株式譲渡 税金 イメージ

株式譲渡は、中小企業のM&Aでは最も行われている手法の1つで、譲渡企業の株式を譲受企業が買い取り、経営権を譲受企業に移動することを指します。
 
株式譲渡を行うことで、事業を続けてきた会社の経営者は譲渡所得を得られます。幸せなリタイア生活を考えて、株式譲渡を検討している経営者も多いのではないでしょうか。しかし、株式を売却し金銭などを得る際に、気にしなければいけないのが税金です。
 
今回は非公開企業における株式譲渡の事例をとって、株式譲渡の際にかかる税金の種類や、その計算方法について詳しく紹介します。

株式譲渡では「譲渡所得」に対して税金がかかる

そもそも株式譲渡を行い利益を得た際に、どんな税金がかかるのか知らない方も多いのではないでしょうか。株式の売却時に譲渡所得が出た場合には、その譲渡所得に対する税金、つまり「譲渡所得税」がかかります。ここでは、譲渡所得税の計算方法を説明していきます。

M&Aにおける譲渡所得税の計算方法

では、譲渡所得税の計算方法について、具体的に説明していきます。
まず、M&Aにおける株式譲渡により得られる譲渡所得は、一般的に以下の式によって表されます。
 
①総収入金額(譲渡価額)-②必要経費(取得費+委託手数料等)=③譲渡所得
 
それぞれの項目について、細かく説明します。
 
①総収入金額(譲渡価額)
株式の譲渡対価として得られる金額です。株主と譲受企業両者の協議の上、合意して決まります。
 
②必要経費(取得費+委託手数料等)
必要経費として認められるのは、売却する株式を取得した際にかかった「取得費」や、仲介会社などに支払う「委託手数料」などです。
 

  • 取得費
  • 会社を設立した際に出資した資本金など
    ※取得費の算出が難しい場合には、譲渡価額の5%を「概算取得費」として処理することも可能

  • 委託手数料等
  • 譲渡の際にM&A仲介会社等を入れた場合に仲介会社等に支払う仲介手数料など

     
    ③譲渡所得
    ①の総収入金額から②の必要経費を引いた残りの金額が譲渡所得となります。
    株式譲渡に掛かる税金は、この譲渡所得から求めます。譲渡所得にかかる税金は20.315%(所得税および復興特別所得税15.315% + 住民税5%)となり、下記の式で納税する金額が求められます。
     
    ③譲渡所得 x 20.315% = 譲渡所得税
     
    参考URL:▷平成29年分株式等の譲渡所得等のあらまし

     

    株式譲渡の際に確定申告は必要?その判断基準を解説

    譲渡所得があった場合は、確定申告が必要となるのでしょうか。給与を1か所だけから受けており、給与の年間収入金額が2,000万円以下の給与所得者は確定申告をする必要はありません。しかし、給与を1か所だけから受けており、給与の年間収入金額が2,000万円以下でも、給与以外の所得が20万円を超えた人は確定申告が必要です。株式譲渡した際の所得が20万円を超えないことは考えにくく、M&Aにおける株式譲渡の際には、ほぼ全ての人に申告の義務が生じます。
     
    所得税の計算方法としては、給与以外での各種所得金額を合計した総所得金額から税額を計算する「総合課税」が原則です。しかし株式譲渡所得については、他の所得金額と区分され、その所得単体で税額を計算する「申告分離課税」と定められています。そのため、その他の所得との損益通算が出来ない点は注意が必要です。
     

    事業譲渡にかかる税金

    会社の経営権を譲り渡す株式譲渡にかかる税金は上記で解説をしました。では、譲渡企業内の特定事業の全部または一部のみを切り出して譲受企業へ譲り渡す、事業譲渡の場合にはどのような税金がかかるのでしょうか。
     
    株式譲渡にて株式を売却する際には、取引の当事者が株主と譲受企業なので、株主本人に譲渡所得税がかかります。一方、事業譲渡の場合は、対象会社又は対象事業と譲受企業との取引なので、譲渡の対価は会社に支払われます。そのため、事業を売却して得た利益に対して法人税等がかかります。
     
    法人税等は、会社の規模によって税率が異なります。判断が難しい場合には、M&Aアドバイザーに相談し、最終的な判断をする際には税理士に相談しましょう。

     

    まとめ

    株式譲渡は国内の中小企業のM&Aで多く行われている手法の1つです。株式譲渡を行う際に、忘れてはいけないことが税金です。M&Aで株式譲渡を行う上でほとんどの人に確定申告の義務が発生します。今回紹介した税金の種類や計算方法を理解し、株式譲渡をスムーズに進められるようにしましょう。また、特に税務に関する事は頻繁に制度が変わります。そのため、税務などの専門知識はM&Aアドバイザーに相談し、最終的な判断をする際には税理士に相談することをおすすめします。