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2024/04/22

事業承継に向けた5つのステップをわかりやすく解説!活用できる政府主導の支援も紹介

事業承継に向けた5つのステップをわかりやすく解説!活用できる政府主導の支援も紹介

事業承継を検討している方の中には「実施の流れがわからない」「何から始めて良いかわからない」という方もいるのではないでしょうか。

事業承継は政府も後押ししており、事業承継について記載した事業承継ガイドラインでは「5つのステップ」等を公開しています。

本記事では、事業承継ガイドラインに記載されている5つのステップをわかりやすく解説し、事業承継の実施時に利用できる、政府主導の支援も紹介します。

なお、事業継承の概要を把握したうえで、より詳細にガイドラインの内容を知りたい方や、最新の情報を入手したい方は、こまめに経済産業省のホームページを確認しましょう。

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事業承継を円滑に実施するための5つのステップとは?

事業承継ガイドラインは、中小企業・小規模事業者の円滑な事業承継を図ることを目的に、中小企業庁が策定したものであり、事業承継を円滑に行うための必要な取り組みや活用すべきツール、注意すべきポイント等を紹介しています。

事業承継ガイドラインでは、以下の3点が柱になります。

  • 事業承継に向けた早期取組の重要性(事業承継診断の実施)
  • 事業承継に向けて踏むべき5つのステップ  
  • 地域における事業承継支援体制の強化の必要性

中でも「事業承継に向けた5ステップ」は、事業承継を円滑に進めるための足腰固めや実行手順、第三者への承継、承継後の取り組みを解説しており、事業承継に取り組む経営者にとっての手引き書になるでしょう。

各ステップを詳しく解説するので、事業承継を円滑に進められるように把握しておくことをおすすめします。

▷関連記事:事業承継とは?成功に向けたポイントや基礎知識を解説

ステップ1:事業承継に向けた準備の必要性の認識

ステップ1では、事業承継に向けた準備の必要性の認識、つまり意識改革が必要だとしています。

事業承継は緊急性がないと考える経営者もいるため、先延ばしにされることも多く、身内であっても話題に出しづらいものです。

しかし事業承継は、スキームの決定、後継者の選定・育成、従業員・取引先・金融機関との事前協議等に時間がかかります。特に後継者の育成には5年~10年の期間が必要とされているため、早い段階からの準備が重要です。

そのため、事業承継ガイドラインでは60歳を迎えている経営者に対して、すぐにでも身近な専門家への相談を行うべき、としています。

また、年齢が高まるほど投資リスクを回避する傾向があるだけでなく、事業承継を実施した企業のほうが、実施しない企業より経常利益が高いとの報告もあるので、自社の成長のためには早めの事業承継を検討するのが良いでしょう。

ステップ2:経営状況・経営課題の「見える化」

事業承継を実施するためには、後継者の有無に関わらず現状の把握が大切となるため、経営状況や経営課題の「見える化」を行う必要があります。

見える化を実施する際は、業界団体が主催する勉強会等での情報収集や、ローカルベンチマークの活用が効率的でしょう。

経営状況や経営課題の「見える化」の内容は、以下のようなっています。

  • 事業:自社の弱みと強みを明確にし、取り組むべき課題を見つける
  • 資産:個人資産となる会社との貸借関係等を確認し、後継者に残せる経営資源を明確にする
  • 財務:切な会計処理を通じて財務状況を明確にする

ステップ3:事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)

親族内承継では、事業承継時の節税に重点が置かれてしまい、株価を意図的に下げる等、自社の成長にそぐわない手法が用いられるケースもあります。

しかし、事業承継は自社を成長させる良い機会です。現経営者は、後継者がいても自社をより良い状態で引き継ぐ姿勢を忘れてはいけません。

また、自社の価値を下げる行為は、自社の魅力を低下させることと同じなので、「後継者が魅力を感じない=後継者が見つからない原因」にもなります。

後継者が魅力を感じるような経営状況まで引き上げておくことで、仮に第三者に譲渡する場合も、譲受企業にとって魅力のある譲渡企業となります。

自社の価値を上げるためにも、本業の競争力強化や、組織体制の再構築による生産性の向上、マニュアル改善といった事業・組織の磨き上げを行いましょう。

ステップ4:事業承継計画の策定・マッチング

ステップ4は親族内・従業員への承継と、第三者への承継で内容が異なります。

  • 親族内・従業員承継
  • 第三者への承継(M&A)

各内容を詳しく見ていきましょう。

後継者が親族または従業員の場合は、事業承継計画の策定を行う

事業承継計画は、ステップ2で行った経営状況や経営課題から、中長期の経営計画に事業承継の時期や課題、具体的な対策に加え、現経営者の想いや理念も盛り込んだものになります。

現経営者は後継者や親族と一緒に、従業員や取引先、金融機関等との関係を考慮しながら事業承継計画を策定する必要があり、一般的に事業承継の内容をまとめた「事業承継計画書」と、事業承継を実施するまでの具体的な工程表となる「事業承継計画表」を作成します。

  • 事業承継計画書:自社の現状や事業承継の課題、承継方法などをまとめた書類
  • 事業承継計画表:事業承継を実施するまでに、会社や現経営者、後継者がどのように変化していくのかを年次(一般的には10年程度)でまとめた表

なお、事業承継計画書や事業承継計画表は法律で定められた書類ではないので、決まったフォーマットはありませんが、公的な機関や団体、金融機関などで雛形を公表しているので、参考にすると良いでしょう。

後継者がいない場合はM&A等のマッチングを実施

親族内または自社の従業員に後継者が見つからない場合は、M&Aを活用して第三者に事業承継を行います。

第三者への承継では、ステップ3で磨き上げを行い、企業価値が高くなっていることが重要です。磨き上げをしていなければ、良い譲受企業が見つからなかったり、譲渡価額が低くなってしまうリスクがあることに注意しましょう。

なお、M&Aでは高度かつ幅広い専門知識が必要なため、専門家に相談しながら実施するのが一般的です。

▷関連記事:M&Aとは?M&Aの意味・流れ・手法など基本を分かりやすく【動画付】

ステップ5:事業承継・M&Aの実行

事業承継・M&Aは、ステップ1~4を踏まえ、把握された課題を解消しつつ、事業承継計画やM&A手続き等に沿って実施します。

親族内承継、従業員承継、M&Aの活用、どの方法で事業を承継するにしても、実行段階では税務や法務などの専門知識が必要になるので、専門家と協力して行うほうが良いでしょう。

政府主導の事業承継支援について

中小企業の事業承継には日本政府も力を入れており、さまざまな事業承継支援策を実施して後押ししています。事業承継を行なうときは、政府主導の事業承継支援策の活用も検討するのがおすすめです。

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は事業承継(事業再編・事業統合を含む)をきっかけに、新しい取り組み等を行う中小企業または小規模事業者に対して、取り組みに関わる経費の一部を補助する制度です。

事業承継・事業再編・事業統合を促進し、経済の活性化を図ることを目的としています。

事業承継・引き継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援援センターは、全国47都道府県に設置されている事業承継・M&Aの公的支援機関です。

事業承継について、承継前の基本的な相談から親族内承継や従業員承継、M&Aの成約まで専門家、金融機関、支援機関と連携しながら一貫したサポートを行なっています。

遺留分に関する民法の特例・所在不明株主に関する会社法の特例

経営承継円滑化法では、「遺留分に関する民法の特例」「在不明株主に関する会社法の特例」という、後継者の株式取得に関わる特例措置が設けられています。

遺留分とは、遺族の生活の安定や最低限度の相続人の平等を確保するために、民法により相続人(兄弟姉妹及びその子を除く)に保障されている最低限の相続権利のことです。

事業承継では株式の分散を防止して、後継者がスムーズに経営を行える状況を整えることが大切になりますが、遺留分問題により株式が分散してしまうケースがあります。

また、所在のわからない株主の保有株式は、5年経過後でなくては取引できないという会社法上のハードルも問題です。

しかし、遺留分に関する民法の特例と在不明株主に関する会社法の特例を活用することで、株式の分散が防止でき、所在不明株主の株式取得にかかる手続きの時間も短縮できるでしょう。

事業承継ファンド

近年は、中小企業の事業承継の手段として事業承継ファンドの活用も見られます。

事業承継ファンドでは、事業承継にかかわる資金の調達ができる他、ファンドによっては経営販路の拡大や体制作りの協力を得られることもあります。

国の中小企業政策の中核的な実施機関となる中小機構では、ファンドに関する情報提供や投資交渉に向けた経営計画・資金計画の作成等をサポートしているので、相談してみると良いでしょう。

事業承継税制

事業承継税制は、事業承継に伴う相続税・贈与税の納税猶予を受けられる制度です。

制度を活用するためにはさまざまな要件があるものの、事業承継時に後継者が納めるべき相続税・贈与税の猶予が受けられるため、金銭的な負担を軽減できます。

なお、2018年度の税制改正により10年間の特例措置が設けられたことで、後継者にも事業承継を促しやすくなりました。

経営資源集約化税制

経営資源集約化税制は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、計画に基づいてM&Aを実施した場合に活用できる制度です。

経営資源集約化税制では、設備投資減税と準備金の積立の2つの措置が活用できます。

  • 設備投資減税:経営力向上計画に基づき、一定の設備を取得した際に、投資額の10%を税額控除または、全額即時償却される
  • 準備金の積立:経営力向上計画の認定を受けたうえで、計画に沿ってM&Aを実施した際に、M&A実施後に発生し得るリスク(簿外債務等)に備えるため、投資額の70%以下の金額を準備金として積み立てできる

各措置に要件があるので確認は必要ですが、M&Aのリスクへの備えや税負担に対応できる制度となっています。

登録免許税・不動産取得税の特例

登録免許税・不動産取得税の特例は、他者から事業承継を行うために合併・会社分割及び事業譲渡を実施する場合の、不動産の権利移転等で生じる登録免許税・不動産取得税を軽減する制度です。

制度を活用する場合は、適用期間や対象資産等の要件があるので、事前に確認しておくと良いでしょう。

まとめ

事業承継ガイドラインには、事業承継を円滑に実施するための5つのステップが記載されています。事業承継の実施には時間が必要なので、余裕を持って準備する意識が大切です。

また、後継者が見つからずに廃業を考えている方も、ステップ2、ステップ3の「見える化」と「磨き上げ」をしっかりと実施することで生まれる、M&Aという選択を検討してみましょう。

M&Aで第三者への承継ができれば、従業員の雇用を守れて自身も売却益を得ることができます。なお、事業承継では専門家の協力が必要になるので、まずは一度、専門家に相談してみるのがおすすめです。

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