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空間を美しく彩る家具やインテリア雑貨を販売する株式会社サラグレース。ほかにはない「サラグレーススタイル」の世界観は、創業から約20年間にわたり、多くのファンを魅了し続けています。創業者であり社長を務める黒川早織氏と、夫で専務取締役の黒川和俊氏は、夫婦で苦楽をともにしながら事業を拡大させてきました。
将来訪れる事業承継の選択肢として以前からM&Aの検討を始めていましたが、コロナ禍や円安などで取り巻く環境が激しく変化したことを受け、早期にパートナー企業探しを開始。ともに成長し合う関係性が築ける企業を求めていたところ、自然素材の住宅用建材を販売する株式会社ニッシンイクスと出会いました。面談で互いの理解を深め、「強いチームになれる」と確信し、2025年12月にM&Aが成約。住環境全般を捉える形の協業を進め、ゆくゆくはグループで人々の“衣食住”を豊かにする事業を展開していこうと、皆様の士気がますます高まっています。
黒川社長と黒川専務、そして、ニッシンイクスの代表取締役会長・加藤洋氏と取締役社長・加藤肇氏の4名に、M&A成約までの経緯や今後の展望について伺いました。

黒川社長:私は岡山県の出身で、高校卒業後はカナダで大学生活を送りました。社会人になってからは長く香港で暮らしていて、そのときの仕事で主人(黒川専務)と出会い、結婚を機に日本に帰国しました。帰国後は通訳や翻訳の仕事に就いたのですが、どうも性に合わなくて、「何か“好き”を仕事にしたい」とずっと考えていました。
30代の頃に、インテリアや雑貨関連で自分の店を持ちたいという具体的な夢を抱くようになり、主人に相談したところ、「いきなり物件を借りて店を開くのは心配だから、オンラインショップから始めて、売れるようになってきたらお店を持てばいいんじゃないか」とアドバイスをもらい、まずは自分でオンラインショップを立ち上げました。それが、サラグレースの始まりです。
黒川社長:開設した2005年当時はまだネットショッピングが今ほど普及しておらず、注文が1日1件来るかどうかくらいの小さなスタートでした。その後、徐々にネット通販自体の利用が広がり、サラグレースも大きくなっていきました。取り扱う商品においても、最初は国内の展示会に出向いては最低ロットで仕入れていたのですが、その頃から海外へ仕入れに行くようにもなりました。
そしてだんだんと一人で運営するのが厳しくなり、当時サラリーマンだった主人をサラグレースにヘッドハンティングしたんです。ただ、二人とも会社を辞めて路頭に迷うなんてことは絶対にあってはならないので、本気で事業に専念するため、2008年に株式会社サラグレースとして法人化しました。
黒川専務:私はもともと銀行で働いていたのですが、サラグレースの通販の伸びを見たときにすごく手応えを感じて、「ここに賭けていこう」と決意し、会社を退職して妻と一緒に仕事をすることにしました。
最初の頃のサラグレースは通販だけだったので比較的コストはかからず、商品とパソコンがあれば運営できたのですが、自宅を事務所兼倉庫にしていたので、あっという間に手狭になってしまったんです。サラグレースのための事務所を借り、物流拠点も確保し、そして二人でも賄いきれなくなったので人材を雇用し――という風に、一つずつハードルを越えながら事業を拡大させてきました。
黒川社長:「ここにしかない商品」をコンセプトに打ち出している通り、サラグレースでしか買えないような商品を販売する方針としており、それが当社の強みだと思っています。
私はカナダや香港に住んでいた経験から、なんとなくイギリスのカントリースタイルが好きで、オンラインショップを始めた当初はその雰囲気を意識したウェブページを作成していました。すると、それを見た当時の同僚のアメリカ人男性が、「素敵なフレンチカントリーだね」と言ったんです。集客するうえでキーワードの選定が重要なオンラインショップにおいて、「イギリスカントリー」よりも、当時注目され始めていた「フレンチカントリー」のほうがいいと気づきました。
そうしてフランスへ仕入れに出向くようになると、私が今まで見たこともないようなフレンチスタイルの素敵なインテリアの数々との出会いがあったのです。そのときにサラグレースの方針やコンセプトが明確に決まりました。

黒川社長:M&Aの検討はコロナ禍の前から始めていました。「私たちが引退する=会社がなくなる」となっては従業員に対してあまりに申し訳なく、M&Aについて一度銀行とも話したことがあります。ただ、本格的に動き始めたのは、fundbookさんのお世話になることを決めた2023年からです。
コロナ禍でものすごく翻弄された後に、今度はウクライナ情勢や円安、物価高など、自分たちではコントロールできない外的要因が立て続けに影響してきたため、私たちだけで経営していくことへの不安が大きくなりました。また、こういう時代なので、今からさらに当社を大きく飛躍させるには、やはりどこかの企業と一緒に協力して強くなっていくしか方法はないかもしれないなと。
最初のプランでは、私たちが引退するときにM&Aをしようと考えていましたが、やっぱり元気なうちにしっかり形作れたほうがいいと思い、想定より早く本格始動しました。
黒川専務:私たちは業績が好調な時期から検討を始め、もっと企業価値を高めた状態でどこかのパートナーとM&Aで一緒になりたいと考えていました。そうなれる未来を見据えて、取引金融機関や信用保証協会と相談しながらコンサルも入れて、企業価値の向上に努めてきました。
ところが、コロナ禍が収束するとお客様の消費行動はガラリと変わり、さらには円安も加速して、当社のような中小企業が急速に変化する世の中の動きについていけるのか、とても大きな不安を覚えたんです。より安定的に会社を経営していくためには、漠然とM&Aを考えているだけでは後れを取ってしまうという危機感も芽生え、早織社長が中心となってfundbookさんと動き始めることになりました。昨今の情勢により、事業承継の目的に加えて「企業を守るためのM&A」というマインドも強くなったと思います。

黒川社長:ニッシンイクスさんをご紹介いただく前にも面談した会社はありましたが、私たちとしてもM&Aは初めての取り組みだったので、かなり慎重に検討した結果、その会社とは成約に至りませんでした。それを機に、一旦1年間はM&Aのパートナー探しをお休みして、自分たちだけで経営を頑張りながら、企業価値を高めることに再度力を入れることにしたんです。
ただ、その間も、財務面をはじめとした強力な経営基盤を築くには、自分たちだけでは限界を感じていて「早くどこかの企業と一緒になったほうがいいよね」と、葛藤はしていました。
黒川専務:日本の多くの中小企業が抱える事業承継の問題は、後継者のいない私たちにとっても避けられないことでしたし、私たちだけの限界で会社が終わり、従業員も去っていくという、そんな最悪のシナリオは絶対に描きたくありませんでした。当社という船が、皆が幸せになる次の寄港地へたどり着けるようにすること。それが私たちの使命だと、強く思っていました。
一旦は自分たちで財務基盤の強化に努め、1年後に再びM&Aのパートナー探しを始めたのですが、それまでの間も、金融機関やM&A関連の各社から案内や提案は次々と来ていました。しかし、fundbookさんとの信頼関係を断ち切ってまでよそでお世話になろうとは考えられなくて、こちらからfundbookさんに再度相談を持ち掛けさせてもらいました。
黒川社長:お世辞でも何でもなく、やっぱりこのままfundbookさんのお世話になりたいと思いました。M&Aに向けて再始動するとfundbookさんに連絡したところ、ニッシンイクスさんをご紹介いただけたんです。
加藤会長:当社は私が52歳だった2000年に創立しました。当時は政府も環境整備に力を入れていた頃で、公園の歩道に使う敷きレンガを仕入れようと自らオーストラリアを訪れるも、すでに他社が総代理店契約をしていため断念し、イギリスの古い屋敷で使われていたレンガを輸入して販売することにしました。その後、オーストラリア貿易投資促進庁からの紹介で、無垢のフローリングやデッキ材を輸入し始めたのですが、それが当社の成長を一気に後押ししました。
ちょうど日本の住宅では自然志向が高まってきた時期で、それまでの石油系材料から木材などが多く利用され始め、特に当社は直接輸入でコストを抑えられていたので、無垢のフローリングを扱う会社として全国的に知名度が高まりました。
オーストラリアやヨーロッパ各国を飛び回るうちに、私自身がインテリアに興味があったこともあり、一時は東京・代官山で海外のオーダーカーテンや食器類、アクセサリーなどを取り扱う店舗を構えたこともありました。また、フランスやイタリア、ポルトガル、スペインから食品を輸入して都内の百貨店を中心に販売展開したこともあります。為替の影響などで思うようにいかなかった事業もありましたが、どんな困難があっても果敢に挑戦をし続けてきたことは当社の強みになっているのだと思います。
また、当社は「楽しい暮らしを考える」を企業理念に掲げ、将来的には建材以外にも衣料品や食品を含めた“衣食住”での展開も考えているところです。
加藤会長:その通りです。当社としては再びインテリアの仕事をしたくて仕方なかったのですが、他社にはないことをしないと中小企業は生き延びていけません。差別化できる事業を模索していたところ、「ここにしかない商品」をコンセプトに打ち出しているサラグレースさんをfundbookさんからご紹介いただきました。こんな機会はまたとないと思いましたね。

加藤社長:ゆくゆくは“衣食住”での事業展開を熱望しつつも、当社の従業員は皆、フローリングや壁材などの内装建材を中心に扱ってきた人ばかりなので、本業とは違う部門を新たに一から立ち上げようにも兼任は難しく、新規雇用もそう簡単ではありません。中小企業がこれから発展していくためには、得意分野をお持ちで、なおかつお互いにシナジーが期待できる企業と手を組み、一緒に成長していく道が一番望ましいのではないかと考え、fundbookさんに相談しました。
fundbookさんは中小企業のM&A成約実績も豊富で、各社の事情をよく理解されていると感じたので、全面的に信頼して話をさせてもらいました。その結果、当社がまさに理想としていた事業を展開されているサラグレースさんを紹介いただいたのです。
黒川社長:私はすごく緊張しながら当日に臨んだのですが、加藤会長と加藤社長から、優しいお人柄がにじみ出るような雰囲気が伝わってきたことが一番印象に残っています。
黒川専務:人として尊敬できる温かい方々だなという印象を持ちました。一方で、お二人ともすごく落ち着いていらっしゃる様子だったので、初回の面談では「サラグレース自体に興味があるというより、たくさんある候補企業の一つとして面談をしたのではないか」とも思い、fundbookのアドバイザーさんに確認してみたんです。すると、「お二方とも落ち着いた雰囲気ですが、ものすごく興味を示されています」と教えてくれて、「そうか、常に冷静で穏やかな方々なんだな」と感じました。
加藤会長:私はサラグレースさんの取り扱っているような商品が本当に好きなので、ぜひ一緒に手を組みたいと心底思っていました。
当社がこれまで立ち上げてきた事業の中には、競技場のメインスタンドの椅子を輸入して設置したり、巨大テーマパークの備品を任されたりと、インテリアに関わる仕事も数多く手掛けてきたのですが、為替変動には散々翻弄されてきて、サラグレースさんの抱える困難やお気持ちはよく分かりました。
また、先ほど少し触れましたが、以前運営していた代官山の店舗では、お客様からオーダーを受けたカーテンをパリで縫製して販売するビジネスも展開していたんです。しかしそれもリーマンショックの影響で世の中全体的に高級品が売れなくなり、やむを得ず閉店してしまいました。ただ、やっぱり心の中には、サラグレースさんが扱っているようなインテリアへの思いが強く残っていたんです。
fundbookさんがサラグレースさんを紹介してくれたときから、私の気持ちに火がついていましたが、初めてサラグレースさんの事務所を訪問させていただいてなお、まさに私が思い描いていた雰囲気や商材に出迎えられたようで、内心ではすごく高揚していました。
加藤社長:黒川専務が仰る通り、面談では私たちもあまり意欲的な態度を出しすぎないように心掛けていたのですが、思いは強かったんです。

加藤会長:M&Aは人の結婚と同じで、いくら商材や事業が良くても、お互いのフィーリングが合わないとうまくいきませんから、平常心を心掛けて面談に臨みました。
実際に対面で話すと、信頼の厚いお二人だと伝わってきたので、M&Aが成約した際にはこのままお二人にサラグレースさんをお任せして、当社はできる限りバックアップする立場でいようと考えるようになりました。
黒川専務:1回目はお互いの人柄を知るための機会でしたが、2回目にはニッシンイクスさんの手掛けてきた事業など色々な話を伺い、将来的に“衣食住”を展開していくグループの中にサラグレースが入っていくということがよく理解できました。
当社の場合、例えば同業の大手インテリア会社とのM&Aならシナジーは分かりやすいと思いますが、建材や内装のニッシンイクスさんと手を組んだ際のシナジーとは何か、初回の面談ではまだ細部まで想像ができていませんでした。ですが、2回目の面談でグループの面の広がりをすごく感じたので、そこから不安はなくなっていきました。
加藤会長のアイデアや、これまで経験されてきた苦労に私たちもものすごく共感できて、「とてもよく分かってくださる方だな」と思ったことも、M&Aへのハードルをどんどん下げていったと思います。
黒川社長:加藤会長が「何かアイデアがあって挑戦する。だけど、うまくいかないこともたくさんあった」とお話されていたのですが、面談をした時期の当社がちょうどうまくいっていないという気持ちが強かったので、とても勇気づけられました。加藤会長のように成功された方でも、いろんな挑戦をして、うまくいかないことも経験しながら今があるんだなと。経営者なら皆、苦労も経験してこそ成し遂げていくものがあるのだと、すごく共感しました。
黒川専務:様々な困難を乗り越えてこられた話を聞いて、自分たちの未熟さを感じたんです。「このくらいでへこたれてはいけない!」と思いました。特に記憶に残っているのが、「売上が10億円になるまでは、私一人で全てやっていた」と仰っていたことで、私たちも外向きのビジネスだけでなく、内部の強化においても、自分たちでやらなければいけないことがまだまだあると感じさせられました。
加藤会長:社長業から仕入れまで、全部一人でやっていました。最初の頃は年間60日ほど海外に行っていましたが、会社のシステム化を進めていたので、海外にいても問題なく経営管理ができていたと、そんな話もさせてもらいました。
黒川専務:苦労や厳しさを共感できないと、関係はすぐ崩れると思うんです。きれいなところだけを見せ合っても、後でそれ以外の面が見えてくると相手に対する不信感が生まれてしまいます。苦境や困難を共感できてこそ、チームは強くなれるのだろうと、面談を通して強く思いました。
加藤社長:ありがたいことにそう思っていただけて、2回目の面談の時点で、「一緒になるにあたって、こういう風に改善してみるのはどうでしょう?」などと、こちらからサラグレースさんへ提案もさせていただきました。すると、お二人がすぐに思いきって行動してくださり、その迅速な意思決定と実行力には驚かされました。3回目の面談では、もうお互いの意思が固まっていて、成約に向けて進んでいる状況になっていました。
黒川専務:M&Aの契約時にはいろんな財務関係の資料が必要となりますが、それらは企業として当然揃えておくべき資料がベースとなるものでしたし、コロナ禍前の最初にM&Aを検討し始めたときに用意していた資料の数々が、今振り返ると財産になっていました。早くから対策を講じていましたし、当時の資料にある程度手を加えるくらいだったので、資料準備の量は多いながらも滞りなく進められたと思います。
黒川社長:私の場合は、何か少しでも相談したいことがあれば、すぐfundbookのアドバイザーさんに電話をさせてもらっていました。すごく丁寧に話を聞いてくださって、的確にアドバイスもくださったので、そういうサポートもあってスムーズに進められました。

黒川社長:最初に検討を始めてからの道のりは長かったので、ようやくニッシンイクス様と一緒になれてとても嬉しかったですし、ほっとしました。会社を経営していると、やはりつらいことや不安に苛まれることもたくさんあります。今までは私たち夫婦だけで思い悩むばかりで、喜びも悲しみも二人だけで受け止めてきましたが、これからはグループの経営者同士で一緒に分かち合い、次に向かっていけるという、希望のようなものを久しぶりに感じることができました。
黒川専務:私の一番の気持ちは、「孤独からの解放」でした。よく「経営者は孤独だ」と言われますが、私も本当にそう感じていて、自分の中だけでいろんなことを考えては、出ない答えを一生懸命導き出そうとしている状態がずっと続いていました。そのなかで相談相手として浮かぶのはまず金融機関なのですが、やはり共感の度合いにはどうしても限界があります。
ニッシンイクスさんとのM&Aが成約したときは、孤独を共感・共有してくれて、一緒に解決していけるパートナーができた喜びが大きかったです。
黒川専務:本社、物流センター、店舗など拠点が多くあるため、バラバラに伝える形にはなりましたが、皆一様にすごく前向きに受け取っていました。社長が年齢を重ねていってもし倒れたりすることがあったら、この会社はどうなっていくのだろうか、後継者はどうなるのだろうかという不安は、皆の中にも少なからずあったのだそうです。また、コロナ禍後に私たち二人が苦しんでいる姿も、それぞれの部署が見ていましたから。
ある店舗の店長にM&Aの感想を聞いたら、「ますますやる気が出ました!もっともっと頑張るので、黒川さんも期待していてください!」と言ってくれて。ほかの皆もそういう反応を示してくれました。
黒川社長:本社の従業員にも、M&Aをどう思ったのか聞いてみると、逆に「早織さんはどうですか?気持ちが楽になりましたか?」と言われたんです。「楽になったし、すごく嬉しかった」と答えると、「私は早織さんの気持ちが楽になったことがすごく嬉しい」と言ってくれて、思わず涙が出てしまいました。従業員の皆には心配をかけていたんだなと思いましたね。
加藤会長:仲間が増えていくことは非常に嬉しいですし、すごく良い兆しを感じてなりませんでした。サラグレースさんの従業員の皆様の声を聞いて、当社としてもすごく頼もしく思いました。

加藤社長:根底にはやはり“衣食住”に対する私たちなりの思いがあります。それをいかに具現化していくかが大きなミッションとなっているので、それぞれの得意な分野と力を結集して広がりを見せていきたいです。そうした展望を踏まえて、やはりサラグレースさんは早織社長のイメージが強いブランドでいらっしゃるので、社長と専務には今後も変わらず会社のトップとして活躍していただきたく思っています。
ニッシンイクスは基本的にBtoBの会社ですが、最終的に使われるのはBtoCの一般のお客様です。当社はずっとブランドをどう訴求していこうかと悩ましく思っていた一方で、サラグレースさんはもともとBtoCに強く、ブランド力もあってお客様から選ばれています。それが私たちとしてはすごくうらやましく感じています。最終的に使うお客様から指名買いされることが一番のブランド力だと思っているので、ともに今までにないチャネルを築き、グループ全体の認知度やブランド力のさらなる向上を目指していきたいと考えています。
黒川専務:私たちも同じ思いです。サラグレースが取り扱う家具や食器などを購入されるお客様は、家のリフォームや新築をされているなど、手前でもっと大きなビジネスが動いているケースが少なくありません。ですが、私たちにはそれが全然見えなかったので、法人とのお取引を拡充させてどうにか手前の部分に進出したいと長らく考えていました。これまでも、住宅展示場や工務店などとお付き合いをしてきましたが、それもまだほんのごく一部に限られていました。
BtoBの業態であるニッシンイクスさんは、お客様がサラグレースで買い物をするより手前の大きなところを手掛けていらっしゃるので、協業することによって、当社としても早い段階からお客様に提案ができるようになるかもしれません。今まで取り逃してしまっていた家具販売の機会を、これからはしっかりと自分たちのものにできる可能性があると、すごく期待しています。
加藤会長:当社は全国の主要都市に拠点を構えていて、営業先の設計事務所やデザイン事務所などから、ホテル、住宅、施設等に関わる仕事をいただけています。今後はサラグレースさんの商品を提案してインテリアデザインを考えていただく案件なども、可能性としては十分あり得るので、もっとシナジーが発揮されていくだろうと思っています。
ほかにも、直近ではサラグレースさんで壁紙の取り扱いに挑戦する計画も立てており、日進月歩で協力体制が築かれています。
加藤社長:せっかく一緒になったからには、シナジーを創出し、最大化させていくことが重要です。当社はフローリング材や不燃の無垢を使った壁材などを取り扱っており、また、サラグレースさんは職人さんとの取り組みで、オリジナルの家具を製造販売しています。そういったお互いの強みを組み合わせることで、単に商品を売るだけではなく、「空間の提案」をする営業が実現できるのではないかという期待が膨らんでおり、まさに今、両社間ではそんな話し合いも重ねています。
内装のイメージだった当社が、グループの力でさらにその先のインテリアや家具を含めた空間が提案できるわけですから、今後がますます楽しみです。
黒川専務:私たちも楽しみです。当社は既製品の輸入販売から始まり、段階的にオリジナルの国産家具の受注生産も開始して、カスタムメイドにも力を入れてきました。そういったオリジナル性の高い製品や事業をもっと飛躍させたい思いは、今も強く持っています。ぜひこれからはパートナーであるニッシンイクスさんとともに、一気に爆発させていきたいと思っています。
黒川社長:本当に良いご縁があって、ニッシンイクスさんとご一緒させていただく機会をいただいたので、お互いに成長し合えるWin-Winの関係性をさらに発展させて、もっともっといろんなことにチャレンジしていきたいです。

株式会社サラグレース
取締役社長 黒川 早織氏
日本の社会は数多くの中小企業によって支えられていますが、その中で、私たちと同じく事業承継に悩んでいる経営者もたくさんいらっしゃると思います。また、日本の経済がどこか元気をなくしていると感じるときは、やはり企業同士が一緒になって強くならないと、厳しい局面が本当に多いと身をもって経験しました。
かつてはM&Aと聞くと、ネガティブなイメージを持たれる方が少なくなかったと思いますが、そんなことはありません。私たちのようにポジティブなM&Aを実現する企業は、今後さらに増えていくだろうと想像しています。
当社専務は、「M&Aは限界を突破する解決策だった」と言っていました。財務的にも、体力的にも、能力的にも、自分たちだけでは見つけられないものや乗り越えられないことは存在するものです。M&Aはそれらを突破する大きな解決策となり得るので、同じように壁に当たっている経営者がいれば、こういう方法もあるということをぜひ知ってほしいと思っています。

株式会社ニッシンイクス
代表取締役会長 加藤 洋氏
M&Aの考え方の一つに、「企業が厳しい競争を勝ち抜いていくための手段」が挙げられると思います。特に中小企業は1社だけで成長を最大化しようにもなかなか難しいですが、複数の企業がそれぞれの強みを持ち寄り、手を取り合うことで競争力を高めて成長していける。目指すべきM&Aは、そういう形だと私は考えてきました。グループの規模をただ大きく見せたいがためのM&Aではなく、一緒に成長しようと志を同じくする企業同士のM&Aが、お客様や社会からも求められているはずです。
当社はfundbookさんを通じて初めてM&Aを実施しましたが、これまでは広島の府中家具メーカーや塗装工場などと、協力会社として手を組んだ実績があります。家具で有名な地域でも撤退や廃業が相次いでいるなか、当社のお客様のオーダーを家具メーカーの職人さんの技術と品質で叶えてほしいと、互いに協力し合うことにしました。大手は塗装用の自動化ラインを持っている一方で、私たちは職人さんが手塗りでこだわりの色付けをしている。つまり、流行よりもこだわりを求めるお客様には、私たちが必要とされているわけです。
中小企業同士が互いの強みを生かしながら、手を取り合って生きていくことが一番いい方法であり、これからの時代ますます大事になってくるのではないかと思います。

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担当アドバイザー コメント
この度は、株式会社サラグレース様と株式会社ニッシンイクス様のM&Aご成約、誠におめでとうございます。両社が手を取り合い、新たなステージへと踏み出す瞬間に伴走できましたこと、アドバイザーとして大変光栄に存じます。
当社として2023年からご支援をさせていただきましたが、黒川社長と専務が後継者問題だけではなく、様々な外的要因に苦悩されながらも経営をされている姿を拝見し、私としても何とか良きパートナーを見つけたいと考えておりました。
そんな中、ニッシンイクス様は「楽しい暮らしを考える」という理念のもと、“衣食住”全般への事業展開を熱望されていました 。ニッシンイクス様が抱いていたインテリア事業への強い想いと、サラグレース様のブランド力が出会ったことは、まさに必然だったと感じております。
サラグレース様が持つBtoCにおける卓越したブランド力と、ニッシンイクス様が持つBtoBにおける盤石な事業基盤。両社の強みが掛け合わさることで実現する「空間の提案」は、これまでにない新たな価値をお客様に提供し、両社が互いに高め合い、人々の“衣食住”を豊かにするグループとしてさらなる飛躍を遂げられますことを、心より祈念申し上げます。