経営・ビジネス

2023/09/29

バリュードライバー分析で企業価値がわかる?勘定科目や効率的な分析方法を解説

バリュードライバー分析で企業価値がわかる?勘定科目や効率的な分析方法を解説

企業価値を向上するためには、バリュードライバー分析を考慮したアプローチが必要です。

本記事では、バリュードライバー分析に必要な指標や、効率的な分析方法を解説します。
正しい分析方法を知って、自社戦略に活かしましょう。

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バリュードライバー分析とは

バリュードライバー分析とは、バリュードライバーの考え方を基にした、企業価値や株価を向上させるためのアプローチのことです。

バリュードライバーとは企業価値に大きな影響を及ぼす要因のことで、以下のような指標が挙げられます。

・売上伸び率
・売上原価率
・売上高販管費率
・運転資本増減率
・設備投資率

企業価値は、時価総額・株価・決算書などさまざまな観点から計算式で数値化されます。
バリュードライバー分析では、この計算式を武器に企業価値を高めるアプローチを行います。

企業価値を算出するには、決算書の勘定科目が使用されます。
しかし、勘定科目のすべてが企業価値の算出に使用されているわけではありません。

勘定科目によっては、企業価値にほとんど影響を与えないものもあります。
一方、企業価値に影響を与える勘定科目のことを「バリュードライバー」と呼びます。

バリュードライバー分析に必要な4つの財務指標

ここでは、バリュードライバー分析に必要な4つの財務指標をまとめます。

収益性

企業の収益性は、いかに利益を上げているかを表すものです。
企業の収益性にはROA、ROE、ROICの3つの指標があります。

ROA
ROAは「Return on Assets」の略で、総資産利益率を指します。
総資産がどれだけ効率的に使われているかを見ることができ、ROAの値が高ければ高いほど収益力が高いです。ROAは企業全体の収益性を表す指標であり、計算式は以下の通りです。

ROA(%)=当期純利益額/総資産額×100

国内の上場企業におけるROAの平均値は5%程度であり、5%以上あれば優良企業、10%以上であれば超優良企業と言えるでしょう。ROAを向上させる手段は「利益を増加させる」あるいは「総資産を削減させる」が挙げられます。

ただし、業種によってROAが上がりにくいケースもあります。
例えば、製造業は資産額が大きくなるため、サービス業に比べるとROAは上がりにくいです。企業のROAを判断する場合は、同業種の他社と比較するのが良いでしょう。

ROE
ROEは「Return on Equity」の略で、自己資本利益率のことです。株主から集めた自己資本でどれくらいの利益を生み出しているか、どれだけ効率的に使われているかを見ます。ROEは株主に対しての利益率でもあり、株価に大きく影響を及ぼします。計算式は以下の通りです。

ROE(%)=当期純利益/自己資本×100

国内の上場企業におけるROEの平均値は8~10%で、ROEが10%以上で優良企業とされています。ROEを向上させる手段は「当期純利益を増加させる」あるいは「自己資本を削減する」ことがあげられます。ROEはROAと異なり、設備投資などの影響は受けにくく、業種が違っている場合でも判断基準として比較しやすいでしょう。

ROIC
ROICは「Return on Invested Capital」の略で、企業の収益性を見る指標であり、投下資本事業利益率のことです。事業活動に投下したすべての資本がどれくらいの利益を生んでいるのか、利益の割合を見る指標になります。計算式は以下の通りです。

ROIC(%)=NOPAT/投下資本 = 税引後営業利益÷(有利子負債+株主資本)

NOPATとは、税引後営業利益(Net Operating Profit After Taxes)のことで、法人税など税金が控除された営業利益を指します。
計算式は以下のようになります。

NOPAT(税引後営業利益)=営業利益×(1-実効税率)あるいはEBIT(1-実効税率)

EBIT(利払前・税引前利益)=経営利益+支払利息-受取利息

税引後営業利益は、金融費用を除く前の利益で、本業で稼ぐ力を純粋に表した数字と言えるでしょう。

また、投下資本の計算方法は以下の通りです。

投下資本=株式価値+債権者価値(有利子負債)

ROICを向上させる手段は「NOPATを増加させる」あるいは「投下資本を削減する」ことがあげられます。

効率性

企業の効率性は、企業が保有する資産で、どれだけ効率的に使用・運用して売上・利益を上げられたかどうかを表します。効率性には「総資産回転率」「有形固定資産回転率」「棚卸資産回転率・棚卸資産回転日数」があります。

総資産回転率
総資産回転率とは、企業の効率性を分析する総合的な評価指標のことです。総資産回転率が高いほど、資産が効率的に売上を生み出していると言えます。計算式は以下の通りです。

総資産回転率(%)=売上高/総資産

総資産回転率を向上させる手段は「売上高を伸ばす」あるいは「総資産を削減する」ことがあげられます。

有形固定資産回転率
有形固定資産回転率は、有形固定資産の活用度合いを測る指標で、企業の効率性を分析できます。企業が保有する有形資産から、どれだけ資産を生み出せたか?を図ることができ、有形資産の活用率とも言えるでしょう。有形固定資産回転率の計算式は、以下の通りです。

有形固定資産回転率(回)=売上高/有形固定資産総額

有形固定資産回転率を向上させる手段は「売上高を向上させる」「有形固定資産を削減する」ことがあげられます。なお、有形固定資産回転率の分析が適さないケースもあるので、注意しなければいけません。

・IT企業や人財企業のように「人」が資産となる会社
・所有しないスタンスで経営している会社

このようなケースでは、有形固定資産回転率の分析が適していないでしょう。

棚卸資産回転率・棚卸資産回転日数
棚卸資産回転率は、企業の効率性を分析し、棚卸資産が売上にどれほど反映されているかを見る指標のこと。また、棚卸資産回転日数は、棚卸資産が1回転するまでの期間を指標として表したもので、すべての商品を売るまでにかかった期間とも言えます。数値が低いほど、棚卸資産の循環がスムーズにできていると捉えられます。それぞれの計算式は以下の通りです。

棚卸資産回転率(回)=売上高/棚卸資産
棚卸資産回転日数(日)=棚卸資産/(売上高/365)

月数や年数を求める計算式は、以下の通りです。

棚卸資産回転月数(月)=棚卸資産/(売上高/12)
棚卸資産回転年数(年)=棚卸資産/(売上高/1)

棚卸資産回転率・棚卸資産回転日数を向上させる手段は「売上高を向上させる」「棚卸資産を削減する」ことがあげられます。

安全性

安全性は企業が安定しているかを見るものであり、高ければそれだけ倒産のリスクが低いということになります。安全性には、自己資本比率、D/Eレシオがあります。

自己資本比率
自己資本比率とは、企業の全体的・長期的な安全性を分析する指標であり、数値が高いほど企業の長期の安全性が高いです。計算式は以下の通りです。

自己資本比率(%)=自己資本/総資本×100

自己資本比率は30%以上で安定企業、50%以上が優良企業と言われています。自己資本比率を向上させる手段は「自己資本を向上させる」あるいは「総資本を削減する」ことがあげられます。

D/Eレシオ
D/Eレシオは「Debt Equity Ratio」の略で、負債資本比率とも言います。全体的な安全性を見る指標で、企業財務状況の健全性の分析が可能です。
計算式は以下の通りです。

D/Eレシオ(%)=有利子負債/自己資本×100

数値が低いほど安全性は高く、高いと負債が多すぎるとみられます。
一般的に理想とされるのは、100%以下です。
D/Eレシオを向上させる手段は「有利子負債を削減する」あるいは「自己資本を向上させる」ことがあげられます。

成長性

成長性は、過去から現在までの成長度合いを見るもので、売上高増加率・経営利益増加率・総資本増加率の3つがあります。それぞれの指標は、同じ計算式で求めることが可能です。

●の増加率=(当期の●ー前期の●)/ 前期の●×100
※●には「売上高」「経営利益」「総資本」が入る

成長性を上げるためには、当期の数字をいかに向上させるかがポイントになります。

効率のよいバリュードライバー分析方法

ここでは、効率のよいバリュードライバー分析の方法を解説します。

ROICツリーを活用する

ROICツリーとは、バリュードライバーを体系的にわかりやすく分析するのに有効なツールです。ROICツリーで分析すれば、体系的に重点ポイントを絞り込むことができるでしょう。

感応度を調査する

感応度とは、どのバリュードライバーがどれくらい変化すれば、企業価値がどの程度変化するかを把握する分析です。同じバリュードライバーでも、価値の変化が大きい項目を向上させた方が、企業価値は高まります。反対に、それを見誤ってしまうとバリュードライバーを改善しても、なかなか企業価値は上がりません。

他のバリュードライバーを一定にして、任意のバリュードライバーを1つずつ変化させて企業価値を算出し直すと、感応度がわかります。感応度を調査して、効率的に企業価値を高めていきましょう。

まとめ

本記事では、バリュードライバー分析について解説しました。
バリュードライバー分析には4つの財務指標があり、それぞれ企業価値に与える影響力は異なります。
効率的な分析方法を把握することで、企業価値向上につながるでしょう。

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