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2023/10/03

事業承継を行う最適なタイミングとは?次世代への承継には早めの行動が重要

事業承継を行う最適なタイミングとは?次世代への承継には早めの行動が重要

事業承継を検討している経営者の中には、いつから着手するべきかわからないまたは、事業承継に着手するべき適切なタイミングを知りたいという方が多いのではないでしょうか。

事業承継のタイミングを間違えてしまうと、円滑に実施できなかったり失敗してしまったりする可能性が考えられるため、最適な時期を判断することは大切です。

本記事では、事業承継のタイミングや流れ、押さえておきたいポイントなどを解説します。事業承継に悩んでいる経営者は、ぜひ参考にしてください。

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事業承継を行う最適なタイミングとは

事業承継は会社の経営状況や後継者の有無、現経営者の状態等が関係するため、すぐに実施できるものではありません。そのため、事業承継のタイミングは会社と後継者、現経営者の状況を考慮して最適な時期を選択することが大切です。

ここでは、事業承継を実施する際のタイミングについて紹介します。

会社の経営状況が安定している時

事業承継では当然ながら経営者が変わるため、社内の混乱を招きやすく業績が悪化してしまう傾向があるとされています。そのため、事業承継を行うタイミングは会社の経営状況が安定している時期が良いでしょう。

会社の経営状況が安定しているタイミングだと、社内のトラブルを避けられる傾向があり、スムーズに事業承継を実施できる可能性が高くなります。

ただし、現経営者の力不足で会社の経営状況が悪化している場合は、早めに事業承継を実施することで業績が良いほうに傾くこともあるので、自社の状況を見極めて事業承継の実施を判断しましょう。

後継者の有無と承継への覚悟・能力を考慮したタイミング

当然ですが、事業承継を行うためには後継者が必要です。後継者がいない場合は外部から見つける必要があるため、M&Aの活用等何かしらの対策を早めに検討する必要があるでしょう。

また、後継者がいる場合でも、会社を承継する覚悟ができているのか、十分な経営能力が備わっているのかといったことを考慮してタイミングを決める必要があります。

後継者がすでに経営に携わっている場合はスムーズな事業承継が期待できますが、後継者の育成が順調に進んでいるケースでも後継者の年齢を考慮しておくほうが良いでしょう。

なお、中小企業庁の調査によれば現経営者が事業承継をした時の年齢で、「ちょうど良い時期だった」と回答した割合が最も多いのは40歳~49歳となっています。そのため、一般的に事業承継を行う場合の後継者の年齢は40代が良いと言えるでしょう。

後継者を育てるには時間がかかるため、事業承継の実施を決めているのであれば早めに準備を始めたほうが良いでしょう。

現経営者の年齢が60歳に入る前

東京商工リサーチによれば2021年に「休廃業・解散」した企業の社長の平均年齢は71歳となっており、一般的に経営者の引退時期は70歳前後と考えられています。

事業承継の方法にもよりますが、一般的に親族や自社の従業員が後継者となる場合は、事業承継に5年~10年必要とされているため、遅くても現経営者の年齢が60歳前後の時点で事業承継を進めるのが理想でしょう。

また、事業承継を行う場合は、後継者が問題なく会社を経営していけるようになるまで現経営者がサポートする期間を設けることも大切になるため、その間の期間も考慮しておくほうが無難です。

事業承継は早めに行うべき理由

事業承継を行うタイミングは確かに大切ですが、いずれは事業承継することを決めているのであればできるだけ早い時期に進めていくことが重要です。

ここでは事業承継を早めに行うべき理由を紹介します。

事業承継には手間も時間もかかる

事業承継は、以下のようにさまざまなことを考えて実施する必要があるため、まず手間がかかることを覚えておきましょう。

・後継者の選定

・事業承継スキームの決定

・税制対策

・株式の譲渡・相続・贈与の手続き等

後継者の育成や承継後の統合プロセス(PMI)には数年単位の時間が必要になります。

特にこれから会社を引っ張っていく後継者の育成では、5年~10年かかるともいわれているので、十分な育成期間を確保するためにも、余裕を持って事業承継の準備を始める必要があります。

また、一般的にM&Aを活用した事業承継の場合は後継者育成の期間が必要ないため、事業承継に必要な時間を短縮できますが、不測の事態が起きないとも限りません。

そのため、どのような方法を選択するにしても、事業承継を行うのであれば早めに準備しておいたほうが良いでしょう。

経営者が高齢化している

東京商工リサーチによれば2021年の社長の平均年齢は62.77歳と過去最高になっています。このことからもわかるように、経営者の高齢化は日本社会全体にとっても深刻な問題になっています。

経営者の高齢化により事業承継ができずに休廃業・解散してしまう中小企業も多く、従業員の生活や地域のインフラを守るためにも早めに事業承継を行う必要があるでしょう。

また、事業承継の目的の1つには自社をさらに発展させることが挙げられます。事業承継によって、活力と柔軟性に富んだ若い後継者に会社を引き継ぐことで、会社の業績も上がることが期待できます。

事実、東京商工リサーチによれば経営者の年齢と会社の業績は反比例するとされ、直近決算で「増収」と回答した会社経営者の年齢が70歳以上の割合が最も低くなっています。

事業承継を行う流れ

適切なタイミングで事業承継を実施するためには、事業承継の流れを把握しておくことも大切です。事業承継の基本的な流れは以下のようになります。

1.事業承継の準備

2.経営状況・課題等の見える化

3.経営改善

4.事業承継計画の策定(親族、従業員への承継)・マッチングの実施(M&A)

5.事業承継・M&A等の実施

事業承継の方法はいくつかありますが、どの方法を選択するにしても、まずは事業承継の必要性・重要性を認識する必要があるので、専門家や支援機関等に相談しながら準備を始めましょう。

次に経営状況や経営課題等を把握し、事業承継に向けた経営改善に取り組むことが大切です。当然ですが、経営が悪化している会社を引き継ぎたいと思う後継者はいないので、改善できる点は対処するようにしてください。

ここまでで事業承継に向けた土台はできあがります。その後は親族内または従業員への承継か、M&A等の外部への承継かによってやるべきことが変わってきます。

親族内や従業員への承継では、後継者と一緒に事業計画や事業移転計画を含めた事業承継計画を策定し、計画に沿って事業承継を行います。

一方、外部への承継ではマッチングにより承継先となる相手を選定し、合意すればM&A等を実施することになります。

政府主導の事業承継支援策の活用

中小企業の事業承継には政府も力を入れており、政府が主導となってさまざまな事業承継支援策を実施しています。そのため、事業承継を行う時は政府主導の事業承継支援策の活用も検討すると良いでしょう。

ここでは、主な支援策を紹介するので、参考にしてください。

事業承継税制

事業承継税制は、事業承継に伴う相続税や贈与税の納税の猶予を受けられる制度です。制度を活用するためにはさまざまな要件があるものの、事業承継時に後継者が納めるべき相続税や贈与税の猶予が受けられます。

また、2018年度の改正によって、10年間という特例措置の期間が設けられたことで、後継者にも事業承継を促しやすいでしょう。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、事業承継(事業再編・事業統合を含む)を契機として新しい取り組み等を行う中小企業または小規模事業者に対して、取り組みに関わる経費の一部を補助する制度です。

事業承継・事業再編・事業統合を促進し、日本経済の活性化を図ることを目的としています。

事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターは、全国47都道府県に設置されている事業承継・M&Aの公的支援機関です。

事業承継について、承継前の基本的な相談から親族内承継や従業員承継、M&Aの成約まで、専門家や金融機関、支援機関と連携しながら一貫したサポートを行っています。

事業承継を検討している中小企業経営者にとっては、最も相談しやすい支援機関といえるでしょう。

遺留分に関する民法の特例・所在不明株主に関する会社法の特例

中小企業の事業承継を円滑に実施するために施行された経営承継円滑化法では、後継者の株式取得に関わる以下の特例措置が設けられています。

・遺留分に関する民法の特例

・所在不明株主関する会社法の特例の前提となる認定

事業承継では株式の分散を防止して、後継者がスムーズに経営を行える状況を整えることが大切ですが、遺留分問題により株式が分散してしまうことがあります。

また、会社法上、所在のわからない株主の保有株式は5年経過後でなくては取引できないと定められているため、所在不明株主の株式を取得するためには、手続きに時間がかかってしまうという問題もありました。

「遺留分に関する民法の特例」と「所在不明株主に関する会社法の特例の前提となる認定」を活用することで、株式の分散が防止でき、所在不明株主の株式取得にかかる手続きの時間を短縮できる可能性があります。

事業承継ファンド

事業承継ファンドは、事業承継にかかわる資金の調達ができる他、ファンドによっては経営販路の拡大や体制作りの協力を得られることもあります。そのため、近年は、中小企業の事業承継の手段として事業承継ファンドの活用も増えています。

国の中小企業政策の中核的な実施機関となる中小機構では、ファンドに関する情報提供や投資交渉に向けた経営計画・資金計画の作成等をサポートしているので、事業承継にファンドの活用を検討している経営者は一度相談してみるのも良いでしょう。

経営資源集約化税制

経営資源集約化税制は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業が計画に基づいてM&Aを実施した場合に活用できる制度です。

経営資源集約化税制では、設備投資減税と準備金の積立の2つの措置が活用できます。

 措置の種類 内容
 設備投資減税 経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得した際に投資額の10%を税額控除または、全額即時償却される
 準備金の積立 経営力向上計画の認定を受けたうえで、計画に沿ってM&Aを実施した際に、M&A実施後に発生し得るリスク(簿外債務等)に備えるため、投資額の70%以下の金額を準備金として積み立てできる

なお、経営資源集約化税制を活用するためには、それぞれに要件があるため確認は必須になりますが、M&Aのリスクへ備え、税負担への対策が期待できます。

登録免許税・不動産取得税の特例

登録免許税・不動産取得税の特例は、他者から事業承継を行うために合併・会社分割及び事業譲渡を実施する場合に、不動産の権利移転等に際して生じる登録免許税・不動産取得税を軽減する制度です。

M&Aを活用した際の不動産移転にかかる税負担を軽減できるメリットがあります。こちらも適用期間や対象資産等の要件があるため、事前に確認しておくようにしましょう。

経営承継円滑化法に基づく金融支援

経営承継円滑化法の柱の1つとして、経営承継円滑化法に基づく金融施策もあります。事業承継にはさまざまな資金が必要ですが、都道府県知事の認定を受けることを前提に、融資と信用保証の支援を受けられます。

・融資:個人の方は、日本政策金融公庫または沖縄振興開発金融公庫の融資制度を利用できる

・信用保証:中小企業者または個人の方は、原則として信用保証協会の通常の保証枠とは別枠が用意される

経営承継円滑化法に基づく認定が必要となりますが、上記の支援にはM&Aによる他社の株式や事業用資産を買い取るための資金等も含まれるので、事業承継に伴う幅広い資金ニーズに対応することが可能性です。

事業承継のタイミングを考えるうえで押さえておきたいポイント

事業承継は最適なタイミングで実施することが重要になるものの、事業承継を成功させるためには押さえるべきポイントを把握しておくことも大切です。

ここでは、事業承継を行う前に忘れてはいけないポイントを紹介します。

事業承継は5〜10年計画の長期スパンで考える

事業承継は後継者に会社を引き継いで終わりということではなく、その前の準備段階から承継後の統合プロセスまで考えておく必要があります。そのため、事業承継を実施する際は、数年単位の長期スパンで考える必要があるでしょう。

特に親族や従業員への承継では、後継者の育成に時間が必要となるため、5年~10年計画になるケースも珍しくありません。事業承継には時間がかかることを理解したうえでタイミングを考えると良いでしょう。

事業承継ガイドラインを活用する

事業承継を円滑に実施するためには準備が重要になりますが、中小企業の事業承継では身内の問題として外部への相談ができずに悩んでいる経営者もいるのではないでしょうか。

中小企業庁が策定する「事業承継ガイドライン」は、中小企業・小規模事業者における円滑な事業承継のために、必要な取組や活用すべきツール、注意すべきポイント等を紹介しています。

事業承継を行うにあたって、何から始めて良いのかわからない場合は事業承継ガイドラインを活用して、事業承継の課題を知ることからスタートしてみるのも良いでしょう。

事業承継手段としてM&Aも視野に入れる

すでに後継者が決まっている場合は問題ありませんが、後継者が決まっていないまたは、見つからない場合は、事業承継の手段としてM&Aも検討すると良いでしょう。

M&Aを活用することで後継者問題が解決できるだけではなく、幅広い後継者候補を求めることができ、自社に最適な人材を見つけることが期待できます。

また、現経営者は創業者利益を得ることができるため、セカンドライフのための資金にすることもできます。

専門家への相談も有効的

一般的に事業承継を経験している経営者は少ないため、事業承継のタイミングがわからない経営者が多いのではないでしょうか。

事業承継には、相続に関する法律や税制等さまざまな専門知識も必要になるので、円滑に事業承継を行ないたいのであれば必要に応じて専門家への相談も検討するのがおすすめです。

まとめ

事業承継のタイミングは、会社の経営状況や後継者の有無・育成状況、現経営者の年齢等を考慮して決めることが大切です。

事業承継の方法はいくつかありますが、実施には数年単位の期間が必要になるため、どの方法を選択するにしても早めに準備することをおすすめします。

また、事業承継のタイミングを含めて悩みがあるのなら専門家への相談が有効的です。1人で悩まずに信頼できる専門家のサポートを受けて、円滑に事業承継を実施しましょう。

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