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2023/09/27

個人経営の飲食店における事業承継の進め方とは?難航する背景も紹介

個人経営の飲食店における事業承継の進め方とは?難航する背景も紹介

個人で飲食店を経営し、事業承継を検討している方の多くは基本的な知識や、どのような承継手段があるのか知りたいと感じているのではないでしょうか。
個人経営飲食店の事業承継では、一般的な中小企業の事業承継と共通する部分はありますが、飲食店ならではの特徴もあります。

本記事では、個人経営の飲食店における事業承継の基礎的な知識や承継の方法の他、事前に知っておきたい知識も紹介します。
事業承継を考えている個人経営の飲食店経営者は、ぜひ参考にしてください。

▷関連記事:M&Aとは?M&Aの意味・流れ・手法など基本を分かりやすく【動画付】
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個人経営飲食店における事業承継とは?

近年は中小企業経営者の高齢化が問題となっていますが、個人経営飲食店についても同様に経営者の高齢化問題があります。
また、飲食店業界は全国的かつ慢性的に後継者不足の傾向もあるため、後継者が決まらずに廃業を余儀なくされる個人経営飲食店も少なくありません。

事業承継は後継者の属性に応じて大きく以下の3つの方法に分類されます。

・親族内承継
・親族外承継
・第三者への承継(M&A)

事業承継を実施する際は、上記の順番で考えるのが一般的であり、個人経営飲食店においての事業承継でも同様です。
まずはそれぞれの特徴を把握しておきましょう。

▷親族内承継

親族内承継は、自身の子供や兄弟等の親族に事業を引き継ぐ方法で、従来から使われている最も一般的な事業承継の手段です。
事業承継のための準備期間を長く確保しやすかったり従業員や取引先からの心情的な理解を得やすかったりといったメリットがあります。

一方、デメリットとしては、事業承継に伴い多額の相続税・贈与税がかかる可能性があり、後継者への負担となるケースが多いことが挙げられるでしょう。
なお、親族内に後継者がいない場合は、他の事業承継の手段を検討するのが一般的です。

▷親族外承継

親族外承継は、自社の従業員に事業を引き継ぐ手段です。
親族外承継では後継者がお店のことを理解している場合が多く、他の従業員からの理解も得やすいのが特徴です。
また、個人経営飲食店は経営者が料理長となっていることが多いため、経営者自ら能力の高い後継者を選んで引き継げるメリットもあります。特に個人経営飲食店の事業承継では、お店の味や常連との関係等があるため、親族外承継が選ばれることも珍しくありません。

一方、デメリットは、後継者が事業承継に伴う資金を用意する必要があるため、後継者候補の人材から承諾を得られづらいことが挙げられるでしょう。

▷第三者への承継(M&A)

M&Aを活用して第三者へ事業を引き継ぐことも可能です。
M&Aを活用した事業承継は、主に後継者がいないまたは、相応しい人材が見つからない場合に用いられることが多くなります。
近年は、業界に関係なく後継者不足の問題があるため、M&Aを活用した事業承継が増加傾向となっています。M&Aを活用した事業承継では、後継者がいなくても事業承継が可能であったり、経営者は創業者利益を得られたりといったメリットがあります。

一方、デメリットは希望の相手を見つけるための手間が必要なことや、創業者利益に対して所得税がかかることが挙げられるでしょう。
なお、創業者利益にかかる所得税は累進課税ですが、個人経営飲食店でも法人化して株式売却の方法を取れば税率は一律20%となるため、法人化は税対策の1つです。
ただし、法人化するにも登記費用等の諸経費がかかりますので、コストの見極めも重要となります。

個人経営飲食店の事業承継が難航する背景

個人経営の飲食店における事業承継の進め方とは?難航する背景も紹介

個人経営飲食店の事業承継が抱える問題は「経営者の高齢化」と「後継者不足」の2つが挙げられます。特に飲食店業界は人材自体が不足している傾向があるため、後継者不足の問題は深刻といえるでしょう。
ここでは個人経営飲食店の事業承継が難航する背景となっている2つの問題について解説します。

▷経営者の高齢化問題

東京商工リサーチの「2021年「全国社長の年齢」調査」によると、社長の平均年齢は62.77歳と調査開始以来、最高値となっています。
また同調査の社長の年齢分布を見ると、70代以上は32.7%とこちらの年齢も過去最高値となります。
個人経営飲食店の場合は「社長=経営者=料理長」となっているケースが多く、60歳を超えて厨房に立っていることも珍しくありません。そのため、本来は引退を考えても不思議ではない年齢でも、後継者候補を選定する時間がなく、後継者が決まらずにお店を経営し、そのまま廃業してしまうケースも多いと考えられます。

▷深刻な後継者不足

帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2022 年 4 月)」によると、正社員が人手不足としている企業は45.9%、非正社員が人手不足としている企業は27.3%となっています。
飲食店においては正社員・非正社員ともに人手不足と回答した企業がは正社員不足:56.9%、非正社員不足:77.3%と上記の全体平均を上回っています。特に非正社員については業種別でトップの値となっています。

また、近年は自身の子供が事業を引き継ぐケースが減少しているため、事業承継として一般的だった親族内承継ができない個人経営飲食店も増えていると考えられるでしょう。
さらに、飲食店の経営では「食品衛生責任者」と、「防火管理者(店舗規模により必要に応じて)」の資格が必要になります。

このようなさまざまな理由が重なり、飲食業界の後継者問題は特に深刻とされています。事実、帝国データバンク「全国企業「後継者不在率」動向調査(2021 年)」によると飲食店の属する小売は63.7%と、建設業、サービス業についで高い数値となっています。
事業承継は後継者がいなくては実施できないため、個人経営飲食店の経営者は後継者候補を早い段階から選定しておく必要があるでしょう。

個人経営飲食店の事業承継におけるM&Aの活用

事業承継ではM&Aを活用するという手段もあります。
M&Aは大規模な企業しか活用できないイメージを持っている方もいると思いますが、小規模の個人経営飲食店でも相手が見つかれば問題なく事業を譲渡可能です。
M&Aを活用すれば外部から後継者を見つけられるため、親族や従業員に後継者候補がいなくても事業承継が可能になります。
個人経営飲食店の経営者が後継者探しに活用できるものには、事業承継・引継ぎ支援センターやマッチングサイト、M&A仲介会社があるので、状況に合わせて活用を検討してみましょう。

▷事業承継・引継ぎ支援センター

事業承継・引継ぎ支援センターは公的な機関として全国47都道府県に設置され、さまざまな事業承継のサポートを行っています。
事業承継・引継ぎ支援センターの事業の中には以下のような後継者不在に対応したものもあるので、覚えておきましょう。

・後継者人材バンク:後継者不足に悩む事業者と創業を希望する人のマッチングを行う
・第三者承継支援:後継者問題の相談から譲受企業の紹介や成約のサポート

事業承継を行いたい個人経営飲食店にとっては、相談先として考えておきたい機関になっています。

▷マッチングサイト

外部から後継者を見つけるのであれば民間の企業が運営するマッチングサイトを利用するのも良いでしょう。
マッチングサイトは、インターネット上で事業を譲渡したい人と事業を譲受したい人をマッチングするサービスです。手数料が比較的低く、手軽に利用できるというメリットがあります。
ただし、実際に事業承継する時の手続きまではサポートしてもらえないケースが多いため、別途専門家のサポートを受ける必要があるでしょう。

▷関連記事:M&Aマッチングサイトとは?メリットや選定方法など成功のポイント

▷M&A仲介会社

M&Aの実施を決めているのであればM&A仲介会社に相談するのも良いでしょう。
M&A仲介会社では、知識と経験豊富なアドバイザーがマッチングから手続きまでサポートしてくれるため、希望条件通りの事業承継を円滑に実施できる可能性が高くなります。
M&A仲介会社によって特長が異なるため、依頼するのであれば飲食店のM&A・事業承継に強い会社を探すのがおすすめです。

▷関連記事:M&A仲介とは?仲介会社のメリットや選び方、FAとの違い【動画付き】

個人経営飲食店の事業承継で知っておきたい知識

個人経営飲食店のような小規模な飲食店では、事業承継を検討する際に知っておいたほうが良い知識があります。
ここでは個人経営飲食店の事業承継において把握しておきたいことを紹介します。

▷廃業にも多額の資金が必要

飲食店の場合は、後継者が見つからずに廃業を選択したからといって、単にお店を閉めて終わりとはなりません。
税務署への廃業届は当然必要になる他、お店を賃貸で経営していた場合は、原状回復のための費用が必要になります。
特に賃貸オフィスの場合は必須となるので、覚えておきましょう。 どの程度の費用になるかは度合いによって異なるため、家主や管理会社との相談になります。
ただし、基本的に長年飲食店を経営して、店内に油や煙による汚れがある場合、高額な費用が必要になる可能性もあります。

▷事業承継は早めの着手を心がける

将来的に事業承継を決めているのであれば早めに着手することが重要です。
事業承継では、後継者の選定や承継手段の決定等、準備段階でやることが多い他、後継者の育成には5年~10年必要とされています。

また、事業承継の実施中に資金関係や相続関係等のトラブルが起こることも考えられます。早めに余裕を持って事業承継を行なうことで各トラブルにも対応できる可能性が高くなり、スムーズな事業承継に繋がるでしょう。

▷政府主導の支援策の活用も検討する

中小企業の事業承継には政府も力を入れており、政府主導の支援制度が多数あります。
個人経営飲食店でも利用できる制度はあるので、活用を検討してみましょう。
例えば、事業承継に伴う相続税や贈与性の納税の猶予を受けられる事業承継税制は、要件があるものの、適用されれば後継者の納税負担を一時的に軽くできるので、長期的に計画がしやすくなります。
その他、以下のような支援制度もあるので、覚えておきましょう。

・事業承継・引継ぎ補助金
・事業承継・引き継ぎ支援センター
・遺留分に関する民法の特例・所在不明株主に関する会社法の特例
・事業承継ファンド
・経営資源集約化税制
・登録免許税・不動産取得税の特例
・経営承継円滑化法に基づく金融支援

なお、支援制度については中小企業庁の公式サイトでも紹介されているので、事業承継を行う際は確認することをおすすめします。

▷悩んだ時は専門家への相談も検討する

事業承継では、法律や税制等さまざまな知識が必要です。
事業承継は決めているけど、何から始めて良いのかわからない、準備が中々進まないといった悩みがある場合は、専門家への相談も検討してみましょう。

事業承継について相談できる場所は以下のように多数あります。
事業承継・引継ぎ支援センターのような公的な機関弁護士や公認会計士等の士業事務所M&A仲介会社金融機関等また、悩みの有無にかかわらず信頼できる相談先を見つけて、事業承継を行なう前に1度相談するのもおすすめです。

まとめ

日本では中小企業の事業承継が問題になっていますが、個人経営飲食店の事業承継においても同様のことがいえます。
そもそも人材不足の傾向がある飲食業界では、特に後継者不足の問題は顕著にあらわれており、事業承継が難航する傾向があります。

そのため、後継者候補の選定は早い段階で行うほうが良いでしょう。
また、後継者が決まらずに事業承継ができないのであれば外部への承継という手段もあります。
事業承継は時間がかかるため、早めに着手し、必要に応じて専門家のサポートも検討するようにしましょう。

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