経営・ビジネス

2023/09/26

中小企業とは?中小企業基本法における定義や利用できる国の施策、今後の展望を解説

中小企業とは?中小企業基本法における定義や利用できる国の施策、今後の展望を解説

中小企業は、世間一般で使われる「中小企業」という言葉の意味の他に、法律でも範囲が定められています。中小企業の法的な定義を知っておくと、中小企業向けの国の施策を活用する際に便利です。

本記事では、中小企業基本法が定める「中小企業」の定義を解説します。中小企業の範囲を把握する際の注意点や中小企業基本法の概要、中小企業が活用できる施策も紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

中小企業とは?中小企業基本法での定義

中小企業とは、一般的に経営規模が中小規模の企業のことを指します。中小企業基本法では「中小企業者」として、「資本金の額又は出資の総額」「常時使用する従業員」を基準に下記のように定義されています。

業種分類中小企業者(下記のいずれかを満たすこと)
資本金の額又は出資の総額常時使用する従業員
製造業その他3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業5,000万円以下100人以下

表のように、業種により中小企業者の基準となる資本金の額や従業員の数には違いがあります。例えば、資本金が2億円で常時使用する従業員が200人の企業の場合、卸売業では中小企業者とは判定されません。一方、製造業であった場合は中小企業者と判定されます。

なお、中小企業者の定義はどちらか一方の基準を満たせば良いため、常時使用する従業員が100人在籍する小売業であっても、資本金が4,000万円の場合は中小企業者と判定されます。

小規模企業や個人事業主の定義とは?

中小企業基本法では、「小規模企業者」についても定義されています。内容は下記のとおりです。

業種分類常時使用する従業員
製造業その他20人以下
卸売業5人以下
小売業5人以下
サービス業5人以下

小規模企業者の定義は、資本金に関する定めがなく、常時使用する従業員で判定される点が特徴です。

なお、個人事業主の場合は常時雇用する従業員で判定されます。例えば、製造業を営む個人事業主の方の場合、常時使用する従業員が20人以下の場合は小規模企業者です。また、常時使用する従業員が300人以下の場合は、中小企業者と判定されます。

法律や制度により定義が異なる場合がある

中小企業基本法の定義は、国が実施するさまざまな中小企業政策の基準となる定義です。先述の定義を把握しておくと、中小企業者向けの補助金や助成金を利用する際に、自社が対象となるかの目安になります。

注意点は、中小企業基本法で定義される「中小企業者」はあくまで原則的な範囲を示したものであることです。法律や制度によっては「中小企業」の範囲に違いがあります。

例えば、法人税の軽減税率が受けられる「中小企業者(等)」の定義は下記のとおりです。

  • ・資本金1億円以下の普通法人(資本金5億円以上の法人の完全支配関係下にある法人は除く)
  • ・人格のない社団等
  • ・公益法人等
  • ・協同組合等

また、中小企業などを対象とした事業再構築補助金では、「中小企業者」を下記のように細分化して定義しています。

業種分類中小企業者(下記のいずれかを満たすこと)
資本金の額又は出資の総額常時使用する従業員
製造業・建設業・運輸業3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
サービス業(ソフトウェア業、情報処理サービス業、旅館業を除く)5,000万円以下100人以下
ゴム製品製造業(自動車又は航空機用タイヤ及びチューブ製造業並びに工業用ベルト製造業を除く)3億円以下900人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下
その他の業種(上記以外)3億円以下300人以下

中小企業向けの各施策を活用する際は、施策ごとの中小企業者の定義も確認しておきましょう。

「製造業」や「卸売業」を簡単に判断するには?

自社が法律上のどの業種に該当するか判断する際は、「日本標準産業分類」を参考にします。

例えば、農業や林業、漁業は「その他」に分類される業種です。また、店舗を構えてパンを製造し、その場で販売するパン屋を営む方は、「小売業」に区分されます。

日本標準産業分類は総務省の公式サイトで確認できます。その他、政府統計の総合窓口「e-Stat」ではキーワードでの検索が可能です。

中小企業と大企業との違い

大企業に明確な定義はありませんが、一般的に資本金や従業員数が多く、規模の大きい企業のことを「大企業」と呼んでいます。中小企業基本法の定義によれば、中小企業者以上の資本金や従業員数のある企業が大企業です。

なお、会社法では、資本金が5億円以上、あるいは負債総額200億円以上の株式会社のことを「大会社」としています。

中小企業と大企業の数

中小企業と大企業は、数が大きく異なります。中小企業庁において総務省と経済産業省が公表した「平成28年経済センサス-活動調査」を取りまとめた報告によると、2016年時点の大企業と中小企業・小規模事業者の合計は、358.9万社です。そのうち、中小企業・小規模事業者の総数は357.8万社で全体の99.7%を占めています。一方、大企業の総数は1万1,157社で、全体の0.3%にすぎません。

中小企業と大企業の特徴

大企業は規模が大きく、中小企業と比較すると世間的な評価においても、将来性や安定性のあるイメージをもたれやすい点が特徴です。従業員の給与や福利厚生の面でも、大企業は充実しているケースが多くなっています。

一方、中小企業は大企業のように稟議に時間がかかるケースが少なく、決裁が必要な仕事も比較的スピーディに進められる点が特徴です。大企業では仕事が細かく細分化されますが、中小企業では1人の従業員が担当する業務の幅が広く、裁量権も大きい傾向があります。

中小企業基本法とは

中小企業基本法は、国の中小企業政策の基本理念や基本方針を定めた法律です。以下、中小企業基本法の概要や中小企業が利用できる施策を解説します。

中小企業基本法の概要

中小企業基本法は1986年に制定された法律です。制定された当初は「大企業と中小企業との二重構造の問題に対応」「経済的・社会的制約による不利の是正」の2つの基本理念を柱としていました。1999年に中小企業基本法は抜本的に改正され、現在は「多様で活力ある中小企業の成長発展」を基本理念としています。

中小企業基本法の政策の柱は、「経営の革新及び創業の促進」「中小企業の経営基盤の強化」「経済的社会的環境の変化への適応の円滑化」の3つの基本方針です。さらに、「資金の供給の円滑化及び自己資本の充実」とあわせ、中小企業に関する予算の概算要求や予算に基づく施策が行われています。

中小企業が利用できる施策

国は、中小企業基本法の理念実現のため、多種多様な中小企業施策を実施しています。例えば、「技術力の強化支援」に関する施策を取り上げただけでも、下記のようにさまざまな施策があります(2023年度時点)。

  • ・ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
  • ・成長型中小企業等研究開発支援事業
  • ・IT導入補助金
  • ・SBIR 制度に基づく支援
  • ・中小企業技術基盤強化税制(研究開発税制)
  • ・省エネ関連設備等の導入に対する支援
  • ・CIP(技術研究組合)制度
  • ・公設試験研究機関(公設試)
  • ・グリーントランスフォーメーション関連融資事業

上記の施策は中小企業施策のほんの一例です。「技術力の強化支援」の他にも、下記のような支援があり、それぞれに複数の施策があります。

  • ・創業・ベンチャー支援
  • ・経営革新支援新たな事業展開支援
  • ・知的財産支援
  • ・再生支援
  • ・事業承継の支援

例えば、自社のDX化を図りたい企業は、IT活用促進資金やIT導入補助金、中小企業経営強化税制や中小企業共通EDIなどの活用が有効でしょう。

また、経営の効率化を図りたい場合には、新たな事業活動を支援する融資制度や、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、地域未来投資促進税制や販路開拓コーディネート事業などを活用するのも良いでしょう。

対象となるのは、冒頭で説明した「中小企業基本法で定義された中小企業者」のみです(一部範囲が異なるケースもあります)。自社の経営革新や事業展開を行いたい際に役立つ施策なので、条件にあてはまる場合は積極的に活用しましょう。

中小企業の今後

中小企業を取り巻く環境は日々変化しており、安定して経営していくためには、変化する状況への迅速な対応が欠かせません。以下では、中小企業の今後の課題を働き方改革やコロナの影響などの視点から解説します。

中小企業と働き方改革

近年、国は働き方改革を進めており、関連した法律の改正が随時実施されています。具体的には、毎年5日の年次有給休暇の消化、時間外労働の上限制限、同一労働同一賃金への対応などです。コンプライアンスの観点から、法改正には速やかに対応しなければなりません。

また、人材の確保や従業員の満足度・労働生産性向上を考えると、従業員の働く環境への配慮は今後より重要となるでしょう。

コロナ禍を経て

新型コロナウイルス感染症は、全国の中小企業に多大な影響を与えました。売り上げが大幅に減った企業もあり、財務改善は各企業の喫緊の課題です。本業の立て直しだけでなく、コロナ後のビジネス環境に対応し、新分野への進出や事業の転換を検討することも必要でしょう。

なお、コロナ禍で中小企業の財務面を支えた「ゼロゼロ融資」の返済が始まる中小企業も多く、民間金融機関への返済開始は2023年7月から2024年4月にピークを迎えます。ゼロゼロ融資を利用している中小企業では、債務の返済や借り換えなどの対策が求められます。

事業承継の動き

昨今、中小企業の経営者の高齢化により、事業承継の促進が課題となっています。中小企業庁は「事業承継5ヶ年計画をはじめ、さまざまな対策を実施してきました。

その成果もあってか、以前は65%あった後継者不在率は2022年に初めて60%を割り、57.2%を記録しています(帝国データバンク調べ)。ただし、50%以上の企業で後継者が不在の状況は変わりがないため、今後一層の事業承継の推進が求められています。

▷関連記事:事業承継とは?成功に向けたポイントや基礎知識を解説

まとめ

中小企業は、中小企業基本法では「中小企業者」として定義づけられ、業種ごとに資本金や従業員数の範囲が定められています。

中小企業者の定義を満たす企業は、国が行うさまざまな中小企業施策を活用できます(一部範囲が異なる場合があります)。中小企業施策は、自社のDX化や経営革新など多彩な事業に役立つため、積極的に活用すると良いでしょう。

なお、中小企業施策の一環として、多くの事業承継支援策も実施されています。経営者の高齢化は多くの中小企業が共有する課題ですので、事業承継に悩みを持つ方も多いでしょう。fundbookには、事業承継やM&Aの経験・知識豊かなアドバイザーが在籍しています。事業承継やM&Aでお困りの際は、ぜひfundbookまでご相談ください。

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