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東京大学在学中から起業家の道を歩み始めた楠侑真氏は、一度就職を経て、2023年4月に株式会社ライフハックを創業しました。競合の多いITコンサル業界で、ライフハックはお客様企業からの「信頼獲得」を重視した姿勢と働くメンバーのメンタルヘルスに力を入れた独自の経営スタイルにより、瞬く間に急成長を遂げました。
創業時から、M&Aは20代のうちの一つのゴールだったという楠氏。M&Aに向けた本格的な始動から1年半が経った2026年4月、システム開発やコンテンツ分野などで全国に拠点を広げるサン株式会社のグループへ仲間入りしました。M&A直後から、ライフハックではグループの発展の一翼を担う重要な事業が立ち上がり、楠氏もグループの次世代を築く活躍を見せています。
アントレプレナーの楠氏がなぜM&Aを目指し、サングループとの未来を選んだのか。そして、サングループ参画後に見出した自身のキャリアや目標とは――。ご本人にお話を伺いました。
楠氏:私は東京大学在学中に、最初の起業を経験しています。その1社目はコロナ禍の影響など色々な事情で譲渡することになり、卒業後は障がい者支援事業を行う会社に入社して、3年間営業職として勤務しました。その後、起業をリベンジする形で独立し、2023年4月に株式会社ライフハックを設立しました。
楠氏:大学に入学した後からです。起業とは縁もゆかりもない子ども時代を過ごしたので、高校を卒業するまでは起業する考えはありませんでした。大学に入学したのは2016年なのですが、当時はちょうど学生起業が流行り始めた頃で、周囲には学生をしながらウェブメディアを作ったり、SNSを活用したビジネスを始めたりして頑張っている人が一定数いて、「起業というものがあるのか」と知る最初のきっかけになりました。
そこから自分自身も起業をしてみたいと思い始めたのは、私の負けず嫌いな性格からでした。大学受験は自分なりに頑張って、目標としているところまで行けましたが、私の大学生活と、当時3、4年生で起業して大きな挑戦をされている方々を比べたときに、なんだか負けている気がして。「何が足りないんだ?」と、足りないものを渇望する大学1年生だったことを覚えています。
そうして起業へのモチベーションがすごく大きくなり、「何でもいいからとにかく自分の会社を立ち上げて、何か事業をやりたい」と考えるようになりました。最初こそ「何でもいいから」でしたが、今振り返ると、刺激が受けられる周りの環境にすごく恵まれていたなと思います。
楠氏:ライフハックはITコンサルの会社です。ITコンサル会社には、大手企業や大手から分社化した企業などもたくさんあるなか、当社はERP(統合基幹業務システム)パッケージ「SAP(エスエーピー)」の支援事業に特化していること、若手が多く活躍していることを特長に成長してきました。
世の中にある数多くのシステムに幅広く対応しているITコンサル会社は珍しくないですが、当社は経営資源がまだ潤沢ではないことや、若いメンバーが中心で同業他社のベテランほど経験豊富なわけではないため、一点集中でSAPの導入・運用・保守を手厚く支援しています。それがお客様から評価される強みとなりました。
また、当社には若手が多く、コンサル未経験者でも一人でプロジェクトに入っていけるよう、充実した教育制度で戦える人材を育てていることが特長です。若手の経験値は一見すると弱みにも思えますが、例えば「コストは抑えたいが、人は欲しい」「リモート勤務が増えてきているが、うちには常駐してほしい」といった案件にも、勢いのある若いメンバーなら小回りを利かせて対応ができます。若さを強みに生かせているところが、当社の良さだと思っています。
楠氏:学生時代に起業した会社の借入返済のために、とある会社でアルバイトをしていたのですが、そこにSAPの使用方法について調査に来られている方が、すごく仲良くしてくださったんです。そんな偶然の出会いから、SAPの存在を知りました。
やがて就職し、2社目(ライフハック)の起業を考え始めた頃に、再びSAPが頭をよぎりました。ただ、世間一般のITコンサルの印象だと、大手コンサルで活躍してきた方が独立するイメージが強かったですし、私もそう思っていたので、社会人経験が少ない中でBtoBの深い部分のシステム支援なんてできるのだろうかと、ハードルの高さはすごく感じていました。ですが、独立したい思いは強く、改めてこのSAPの分野で頑張ろうと奮起し、一から勉強して会社を設立しました。
SAPを知るきっかけとなった方とは今でも良いお付き合いをさせていただいていて、実は今、当社のメインのお取引先で部長を務められているんです。当時の出会いが起業や現在の事業にもつながっていて、本当に不思議な出会いだったと思います。

楠氏:SAPの改修・保守・バージョンアップといった業務は結構裏方に近い仕事で、見た目や使い心地が分かりやすく激変するわけでもないので、この部分だけを切り取ると、もしかするとやりがいを感じにくい業界なのかもしれません。そこに対して、私たちは「若手だからこその発想の転換」で、一人一人がやりがいを見つけられるように心掛けています。
私が特に意識しているのが、まず一つに、メンバー自身にキャリアや能力、成長の余地を見出してもらうことです。例えば、今まで経験のない案件に挑戦したり、一人でお客様とのやり取りができるようになったり、そうしたスキルアップで給与が上がったり――など、お客様企業にとって必要不可欠なITというツールを使うことで、各々の成長を感じてもらえればメンバーにとって有意義だと思いますし、私自身もやりがいを感じられます。
そしてもう一つ、ライフハックを創業したときに根本に置いたのが、メンタルヘルスの領域でした。私は過去に適応障害を患った時期があり、似たような人を生み出したくない思いや、そうなってしまった人をうまく社会復帰できるようにしたい思いを強く持っています。ディスアドバンテージを持っている人たちが、当社を通して活躍できるようなケースを作っていくと、自分にとってもそのメンバーにとってもやりがいになります。事業のやりがいとは直接関係ないかもしれませんが、そういったメンタルヘルスの領域で何かやりがいを見つけられないかと取り組んでいるところも、ライフハックの面白さになっています。
楠氏:どうすれば信頼を獲得できるのかと、この数年間は特に意識してきました。SAPの導入・運用・保守を支援する素晴らしい技術者は他社にも多くいる中、当社に発注していただくために大切なことは、「信頼獲得」の一言に尽きます。技術力やコンサルテーションなどのビジネススキルでいうと、大手企業には経験豊富な方がたくさんいらっしゃいます。それでも「ライフハックにお願いしたい」と思っていただける差別化ポイントこそが、信頼です。
具体的に言語化すると、お客様とのコミュニケーション密度を高めることや、細かなタスクまでしっかり完遂することはもちろん、若さが取り柄の当社ですので、他社が取りたがらない仕事も積極的に取りに行って、プロジェクト全体を見渡す目線で堅実に対応して納品すること。こういったことを常に心掛けています。
複数のステークホルダーが関わるプロジェクトだと、「これはうちの仕事ではない」と漏れてしまうタスクが発生しがちです。普通ならどこの会社も請けたがらない無理難題のようなタスクも、当社は率先して引き受けるようにしており、なおかつ今までに大きな失敗やご迷惑をおかけすることもなく進められてきたので、着実にお客様からの信頼につながったと思っています。
楠氏:これも「信頼獲得」につながる話なのですが、お客様企業の数を増やすより、1社1社へ深くコミットしていることが一つの秘訣になったと思います。一般的なビジネスの考え方では、売上を拡大するには「1件あたりの売値×顧客数」が基本ですが、顧客数を広げると、1社あたりへの貢献度合いが減ると私は考えているんです。そこのジレンマの中であらゆる企業が葛藤しながら戦っていると思いますが、ライフハックは一貫して、数の限られたお取引先様に対して、ものすごく手厚い支援を提供していることが特徴的だと言えます。
「100社契約しているうち、5社くらいは解約されてもいい」といったスタンスでは全くなく、一度お取引の始まったお客様にはとことん尽力していく。そういう戦い方を選んだからこそ、結果的にそのお客様からの依頼が増えていき、さらに深く入り込んでいけて、成長につながったのだと思います。

楠氏:会社を立ち上げるタイミングから、ゴールはM&Aでの譲渡で投資回収することを想定していました。実際にM&Aに向けて動き始めたのは、成約の1年半前あたりからです。まずはいろいろな仲介会社やファイナンシャルアドバイザーに、企業価値を高めるための相談をしたり、M&Aに関する情報収集をしたりすることからスタートしました。
実は、大手仲介会社に依頼はしていたのですが、なかなか良いご縁に巡り合えずにどうしようかと思っていたところ、知り合いからfundbookさんを紹介いただいたんです。ほかにも数社の仲介会社からお話がありましたが、担当アドバイザーさんの熱意が決め手となってfundbookさんに依頼することにしました。
仲介会社を何社も使って比較するのも作戦としてはあると思いますが、やはり当社を一番ちゃんと見てくれる組織や担当者にお願いすることが、最も良い結果に近づけるのだろうなと。今振り返ると、お客様企業の1社1社へ深くコミットしたい私の考えと通じるような気がして、当時のその判断はすごく良かったと思っています。
楠氏:かなり生きたと思っています。1社目は様々な事情で、思うような形での成約ができませんでした。ですが、今ではその経験が貴重な学びとなって、ライフハックのM&Aに向き合うことができました。
もし1社目の経験がなかったら、金額面ばかりに気を取られてしまって、譲渡後のライフハックでの自分の役目や、譲受企業と一緒に仕事をしていく未来があまり意識できなかったかもしれません。
楠氏:一番の希望は、従業員や当社に関わる全てのメンバーに不義理な行動がなく、真摯に向き合ってくださることでした。そこを見極めるためにもいろんな企業と会ってみたいと考えていたので、業界や業種、規模などでの希望は出さずに、複数の企業様とトップ面談を実施してきました。
M&A後の待遇についても確認したかったですし、あとは先ほどメンタルヘルスのお話をしたように、一部にはストレスに敏感なメンバーもいて、彼らも仕事で大いに活躍してくれています。もしM&A後に指示系統や仕事上の動き方が変わったりすると、彼らの不安を招いてしまう懸念があるので、そういった部分も尊重し合える関係性が続く企業との出会いを求めていました。
楠氏:そうですね。これも当社の特徴だと思いますが、ライフハックの正社員は全員、業務委託からスタートしています。副業から参画される方もいて、長い時間見た上で「一緒に仕事をしていけそうだ」とお互いに思えた方が正社員になっています。それに、業務委託の方もアルバイトの方も、それぞれの思いを持って手伝ってくれているので、なにも正社員だけが特別なのではなく、全員が同じ「仲間=メンバー」なんです。
加えて、お取引先様や協力会社などのビジネスパートナーでさえも、私はメンバーだと思っています。お取引先様に新卒入社した方がいれば、その方が今後のキャリアを歩んでいく上で、今をどう頑張れるのかは私にも責任があると思って気に掛けていますし、ほかにも海外の発注先企業や、一時的に一緒に仕事をするエンジニア志望の海外の学生さんまでも、私たちのメンバーだと本心から思っています。そうした気持ちがベースにあってこそ信頼関係が強固になっていくものです。
私たちにとっての「メンバー」の定義はとても広いですが、あまり枠組みにとらわれずに、関わる人を全員ビジネスの面でも幸せにしていこうという思いが、この言葉に含まれているような気がしています。

楠氏:企業によって、ビジネスとして正しいことをしている“正当性”や、正しさへの“寛容度”“柔軟性”はそれぞれ異なるので、完全に一致する人はいないと思いますが、各社とお会いして、どの程度合うか合わないかはやはりあるなと感じました。
サングループの松永社長とは、ウェブの面談も含めて5回以上対話を重ね、だんだんと考え方の共通する面が見えてきて安心感を抱くようになっていました。
楠氏:サングループさんとは、細かな条件や今後どうしていきたいかなど、かなりいろいろなお話をしてきました。その中で私が松永社長に対して思ったことは、経営する上で何かの選択や決断に迫られたとき、私と同じほうを選びそうな方だなと。例えるなら、赤と青のどちらかを選ばないといけないときに、私が赤を選ぶのだったら同じく赤を選ぶ人と一緒にやっていきたいと希望していたので、そこが「松永社長は一緒なんだ」と思ったんです。
それに、「なぜ会社をつくって経営しているのか」という考え方が、松永社長と私とで近いなとも感じました。例えば両者とも元から上場を目指していないところや、利益が出たときにどう配分し、還元するかなど、経営者の思想や個性が出る場面で感覚が似ているかもしれないと、面談を重ねていく中で感じました。
なので、サングループさんとなら一緒になっても大丈夫そうだなという安心感が十分得られたんです。今改めて、サングループさんとのM&Aを選んだことは、とてもいい決断ができたと思っています。
楠氏:側近の正社員2名には、M&Aに向けて動き始めたタイミングで伝えました。そこからの進捗は事細かに報告してはいなかったのですが、サングループさんと面談をしたあたりで、声がかかれば本格的にM&Aに向かうかもしれないと話していました。成約前にも1名は松永社長とお会いしています。
楠氏:私の想定では、反発されることも含めていろいろなことが起こるかもしれないと懸念していましたが、全くそういう事態は起きませんでした。というのも、M&A後に私がいなくなるかどうかがみんなの関心事として大きかったからだと思います。私はこれからもライフハックに残り続けますし、会社経営も実質的にはこれまで通り変わらないので、それがメンバーにもしっかり伝わっていて、みんなも応援してくれているスタンスでした。
会社を設立した当初から事あるごとに、M&Aでしっかりゴールをしたいという思いを伝えていたので、まるでトライアスロンの最終ゴールで待ってくれているような感覚で、「やっと一つのゴールですね」と見てくれていた印象です。
楠氏:安堵や達成感がものすごく大きかったです。成約した日が2026年4月22日で、約1カ月後には30歳になるタイミングだったのですが、実は私、21歳のときに一つの宣言をしていたんです。「20代のうちに経営者として一つのゴールをむかえる」と。
自分の中だけのルールではありますが、20代のうちに起業して、会社の価値を高めて、M&Aまでたどり着けなければ、それは負けを意味します。起業した1社目がうまくいかなかったときや、正社員として頑張っていたときも、自分に課したその目標をずっとずっと思い続けてきたので、M&Aが成約したときは「自分で決めた約束が守れた」と、そんな安堵や達成感の気持ちがこみ上げました。
成約までの間も、fundbookのアドバイザーさんが本当に頑張って対応してくれて、すごく大変だったと思いますが、私の思いや目標に最後まで寄り添ってもらえてありがたかったです。

楠氏:想像していたよりかなり働きやすく、率直に「いいな」と感じています。
グループでの新しい取り組みも、ものすごい勢いで始まっています。サングループさんは以前から、当社が参画することでAI事業を確立したいと仰っていて、成約後から早速取り掛かりました。ライフハック社の事業として、主軸のSAP導入支援に加えて新たにAI事業が立ち上がったところで、2026年夏頃には早くも売上が立ってくるだろう(取材時点)というスピードで進められています。
楠氏:例えば、経費精算等の業務効率化や、案件とエンジニアのマッチ度を測って営業アシストができるプロダクトなどを開発しています。大事なのはそれらをただ作るだけでなく、自社やグループの中でしっかり浸透させて皆さんに使ってもらい、意見をたくさん寄せてもらいながら改善を繰り返し、プロダクトの価値を向上・発揮していくことです。それこそが、このAI事業をビジネスとして確立させていく重要な要素になりそうだと今思っています。
サングループさんとしても、全体で数百人いるエンジニアのうち何割かを、今後AIエンジニアとして活躍できるようにしたい意向があるようです。
当社が開発したAIにより業務負担やコストが減った分を、エンジニアがAIについて学ぶ時間に変えられる。そして、スキルセットが高いAIエンジニアがグループ内で増えていけば、無理に採用を広げることもなく、より高度で単価の高い案件も獲得していける。そういう好循環の起点となる事業だと期待されています。
楠氏:正直なところ、以前は自社の新規事業にしたいという意識はあまり持っていませんでした。ですが、SAP事業においても結局のところ金額面も重視されるので、AIによる自動化で価格の手頃さを実現すれば差別化や強みとなります。なので、私たちにとってもAI自体は触る機会がよくある、比較的近い存在でした。
それに加えて、今や全ての企業が新しいことに挑戦していかないと間に合わない世の中になってしまっています。ライフハックも、設立から手掛けてきたSAP導入支援だけをずっと続けていけばいいのかというと、そうではないだろうという考えもありました。このタイミングを機に、自分たちの事業として一からAI事業を立ち上げられていることは嬉しくもあります。
楠氏:ライフハックにおいてはやはりAI事業が最もホットなトピックなので、直近ではグループのAIエンジニア育成に貢献していくことが目標です。そして、それが実現した数年先も見据えて、次はどういう形にビジネスを発展させていくかも模索していきたいと考えています。
グループの取り組みについては、松永社長のお言葉をお借りすると、将来的にグループ売上500億円を今の目標に掲げており、その達成に向けて、私も全力で頑張ろうという思いを強くしています。収益向上の手段は、M&Aでの売上拡大、バックオフィスの効率化による利益拡大、利益の再投資の3つが基本になります。サングループの進むべき方向をライフハックも支持し、一緒に目標達成へ向かっていきたいと思っています。
楠氏:そうだと嬉しいですね。頼ってくださることがすごく喜ばしく思えますし、新たなやりがいも感じています。
松永社長とは頻繁にお会いしては色々なお話をさせていただいているのですが、私の持ちかけた話をベースに、半期に一度開かれる管理者の総会の議題を作っていただくなど、かなり寛容度高く意見を受け入れていただいていると感じています。それに、松永社長ご本人にも、「次は私がサングループを率いる」くらいの意気込みで仕事に臨んでいることを伝えています。
グループのトップとこんな対話ができるなんて、ほかの企業だとなかったのかもしれません。良い関係性を築けていることがとてもありがたいですし、この関係性から相互作用が生み出せていると思うので、すごく気持ちよく働けているなと実感しています。
楠氏:私はこれまで会社を2社設立してきた経験から、自分はアントレプレナーの位置付けでキャリアを歩んでいくのだろうと考えていました。ですが今回、すごく良い参画ができたと思っています。そんな今の私の歩みは「ロールインキャリア」だなと。これは私が名付けた造語なのですが、譲渡先のグループの中で自らのキャリアを歩んでいく、そういう概念で働いていけることが、M&Aの一つの形としてすごく有意義だと思っています。
仮に起業してから100億円規模まで会社を成長させようとすると、長い時間がかかるかもしれませんし、難易度も高いものですが、ライフハックはサングループに参画するという機会を得られました。この機会を生かして、今までできなかったスケールで大胆に行動できていることが、私はすごく楽しいです。アントレプレナーを思い描いていた頃は思ってもみなかった道でしたが、選択肢になり得る生き方だなと今では心からそう思っています。

株式会社ライフハック
代表取締役社長 楠 侑真氏
M&Aは「印象」と「実際」にまだ少し隔たりがある気がしています。私が学生起業家だった頃の世代は、「上場して一旗揚げるぞ」という意欲を持って起業することが当たり前で、M&Aは上場できなかった諦めのような印象が結構強かったと思います。そういったフィロソフィーを否定するつもりは全くないですし、現に後輩の若い起業家の間でも「やっぱりIPOだ」といった話がされているのをよく耳にしています。
ただ、一方ではM&Aが手段としてだんだんと広く一般に受け入れられてきており、私もすごくいい手段だと理解していたので、設立時からM&Aを目指して企業価値を高めてきました。M&Aで次のステージへ向かい始めた今なら、「挑戦と成長の道はIPOだけでなく、もう一つ選択肢がある」と伝えられます。それに、実はM&Aのほうが生き方として向いていそうな経営者も一定数いるように思うので、ぜひ視野を広げて検討してほしいです。日本経済を活性化するという文脈においても、そういう思想が広がっていくといいのだろうなと思います。
起業家視点のM&Aのほか、後継者不足などの課題がきっかけでグループインするケースも、私はポジティブに捉えています。企業の新陳代謝が促されますし、いわゆる「古き良き企業」も、思い切った発想と行動でイノベーションをどんどん起こしていっていいと思うのです。私は、そういう価値あるM&Aを今後していきたいと思っています。

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担当アドバイザー コメント
楠様は、創業当初からM&Aを一つの目標として掲げ、企業価値を高めながら計画的に会社を成長させてこられました。一方で、今回のお相手探しにおいて最も大切にされていたのは、譲渡条件だけではなく、従業員の皆様や業務委託の方々、お取引先を含めた「メンバー」に誠実に向き合っていただける企業であることでした。
そのため、私自身も単に条件の良い企業をご紹介するのではなく、楠様の経営に対する考え方や今後実現したいことまで理解いただけるお相手を見つけることを意識してご支援いたしました。
複数の企業様との面談を重ねる中でサン株式会社様と出会い、両社の経営に対する価値観や今後の事業展開に対する考えが重なったことで、今回のご縁につながったと感じています。成約後すぐにAI事業という新たな取り組みが始まっていることは、今回のM&Aが「会社を譲渡するためのM&A」ではなく、「次の成長に進むためのM&A」であったことを象徴しているように思います。
楠様、そしてライフハックの皆様が、サングループの一員としてこれからさらに大きな挑戦をされていくことを、担当アドバイザーとしてとても楽しみにしております。