インタビュー

2026年7月1日

従業員を次期社長にしつつ、さらなる事業拡大の可能性を切り拓くM&A

2026年1月8日、譲渡成立

従業員を次期社長にしつつ、さらなる事業拡大の可能性を切り拓くM&A
  • 譲渡企業
    四季の住まい株式会社
    設立
    1989年
    事業内容
    木造住宅建築、リフォーム等
    URL
    https://shikinosumai.net/
  • 譲受企業
    スリーエスキャピタル株式会社
    設立
    2017年
    事業内容
    経営戦略コンサルティング等
    URL
    https://3s-capital.co.jp/

群馬県高崎市に本社を置き、間もなく創業40年を迎える住宅建築会社「四季の住まい株式会社」。県内産の良質な自然素材と確かな技術で造られる家屋は、優れた安全性と快適性が特徴で、お客様がお客様を呼ぶ連鎖が絶えないほど高く評価されています。

代表取締役社長の悴田勝利氏は、2014年に創業社長から会社を承継。新卒から培ってきた経験を経営と従業員教育に生かしてきた結果、新築住宅市場が不調な中にありながらも、12年間で2倍以上の増収を達成しました。

悴田氏は社内で後継者候補を育成しながらも、さらなる発展をともに目指してくれる企業を求めてM&Aを検討。スリーエスキャピタル株式会社との出会いで「事業拡大の可能性が広がる」と確信し、2026年1月にM&Aが成約しました。

M&Aを考えた背景やグループの今後の展望、そして、会社を引き継ぐ立場として大事にしている信条とは――。悴田氏と、スリーエスキャピタル・代表取締役の高山駿氏にお話を伺いました。

新卒で入社し、社長へ。“負の遺産”を残さない誠実な仕事で堅調に成長してきた

四季の住まい様の事業内容や強みをお教えください。

悴田氏:当社は、オーダーメイドハウス・セレクトオーダーハウスの新築2種類と、リフォーム・エクステリアの3つを中心に事業展開しています。地産地消をテーマに掲げ、地元である群馬県産の無垢の木や漆喰などの自然素材を使った家造りにこだわっていることが、当社らしい強みだと思います。社名の由来でもありますが、夏や冬でもなるべく機械設備を使わず、季節に合わせて健康的で快適に住める家を造り続けてきました。

悴田様が四季の住まい様の社長に就任された経緯もお聞かせいただけますか?

悴田氏:私は当社の前身となる会社に新卒採用の1期目として入社し、最初は設計の仕事から始めました。その後、メンテナンスや工事監理を担当し、さらに営業やマネージメントも経験してきました。経理と総務以外の業務は一通りこなしてきましたし、集客から資材の買いつけまで全て自分で管理しながら運営していたので、いずれ私が会社を引き継ぐことを見越して、創業者である先代社長から徐々に経営業務を任されるようになっていました。

その後、先代社長が体調を崩してしまい、私が48歳のときに社長交代をすることになったんです。当初の想定より2年ほど早い交代となりましたが、その頃にはすでに経営に関する実務は私が行っていたため、変わったのは私の役職名くらいで、会社としては何ら大きな変化はありませんでした。

48歳で社長に就任してから12年間、どのような出来事が印象に残っていますか?

悴田氏:社長就任時からこれまでに、2度の消費税増税やコロナ禍など、いろんな出来事が次から次へと起こりました。

私が社長になった年に消費税率が8%に上がり、そのときは駆け込み需要があったのでよかったものの、以降の半年間は受注が一切止まってしまい、翌年は赤字に転じてしまいました。もともと、2年で結果が出せなければ社長を降りようと心に決めていたので、先代社長に辞任の意向を伝えたのですが、まったく受け入れてもらえませんでした。そこからは社長としての覚悟を新たに、再スタートをきりました。

増税やコロナ禍で赤字の年は2回ありましたが、社長就任当初に比べて現在は売上が約2倍に拡大しています。幸いなことに人材採用はそれなりに順調で、従業員数は徐々に倍以上まで増加していますし、偏りのない年齢構成で盤石な組織が構築できた結果だと思っています。

従業員を次期社長にしつつ、さらなる事業拡大の可能性を切り拓くM&A
四季の住まい株式会社 悴田勝利氏

堅調に会社を成長させてきた悴田様が、経営するうえで心掛けてきたこととは何でしょうか?

悴田氏:「“負の遺産”を残さない」こと。これを常日頃から従業員に言ってきました。

数十年前に私がメンテナンス業務にあたっていた頃は、業界全体が今とは違ってまだ施工体制が厳密ではなかったんです。でも、当時はその基準が普通で、お客様のところへメンテナンスに伺うと、思いもよらない事象に遭遇することが頻繁にあり、作業に苦労することも珍しくありませんでした。

そういう実体験を通して、自分が社長になってからはまず、お客様のところで問題が起こるような施工は絶対しないことを皆で一番に心掛けてきました。万が一問題が起きてしまった場合も、最良の形になるまで全て改善をしてから引き渡しをすること。そして、引き渡しをしてから何かが起きた場合も、再度最良な状態にしてからお客様に生活していただくこと。こうした意識を常に持ち、いい加減な仕事は絶対にしないという心得は社内でしっかり定着しています。

誠実に仕事に向き合う姿勢が、結果的にお客様がお客様を呼んでくる状況を作っているのですね。

悴田氏:ありがたいことに、昨年は売上の約45%をお客様からの紹介が占めたほどでしたので、お客様からは十分高く評価いただけていると思います。お客様から良い評価をいただけると、従業員にとってもお客様との関係で嫌な思いをすることが限りなく少なくなるので、働きがいやモチベーションにもつながります。

お客様側からすると安心して家造りを依頼でき、その家に長く住み続けられる。そして働く側からすると、従業員満足度が向上する――。そんな良い循環を作りだすことに力を注いできたので、世の中が厳しい状況にありつつも、少しずつ業績を伸ばし続けてこられました。

後継者や従業員に負担をかけないよう、大きな変化を起こさない相手とのM&Aを望んだ

スリーエスキャピタル様からも、貴社の事業についてお聞かせください。

高山氏:当社は、プロフェッショナルサービス部門、総合商社部門、インキュベーション部門の、大きく3つの部門で事業を展開しています。

プロフェッショナルサービス部門では、コンサルティング事業やM&Aのサポート業務などを手掛けており、インキュベーション部門は主に大手企業とともに新規事業を立ち上げながら、スタートアップを推進する部門となっています。

四季の住まいさんとのM&Aに関わる部門が総合商社部門で、ここでは不動産や貿易を中心とした事業に取り組んでいます。当社は創業時から総合商社部門で民泊の事業を手掛けていたのですが、コロナ禍の影響で一時休止している状況でした。ようやくコロナ禍が収束し、さらには海外からの観光客も多く訪れている今、民泊事業を再開してより力を入れていこうと計画しているところです。

スリーエスキャピタル様は、どういった経緯があって今回のM&Aを検討し始めましたか?

高山氏:当社のプロフェッショナルサービス部門では、M&Aを実施する企業様の財務アドバイザリー事業を手掛けているので、M&A自体は身近な存在でした。そんな当社は、総合商社部門で実際に事業を持って運営している立場でもあるので、いつかは自分たちの事業に関連する分野でM&Aを実施して、事業の広がりを見せたい考えは創業時から持っていたんです。コロナ禍後の2024年から、ようやく本格的にM&Aの話を進め始めました。

こうした経緯でM&Aを検討し始めたので、当初から建築業界に絞ってお相手を探したというよりも、不動産や貿易に関する企業など、当社が持つ様々な事業で幅広く探していこうというスタンスで動いていました。

従業員を次期社長にしつつ、さらなる事業拡大の可能性を切り拓くM&A
スリーエスキャピタル株式会社 高山駿氏

一方、四季の住まい様がM&Aを検討された背景として、当初は将来的にどういった引き継ぎや承継をしたいと考えていましたか?

悴田氏:私自身が48歳で社長を引き継いだので、次期社長に引き継ぐときは後継者が48歳になるまでだと、社長になった当初から決めていました。やはり、若いうちはパワーがありますし、ある程度のパワーをもって事業に取り組めることは会社にとって重要度が高いと思っていたからです。

また、新卒で入社して社長を務めさせてもらった立場からすると、「新卒でトップが目指せる会社っていいな」とも思っていたので、自分の代でも同じように、新卒採用から頑張っている従業員を社長にしたいと望んでいました。

四季の住まい様の社内に、次期社長の候補の方はいらっしゃいますか?

悴田氏:社員に1人います。その彼は新卒で入社したときからずっと私と一緒に仕事をしてきましたし、会社の成長を受け止めながら、彼自身も着実に成長してくれています。会社を運営していくうえでは、集客、採用・育成、従業員の定着に対する戦略をよく理解しており、実践できる者が中心となっていかなければならないという私自身の考えのもと、7~8年前から彼が次期社長になれるよう、土台を固めてきました。

時間をかけて準備を進めていくうちに、彼も「いずれは社長を務めたい」との気持ちを持ってくれるようになりました。

次期社長候補がいらっしゃるなか、M&Aをご検討したことにはどういった背景がありましたか?

悴田氏:いつまでも私が株式のオーナーでい続けるわけではなく、いつかは手放すときがきます。ただ、私がオーナーになった当時は、先代社長からその株式を70歳までのローンを目一杯組んで取得したので、引き継ぐ過程では苦労したことも多々ありました。ましてや、おかげさまで会社はますます成長したため、後継者が個人で当社の株式を取得するには難しい規模になり、M&Aやその他の手立てを検討すべきことは前提となっていました。

会社を引き継いでくれた人が、会社の運営に集中して全力を注げる状態でなければ、会社の発展にはつながらないので、持ち株会社を作るといった方法も眼中にはなく、M&Aは有力な選択肢として視野には入れていました。

悴田様はM&Aを選択肢に入れたうえで、どのような準備をしてきましたか?

悴田氏:周囲にもM&Aを経験した会社や経営者がいるので、6~7年前頃からそういった方々に話を聞いたりして、当社が目指す姿を想像しながら準備を進めてきました。

また、いろんなM&A仲介会社から日々DMが届くなか、自分でもいくつかのM&A仲介会社を調べてみて、実際に数社から話を聞いたこともありました。話をしてみると、M&A仲介会社によって提案内容も違えば、担当者の人柄や相性もそれぞれで、私たちの相談や意向をどう受け止めてくれるのかは百人百様だと感じました。

そうした準備をしているうちに、2024年にfundbookさんとつながりました。私としてはアドバイザーさんとの相性がいいという印象を持ちましたし、私の希望に対してどう応えようかと真摯に考えてくれているなと感じ取れたので、M&Aをサポートしてもらうことに決めました。

悴田様は当初、どういった企業をM&Aのお相手に希望していましたか?

悴田氏:私が引退した後も、当然ながら今いる大勢の従業員はこのまま働き続けます。会社がこれからも発展していかなければいけないことは大前提にありつつも、やはり従業員からすると、M&A後も社名が今のまま残ることや、事業形態が変わらないことなど、大きな変化が突如として起こらないことが望ましいと思っていました。従業員一人一人に聞いたわけではないですが、将来的なM&Aに向けて社内の調整を進める過程で、皆がそう希望していることはよく伝わってきたんです。

なので、相手企業を探すうえでは、当社の考えを受け入れていただき、M&A後も大きな変化が起きないような企業が理想だと、fundbookさんに伝えていました。

従業員を次期社長にしつつ、さらなる事業拡大の可能性を切り拓くM&A

スリーエスキャピタル様は、四季の住まい様のどのようなところに魅力を感じて面談をしたいと思われたのでしょうか?

高山氏:当社は総合商社部門で不動産や民泊の事業は展開しているものの、四季の住まいさんの手掛ける注文住宅については当時まだ知見がなかったため、どういう業界なのか知ろうと、社内でリサーチしてみたんです。すると、日本全体ではやや右肩下がりの業界でありながらも、四季の住まいさんは順調に棟数を伸ばしていらっしゃることにまず驚きました。高崎市が移住の地として人気を高めている背景もあると思いますが、それにしても「これは純粋にすごいね」と、当社の皆も口をそろえて言ったほどでした。

また、社内の民泊チームの責任者たちとも話したところ、四季の住まいさんとは大きな相乗効果が創出できそうだと想像できたんです。当社の民泊事業はこれまで、賃貸で家屋を借りて運営する方法を主としていましたが、四季の住まいさんとともに自分たちで家屋を建てて運営できるとなると、できることの幅はもっと広がるだろうなと。

四季の住まいさんという会社自体への興味と、当社と連携したときの期待が重なって、「すごく面白そうだ」という印象を持ち、ぜひ面談させていただきたいと依頼しました。

誠実な対話と熱意ある提案で、事業拡大のビジョンを描けた

面談でのお互いの印象はいかがでしたか?

悴田氏:スリーエスキャピタルさんからは高山さんのほか、共同代表の古川さんと総合商社部門の責任者の3名が来られました。お会いしてすぐの第一印象は、「若い方々の会社なんだな」でした。それはすごくいいことで、私にとっては「若い」というのはやはりパワーがありますし、柔軟性は高いですし、行動力もあります。そういうイメージなので、企業譲受というチャレンジをされているスリーエスキャピタルさんは、きっと並大抵ではないパワーがあるのだろうなと。

実際にお話をしてみると、人柄が素晴らしい方ばかりで、当社のやりたいことや目指している姿を皆さんが受け止めてくださり、雰囲気や相性の良さも感じられました。実は、スリーエスキャピタルさんのほかにも数社と話したことがあるのですが、いくら規模や事業内容が良くても、当社が事業をこれまでと同様に続けられるイメージができなかったんです。

スリーエスキャピタルさんとの会話からは、当社のやり方を維持できたまま発展していく未来を想像させてもらえて、初回の面談からとても良い印象が得られました。

高山氏:当社から面談に出席した3人は30~40代前半で、年長の古川がまさに四季の住まいさんの後継者世代です。なので、私たちとしては少し不安を持ちつつも、3人で「頑張ろう!」と意気込みを持って面談に臨みました。

お会いすると、悴田さんは若い私たちにも誠実にご対応くださって、一気に緊張が解けていきましたし、話が弾んで当初予定していた面談時間を大幅に超えてしまったほどでした。悴田さんからは、現場の仕事から会社経営に対する考え方まで、とても丁寧にお話しいただいて、「悴田さんと一緒に働きたい」という印象を強く持ったことを覚えています。当社にとって、群馬というエリアや注文住宅の業界は初めての領域だったので、心強いなと思いながらお話を伺っていました。

初対面からお互いに良い印象を受けたのですね。M&A成約までに、面談は何回実施されましたか?

高山氏:デューディリジェンス(買収監査)中も面談をさせていただき、合計すると3~4回実施しました。当社にはM&Aをサポートする部門がある分、ものすごく緻密に確認しながら進めさせていただいたため、途中でいろんな質問や相談事項が浮上したこともあって、結果的に面談の機会を複数回いただくことになりました。

一般的なM&Aのプロセスより多くの質問をさせていただいたと自覚しておりますが、細かなところまで全て真摯にご回答くださってとてもありがたかったです。fundbookのアドバイザーさんも親切にサポートしてくれましたし、M&Aまでのプロセスを通して、悴田さんの誠実なお人柄がより一層伝わってきました。

悴田氏:確かに、質問事項はたくさんありました。ただ、私のほうも一度の面談と初対面の印象だけでM&Aを決めようとは思っていなかったですし、スリーエスキャピタルさんからしても、四季の住まいが本当に資料に書いている通りの会社なのか、それは当然気になることだと思います。譲受した後で思っていたことと違う何かが発覚しても大変ですし、私たちにしてみても、M&A成約後に当初の意向がひっくり返るようなことはないのかなど、心配事はゼロではありませんでしたから。今振り返っても、お互いに確認していくプロセスは大事だったなと思います。

そんな両社の中間を、fundbookさんがしっかり取りまとめてくれました。アドバイザーさんが両方の会社をよく理解してくれているからこそ、私が色々と相談しても、安心材料となる説明や言葉を適切にかけてもらえていたと思います。

スリーエスキャピタル様からは、民泊のお話など両社様で期待できるシナジーについて、いつ頃どのように悴田様へ説明しましたか?

高山氏:面談の時点でしっかりと資料を作り込んでいき、訴求や提案をさせていただきました。メインはやはり、家造りや施設建設に関する連携です。例えば、群馬県内で民泊やグランピングの施設など、そういったものを自分たちで作ってみたいと思っているので、ぜひ四季の住まいさんと協力して取り組みたいと提案しました。

ほかにも、当社はコンサル事業にてPMI(M&A後のバリューアップ)も手掛けているので、成約後はその周辺のサポートもできることや、グループが持つBtoCビジネスのマーケティングノウハウを四季の住まいさんでも生かせられること。そして、駐車場ビジネスも手掛けているので、群馬エリアでの事業展開の可能性など、考え得るシナジーを多数並べて悴田さんにご覧いただきました。

従業員を次期社長にしつつ、さらなる事業拡大の可能性を切り拓くM&A

面談までに、ものすごく周到な準備をしてこられたのですね。

高山氏:どうしても年齢が若い分、失礼がないように最善を尽くしたいと考えていました。面談までに四季の住まいさん自体の情報やご意向を確認しただけでなく、業界や周囲の環境までできる限りのことを調べ、そのうえで当社と一緒に何をどこまでできるのか、社内でも各部門としっかり整理して面談に臨みました。

悴田様はスリーエスキャピタル様からの資料や提案を受けて、どう思われましたか?

悴田氏:グループのお力添えをいただきながら、私たちの事業展開にもっと広がりを持たせていけそうだと思いました。当社としても、自分たちの得意分野でどう業績を伸ばしていこうかと常に考えていますが、人口減少社会においては家造りの件数が減ることはほぼ確実なため、業界全体がこれまでになく伸びていきづらい状況になっています。そのため、当社の事業も幅を広げて展開していかなければいけないという思いはありました。

スリーエスキャピタルさんは私たちの持ち合わせていないリソースやノウハウをお持ちですから、高山さんたちからのご提案を受けて、当社が事業拡大に挑戦するための勇気と後押しをいただけそうなイメージが湧きました。

連携案の一つである民泊について考えれば、当社が普段手掛けている事業の延長上で実現できるので、従業員にとっても慣れた仕事で負担はほぼなく、それでいて会社を伸ばす新たな要素になり得ます。また、当社が最重要課題と捉えていたマーケティングに対しても、スリーエスキャピタルさんのノウハウがきっとプラスに働くであろうことは、すぐに判断ができました。

念入りに準備を整え、従業員に不安を与えることなく順調に歩み出せた

そうして2026年1月にM&Aが成約しました。その際の悴田様のお気持ちはいかがでしたか?

悴田氏:スリーエスキャピタルさんと一緒に活動していきながら、会社のさらなる発展が実現できると十分に想像できたうえでのM&Aだったので、成約の瞬間はすごく安堵しました。

ただ、今までの仕事の延長上でどんどん会社が発展していく未来を創ることがベストなので、発展につながるお相手を見つけて、M&Aで当社を受け入れていただくところまでは、ようやく目標の半分が達成できた段階と言えます。M&A後にちゃんと軌道に乗っていけるよう見届けつつ、無事に次期社長へ引き継げてこそ、自らの責任を果たせると思うので、これからの2年間を残り半分と捉えて、一生懸命頑張っていこうという気持ちにもなりました。今は次期社長候補の彼と交代に向けた準備をしっかり整えているところで、少なくとも成約から2年間は引き継ぎに尽力していく計画です。

従業員の皆様には、スリーエスキャピタル様とのM&Aをいつ頃お伝えしましたか?

悴田氏:私のほかにもう一人、当社の株式を持っている者がいたので、その人にはM&Aを検討し始めた当初から意向を伝えており、次期社長候補の彼には、スリーエスキャピタルさんと出会う前からM&Aに向けて動いていることを伝えていました。

スリーエスキャピタルさんとM&Aのプロセスを進め始めてからは、当社の営業責任者に会いたいといった要望をいただいたりしていたので、会社の中枢となる者など数名の従業員には、段階的に少しずつ伝えていきました。従業員全員には成約が決まってからでないと公表できないものですが、やり方を間違えてしまうと皆の不安をかき立ててしまい、離職者が出る懸念すらあるため、このように事前調整を進めた形です。

スリーエスキャピタルさんには現状の四季の住まいに納得して譲受していただくわけですから、状態を維持したまま無事に成約日を迎え、スリーエスキャピタルさんと一緒になってスタートをきれるようにしなければいけません。そのために、時間をかけて念入りな社内調整を行ってきました。

従業員の皆様が不安に思わないよう、社内での準備と調整にも尽力してきたのですね。

悴田氏:そうです。成約から2カ月が経ちますが(取材日)、これまで不安を訴えるような言動は社内で一切なかったですし、動揺した様子もありません。

協力業者に対しても、タイミングをスリーエスキャピタルさんがすり合わせてくださって、一緒に公表することができましたし、ホームページ上でのお知らせも含め、ここまでの過程は全て順調にできているかと思っています。

スリーエスキャピタル様は、企業をグループに迎え入れるお立場として意識していることはありますか?

高山氏:当社側は経営陣が若いメンバーばかりですし、四季の住まいさんの皆様からスムーズに受け入れていただくためには、謙虚な気持ちと相手を尊重する気持ちを持ったうえでどうすべきかと、社内で考え続けてきました。

当社はファンドではないので、M&A後にいきなり四季の住まいさんのテコ入れをして期間内にバリューアップをしようとしているわけではなく、また一方で完全な事業会社とも違うので、自社のルールに従っていただきたいという考えもありません。四季の住まいさんを当社グループの大事な一事業として譲受したかったので、現状を変えずに、今いる従業員の皆様がこのまま自然に何のストレスや負荷を感じることなく働ける接し方を意識しました。

ただ、グループになるからには、皆様に伝えないといけないことや、当社側でもやらなければいけないことは様々あります。成約後の皆様への発表に向けては、悴田さんとの相談を密に行い、今後の展望を伝えさせていただきました。今は四季の住まいの皆様にグループの展望を共有していただきながら、働き方や社内の雰囲気はこれまでのままに感じていただけているのではないかと思っています。

従業員を次期社長にしつつ、さらなる事業拡大の可能性を切り拓くM&A

3代目の時代へ。成長の可能性をさらに高めていくために、残りの期間を走りきる

M&A成約後、すでに始まっているグループでの新たなお取り組みはありますか?

高山氏:民泊をはじめ、総合商社部門の事業に関しては、今すでに群馬県内の土地探しなどを始めています。また、四季の住まいさんの施工する棟数増加に向けて、当社のBtoBビジネスが持つネットワークを、四季の住まいさんへの送客や集客力向上につなげる取り組みなども始まっています。

そのほか、四季の住まいさんのマーケティングやブランディングの強化に向けても、徐々に現場での話し合いが加速しつつあるので、いろんな事柄がとても順調に進み始めている状況です。

今のグループのお取り組みからも、四季の住まい様のこれからがますます楽しみです。

悴田氏:自分たちが今まで得意としてきたことを生かしつつ、新しく事業を広げられていると実感していますし、従業員も精神的な負担を強いられることなく物事が進んでいくことに、安心感や期待感はすごく大きいと思います。

それに、スリーエスキャピタルさんはいつも細かく説明をしてくれたり、丁寧に話を聞いてくれたりしているので、次期社長候補の彼も「スリーエスキャピタルさんでよかった」と言っています。

四季の住まい様の今後の目標をお聞かせください。

悴田氏:私たちの業界では、年間の建築棟数100棟を達成することが一つの目安にあります。今、当社は80棟近くまで到達しているので、まずはそう遠くない将来に100棟をしっかり達成していきたいと考えています。

それから、やはりお客様から認められることが、従業員にとっての仕事の満足度や誇りに一番つながっていくと思うので、お客様に選んでいただける会社を目指し続けることがとても大事です。四季の住まいが「地元・群馬の工務店では一番だよね」と言われる会社になっていくこと。そして、その信頼を維持し、より信頼を厚くしていくことを大きな目標に掲げています。

私たちが目指す姿に向けて、今後は当社だけでなく、スリーエスキャピタルさんとともにパワーアップしていけることがすごく楽しみであり、大いに期待もしています。当然ながら、当社が一方的に期待するのではなく、グループの期待に応えていきたい思いも強く持っていることは、ぜひお伝えしておきたいです。民泊に最適な土地を探していただき、計画も立ったときに、当社側が応えられないようではいけませんから、当社としても改めて施工体制を整え、より強化していくスタートラインに立ったと捉えています。

高山様からも、改めて今後の両社様の連携やグループの今後のビジョンをお伺いできますか?

高山氏:悴田さんが仰った、四季の住まいさんの年間100棟の目標に向けて、まずスリーエスキャピタルがしっかりとサポートしていくことが大事だと考えています。その過程では、民泊事業の拡大やマーケティングによる集客など、たくさんの方法が考えられるので、私たちとしてもできることは全力を尽くして、一緒に100棟を目指していきたいと思っています。

そしてもう一つ、当社としてはやはりM&Aという分野に日頃から深く関わっているので、群馬エリアや、もしくは住宅業界などでのロールアップ(同業種や関連業種の企業を連続的に譲受し、事業や企業価値を拡大するM&A戦略)を積極的に検討していきたい考えを持っています。そのときに中心となるのは、四季の住まいさんです。四季の住まいさんがさらに成長していく方法と可能性は限りなく広がっていると思うので、その後押しに引き続き力を注いでいきたいです。

最後に、悴田様ご自身の今後の抱負をぜひお聞かせください。

悴田氏:私はずっと、「社長交代をしたら、スパッと引く」が自身のテーマだと考えてきました。なぜなら、せっかく次の社長が就任しても、自分が会長になってしまっては、従業員も関連業者の方々も、両方の言動を気に掛けなくてはいけなくなるからです。一人のトップ(=社長)に一点集中できると、従業員が判断に迷う手間やストレスもなくなると思うんです。

ただし、「引く」と「ほったらかす」はまったく違います。スムーズに社長交代を終えて、従業員や関連業者の方々も何ら不安に思うことなく、新社長を受け入れられる体制を作ることが、私自身の一番の目標です。次期社長への経営の引き継ぎは、順調に動き始めています。会社の業績が良好な状態で、なおかつ少しでも成長しながら社長交代の時期を迎え、皆が不安なく3代目の時代をスタートできるよう、あと2年、全力で走りきりたいです。

従業員を次期社長にしつつ、さらなる事業拡大の可能性を切り拓くM&A

M&Aへ動き出すまでの自社での下準備が最善の結果をもたらす

四季の住まい株式会社 
代表取締役社長 悴田 勝利氏

自社の事業承継に不安を感じている経営者が多くいらっしゃるなかで、M&Aの機会は今後もまだまだ増えていくと予想しています。実際にM&Aによる事業承継を経験した私が大事だと思うことは、まず、fundbookさんのような事業承継をサポートしてくれる方と、しっかり連携を取って進めていくこと。そして、自社が「こうありたい」「こうなりたい」と思う理想を現実化するため、M&Aへ動き出すまでの間に、お相手となる企業から興味を持ってもらえるように企業価値を高めておくことです。

組織体制など社内の仕組みを整えておけば、譲受企業にとっても物事が進めやすくなるので、事業承継を目指す時期までに何をどう準備してM&Aへ動き出すべきか、考えて行動しておくことが重要だと思います。私自身、会社に最善の結果をもたらそうと、ゴールを決めながら、自らの手でできることは入念に準備しておく過程を怠らずによかったと実感しています。

従業員にとっても、ある日突然大きな変化が起きるとなると、経営者が想像する以上にいろんな面で不安を抱えることになるでしょう。そうならないためにも、あらかじめ丁寧に社内の整備や準備をしておくことは必要だと思っています。

従業員を次期社長にしつつ、さらなる事業拡大の可能性を切り拓くM&A

新たな価値創造や地域貢献も。M&Aの魅力と可能性を再認識

スリーエスキャピタル株式会社 
共同創業者・代表取締役 高山 駿氏

当社でM&Aの財務アドバイザリーサービスを提供しているプロフェッショナルサービス部門では、大手のクライアント企業が大半を占めており、規模からしてもM&Aの成立がある程度想像できる企業同士の案件が多い印象でした。しかし、今回自分たちがM&Aを実施する当事者となって、M&Aのさらなる可能性を再認識しました。

四季の住まいさんと当社は、これまで何の接点もない会社同士という立場からスタートしています。そんなお互いを知らなかった両社がつながり、それぞれの強みや業界の知見をかけ合わせて新たな価値を創造していけるところに、M&Aの魅力が詰まっていると思います。

また、地域に必要とされている素晴らしい会社でありながら、事業承継に悩んでいるケースが全国各地で見られるなか、M&Aによる事業承継を選択肢として捉える地域企業は、今後、譲渡側と譲受側の双方で増えていくのではないかと私は考えています。

M&Aは、企業を未来につなぎ、その地域に貢献する手法にもなり得るところにも、大きな魅力があると思っています。

従業員を次期社長にしつつ、さらなる事業拡大の可能性を切り拓くM&A

担当アドバイザー コメント

この度は、社内で後継者候補の方を計画的に育成されておりながらも、さらなる事業発展を目指して選択された成長戦略型M&Aのご支援をさせて頂きました。
悴田社長は中長期的な経営戦略の一つとしてM&Aを意識し、数年前から情報収集や社内の組織整備、次期社長候補の方の育成を含め計画的にご準備をされておりました。しっかりとした土台が備わっていたからこそ、成約後も従業員に動揺や不安を一切生じさせることなく、スムーズに新たなスタートを切ることができたと感じています。
譲受企業のスリーエスキャピタル様は、異業種ではありますが、既存事業とのシナジーをTOP面談前から緻密に描き、徹底した事前リサーチと熱意ある提案が両社の信頼関係を築く大きな力になりました。市場環境が激しく変わる中で、早い段階からM&Aをご検討され計画的な準備を進めたことが、結果的にこの度の良いお相手との出会いに繋がったと感じております。
四季の住まい様が本件を通じて、群馬エリアで唯一無二の存在となっていく姿をとても楽しみにしています。

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