後継者不足による企業の廃業が増える中、いかにして技術やノウハウを後世に伝え残し、雇用を守っていくのか、中小企業の事業承継の在り方が日本社会における課題となっています。
企業の経営者は、後継者不足が理由で廃業することがないように、後継者探しを早めに始めるなど将来を見据えた対策を取ることが重要です。少子高齢化など現代社会の現状や課題を理解しておくことで、事業を存続させるための対策や事業承継の手法を考える際に役立ちます。
本記事では、日本企業における後継者不足問題の現状や原因、M&Aをはじめとした解決方法、事業承継の相談先までわかりやすく解説します。
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日本企業が直面している後継者不足問題とは
後継者不足問題とは、中小企業において経営者の高齢化が進む中、後継者が見つからず事業の継続が困難になる企業が増えている現状を指します。
後継者不足によって企業が廃業すると、培った技術やノウハウが途絶えてしまって日本の技術力低下を招き、従業員は仕事を失って生活に困るなど、様々な問題につながります。企業の廃業や倒産による影響は決して小さくありません。
以下では、日本企業が直面している後継者不足問題の背景について詳しく見ていきます。
経営者の高齢化
東京商工リサーチが実施した社長の年齢に関する調査によると、2025年の社長の平均年齢は63.81歳です※1。事業承継や世代交代が進まず、経営者が高齢になっても事業経営を担い続けている実態が見て取れます。
同調査結果によれば、2025年に休廃業・解散した企業の社長の平均年齢は74.98歳でした。後継者が見つからないまま経営者が高齢になり、休廃業や解散を選択したものと推察されます。
また、東京商工リサーチが実施した後継者に関する調査によると、2025年の後継者不在率は62.60%です※2。後継者不在率は近年上昇傾向にあり、半数以上の企業で後継者候補がいない状況です。
▷関連記事:「中小企業社長の適切な引退年齢は?経営者高齢化の現状と問題点、事業承継の方法を解説」
※1 出典:東京商工リサーチ「「社長」の高齢化進む、16年間で4歳上昇 平均63.81歳、最高は秋田県の66.31歳」
※2 出典:東京商工リサーチ「「後継者不在」年々上昇し62.60%に 代表者が高齢の企業ほど、上昇が顕著」
後継者難による倒産の増加
東京商工リサーチの調査結果によると、2025年度の後継者難倒産(負債1,000万円以上)の件数は461件で、2013年度の調査開始以降では最多を記録しました※。
倒産の要因別に見てみると、代表者の「死亡」が219件でおよそ半数を占め、続いて「体調不良」が172件で多くなっています。経営者が高齢になると死亡や体調不良によって急に経営者が不在になるリスクが高まり、実際に企業が倒産した事例があることがわかります。
経験豊富な経営者が経営の指揮を執れば、リーダーシップを発揮できるなどメリットがある反面、世代交代の遅れは廃業や倒産のリスクもあるため後継者不足問題の解決が急がれます。
※出典:東京商工リサーチ「2025年度の「後継者難」倒産 過去最多の461件 5年連続400件台、サービス業他や建設業が上位」
後継者不足問題が起きる原因・理由
後継者不足問題が起きる主な原因・理由として、次の3つが挙げられます。
| ・少子高齢化 ・親族内承継の減少 ・事業承継への準備不足 |
以下では、それぞれの原因・理由について詳しく見ていきます。
少子高齢化
内閣府が公表した「令和7年版高齢社会白書」によると、2024年の15~64歳人口は7,373万人で、総人口の59.6%です。ピーク時の1995年に8,716万人を記録して以降、減少の一途をたどっています。
65歳以上の人口割合である高齢化率は、2024年に29.3%に達し、およそ3.4人に1人が65歳以上という状況です。少子高齢化によって若年層の人口が減少し、後継者となる人材も減少したことが、後継者不足問題の原因の1つになっているものと考えられます。
親族内承継の減少
以前は、中小企業では経営者の親族が後継者として事業を引き継ぐことが一般的でした。しかし、時代が変化する中で現在では親族内承継は減少しています。経営者に子がいても事業を引き継がないケースが増えてきていることも、後継者不足問題が起きている理由の1つです。
事業承継の手法に占める親族内承継の割合は約3割で、引き続き高い割合を占めてはいますが、近年は内部昇格やM&Aなど他の承継手法による事業承継の割合が高まっています。
子が親の事業を引き継ぐことが当たり前だった時代とは違い、何かと大変なことや苦労も多い経営者の座に子が就きたがらないケースや、子が望む職業に就くケースも増えています。
事業承継への準備不足
事業承継に向けた備えや対策が重要であることをわかっていても、経営者が日々の業務に追われていると事業承継の準備が後回しになるケースが少なくありません。
中小企業では経営者自身が様々な業務を担当しているケースもあり、後継者探しや育成に十分な時間を割けない場合があります。
後継者候補の選出・検討や育成には時間がかかるだけに、本来は計画的に早い時期から事業承継対策を始めるべきです。しかし、日々の忙しさの中で後回しになって準備不足になる結果、経営者が高齢になっても後継者候補がいない状況が起きています。
後継者不足問題の解決方法

後継者不足問題に悩まされる企業にとっては、如何にして事業の承継先を見つけて継続させるのかが重要になります。事業承継の主な手法は次の3つです。
| ・親族内承継 ・親族外承継 ・第三者承継(M&A) |
以下では、それぞれの事業承継の手法の特徴やメリット・デメリットを解説します。
親族内承継
親族内承継とは、経営者が子や孫など自身の親族に会社の経営を引き継ぐ事業承継手法です。
親族内承継のメリットは、現経営者の考え方や価値観、事業の方針を理解している家族が後継者になればスムーズに事業承継を行える点です。
従業員や取引先などの関係者にとっても心情的に受け入れられやすく、内外の関係者から理解を得やすい傾向にあります。また、早い段階で後継者を指名できるため、事業承継のための準備期間を確保できる点もメリットです。
一方でデメリットは、経営の才能や意欲がある親族がいるとは限らず、親族の中に後継者候補となる人材がいるとは限らない点です。後継者に指名された親族とそれ以外の親族の間でトラブルになる場合もあります。
▷関連記事:「親族内承継とは?流れやメリット・デメリット、よくあるトラブルと対処法を解説」
親族外承継
親族外承継とは、社内の役員や従業員など親族以外の人を後継者にして会社の経営を引き継ぐ事業承継手法です。
親族外承継のメリットは、親族内承継に比べて後継者候補の選択肢の幅が広く、社内にいる優秀な人材を後継者に指名できる点です。経営方針を理解している社員が後継者になればスムーズな事業承継を期待できます。
一方でデメリットは、後継者となる社員や役員が株式を購入する場合には購入資金が必要になるなど、後継者の負担が重くなる場合がある点が挙げられます。親族内承継に比べて関係者から理解や協力を得るのに時間がかかる場合がある点もデメリットです。
▷関連記事:「親族外承継とは?2つの方法とメリット・デメリット、手順や成功させるポイントも解説」
第三者承継(M&A)
第三者承継(M&A)とは、親族・社員以外の第三者に事業を承継する手法です。
第三者承継(M&A)のメリットは、身近な関係者の中に後継者として適任者がいない場合でも広く候補者を外部から探すことができる点です。
親族や社内に適任者がおらず後継者不足に悩む企業でも、第三者承継(M&A)であれば外部から後継者を探すことができ、廃業を回避できて従業員の雇用を守ることができます。
ただし、外部の人間が経営者になると経営方針や従業員の待遇が変わる場合があります。従業員や取引先が不安を抱き、社内で混乱が起きるケースもあります。また、希望の条件に合う譲渡先企業が見つかるとは限らない点もデメリットです。
▷関連記事:「M&Aとは?意味・流れ・手法・費用などゼロからわかる完全ガイド【2026年最新】」
経営者が事業承継で失敗しないためのポイント
経営者が事業承継をスムーズに進め、後継者への事業の引き継ぎで失敗しないために押さえておきたい主なポイントは次の2つです。
| ・後継者探しや育成を早めに始める ・事業承継の専門家に相談する |
それぞれのポイントについて以下で詳しく解説します。
後継者探しや育成を早めに始める
事業承継には5年から10年かかることもあり、非常に長い時間を要します。後継者探しや育成、事業の引継ぎ作業まで、事業承継には時間がかかることを前提とした上で、事業承継対策を早くから始めることが重要です。
準備期間が不十分だと、後継者候補不足によって廃業に追い込まれたり、準備不足のまま事業を引き継いで承継後の事業運営で問題が起きたりすることになりかねません。
対策や準備を早めに始めれば、事業承継の手法の検討や後継者探しを時間に余裕をもって行うことができ、後継者側も十分な準備期間を確保できます。事業承継に必要な資金や承継後の運転資金の確保、相続対策まで、事業承継では時間をかけて入念に検討を行うことが大切です。
事業承継の専門家に相談する
事業承継では税務や法務など様々な専門知識が必要になります。後継者である親族や社員が現経営者から株式を譲り受ける際の税務上の取り扱いや、M&Aによって会社を譲渡する際に譲受企業と締結する契約内容の検討など、必要となる専門知識は多岐にわたります。
事業承継を経営者や企業担当者だけで進めることは難しいため、M&A仲介会社や士業などの専門家に相談することが一般的です。専門家からアドバイスやサポートを受ければ事業承継をスムーズに進めることができます。
| 【事業承継の主な相談先】 ・M&A仲介会社 ・FA(ファイナンシャル・アドバイザー) ・弁護士や税理士などの士業 ・金融機関 ・事業承継・引継ぎ支援センター |
各相談先の特徴やメリット・デメリットについては以下の記事で解説しています。事業承継を検討中の方はあわせて参考にしてください。
▷関連記事:「M&A仲介会社とは?FAとの違いや選び方、メリットや手数料の一覧・相場を紹介」
▷関連記事:「M&AにおけるFAとは?役割やM&A仲介との違い、選ぶ時の注意点を解説!」
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▷関連記事:「M&Aの相談先一覧|メリット・デメリットと費用、円滑に進めるポイントを解説」
まとめ
少子高齢化や親族内承継の減少などの理由により、中小企業における後継者不足問題は今後も続く可能性があります。
経営者が高齢になってから事業承継の対策を始めても、十分な準備期間を確保できず、後継者を見つけられないまま廃業に追い込まれることになりかねません。事業経営を行う上では、将来を見据えて後継者探しや育成を早くから始めることが重要です。
親族や社内に後継者候補がいない場合でも、第三者承継(M&A)であれば社外から後継者を探すことができ、廃業を回避できる場合があります。M&Aを検討するときには法務や税務など専門知識が必要になるため、fundbookにご相談ください。
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