インタビュー

2026年10月1日

20年運営した学校法人に“新たな風”を。教育と医療のシナジーで未来に革新を起こす

2026年3月31日、承継成立

20年運営した学校法人に“新たな風”を。教育と医療のシナジーで未来に革新を起こす
  • 法人名
    学校法人新潟福祉医療学園
    設立
    1996年
    事業内容
    学校施設等運営
    URL
    https://www.hi-college.ac.jp
  • 法人名
    SAITO MEDICAL GROUP
    設立
    2020年
    事業内容
    病院、クリニック、介護施設等運営
    URL
    https://smgr.jp

新潟市で専門学校や付属の保育園を展開する学校法人新潟福祉医療学園は、医療・介護・福祉の世界で活躍する人財を創出する、県内屈指の教育機関です。教育に精通した井口明彦氏は、若くして理事長の大役を任され、看護学科の新設や経営改善など、法人の価値を高める多くの功績を成し遂げてきました。

理事長就任から20年を目前に、組織のさらなる活性化と発展に向けて法人の承継の道を模索し始めた井口氏は、全国の医療法人や企業とグループを形成するSAITO MEDICAL GROUPと、運命的な出会いを果たします。井口氏は代表の齋藤浩記氏のリーダーシップや経営手腕に魅了され、齋藤氏も新潟福祉医療学園の数ある長所や井口氏の教育に対する哲学に引き込まれたそう。初対面から“共働”したい思いを一つにした両者は、2026年3月末にSAITO MEDICAL GROUPの一員となり、日本の医療・介護・福祉の未来に貢献する取り組みを早速始めています。

両法人が承継に至るまでの背景や、新潟福祉医療学園とグループの目指す将来像を、両者に伺いました。

(※承継後、井口氏は理事に就任、齋藤氏は新潟福祉医療学園の理事長を兼任)

20年運営した学校法人に“新たな風”を。教育と医療のシナジーで未来に革新を起こす

20年運営した学校法人に“新たな風”を。教育と医療のシナジーで未来に革新を起こす

20代で理事長に。赤字経営から魅力ある法人へ進化させてきた

最初に、新潟福祉医療学園様の展開する学校・施設の特長や強みをお教えください。

井口氏:新潟福祉医療学園は、新潟市内で看護リハビリ新潟保健医療専門学校や日本こども福祉専門学校、ニフィスこども園などを展開している学校法人です。看護師や理学療法士、保育士、登録販売者、介護福祉士、社会福祉士といった、厚生労働省所管の資格に関する学校・施設を手堅く運営していることがまず一つの特長だと思います。

また、どの学校・施設も新潟駅からとても近い好立地で、学生や利用者が快適に通える環境を提供できていることも強みとなっています。

井口様のご経歴をお教えいただけますか?

井口氏:私は地元の新潟大学教育学部を卒業後、都内の大学院で2年間、社会学を研究しました。大学院修了後は地元に戻り、2005年4月、父が代表を務める学校事業等の企業グループであるエイシンカレッジに入職し、その中の一つである新潟福祉医療学園の運営に携わるようになりました。

当法人に入った直後から私は看護学科の立ち上げに尽力し、2年後の2007年4月に看護学科が無事開設され、翌月に理事長に就任しました。当時は専門学校の中でも看護学科が設置されていることの価値が非常に高く、新設する難易度も非常に高かったため、それだけ大きな仕事をさせてもらえたことは、私にとっても大変貴重な経験になったと思っています。

井口様はこれまで、どういったことを心掛けながら学校経営を続けてきましたか?

井口氏:看護学科新設以降の理事長経験の中で、私自身は誰かから何かを教わったことはほとんどなく、困ったら自分で考えて、そして周囲の方々からの助けを借りながらここまでやってきました。そんな私のモットーは、「学びの力で明るい未来をつくる」です。

これは、学生への教育を通じてその業界の明るい未来をつくるという意味と、自分自身に足りないことがあれば、“学び”によって解決しながら乗り越えようという、2つの意味があります。私もこれまで行き詰ったことは何度もありましたが、その都度勉強をして乗り越え続けてきました。当法人の教職員も、私のこのモットーをよく理解してくれています。

約20年間にわたって理事長を務めてこられた中で、大変だったことはありましたか?

井口氏:理事長を引き継いだ当初は自己資本がほぼなく、債務超過寸前の赤字の状態でした。金融機関から多額の借り入れをする際も、私個人が連帯保証を行うことでできたくらいの状況から始まったので、やはり自分の次の代には個人保証なく引き継げるようにしたいとずっと考えていました。

理事長就任時の私はまだ20代だったので、教職員はみんな年上で、彼らからは「ジュニア」とも呼ばれていました。しかし、それではなかなかうまく統率がとれないため、「私が理事長だ」と多少なりとも勢威を張って統制がとれるように働きかけ、不採算の学科の改善・整理などをしてきました。

そうして就任初期の課題を一つ一つ乗り越えた結果、2013年頃からは徐々に軌道に乗り始め、現在までに10億円を超える利益を積むことができました。

20年運営した学校法人に“新たな風”を。教育と医療のシナジーで未来に革新を起こす
学校法人新潟福祉医療学園 井口明彦氏

社会の根幹は“人”。教育機関は未来をつくる大事な業界

SAITO MEDICAL GROUP様の事業や、グループの強みをお教えください。

齋藤氏:SAITO MEDICAL GROUPは「医療を起点に、地域の未来をつくる。」をビジョンに、全国各地の病院、介護施設、企業などが仲間となって、グループシナジーで医療の質向上や地域の発展に貢献している組織です。

強みを一言で表すと、「医療・介護・福祉を切り口に、なんでもできるチーム力」です。私たちは「人が宝(=人財)」と考えているのですが、その考え通り、多様性が非常に高い「異能集団」とも言うべきグループで、全方向に対応できる組織力に自信を持っています。

全国にグループが拡大していますが、医療機関の経営戦略の一環として、齋藤様が承継に着目した理由をお聞かせいただけますか?

齋藤氏:理由はたくさんありますが、まず一つは「病床(ベッド数)」です。地域ごとに病床の配置や数が調整されており、各都道府県知事から病院開設許可を受けなければ病床数の多い病院は新規開設ができません。また、既存病床数が基準を満たしている地域では申請も受け付けていないため、「この町にこのくらいの病床の入院・入所施設を造りたい」と思ったところで新しく開設はできないのです。なので、地域医療に貢献するためには、今許可を受けている法人を承継したり、提携をする選択肢しかないのです。

クリニックなら新設はしやすいですが、私たちがなぜ病床にこだわるかというと、やはり入院・入所のできる施設がないと、医療・介護の質と量が限られてくるからです。例えば外来なら大きな手術ができませんし、私の医師としての専門である精神科であれば、ものすごく症状の重い患者さんは閉鎖病棟や集中治療室なども必要とします。

「医療・介護・福祉を、最高の所まで極めていく」と志すなら、今の日本の制度の中だとどうしてもクリニックだけでは難しい。だからベッドは必要だ――と。これが、承継に着目した一つ目の理由です。

病床数の観点のほかに、承継を進めている理由もお伺いできますか?

齋藤氏:グループの輪を大きくしていくと、人財の集まり方や組織全体の資本、力が強くなるので、それだけできることの範囲と規模が広がり、スピードも速くなっていきます。こうしたグループならではの力で、今の診療報酬制度の根幹にある「病気がないと成り立たない仕組み」を変えていきたいと考えています。

現状の診療報酬制度の上では、例えば、救急車を何台受け入れたのか、単価の大きな手術を何件行ったのか、などといったことが基準になっているのですが、本来であれば病気がないほうが当然いいわけです。できる限り健康で心豊かに人生を全うするのが理想であって、医学部の学生もそれを体現するために学びに励んでいます。しかし、実際現場に出ると、数をこなさないといけなくなってしまいます。

日本は保険証1枚である程度均一な医療がどこに行っても受けられるので、この仕組み自体はWHOからも世界最高の制度だと評価されています。ただ、診療報酬については、私は最低でも1点100円が適正価格だと思っていて、現状の安さにも課題を感じています。昨今の報道でも散見されるように、多くの医療機関が赤字で苦境に立たされているということは、仕組みが限界を迎えている証拠でもあります。せっかくの素晴らしい仕組みをどうやって持続させていくかと考えると、まず財源が必要なわけで、その財源を私は作りたいのです。

病気があろうがなかろうが成り立つ医療・介護・福祉の仕組みをまずは私たちで作り、全国のグループで展開して、将来の日本のモデルとして世の中に提示していきたい。そういう風に考えています。

今回は初めて学校法人の承継が実現しましたが、教育機関の承継はいつから希望していたのでしょうか?

齋藤氏:最初からずっと思っていました。グループが大きくなると色々な人が集まってきて、そこにまた新たな文化が生まれてきます。当グループは今こうして全国組織になって、ある程度規模が拡大したからこそ、学校とのシナジー効果が創出できる域に達しました。

先ほどお話した「日本発」の仕組みの実現も、当然人がやっていくわけですし、国や社会の根幹もやはり人です。なので、人を育てることは医療・介護・福祉にとっても社会全体にとっても非常に重要であって、教育・学術機関はまさに未来をつくる大事な業界なのです。

医療・介護・福祉も学校も、大切な社会資源であり、なくてはならない存在です。井口先生も仰った通り、学びによって明るい未来がつくられ、国や社会が形成されていくわけなので、医療・介護・福祉と教育で力を合わせていきたい願望は、かなり前から抱いていました。そのうえで、私たちと同じ方向を見ていて、なおかつ親和性が高く、シナジー効果が最大化できるお相手に出会えればと願い続けていました。

20年運営した学校法人に“新たな風”を。教育と医療のシナジーで未来に革新を起こす
SAITO MEDICAL GROUP 代表 齋藤浩記氏

初対面で「一緒に仕事がしたい」と直感。互いを深く尊敬できる感動の縁

新潟福祉医療学園様が承継を検討し始めた時期や背景をお聞かせください。

井口氏:私が理事長を引き継いだ当初はまだ経営が安定していなかったため、2009年にシンジケートローン(複数の金融機関が同一契約・同一条件で行う協調融資)で資金調達を行いました。その後、経営が改善したことで、2014年の借り換えの時には2行の銀行からそれぞれ単独融資を受ける形に変わり、徐々に私は「一方に完済する2024年12月か、もう一方に完済する2026年3月のいずれかが理事長交代のタイミングだ」と見据え始めるようになりました。

私は、組織自体が永続していくためには、やはり20年に一度くらいはリニューアルをして、さらに活性化させなければいけないと思っていたんです。私が理事長でいることでいい面もあるけれども、次の理事長が新しい風を吹き込むことで、また別のいいことが起きるのだろうなと。

そうしたことも視野に入れるようになったところでfundbookさんとの出会いがあり、当法人にとって一番いいお相手となるような経営手腕を持った方を、一緒に探してもらうことになりました。

井口様が承継先を探し始めてからSAITO MEDICAL GROUP様と出会うまでには、どういった経緯がありましたか?

井口氏:大きな福祉グループや、学校法人、スタートアップ企業などとお会いしてきましたが、方向性の違いなどで合意には至りませんでした。いくつかの法人との面談を経て、最終的にSAITO MEDICAL GROUPさんに出会えたわけですが、私としては初対面にして「ぜひ承継していただきたい」という思いになりました。

面談で齋藤様とお会いしたときの印象を詳しくお聞かせいただけますか?

井口氏:「経営者としての格が違う」と感じました。面談後に部下から「どんな方でしたか?」と聞かれたときに、率直にそう答えたほどです。リーダーとしての構想力、実行力、実現する力が全然違うなと。また、面談には齋藤さんを含めた4名がいらっしゃったのですが、チームの雰囲気を見て「この方々となら、一緒に仕事がしたい」と感じられたんです。そうした初回の面談の印象から、早速承継に向けて進めることになりました。

齋藤様は井口様と面談したときの印象はいかがでしたか?

齋藤氏:私は井口先生を「すごい理事長だ」と思いました。今、構想力や実行力を褒めてくださいましたが、私は「日本と世界を変えるぞ!」と、すごく大きな話をしているわけです。ただ、それを実現するためには具体的に土台から作り上げていかなければいけませんが、私はその部分の話をすることがあまり得意ではなく、これまではチームのみんなのおかげで全て形にしてこられました。

ですが、井口先生は緻密さを持ち合わせた実行力があって、一つ一つきっちり形にしていらっしゃいます。教育に対する哲学や思いを伺ってなお、本当にしっかりした方だとすごく感心させられました。私は大きな構想が先に立つタイプで、井口先生は先を見据えながら土台から積み上げていくタイプだからこそ、一緒に取り組むとものすごく面白いだろうし、将来大きな構想を打ち出したときも二人で“共働”すると、双方の力が合わさって実現スピードが2倍になるなと、期待が膨らみました。

初回の面談から、お互いに共鳴することばかりだったのですね。

齋藤氏:本当に素晴らしいご縁だと感動して、面談後の会食で目頭が熱くなったことを今でも覚えています。医療・介護・福祉の資格者を育てている学校とのシナジー効果という面だけではなく、井口先生の経歴や実績、人格や人柄までもが心を引き付け、私が描く将来の構想とビジョンに向けて、これから一緒に響き合っていけることが何より嬉しかったんです。

前々から教育機関の承継を望んでいましたし、地理的にも日本の真ん中にある新潟の学校ということで、お会いする前からいろんな期待をしていましたが、井口先生や学校・施設の方向性に共鳴して、まるでピースが全て合わさったような、道が開けたような、とにかく感動もひとしおでした。承継の面談でこんな思いになるなんて、そうそうないことです。

後々分かったことなのですが、井口先生が理事長に就任した時期と、当時大変な課題を抱えていた病院を私が承継して理事長に就任した時期が、全く同じ2007年5月だったんです。業界は違うけれども、その業界の抱えている問題解決や組織づくりに取り組んで、同じように苦労してきた者同士、感覚もすごく近いなと今でもずっと思っています。

井口様としては、SAITO MEDICAL GROUP様への承継を決定づける要因はどこにありましたか?

井口氏:初回の面談の時点では、「経営者としての格が違う」と思ったことが一番でした。その後、話を具体化していく中では、何か同じ問題を解決するときにも、当法人だけで取り組むより齋藤さんと一緒になることによって、お互いのシステムの掛け算で解決していけると実感できたことが大きかったです。

先ほど齋藤さんが仰った通り、私は今あるシステムややり方を磨いていく作業が得意なタイプなのですが、これからは自分たちで磨くだけでなく、外部の力を借りたりいろんなシステムを掛け合わせたりしながら、もっと学校法人の永続性を高めていける。それがお互いにWin-Winな状態で実現できるならば、これは間違いなくいい承継になると思いました。

20年運営した学校法人に“新たな風”を。教育と医療のシナジーで未来に革新を起こす

奨学金制度や新学科の開設も。日本と世界の人財を育てる学校へ

SAITO MEDICAL GROUP様へ承継した際の井口様のお気持ちはいかがでしたか?

井口氏:自分でもどういう気持ちになるのか、その時が来るまで分からなかったのですが、承継した時の気持ちは「よかったな」が半分、「寂しいな」が半分、そして「本当によかったのだろうか」という迷いもまだほんの少しだけありました。ですが、承継から約3カ月経った今は全く後悔なく、むしろ理事長から理事へと役職が変わった新しい環境の中で、私自身もリフレッシュしていろんな取り組みを次のステージへと推し進められています。

理事長だった20年間を振り返ると、やはり経営者という立場には大きな重責があったと思うんです。でも、こうして少し身軽になれると、新しいことをやり始めたり、今までできなかったことができたりして、今はチャンスがどんどん増えてきている状況です。

職員の皆様からは、SAITO MEDICAL GROUP様との承継についてどのような反応が寄せられましたか?

井口氏:承継の2週間ほど前の週末に、まずは役員へ理事長を交代する旨を伝えました。最初はみんな驚いていましたが、週明けに改めて感想を聞くと、「唐突だったので最初は理解が追いつかなかったが、だんだんと消化できてきた」といった反応がありました。

その日に全職員との会議があったので、最後に全員に向けてもお話をさせてもらいました。職員からすると、今後どうなっていくのか分からないことに対する不安は当然あったようですが、その都度コミュニケーションを取り、「理事長は交代しても、私はここに居続けるから」の言葉で安心や納得をしてもらえたと思います。そうして徐々に職員の理解も進んでいき、何の問題もなく、また職員のみんなも何ら変わることなく、承継の日を迎えられました。

齋藤様には、新潟福祉医療学園様で働いている職員の皆様の雰囲気はどのように映っていますか?

齋藤氏:井口先生が仰った通り、理念がちゃんと皆さんに浸透していらっしゃって、人の育成に対する価値観が井口先生ととても近いんです。それはつまり、学びや教育に対する感覚がSAITO MEDICAL GROUPとも近いということなので、やはり相性がいいなと思いました。

統制がしっかり効いている組織であって、なおかつ皆さんとてもまっすぐで、雰囲気も明るくて、だからこそ承継に際しても大きな動揺が起こらなかったのだと思います。理事長が私に交代したからといって、普段は井口先生が中心となって私の代わりに業務を遂行してくださる部分がたくさんありますし、これから悪くなる要素は一切ないわけですから、最初にあった不安や心配もすぐに解消していただけたのかなと思います。

SAITO MEDICAL GROUP様は初めて学校法人をグループに迎え入れるにあたって、何か準備したことや心掛けたことはありましたか?

齋藤氏:医療機関と教育機関では、運営においてもいろいろなところに違いがあります。なので、なるべく新潟福祉医療学園さんに足を運ぶ時間を大事にして、私や当グループの事務部長、看護の責任者などが頻繁に訪問させていただいては、実際に運営を体験しながら身に付けていくように心掛けていました。

今後の協業やお取り組みの構想についてもお聞かせください。

齋藤氏:全国の事務長が集まる集団研修会に、今度初めて井口先生にご参加いただくことになるので、そこで学校の紹介を交えて、学生の就職先や実習先での連携に向けてスタートを切りたいと考えています。

あとは、無償の奨学金制度です。卒業後に当グループ内で何年以上勤務してくれることを一つの条件に、卒業までの学費を全てサポートする奨学金制度を作ろうと、早速動き始めています。当グループとしても全職種の人財がいてくれる方がありがたいわけなので、将来活躍する学生を、グループを挙げて支えていきたいです。

もう一つ、今、当グループで人財確保のために全国の都市部で展開しているシェアオフィスを、新潟福祉医療学園さんにも活用していただけるようにしたいと思っています。経営管理や経理、営業事務などの管理部門の人財はどうしても都市部に集まりがちなので、都市部に事務所を設置することで採用がしやすい環境を整えています。学校法人単体では必要な人財がなかなか採用できないときにも、ここを拠点に様々な仕事をしてくれる人財が確保しやすくなると考えられます。このように、新しい動きが次々と始まりつつある状況です。

お二人は、新潟福祉医療学園様とグループの将来像をどう思い描いていますか?

齋藤氏:まずは医療・介護・福祉に必要な資格者をどんどん育て、そして、今ないものも新しく設置していくことが直近の将来像です。新潟福祉医療学園さんでは今、日本で医療・介護・福祉を学びたい人を世界中から集める一つの入り口となるべく、日本語学科の設置に向けて動いています。また、もう少し先には、日本から海外に留学する人のハブとなるべく、国際コースを設置したいと考えています。

日本の医学部に通うには、入学前も入学後も経済的な負担が大きいため、本当は医学部に行きたかった人が、学費や受験の問題で、看護師や理学療法士を目指すケースもあると思うんです。しかし、海外の医学部には学費がほぼかからない大学もあれば、教科書代や生活費も支援してくれる制度もあります。新潟福祉医療学園さんの国際コースで奨学金を受けながら、海外の医学部で学ぶという選択肢を、できるだけ早い段階で示せるようにしていきたいです。

「学問に国境はない。志と情熱さえあれば、世界中どこでも行ける。そのハブはここだ」と。日本の将来のためにも、日本と世界の人財を育てる姿を、新潟福祉医療学園さんの将来に思い描いています。

井口氏:何かの課題を解決するにも、私の中にある解決策だけだと、やはりある程度範囲が限られてしまいましたが、SAITO MEDICAL GROUPさんとグループになったことで、解決策の幅がものすごく大きくなったり、豊かになったりしていることはすでに実感しています。

例えば、「少子化の中での募集」という課題にアプローチするときも、これまでは自分自身で学んだり、学生の声を聞いたりしながら施策を講じてきましたが、これからはグループでのシステムの掛け算でより高度な解決方法も講じていけます。承継後すぐに話が進み始めた奨学金制度の充実化は特にそうで、私だけでは絶対にできないことでした。

なので、これから先への期待もすごく大きいです。グループの発展と、新潟福祉医療学園の発展の両方を叶えられる未来になっていけば、一番嬉しいことだと思っています。

20年運営した学校法人に“新たな風”を。教育と医療のシナジーで未来に革新を起こす

「幼虫⇒サナギ⇒成虫」になる変化が、承継の大きな意義だった

学校法人新潟福祉医療学園
理事 井口 明彦氏

これまで20年間理事長を務めてきて、私ができたことを例えるなら、「孵化した幼虫が大きくなるまで」の過程でした。やがて成虫になるにはサナギへと変態しなければならず、その変化が自分ではまだ起こせていなかったと思います。私一人や当法人だけでは絶対にできなかったことが、SAITO MEDICAL GROUPさんに承継していただいたのを機に実現へと向かい始めており、この変化こそが当法人にとって承継の大きな意義だったのだなと、改めて感じています。

学校経営をしている方の中には、ほかの法人との提携や承継を検討している方も少なからずいらっしゃると思いますが、なぜ提携・承継をするのか、理由や目的を大事に検討を進めていくべきと私は考えています。もしかすると誰かが犠牲になる可能性をはらんでいるなら、ベストな形の提携・承継にならないかもしれません。なので、お相手の見極めも当然重要です。

法人のため、社会のためなど、さまざまなことが高いレベルで調和のとれる提携・承継なら、結果的に法人の永続や発展につながる良い手段になっていくと思います。

20年運営した学校法人に“新たな風”を。教育と医療のシナジーで未来に革新を起こす

承継・提携で多様性と化学反応が起こり、世の中の発展に寄与していく

SAITO MEDICAL GROUP
代表 齋藤 浩記氏

創業からある程度組織として成り立っていくまでには時間がかかりますが、承継や提携の手段を活用すれば、時間や空間を短縮しながら規模を拡大していけます。ただそれだけでなく、違う文化が混ざり合うことで多様性が生まれ、未来を切り開く化学反応までもが起きてくるのです。こうして新しいものが生まれ、世の中の発展に寄与していく組み方こそが、良い承継・提携だと私は考えています。今回の新潟福祉医療学園さんの承継も、「課題山積の日本の教育を、ここから変えていこう」と互いに意気込んでおり、私たちなら間違いなくできると確信を持って前進しているところです。

事業承継や提携は、法人の永続・発展を念頭に置いた上での選択肢の一つとして考えることが大事です。苦しくなってから手放すような行き当たりばったりの承継のケースも見受けられますが、事業承継や提携の本当の価値はそこではありません。自分(経営者)が引退したらどうなるのか、後を継いで永続・発展させていける人はいるのかという視点を持っておかなければ、事業が消えてしまう危険性すらあります。事業承継や提携は、経営トップやオーナーだけで済む話ではなく、法人を永続させる選択肢として重要な意味を持っていることを、経営者の方にはよく噛みしめていただきたいです。

承継や提携を目指す際に大事なポイントは、早めに準備しておくことと、一番良いお相手を見極めること。そして、そんなお相手としっかりつなごうと、親身に寄り添ってくれる仲介会社を選ぶことだとお伝えしたいです。

20年運営した学校法人に“新たな風”を。教育と医療のシナジーで未来に革新を起こす

担当アドバイザー コメント

この度は、新潟市で看護師・理学療法士・保育士などの専門学校を運営する学校法人新潟福祉医療学園と医療機関・介護施設を全国で展開するSAITO MEDICAL GROUPの承継を支援させて頂きました。

学校法人新潟福祉医療学園 理事長の井口明彦氏は若くして理事長に就任され、当時苦しかった学校経営の立て直しを図り、看護学科の新設等によって教育体制の充実を図ってきました。就任から20年目を迎えようとしていた頃、少子化によって年々ハードルが高くなる学生募集への対策やより現場に近い視点を持ち合わせた教育体制の充実を図るため、学校として進化するきっかけを模索していました。

一方、SAITO MEDICAL GROUPは医療・介護・福祉を軸に関連事業が相互に支え合う「自給自足」の実現を掲げ、それぞれの事業の根幹になる「教育」への取り組みを従前から構想されていました。代表の齋藤浩記氏は「医療・介護・福祉分野において、最後は人が支える仕事であり、人が育たなければ業界は発展しない」と語っています。

初めて両者がお会いした日、双方が掲げるビジョンや互いの業界課題、その解決策に至るまで話が尽きなかったことを鮮明に覚えています。

そんな両者の根底には「人を育て、地域を支える」という想いが共通しています。だからこそ、課題が山積する業界へ新しい風を吹かせ、新潟から全国、そして世界で活躍する人材を輩出され、地球上の医療・介護・福祉がより良くなることを期待しています。

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