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株式会社アミューズ24は、本社を置く兵庫県神崎郡を中心に介護・障がい者支援事業などを展開。主力の介護事業にとどまらず、地域の皆様の困りごとを親身になって解決することをモットーに、地域になくてはならない企業として重宝されています。
家業を継いだ後に介護事業を立ち上げた2代目代表の安積進氏から、息子の安積希真氏が3代目代表を引き継ぎました。希真氏は長期的な視点でアミューズ24が発展していく手段を模索し始め、M&Aを真剣に検討することに。妥協せずにベストなお相手を探し続けた結果、出会った企業が介護保険事業者グループのJ.Canvasでした。他の企業と基本合意に至る直前で、J.Canvas代表取締役社長・武井裕樹氏から画期的な成長戦略と熱い思いの込められたオファーが届き、アミューズ24役員全員の心が決まったと言います。2026年7月、J.Canvasグループの株式会社在宅看護センター愛がアミューズ24を譲受する形でグループインし、新たな章が幕を開けました。
M&Aが成約するまでの経緯や今後の展望について、安積希真氏・進氏と、武井氏、在宅看護センター愛代表取締役・吉川比呂司氏にお話を伺いました。
(※M&A成約後、安積進氏は取締役室長から顧問に就任)
安積進氏:私たちの家業の元をたどると、私の父がプロパンガス販売事業を立ち上げたことに始まります。私は2代目を継いでガス屋を株式会社化し、従業員を雇用できる体制を整えて、利用者様の戸数を2.5倍に、売上も3~4倍へと成長させてきました。
そうしてガス屋の年商が1億円に達した頃に、「これからはサービス業だ。サービス業の真髄は、困ったことを解決することだ」と思い立ったんです。ガス会社から分社化する形で、電気・水道・ガス設備のトラブル解決や、お客様からの細かな依頼に24時間対応する会社の株式会社メンテナンス・ニジュウヨン(現株式会社アミューズ24)を設立しました。
安積進氏:1999年に分社化した当初から、「お宅の『こまった』解消業」を掲げる総合サービス業として、福祉分野にも力を入れていこうと考えていました。阪神淡路大震災後に兵庫県がベンチャー育成支援を開始した際に、県から株式の半数を出資してもらえる事業者として認められ、高所作業車と車椅子が搭載できる福祉車両を購入して、高齢者や障がい者の移動のお手伝いも始めたのです。
介護サービスというと、食事や入浴のお手伝いももちろん大事ですが、それよりも中山間地域では、車椅子の利用者が病院に行く手段がないことが一番の問題です。1台目の福祉車両を手に入れたのは、家族が仕事を休んで通院介助をしている方を見て、何とかしようという思いからでした。
そして2000年に介護保険制度が始まり、訪問介護や病院への送迎などから本格的に介護事業を拡大していくことになりました。
安積進氏:地域では当社の車が病院に姿を見せない日はないと言われるほどの勢いで拡大したので、すごく求められていた事業だったと思います。株主である県からは上場を見据えた多店舗展開を提案されましたが、私は雇用の促進こそが地域に根ざす企業の価値だと考え、地元での企業活動に専念してきました。その結果、従業員数は最大160名の規模にまでなりました。
広域での多店舗展開こそしてこなかったですが、全国に発信できる事業ができるようになった喜びは感じています。
安積進氏:とにかくお困りごとに対する依頼を断らないことです。思い出に残っているのが、設立当初に「引き出しが開かないから開けてほしい」と依頼が来たときのこと。当社の担当者が駆けつけると、引き出しはすぐに開いてしまったにもかかわらず、4000円のお代をいただいてしまったんです。私は申し訳なく思い、「4000円は返して、代わりに年間1995円の会員(当時の会員制度)になってもらって、お釣りの“5円=ご縁”を渡してきな」と担当者を再度送りました。すると、そのお客様の奥様が小学校の校長先生で、後から聞いた奥様が感心してくださり、小学校から何十回も仕事をいただけるようになったのです。
お困りごとに親身に対応する姿勢は、介護事業が中心となった今も活きていると思います。例えば、旅行中の方や高齢者の飼い犬の散歩の依頼は昔も今も多いのですが、当社登録のヘルパーが率先して引き受けてくれるんです。ヘルパーも「色々なことができて楽しい」と言ってくれています。

安積希真氏:私は子どもの頃からガス屋の社長の息子と自覚して育ってきました。田舎の家の長男ですから、いつか自分も家業を手伝わないといけないのかなと、内心では思い続けてきました。ところが、高校生になった頃から当社がラジオで取り上げられたり、高齢者や障がい者向けの施設が建つという話を聞いたりし始め、どうやら介護・福祉の会社に変わっているようだと、学生ながらに感じつつありました。
大学卒業後は社会勉強のため、人材サービスの会社で5年ほど勤め、その間に結婚もしました。いつか家業を継ぐためには、仕事にも慣れて従業員の皆さんとの関係性も作らなければいけないので、どのタイミングで地元に戻ろうかと考えていた時、ちょうど当社の施設の2号店が地元に建つことになったんです。満を持して「そろそろ手伝わせてください」と願い出て、27歳でアミューズ24に入社しました。
安積希真氏:「社長の息子、業界未経験なのに2号店の施設長として帰って来る」ということで、最初はなかなかうまくいかず、もう本当に毎日が勉強でした。自分では準備をしてきたつもりでしたし、もしかすると周囲から戻ってくることを望まれた上で手伝えるのかと思っていたら、案外逆だったなと。ただ、当時はつらさより面白味のほうが勝っていました。

安積進氏:後を継いでくれたことは想定外でした。私自身は幼い頃から夢見ていた仕事がありながらも、「田舎の家の長男に生まれたのに、親の仕事を継がないと親不孝になる」と言われて、当時は渋々ガス屋を継いだんです。ただ、親の立場としてこれはいかがなものかとずっと思っていました。なので、自分の息子には継いでほしいと絶対に言わないと固く心に決めていました。
それなのに、自らの意思で戻ってきてくれたことは、やはり嬉しかったです。特に2号店は高齢者住宅で泊まりの施設なので、信頼できる身内がいるとそれはもう心強かったです。ましてや社長(希真氏)の奥さんが看護師をしていることも、この上なく頼もしく思いました。
安積進氏:当社の経営理念の一つにも掲げている「社会貢献の先導的役割を果たす」ことです。必要なのに今ない事業や、他社から見習われるような事業をするという意味で、実際に私は日本ではほぼないことばかり手掛けてきました。それが儲かるか儲からないかは別にして、やる意義があることはやる――これを信条にしています。
安積希真氏:私はそのような先代が作ってくれたビジネスモデルや事業、施設を2023年4月に承継して代表に就任しました。代表という立場上、私を認めてくれた仲間や一緒に汗をかいてきた仲間の上に立つわけですから、「アミューズ24に勤めてよかった」と思ってもらえる経営を心掛けてきました。
終身雇用が一般的だった時代は雇う側のパワーバランスが強かったと思いますが、今はどこも人手不足に悩んでいますし、特に私たちのビジネスは働いてくださる人がいないと成り立ちません。これから先は従業員の皆さんが主役の時代が来るので、「一緒に汗をかいてきた社長だから、利用者さんや自分たちのことを『分かってくれる』『寄り添ってくれる』『叶えてくれる』」という姿勢を前面に押し出さないと、おそらく兵庫県の郊外で生き残っていくのは難しいと思っています。
発想やアイデアでは先代に及ばないかもしれませんが、逆に言えば、今心掛けている姿勢こそが自分の存在意義や求められる役割だろうなと、今日までの3年間はそういうことを意識してきました。
武井氏:私も安積社長親子のように、実母から介護保険事業の株式会社武上を2015年に引き継いだ経験があります。武上は千葉の2事業所と、先代のルーツがある沖縄の1事業所に拠点が広がっているのですが、それまでの会社の文脈や流れを尊重しながらも、制度ビジネスはこの先ますます厳しくなるに違いないという懸念を持っていたのです。
そんな中、2017年頃からM&A仲介会社について知り、M&Aで法人を譲り受けるという手段に着目し始めたことが、後にJ.Canvasを設立する原点となりました。
武井氏:コロナ禍に入り世間が混乱と停滞のさなか、事業と生活を絶やしてはならないとの使命のもと、私は逆にこういう時こそ攻めていくチャンスだと考えたのです。武上を成長させた経験を糧に、千葉・沖縄だけでなく日本全国へ視野を広げれば、何かできることがあるんじゃないだろうかと。その考えと、少し前から注目していたM&A仲介会社の情報などが紐づいて、本格的にM&Aによる譲受の歩みを始めました。
ただ、最初からうまくいったわけではなく、1社目にトップ面談をした会社は、譲受に至る寸前で破談に。譲渡は企業にとっての一大決心なので、譲受する側の私も入念に準備して臨んだのですが、やはりM&Aは最後の最後までどうなるか本当に分からないものだと、最初に良い経験ができたと思っています。
当初からグループの事業を多角化していく戦略で覚悟を決めていたので、1社目の破談から間もなくして認知症のグループホームと面談し、初めての譲受が実現しました。今はアミューズ24さんも含めて、約20社までグループが拡大しています。

武井氏:J.Canvasの存在意義は、持続可能な将来を作っていくことであり、そのために譲受した各社には競争優位性を十分に発揮してほしいと考えています。J.Canvasには、理念やパーパスをしっかり持った法人が集まっているので、J.Canvas自体はあくまでも引き立て役です。社名に「キャンバス」とある通り、ご縁を持たせていただいた全国の法人が未来を描いてもらえるように、私たちは黒子となって成長に向けて伴走し、競争優位性を高めていただけるよう努めています。
私たちは、各M&Aでつながったグループ20数社が、法人同士で支え合いの関係性を作っているところに一つの大きな強みがあります。互いに手を取り合いながら成長の道を走り出していることで、J.Canvasが各社の競争優位性を生み出すプラットフォームへと、さらなる強化が進んでいます。
吉川氏:当社は2026年2月にグループインしたのですが、武井社長と初めてお会いしたのは2024年の秋にさかのぼります。当時の親会社は冠婚葬祭業者で、私はそこの役員を務めつつ、子会社の在宅看護センター愛の社長も兼任していました。そのため、介護業界でうまくやっていく方法も分からず、グループホームの運営も不調で、武井社長に「私にはできないから、引き取ってください」と相談を持ちかけていたんです。そこから始まったご縁で、武井社長にノウハウを教えてもらいながらやれることから手を尽くし、改善を図っていきました。
ところが翌年の4月に、親会社が本業に専念するためついに介護事業から撤退することになり、当社を閉業するという話も浮上したのです。ただ、私は利用者さんや職員のことを思ってもそれは困ると思い、無理を承知で武井社長に譲受してほしい旨を話したら、快く受けてくださったんです。
閉業の話が出た時には、グループホームの職員の離職や空室が連続して起きるなど苦境に立たされましたが、その間にも武井社長から色々と教えていただきながらなんとか持ちこたえることができ、無事にJ.Canvasグループへ参画できました。
吉川氏:今期(2027年3月期)に入ってからは、おかげさまで既存の事業所はかなり安定してきましたし、加えて、デイサービス事業では私の知り合いから当社で事業を引き受けてほしいとの依頼を受け、その事業所も順調に運営できている状況です。
グループインする前は自分たちだけでやっていこうと思っていたのですが、やはり単独ではどうしても厳しいという考えもありました。今は全国各地の看護の会社やグループホーム運営会社とつないでいただき、さらにはアミューズ24さんのように当社の子会社という形で仲間入りしてくださる事業者もいて、たくさんの仲間と色々な取り組みができることに喜びを感じています。また、仲間の輪の広がりとともに、職員の可能性や活躍の場も確実に広がっており、まさにJ.Canvasさんのキャンバスで絵を描かせてもらっているなと感じます。
私や当社を信じて入社してくれた職員が、良い人生を歩んでいける舞台をつくりたかったので、グループインしてよかったと思っています。

安積希真氏:2025年の夏頃、私は「あと5年は事業をやっていける。私たちは大丈夫だ」と言えていました。ただ、10年先になった時には、表では前向きな素振りができても、心の底では「本当に大丈夫か?」と不安になっていそうな自分もいたのです。昨今の感染症対策など、現場もやむを得ない様々な事情を抱えていたこともあり、単月ではともすれば資金繰りが危ぶまれるような売上状況になることもありました。過去には会社が苦しいときに、父や母が身銭を切ってカバーしている姿を見てきて、「私もそれくらいの気概で頑張るぞ」という思いはあるものの、果たして自分に同じようなことができる財力や経営力はあるのだろうかと、不安も覚えていました。
それともう一つの背景があります。2010年代の当社はすごく勢いがあったので、金融機関などから譲受側でのM&Aの提案が何件か来ていたのですが、提案された企業の多くが「なんでこれほど経営が悪化するまで放置していたんだ」という状況だったんです。施設の利用者がどんどん離れていき、従業員も知らない間に経営危機になっていたような企業を見てきて、これは経営者として絶対やってはいけないことだと当時から痛切に感じていました。
こうした背景があって、もしかすると3代目の自分にしかチャレンジできない手段があるのではないかと思い、2025年夏からすぐ、M&Aやフランチャイズ契約など色々なセミナーに参加して、成長に向けた情報を収集するようになりました。
安積希真氏:あるセミナーで、大手資本と提携した企業から「従業員も生き生きと変化して、グループインしてよかった」という話を聞いたんです。もしかすると、私が小さなプライドを捨てて、オーナー企業や自分一人でやっていく道じゃない方向を真剣に考えたら、お客様も従業員も、より大きなステージで頑張れる道が開けるのではないかと思い始めました。
そして2026年になってすぐ、役員である親兄弟に「M&Aという方法もあるかもしれないから、真剣に相手企業との出会いを検討してもいいか」と許可を得て、M&Aへといよいよ動き出しました。
安積希真氏:以前から色々な仲介会社からFAXやDMが届いていたので、動き出しは早かったのですが、いざ始動してみると、私の心底にある願いや悩みに寄り添ってくれる会社はあるのだろうかと、疑問に思うこともありました。というのも、他の仲介会社では候補企業との面談後に返事を急かされたりしまして。私自身も「当社を相手にしてくださる企業はないかもしれないから、急がないと」と視野が狭くなっていたこともあって、他の仲介会社経由で初めて面談を行った候補企業が、瞬間的にすごく素敵に見えてしまったりもしました。
ただ、複数の候補企業とお会いしてよくよく見ていくと、上場を目指すための規模拡大の手段に当社がなるだけだったり、資金は潤沢で良さそうでも「赤字にさえならないように頑張ってもらえれば、何も干渉しませんから」というスタンスだったりして、根本的な悩みが解決しそうにない提案が続いていたんです。
そうこうしているうちに、他の仲介会社経由で1社から意向表明をいただいたのですが、私は最後の最後までベストなお相手に出会う可能性を探りたいと思っていました。そのときにfundbookのアドバイザーさんと出会ったんです。アドバイザーさんが「セカンドオピニオンでも何でも聞いてください」と言ってくれたことに信頼感を覚え、どうせお世話になるのならこういう仲介会社や担当者がいいなと。正式にfundbookさんに仲介を依頼したところ、J.Canvasさんを紹介してくれました。

安積希真氏:当社からは私と父、そして常務を務める母と、役員を務める義理の弟2人の、計5人が出席しました。
武井氏:こちらは面談の場には私が伺いましたが、オンラインで吉川社長にも出席していただきました。さらに、在宅看護センター愛さんと同じく2月にグループインした函館の会社の社長と、グループのバックオフィス機能を担う札幌の拠点の部長にも参加してもらいました。
安積希真氏:武井社長から「ビジョンやパーパスは何ですか?」など、私たちの考え方について問われて、そんなお相手は初めてだったので最初はびっくりしました。過去に経験した面談では、目先の条件や表面的な確認が多い場という印象だったので、考え方や思いを深掘りしてくださることに不思議な感覚がありました。
面談を通して、先代から続く当社の歴史や考えにすごく敬意を払ってくださっていることがよく伝わってきました。それに何よりも、これから先を見てどう付き合ってくださるのか、当社とどんなシナジーを考えているのか、そういったことを示してくださった企業はJ.Canvasさんだけだったんです。それで、J.CanvasさんとのM&Aを前向きに考えたいと思うようになりました。
安積進氏:私は基本的に社長(希真氏)の判断に従うという方針でM&Aに向き合っていたのですが、例えば当社が上場のための材料にされるだとか、「言うことだけ聞いてください」といったスタンスの会社とは、M&Aをすべきではないと思っていました。
また、当社は私と社長(希真氏)の間で事業承継を終えて、今の世代が始まっている会社なので、後継者不在でM&Aを目指すケースとはシナジーの求め方や考え方が違うはずです。武井社長の「プラットフォーム」という言い方が最初はイメージできなかったのですが、お話を聞いていくうちに「そこに当社も一緒に乗れば、さらに発展していける。役員も従業員もさらに活躍できる」と想像でき、J.Canvasさんとの相性は良いのだろうなと思いました。
武井氏:安積顧問(進氏)がおっしゃった通り、J.Canvasにとってもアミューズ24さんが顧問(進氏)から社長(希真氏)へ代替わりをされていることが、とても大事な要素だったと思います。約20回の譲受の経験を遡ってみると、親から子へと親族内承継をしていた法人は武上とアミューズ24さんだけでした。「親から子へ」はイメージしやすいですが、かなりハードルが高いのが今の日本の実態です。
アミューズ24さんがなぜ親子間の親族内承継ができているのか、お話を聞けば聞くほどよく分かりました。それは、ステークホルダーに対する視座や、事業をする上での理念を安積顧問(進氏)がしっかり持ってきたからこそ、その思いやストーリーが安積社長(希真氏)や従業員の皆さんに伝わって、今のアミューズ24さんが形作られているのだなと。
「アミューズ24さんのような企業と刺激し合える関係性が構築できれば、J.Canvasにとっての学びも多そうだ」と今後の構想まで広がったような、対話を重ねるほどJ.Canvasの事業戦略の解像度も上がっていった面談でした。
吉川氏:私は、アミューズ24さんは特に光るものがあると感じました。安積顧問(進氏)の代からの歴史がしっかりある上で安積社長(希真氏)に承継されていますし、今の経営陣も若いので、成長の余地がすごく大きそうだと思いました。もしアミューズ24さんと一緒のグループになれば、相乗効果で互いに勇気づけながら成長できそうな、そんな印象を持ちました。
武井氏:PMVV(パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー)経営(企業の存在意義や目指す方向性を明確にし、日々の意思決定や社員の行動に落とし込んでいく経営手法)がしっかりできている法人は、成長する可能性がものすごくあると私は考えているからです。
当初を振り返ると、譲受した法人に私の知見から一方的にソリューションを提供していたと感じるのですが、譲受・譲渡の経験を重ねるうちに、こうしたソリューションの提供の仕方は間違っていると思い始めました。なぜなら、「こうすればうまくいく」という解が当てはまったとしても、それは運が良かっただけで、その法人の中長期的な文化になるものではないからです。ただ単に与えられた解を作業的にこなすだけでは、結局その法人自体の力は身につきません。
特に最近ではAIを駆使する動きが進んでいます。巷では「AI=業務効率を高める手段」と捉えられることが多いのですが、一番は「AI=人の可能性を引き出すツール」だと思うのです。ある人の得意とする分野をもっと先のレベルへと後押しし、片や苦手な分野は補助をする。そんなツールがある時代はなおさら、パーパスを持って経営している法人に成長のチャンスが広がっているのだろうなと。
アミューズ24さんは面談中の対話からデューディリジェンスの過程においても、PMVV経営がきちんとなされていることや、思考力を醸成・育成する力を持たれていることがすごく伝わり、そこに何よりも大きな魅力を感じました。

安積希真氏:他社から意向表明(譲受企業から譲渡企業へ、譲受の意思や条件を提示すること)を出してもらっているさなかでJ.Canvasさんと面談をして、気持ちはJ.Canvasさんに向かってはいました。ただ、そうはいっても毎月のやりくりに大変さを感じつつもあったので、私や経理担当である義弟の間では「いつまでに決めないと、M&Aのチャンスを逃すかもしれない」というリミットが迫る感覚がありました。
この時、J.Canvasさんとは面談を終えたばかりなので、まだ意向表明は出されていません。切迫感から、私はとある金曜日に「明日、他の仲介会社と連絡がついたら、一旦は基本合意(譲受企業と譲渡企業が、M&Aの条件や方向性について合意すること)を締結して相手企業を深く見させてくださいと言おう」と決めて、その旨をすぐfundbookのアドバイザーさんにお詫びとともにお伝えしたんです。ところが、その仲介会社とは土日とも連絡が行き違いになってばかりで、話が進められなくて。
月曜日の朝に出社してメールチェックをしていると、fundbookのアドバイザーさんから「J.Canvasさんの条件を提示させてください」と、非常に想いのこもった意向表明が送られてきていたのです。すぐさま役員を集めて内容を共有すると、役員一同が「それだったら、J.Canvasさんだろう」と。
当初お願いしようとしていた他社のほうにはお断りを入れて、J.CanvasさんとのM&Aを進めていく運びになりました。
安積希真氏:私は、事業を残していくことと、今のお客様や従業員の皆を変わらず大事にしてくれることを絶対条件に考えていたため、武井社長にも「事業を残したい」と繰り返しお伝えしていました。J.Canvasさんの意向表明には「15年計画」と銘打って、アミューズ24のV字回復とさらなる成長を実現させるための伸びしろと課題、グループのシナジーが示されており、寄り添ってくださる深い思いも込められていたのです。
ほかにも、できれば社名を変えたくないことや、私たち役員もまだまだここで働きたいとの希望も、面談では伝えさせていただいていました。ただ、M&Aについて勉強していく中で、私は経営者ではなく一従業員としての雇用契約になっても仕方がないという覚悟もしていたのですが、J.Canvasさんは「引き続き代表取締役を務めてほしい」と言ってくださったんです。そう言われたのはJ.Canvasさんだけでした。
武井氏:法人の歴史を尊重するうえでは、役員に依存している部分は大きいので、役員の皆様には引き続き会社を率いていただいて、これまでの良さを残していくM&Aができればいいのだろうと思っていました。逆に言うと、役員の皆様が残らずして、アミューズ24さんのステークホルダーの皆様のオーダーにどう応えていけるのか、安積家を補助の立場に置いてどう事業発展していけるのか、私には想像ができません。
私はトップ面談やデューディリジェンスを通して、その法人の歴史、データ、思考などを学ばせていただきながら、どういう戦略がベストだろうかと常に考えています。アミューズ24さんはやはり、安積家の皆様の価値観や能力を最大化することが最善の戦略だと思ったので、その考えを意向表明にまとめさせていただきました。
吉川氏:当社はアミューズ24さんより半年ほど先にグループインしていますし、この半年で事業の改善や安定化など、会社が良い方向へとどんどん変化しています。私は「自社がJ.Canvasグループに入ってよかった」と心から思っているので、その気持ちを本音で伝えて、初めてのM&Aに向かうアミューズ24さんに寄り添おうと心掛けました。
安積希真氏:成約の日は正直なところ、朝から複雑な心境でした。「いよいよだ、ワクワクする」という気持ちがありつつも、どこか今までのアミューズ24を懐かしむような寂しさもありましたし、父母への申し訳なさも若干ありまして。この道で間違っていないと自分も役員も納得したものの、もしかすると自走する未来を望まれている人もいるかもしれない中、「今日を迎えてよかったのだろうか」という思いもありました。
安積進氏:社長(希真氏)はそう言ってくれましたが、親子で事業承継する場合には、資産があるのはもちろん喜ばしいことですが、一方で借入の負担があるようでは、承継する側がそれを背負うのは大変だと思います。継いでもらった私からすると、負担を強いてまで自走させるのは良くないと思うので、そこをクリアにできる道に進めてよかったです。
なので、私は成約の日はすごく晴れやかな気持ちでしたし、申し訳ないなんて思わずに、息子たちも次のステージで活躍してほしいです。
安積希真氏:施設長などの幹部には、成約の1カ月半ほど前に伝えました。J.Canvasグループはこれから一緒に働く運命共同体だという流れをあらかじめ作っておかないといけないので、結果論から伝えるのではなく、自社の悩みからM&Aの必要性をストーリー立てて話しました。すると皆、肯定的に受け止めてくれました。
そして、成約の半月前には管理者会議の場で、具体的な社名などは避けつつM&Aをする旨を伝えました。人の口には戸が立てられないので、もしかすると変に噂が広まって、不安を訴えられたりするのではないかと心配したのですが、今日まで一人も離職者が出ずに良かったと思っています。それもこれも、前向きに受け止めてくれた幹部の皆のおかげです。
安積進氏:社名も変わらず、社長も役員も残るので、皆も安心していると思います。

安積希真氏:当社は介護・福祉用具の販売も手掛けているのですが、グループ各社に向けて用具の販売展開をし始めました。もしも当社がこれまでのまま自社単独で県外に向けて販路を拡大しようとすると、県外で営業をして人間関係を築いて、商品の魅力を伝えるところから始めなければいけません。グループに入ってすぐに各社へのPRや販促が始まり、「自分が得たかったビジネスチャンスはこういうことだな」と思いました。早くも自社単独では得られない大きな可能性を実感しています。
安積希真氏:J.Canvasグループの中でも自分たちの力を発揮すべく、将来的に当社が企業・法人を譲り受ける立場になっていく計画です。武井社長も、今後のM&A案件に私が立ち会うように仰ってくださっているので、武井社長や吉川社長を見習いながら、自己成長にもつなげていきたいと考えています。
今までのまま先代がつくった事業を繰り返しているばかりでは、到底味わえなかったステージがこれから始まります。新しく仲間になる方々へ良い効果をもたらしていくことが、今後の自分の存在意義や価値になると思うので、グループの一員としてますます活動の幅を広げていきたいです。
武井氏:昨年頃から、J.Canvas内でチームを作る構想を練ってきました。外から見るとエリアによるチーム分けが分かりやすいと思いますが、それよりも私は、チーム作りで最優先すべき「人の思考」にクローズアップしたチームにしたいと考えたのです。今、グループの中に核となる法人が3つほどあるので、それらの法人を中心に作ったチームで互いに切磋琢磨しながら、「人」が成長できる環境を醸成していこうとしています。その核となる法人の一つが、在宅看護センター愛さんです。
私は、初めての経験こそが人を成長させる大きなファクターだと思っていますが、そこでは往々にして「知らない、分からない、できない、苦しい」となりがちです。ですが、吉川社長は譲渡と譲受の両方を成し遂げられ、経験値をものすごく高めてこられました。アミューズ24さんが未来をつくっていくために、安積社長ご自身もぜひ、吉川社長のように様々な経験を積んでいっていただきたいと思っています。
全ての譲受を私ばかりが行ったり、私が経験したことを与えたりするだけでは、J.Canvasグループにいる「人」の成長は十分に促進されません。先に経験した者が伴走して皆さんが初めての経験を積める体制を確立できれば、グループ各社も組織全体も、より大きく成長していけると考えています。
武井氏:参画してくださったアミューズ24さんや在宅看護センター愛さんが、成長し続けられるプラットフォームにしていくこと。これは必ず成し遂げなければいけません。プラットフォームの強化を継続していけば、日本中に私たちの取り組みが示せることになり、きっとチャンスもたくさん得られるようになっていくと思います。
グループにとって理念や理想は当然大事ですが、実績や結果があってこそチームはまとまってくるものです。タイムラインを引いて、節目節目でしっかり結果を出していく責任が私にはあります。理念や理想を追いつつも、結果を出す責務を全うし、アミューズ24さんやグループ各社のステークホルダーの皆様から「J.Canvasと組んでよかった」と思ってもらえるグループに必ずしていきます。
安積希真氏:今までの自分にはなかった大きな発想が出てくる経営者へと成長し、「近畿にアミューズ24の安積あり」と言われる存在を目指したいです。そのために、J.Canvasの中で起こってくるミッションを一つ一つ遂行していき、介護事業以外の面でも経験を積んでいきたいと考えています。
今回のM&Aでは当社は与えられる側で、それが魅力でグループに入りましたが、これからはシナジーを創出して与える側になっていかなければいけません。今も各地方で素晴らしい介護・福祉事業を展開している事業者はたくさんいると思います。そうやって地域に必要とされている事業者が、J.Canvasという大きな船に乗ればより良くなっていけることを示していきたいです。
安積進氏:私が代表だった頃、東京進出や全国展開の誘いを受けたことがありましたが、当時は全く魅力に感じず、地元密着を貫いてきました。でも、あの時もっと広く展開していたらどうなっていただろうと考えることもあり、それを今から見せてもらえるのかなと思うとすごく楽しみです。
私の役割は、息子へ事業承継できたことでほぼ終えることができたと思っています。ただ、アイデアを出すなど得意なことはあるので、今後何か手伝えることがあれば、それも楽しいかもしれません。ともかくも、まずは息子たちや今を担う世代が一層活躍してくれることを願っています。

株式会社アミューズ24
代表取締役 安積 希真氏
今はどの業界も採用がどんどん難しくなっているにもかかわらず、介護・福祉の世界は特にある程度の規模が必要です。その中で「生き残っていく」「事業を続けていく」と決めた人がより輝くためには、M&Aは一つの選択肢になると、今回のM&Aを通じて実感しました。場合によっては、こういう形でしか発展や拡大をしていけないこともあるかもしれません。ゼロから人を集めて、土地を探して、施設を建てて――とするよりも、複数の法人で協力し合っていくほうが合理的であり、一緒になってより大きな成長を目指していけると思うのです。
この日本において、M&Aという手段で同業の仲間が1社でも多く発展を実現し、地域の高齢者や障がい者を支える「ジャパニーズ介護」を守っていければ嬉しく思いますし、もしかすると観光やアニメと同じように、日本らしい高品質な介護事業が世界で競争力を発揮する未来がつくれるかもしれないと、そんな期待も膨らんでいます。
介護・福祉業界で奮闘されている経営者の皆様に、「手を取り合って、もっと力をつけていきましょう」と、お伝えしたいです。

J.Canvas株式会社
代表取締役社長 武井 裕樹氏
2010年頃より前の私は、M&Aが中小企業での手段という印象を持っていませんでした。ですが、自分が会社を継いで、生き残る手段を考えたときに1つの選択肢として浮上したのが、M&Aや事業承継でした。
私は譲り受ける立場としてM&Aの道を歩み始めましたが、在宅看護センター愛の吉川社長や、アミューズ24の安積社長親子のような方々と、早期に人生をともに歩めるようになったことに、M&Aの最大の魅力を感じています。もし自社だけで運営をしながら40年間必死に働いたとしても、おそらくこれほど素晴らしい人財に巡り合える機会は片手で数えられるくらいだったのかもしれません。M&Aが絶対的な解だと言うつもりはありませんが、チャンスに恵まれる可能性を秘めた選択肢の一つであることは、身をもって知ることができました。
このほか、M&Aで譲渡するケースでは、アミューズ24さんのように自社をさらに伸ばしていく手段となる以外にも、出口を見据えてソフトランディングするための手段として活用されることもあります。人口動態の変化に伴い、制度ビジネスが厳しさを増す中、例えば運営する3事業所のうち2カ所の役目を平和的に終えていくといったことが、M&Aによって可能になります。もしも単体の法人で1事業所でも閉鎖したら、より困難な状況に陥りかねませんが、グループであれば「この部門は閉鎖するけど、新規事業でこれを打ち立てていく」という風に、持続可能な道を見出していけるわけです。
支え合いの関係性を作っていくことで、お互いの持続可能性を高めていければ、きっと皆にとって良い未来がつくれるはずです。「未来創造の手段」になることが、M&Aの大きな特長だと思っています。

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担当アドバイザー コメント
この度は、株式会社アミューズ24様、株式会社在宅看護センター愛様、ならびにJ.Canvas株式会社様のご成約、誠におめでとうございます。
地域の介護・福祉を支える両社が手を取り合い、持続可能な未来へ向けて新たな一歩を踏み出す瞬間に伴走できましたこと、担当アドバイザーとして大変光栄に存じます。
株式会社アミューズ24様は、兵庫県神崎郡市川町を中心に介護事業を展開されています。
先々代の時代にプロパンガス販売事業から創業され、時代の変化とともに介護事業を立ち上げ、現在では地域に欠かせない企業として確かな信頼を築いてこられました。
多くの企業が後継者不在に悩む中、すでに親族内承継を完了されていた同社ですが、希真社長は現状にとどまることなく、5年後・10年後の未来を見据えて事業と従業員を守り、さらに発展させるための選択肢としてM&Aを前向きに決断されました。
一方、J.Canvasグループ様は、株式会社武上から始まり、M&Aを重ねることで飛躍的な成長を実現されています。
代表の武井社長ご自身も、お母様が創業された介護福祉事業を親族内承継されたご経験をお持ちであり、事業承継の重みや経営者の心情を深く理解されているからこその共感が、本件の成約を結ぶ大きな原動力になったと感じております。
地域に根ざして温かなサービスを提供し続けてきたアミューズ24様と、強力なネットワークと成長基盤を持つJ.Canvasグループ様。互いの強みと想いが掛け合わさることで、グループ全体で大きなシナジーを発揮し、両社が今後ますますご活躍されますことを心より祈念申し上げます。