経営・ビジネス

2024/02/21

民事再生とは?会社更生・破産との違いや手続きの流れ、必要な費用を解説

民事再生とは?会社更生・破産との違いや手続きの流れ、必要な費用を解説

会社が財政的な危機に陥ったとき、民事再生は重要な選択肢です。法的整理手続には破産や特別清算などの選択肢もありますが、民事再生なら原則経営陣を変更することなく、事業再建を目指せます。

本記事では、民事再生の概要や会社更生・破産との違い、申立ての条件、種類や手法、メリット・デメリットを解説します。民事再生の注意点も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

\資料を無料公開中/
企業価値100億円の企業の条件とは
資料
・100億円程度の譲渡価額がついたM&A事例
・企業価値10億円と100億円の算出ロジックの違い
・業種ごとのEBITDA倍率の参考例
・企業価値100億円に到達するための条件

自社の成長を加速させたい方は是非ご一読ください!
1分で入力完了!

民事再生とは民事再生法に基づく事業再建型の手続き

民事再生とは、民事再生法に基づいて実施される事業再建型の裁判手続きです。

1999年に制定された民事再生法では、第1条で民事再生法の目的を以下と定めています。

第一条 
この法律は、経済的に窮境にある債務者について、その債権者の多数の同意を得、かつ、裁判所の認可を受けた再生計画を定めること等により、当該債務者とその債権者との間の民事上の権利関係を適切に調整し、もって当該債務者の事業又は経済生活の再生を図ることを目的とする。
出典:e-Gov法令検索「民事再生法」

上記のように、民事再生法は経済的に窮地にある者を対象とした手続きで、個人、法人を問いません。債権者などの利害関係者の同意のもと、裁判所の認可を受けた再生計画を遂行することで再建を図ります。

民事再生と個人再生・会社更生の違い

民事再生と似た手続きとして、「個人再生」と「会社更生」が挙げられます。

個人再生は民事再生の手続きの1つです。民事再生法第221条の規定にもとづき、「小規模個人再生手続」と「給与所得者等再生手続」の2種類があります。個人再生は、個人商店やサラリーマンなど一般の方が利用しやすいように、通常の民事再生より手続きが簡易化されている点が特徴です。

一方、会社更生は民事再生と同じく再建型整理手続に分類されますが、民事再生とは異なる手続きです。会社更生は会社更生法にもとづいており、対象となる企業やルールなどにいくつかの違いがあります。

会社更生法について詳しくは、下記の記事で紹介しています。

▷関連記事:「会社更生法とは?民事再生法との違いから手続きやメリット・デメリットまで解説」

民事再生と破産・特別清算の違い

民事再生や会社更生は「再建型整理手続」に分類される一方、破産や特別清算は「清算型整理手続」に分類されます。

破産は、支払い不能な状態に陥った個人や法人が、資産を清算して債権者へ分配することで債務を整理します。特別清算は、主に株式会社が解散する際に用いられ、会社の資産を清算して債権者へ分配することを目的としています。

事業を継続させて再建させる民事再生と異なり、破産や特別清算は倒産状態にある会社を解散させる場合に採用されます。また、破産や民事再生は適用対象が限定されていませんが、特別清算は株式会社のみに適用される場合が多いです。

民事再生申立の条件

民事再生申立の条件は、民事再生法第21条第1項で以下のように定められています。

第二十一条 
債務者に破産手続開始の原因となる事実の生ずるおそれがあるときは、債務者は、裁判所に対し、再生手続開始の申立てをすることができる。債務者が事業の継続に著しい支障を来すことなく弁済期にある債務を弁済することができないときも、同様とする。
出典:e-Gov法令検索「民事再生法」

上記から、以下の2つの場合に民事再生の申立てが可能であることがわかります。

1. 破産の原因となる事実の生ずるおそれがあるとき
2. 債務の弁済(支払い)が事業継続に著しい支障をきたすとき

破産の原因となる事実とは、企業が支払不能や債務超過などに陥った場合を指します。また、支払不能や債務超過まで至らなくても、債務を支払うために生産設備などの売却が必要で、債務弁済により事業の継続が難しい場合は、民事再生の申立てが可能です。

民事再生の種類

民事再生の方法は、主に以下の3つの種類に分けられます。

・自力で再生する(自力再建型)
・スポンサー支援を受ける(スポンサー型)
・事業譲渡をする(清算型)

各方法の詳細を解説します。

自力で再生する(自力再建型)

自力再建型は、事業の将来収益から債務を弁済し、自力で再建を図る方法です。民事再生の手続きにより債務を減額し、経営手法の選択肢の幅を広げることで事業の再現を目指します。第三者から関与を受けることがない点が大きな特徴です。

スポンサー支援を受ける(スポンサー型)

スポンサー型は、外部の企業や金融機関、ファンドなどのスポンサーの支援を受けて再建する方法です。スポンサーは公平性を担保するため、一般的に入札で選定されます。その他、スポンサーを事前に決定しておき、申立てと同時にスポンサーを公表するプレパッケージ型の方法もあります。

事業譲渡をする(清算型)

清算型は、事業譲渡などで事業の一部または全部を別の会社に移管し、元の会社は清算する方法です。民事再生法は裁判所の許可のもとで事業譲渡が可能で、事業譲渡による譲渡益が債務の弁済に充てられます。

▷関連記事:M&Aの事業譲渡とは?株式譲渡との違いやメリット・デメリットを徹底解説

民事再生の流れ

民事再生とは?会社更生・破産との違いや手続きの流れ、必要な費用を解説

民事再生の手続きは、以下の流れで進行します。

1. 再生手続開始の申立て
2. 保全処分・監督委員の選任
3. 再生手続開始決定
4. 財産の調査・債権の確定手続
5. 再生計画案の作成・提出
6. 債権者集会
7. 再生計画認可決定

はじめに、裁判所で再生手続開始の申立てを行います。再生手続開始が決定されるまでには一定の期間がかかることから、債権を守るために弁済禁止などの保全処分が出されます。監督委員とは、財産の処分や借入れなどを監督する委員です。通常、倒産手続きに精通した弁護士などが選定されます。

再生手続きの要件を満たし、棄却事由がないことが認められると、裁判所で再生手続きの開始が決定されます。申立人による財産の調査や債権確定の手続き、再生計画案の提出が行われ、債権者集会で再生計画案の決議が実施されたあと、裁判所で再生計画案が認可され、再生計画が遂行される流れです。

民事再生にかかる費用

民事再生にかかる主な費用は以下のとおりです。

・裁判所への予納金
・予納郵便切手
・申立手数料
・弁護士費用(着手金・報酬)
・借入金(予納金や弁護士費用が払えない場合に金融機関などから借入をする場合の利息など)

予納金とは、破産手続きを申し立てる際に裁判所へ納める手続き費用で、負債総額などを基準に決定されます。例えば東京地方裁判所では、予納金の基準額は以下のとおりです。

負債総額基準額
5,000万円未満200万円
5,000万円~1億円未満300万円
1億円~5億円未満400万円
5億円~10億円未満500万円
10億円~50億円未満600万円
50億円~100億円未満700万円
100億円~250億円未満900万円
250億円~500億円未満1,000万円
500億円~1,000億円未満1,200万円
1,000億円以上1,300万円

その他、弁護士に依頼した場合は着手金や報酬金などの弁護士費用が必要です。また、予納金や弁護士費用のために第三者から借り入れる場合は、監督委員のもとに借入れを行い、その利息も民事再生の費用となります。

民事再生のメリット・デメリット

法的倒産手続で民事再生を採用するメリットとデメリットを紹介します。

民事再生のメリット

民事再生の主なメリットは以下のとおりです。

・事業再建を目指せる
・経営陣を変えなくても良い場合がある
・債権者全員の同意が不要

民事再生は破産や特別清算とは違い、事業再建を目指せる点がメリットです。債務の一部減免や原則最大10年の弁済猶予を受け、債務を縮小した形で経営再建を図れます。

また、民事再生は原則として経営陣を変更する必要はありません。監督委員の監督は受けるものの、現経営陣のもとで再建を果たせます。

その他、民事再生の再生計画は、再生計画決議に出席した議決権者の過半数および議決権総額の過半数が認可要件です。債権者全員の同意が必要な任意整理に比べ、要件のハードルが低いメリットもあります。

民事再生のデメリット

民事再生の主なデメリットは以下のとおりです。

・企業の信頼が低下する
・費用がかかる
・担保権を行使される場合がある
・経営陣の変更を求められる場合がある

民事再生は法的整理手続の1つであり、民事再生の要件には経済的に窮地に陥ることが含まれます。そのため、民事再生手続きを開始すると企業の信頼が低下するリスクがあります。

また、民事再生では裁判所への予納金や弁護士費用などがかかる点もデメリットです。その他、担保権つき債権の行使がなされる可能性もあります。

民事再生の注意点

最後に、民事再生の注意点を以下の2つの視点から解説します。

・民事再生の棄却を回避する
・事前に再生計画や資金計画を立てる

民事再生の棄却を回避する

民事再生は、以下の事由に該当する場合は棄却されてしまうので注意しましょう。

第二十五条
次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
一 再生手続の費用の予納がないとき。
二 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
三 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
四 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。
出典:e-Gov法令検索「民事再生法」

棄却を回避するためには、事前に十分な準備を行う必要があります。

事前に再生計画や資金計画を立てる

民事再生では、再生計画が債権者会議で決議され、裁判所で認可される必要があります。そのため、債権者に配慮がなされており、かつ実現可能な再生計画や資金計画を立案することが重要です。場合によって、専門家の意見も取り入れながら計画をブラッシュアップしていく必要があります。

まとめ

民事再生は、財政的な危機に陥った会社が、債権の減免などを受けつつ再建する方法です。近年では、スポンサーの支援を受けながら民事再生法の手続きを活用するケースが増えています。

経営に行き詰った場合には、会社を売却するM&Aも選択肢の1つです。fundbookでは、優れた経験や専門性を備えたアドバイザーのもと、経営者の方に寄り添ったサポートを提供しています。M&Aに興味のある方は、ぜひfundbookまでご相談ください。

fundbookのサービスはこちら(自社の譲渡を希望の方向け)

fundbookのサービスはこちら(他社の譲受を希望の方向け)

    【無料ダウンロード】自社の企業価値を知りたい方へ

    企業価値100億円の条件

    企業価値100億円の条件 30の事例とロジック解説

    本資料では実際の事例や企業価値評価の手法をもとに「企業価値評価額100億円」の条件を紹介します。
    このような方におすすめです。

    自社の企業価値がいくらなのか知りたい
    ・企業価値の算出ロジックを正しく理解したい
    ・これからIPOやM&Aを検討するための参考にしたい

    は必須項目です。

    貴社名

    売上規模

    貴社サイトURLもしくは本社所在地をご入力ください

    お名前

    フリガナ

    役職

    自社の株式保有

    電話番号(ハイフンなし)

    メールアドレス

    自社を譲渡したい方まずはM&Aアドバイザーに無料相談

    相談料、着手金、企業価値算定無料、
    お気軽にお問い合わせください

    他社を譲受したい方まずはM&A案件情報を確認

    fundbookが厳選した
    優良譲渡M&A案件が検索できます

    M&A・事業承継のご相談は
    お電話でも受け付けております

    TEL 0120-880-880 受付時間 9:00~18:00(土日祝日を除く)
    M&A案件一覧を見る 譲渡に関するご相談