散とは

会社の解散とは、事業をやめて会社を清算し消滅させるために最初に行う手続きのことで、会社の事業を終了させることです。個人事業主が廃業する場合は、いくつかの届出などをすれば完了しますが、法人の場合は解散の手続きが必要になります。
ただし解散だけでは会社の事業が終了しているにすぎないので、資産整理や債務整理などの手続きが必要になります。

倒産・破産との違い

廃業とよく混同されるのが「倒産」と「破産」ですが、この2つは業績不振によって債務が返済できずに、事業を継続できなくなることを指します。倒産には法的な定義はありませんが、先述したように債務が返済できなくなり事業を継続できない状態を一般的には「倒産」と言います。

破産とは、支払不能になり事業の継続ができない状態になったときに、裁判所の手続きを利用して会社を清算する方法です。

破産とは倒産のうちのひとつの方法と考えるとわかりやすいです。倒産したからと言って、すべての会社が破産手続きをしているわけではなく、民事再生などをする会社もあります。

廃業・解散のメリットとデメリット

事業を続けていくのが難しくなった場合、廃業にするのがいいのか、他の方法を選ぶのがいいのか悩みます。
そこで、ここでは廃業・解散をしたときのメリットデメリットについてそれぞれお伝えしていきます。

廃業・解散のメリット

一番のメリットは、倒産や破産に比べたら周囲への負担を抑えられることです。業績が悪化していたとしても、倒産までいかない状態で廃業すれば、取引先への支払いや従業員への退職金も支払うことができます。
もうひとつのメリットは、資金繰りなどの経営の負担から解放されることです。個人事業主でも法人でも、経営はとても大きなプレッシャーがあります。そういったことから解放されるというのもメリットになります。

廃業・解散のデメリット

反対に廃業・解散する一番のデメリットは、従業員や取引先などに迷惑がかかることです。当たり前ですが、会社がなくなれば従業員は仕事を失い、取引先も仕事を失います。一緒に働いてきた人たちにできる限り迷惑がかからない状態で廃業するようにしましょう。
またもうひとつのデメリットとして、資産の売却が低く見積もられることです。廃業するとなると、自由なタイミングで資産を売却できるわけではないので、M&Aのときと違い足元を見られることが多いです。そのため廃業の手続きを行う際には、流れをしっかり把握し、タイミングを見計らう必要があります。

廃業・解散の手続きの流れ

法人の場合、廃業・解散の手続きはこのような流れで進めていきます。

①営業終了日を決める
②従業員や関係者に「廃業のお知らせ」を書面で通知する
③株主総会で解散の決議をとる
④解散・清算人選任登記を行う
⑤廃業・解散の届出をする
⑥官報にて解散公告を行う
⑦解散確定申告をする
⑧清算人による清算を行う
⑨清算確定申告をする
⑩税務署に清算結了届を提出する

それぞれどのような手続きなのか、具体的に見ていきましょう。

①営業終了日を決める

廃業すると決めたら、まずはいつまで営業するのかを決めます。ただし「明日廃業する」など急すぎるのは難しいので、2ヶ月以上は余裕を持って営業終了日を決めることをおすすめします。

②従業員や関係者に「廃業のお知らせ」を書面で通知する

営業終了日が決まったら、従業員や取引先など、仕事上で関係があった人たちに知らせる必要があります。
「廃業のお知らせ」などで書面にして通達するのが一般的です。また従業員には30日前までに解雇通告をしましょう。
なぜなら労働基準法では「廃業予定日の30日前までに従業員へ解雇通告を行うこと」が義務付けられています。もし30日前までに解雇通告をせずに廃業して解雇になると「解雇予告手当」が発生してしまうので、気を付けてください。

③株主総会で解散の決議をとる

廃業を決めたら株式会社の場合、株主総会で廃業の承認が必要です。発行済株式総数の過半数を集めた株主総会で、議決権の2/3以上の賛成が必要になります。賛成が集まらず、書面決議になったときは全員の賛成が必要です。

④解散・清算人選任登記を行う

定款で清算人を定めていない場合は、清算人も株主総会で決めることになります。中小企業などでは、代表取締役が清算人に選任されることが多いので、スムーズに決まるケースがほとんどです。
株式総会で廃業の決議がされ、清算人も決まったら、2週間以内に法務局で廃業に向けた登記を行います。

⑤廃業・解散の届出をする

登記が完了したら、税務署や役場、従業員の解雇が伴う場合は労働局などに届出が必要です。

・届出が必要な各種機関
・所轄の税務署
・都道府県の税事務所
・市町村の役場
・労働局か労働基準監督署
・社会保険事務所

以上はあくまで一例になります。
商工会議所や各加入団体へも退会手続きを行う必要があります。

⑥官報にて解散公告を行う

株式会社が廃業するときは、会社法の定めにより官報(国の機関紙)で解散の公告をしなければなりません。公告掲載期間は2ヶ月以上です。期間を過ぎてしまうと債権者が権利を主張できないことも忘れずに掲載しましょう。

⑦解散確定申告をする

解散日の翌日から2ヶ月以内に、解散確定申告を行います。対象期間は事業開始日から廃業日までです。

⑧清算人による清算を行う

選任された清算人が会社資産の売却や債権の回収をし、発生した資産で債務の弁済を行います。残る資産がある場合は株主へ分配し、純資産が赤字の場合は破産の手続きが必要です。
清算が完了したら決議報告書を作成し、株主総会の承認を受けます。株主総会の承認日から2週間以内に、法務局で清算結了登記を行い、登記上の会社も消滅します。

⑨清算確定申告をする

清算が終了したら、今度は清算確定申告を行います。清算確定申告の提出期限は、残余財産確定日から1ヶ月以内です。

⑩税務署等に清算結了届を提出する

以上の手続きが完了したら、税務署・都道府県税事務所・市区町村役場へ清算結了届を提出して、廃業の手続きは終了です。

廃業・解散の手続きにかかる費用

ここからは廃業をするときにかかる費用について、法人・個人事業主それぞれお伝えします。

法人が廃業手続きをするときにかかる費用

法人が廃業・解散する場合まず登記代として、解散登記3万円、清算人登記9,000円、清算結了登記2,000円の合計41,000円がかかります。

次に国の機関紙官報による公告は、1行につき3,589円(税込)かかります。
解散の公告は一般的に9〜11行ほどなので、30,000〜40,000円の費用がかかることになります。

最後に司法書士や税理士などの専門家への報酬です。廃業の手続きは経営者自身で行うことも可能ですが、登記は司法書士、確定申告は税理士にお願いすることが多いです。依頼する事務所によって費用は異なりますが、司法書士への報酬が50,000〜100,000円、税理士への報酬が150,000円〜300,000円が相場になります。

個人事業主が廃業手続きをするときにかかる費用

個人事業主は法人とは違い、登記等は必要ありません。そのため税務署や税事務所への廃業届の提出など、廃業の手続きで費用は発生しません。

その他の会社の廃業・解散のポイント

ここまでは株式会社や個人事業主の廃業についてお伝えしましたが、その他の会社が廃業・解散するときに注意しておきたいポイントについて解説します。

有限会社

有限会社の廃業の手続きも、法人とほぼ同じ流れになりますが、相違点もいくつかあります。ひとつめは、株主総会決議は3/4以上が賛成する必要があります。もうひとつは清算人会の設置はできず、監査役のみ設置可能です。また清算人の登記をする際に、法人は清算人と代表清算人の氏名・住所を登記しますが、有限会社の場合は清算人の氏名・住所のみと登記でいいとされています。

合同会社の廃業・解散

合同会社の廃業・解散も、法人と手続きはほとんど変わりません。ですが解散の決議を取る際に必要な同意が、株式会社では議決権の2/3、有限会社では議決権の4/3ですが、合同会社では総社員の同意が必要になります。
また、有限会社と同じく清算人会の設置はできません。
その他注意したいポイントとしては、

・解散後は会社の合併が制限されること
・書類には10年間の保存期間があること
・合同会社の「社員の責任」は5年経過しないと消滅しないこと

この3点を犯さないように気を付けましょう。

休眠会社の廃業・解散

休眠会社を廃業する場合も、株式会社の廃業・解散手続きと同じです。経営者が届出しなくても最後の登記手続きから12年以上が経過した株式会社は、事業を停止したとみなされ、休眠会社という扱いになります。

休眠会社になると、年に1回官報公告がされ、2ヶ月以内に「まだ事業を停止していない」旨の届出をしないと「みなし解散」の登記がされます。みなし解散の登記がされてから、3年以内に株式総会で会社を継続するか決議を取り、継続の登記申請をしなければ、法務局側の判断で解散の登記になるのです。ただし定期的に行う登記の手続きを「面倒だから」「費用を払って登記するよりいい」という理由で怠ると「懈怠(けたい)」とみなされペナルティを科される可能性があります。

また会社休眠中でも、確定申告や固定資産税の支払いは必要になります。

廃業・解散する前にM&Aを検討しましょう

廃業・解散という選択肢を選ぶ前に、M&Aを検討してみるのはいかがでしょうか?M&Aと聞くと、大手企業のことのように感じるかもしれませんが、実はそんなことありません。最近では会社のブランドや専門知識を持った従業員を引き継げるM&Aを、政府や地方自治体も後押ししています。

会社を廃業するとなると、従業員を解雇しなければならなかったり、取引先に影響が出たりするなどのデメリットがあります。しかしM&Aならば、従業員の雇用を継続することができ、事業を継続して取引先への影響も少なく済みます。さらに売却益として経営者の手元にまとまった資金が入るのです。廃業・解散の手続きを始める前に、一度M&Aについて専門家に相談してみることをおすすめします。

まとめ

会社の廃業・解散には、多くの手間や費用がかかります。事業形態や加入している団体などによって、必要な手続きが違うので、事前の確認が必要になります。可能であれば実際に廃業の手続きを始める前に、M&Aを含め廃業以外の方法がないのか検討し、専門家へ相談するのがいいでしょう。

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