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「英語×ITでビジネスを加速する」をテーマに掲げ、2013年にEarth Technology株式会社を設立した元代表の谷川昭雄氏。語学力のあるIT未経験者にエンジニア教育を実施し、グローバルプロジェクトにアサイン。約300名のバイリンガルエンジニアが在籍するSES事業を展開してきました。
毎年、対前年比140〜150%ペースで売上高を伸ばし、将来的には上場も視野に入れ始めた2020年4月。fundbookを通じてCLSAキャピタルパートナーズジャパン株式会社へ株式譲渡を行いました。
「経営者としての成長」と「組織としてのさらなるステップアップ」を見据えての大きな決断でした。「経営者としての理想を追求する上でM&Aは最善の選択肢だった」と振り返る谷川氏。M&Aが持つ新しい可能性について、Earth Technology株式会社現社長の能代達也氏、CLSAキャピタルパートナーズジャパン株式会社(以下:CLSAキャピタルパートナーズ)マネージングディレクターの中俊二氏、アナリストの黒澤成樹氏を交えて、お話を伺いました。
谷川氏:もともと14歳の頃から経営者になりたいという夢を持っており、地元・北海道から上京しました。入社したのは、ソフトウエアの開発と人材サービスを手掛けている会社です。営業として大手通信会社への提案やエンジニアの採用・育成を手掛けていた頃、リーマン・ショックが起きました。200人ほどいた従業員はみんな解雇されていき、残ったのは社長とわずか数十名の社員と私だけという事態になったんです。
私はそのとき「これはチャンスだ」と思いました。もしこの会社を立て直すことができれば「起業したのも同然じゃないか」と。同時に景気が一気に停滞していく中で、唯一伸び続けているニーズがあることにも気づきました。それが語学力を持ったエンジニアです。これをきっかけに「英語×IT」に絞って戦略を全て切り替えたところ、急激に業績が伸び始め、組織も順調に拡大していきました。
ところが、今度は会社側からストップがかかることになったのです。またリーマン・ショックのようなことが起きた場合、リスクが大きくなりすぎるという理由からでした。もちろんその判断も理解できたのですが、私のもともとあった起業したいという夢と、このビジネスで社会に貢献していきたいという想いが強くなり、このタイミングで独立を決意しました。それが2013年のことです。
いざ会社を設立したものの、1人では厳しいことも多く一緒に働く仲間を集めることにしました。そこで、真っ先に声をかけたのが幼馴染の能代でした。東京にいることは知っていましたが、実は8年ぶりの再会。当時、美容師をしていました。「会社を作ったから一緒にやらないか」と誘ったら、驚くほどあっさり「いいよ」と快諾してくれて。しばらく会ってはいませんでしたが、相変わらず能代らしくて安心しました。それから2人でEarth Technologyを育ててきたのです。
谷川氏: 「勢い」です。もともと負けず嫌いなところがありまして、特に20代の頃は「早く成果を出して注目される存在になりたい」という気持ちが強く、会社の成長スピードはかなり意識していました。そのためにも私自身がアクセルを全開にして突き進み、開拓していく姿を見せるように心がけていました。
そんなビジョン型の私に対して、能代はロジックを立てて数字で話していくタイプ。ときにはヒートアップする私を見て、ストッパーになってくれたこともありました。今思えば、正反対な性格の2人だったからこそ、うまくバランスがとれていたのではと思います。
谷川氏:エンジニアの定着率です。語学力のある人がITスキルを身につけると、どの企業でも活躍できる人材になるわけです。すると、大手企業からのヘッドハンティングや縁故での紹介の声もかかりやすくなる。優秀なエンジニアを育てるのもミッションですが、活躍できるように支援するほどより良い条件の企業へと巣立っていってしまうジレンマがありました。
会社として、優秀な人材が長く活躍できる環境を整えられればよかったのですが、そのためにはさらに大きな組織になる必要があります。しかし、現状としてそこに投資するだけの余裕はなく、まだ企業規模として難しいのが現実でした。
谷川氏:2019年2月頃、fundbookをはじめ、いくつかのM&A仲介会社からご提案をいただきました。当初はすぐに進める気持ちはなく、選択肢の一つとして知っておこうという感覚で話を聞くことにしたんです。
複数あったM&A仲介会社からfundbookに興味を持ったのは、アドバイザーの方に泰然とした印象を感じたためです。他の仲介会社からは電話が頻繁にかかってきたのですが、fundbookからの連絡は数えるほどしかなく拍子抜けするほどでした。私も営業職出身なので、こちらのタイミングを待ってくれているのだと伝わってきました。お任せするなら相手を想えるゆとりのある方がいいと考え、11月頃に改めて「前向きにM&Aを検討したい」とこちらからご連絡をしたんです。
谷川氏:先ほど、経営者として「勢い」を大切にしていたというお話をしましたが、会社の成長率を担保しつつ組織を拡大させ、さらには上場を実現することを見据えたときに、経営者としての経験不足は否めませんでした。
この会社に関わる人たちの将来を「この人になら」と思える人に託し、私は新たに経営者としての勉強ができるフィールドに身を置きたいと考えるようになっていきました。それは決して諦めではなく、私が経営者としての理想を追求する上で最善の選択だと思ったのです。
そんな複雑な想いにもアドバイザーの方は寄り添いながら進めてくださり非常にありがたかったです。上場を視野に入れた譲渡先ということで、投資ファンドを中心にご紹介いただき、その中でCLSAキャピタルパートナーズさんとの出会いがありました。
これまでも中堅優良企業を中心に資金、経営人材、IPOのノウハウの支援を行ってきたこと、そして実際に投資先であるベイカレント・コンサルティング株式会社(ITコンサル事業)が東証一部上場を果たしていることなど、心強い情報はもちろんのこと、何よりもお会いしたときの中さんの人柄が「この人なら」と素直に思うことができました。
中氏:「成長性」と「安定性」です。まずは、これまで対前年比140〜150%のペースで売上高を拡大させ、順調に成長を続けてきた実績。そして「英語×IT」という人材の需要は、今後も安定して推移するものと考えています。
新型コロナウイルスの影響で、ほとんどの業態は影響を受けましたが、Earth Technologyさんのエンジニアは派遣契約期間が満了しても、ほとんどが継続して更新されています。今後、さらに社会がデジタル化していくことは明らかですし、コロナ禍が落ち着けばさらに急成長を見せてくれることでしょう。
我々は、投資ファンドなので常に投資先を探しております。fundbookのアドバイザーの方からEarth Technologyさんのお話を聞いた瞬間、ベイカレント・コンサルティングをご支援したときのノウハウが活用できると確信しました。ベイカレント・コンサルティングもずっと成長していた会社ですが、我々が投資したことでさらに成長曲線の角度を上げられました。ですので、Earth Technologyさんについても、もっといい会社にしていくことができると思い「すぐにやりましょう」とお返事を差し上げ、2019年末に谷川さん、能代さんとのご挨拶が叶いました。
谷川氏:「託すならこの人」という方には出会えたものの「やっぱりM&Aをする必要はないのではないか?」「いや、やっぱりやったほうがいい」……と、自問自答する日々が続きました。実際、年末の面談のあとに一度中断してもらい年明けに改めて話を進めましたが、やはり3月になって再度「やめたい」とアドバイザーの方にお願いしたくらいでした。
振り返れば、会社を創り育てるために人生を捧げた、といってもいいくらい自分の生活も思い出も全部会社ありきのものでした。大げさではなく、我が子といっても過言ではないこの会社を、本当に手放していいものかとギリギリまで迷いました。経営を続けながら新たな勉強をすることもできるかもしれないと思う自分と、共倒れしては意味がないと思う慎重な自分と……。
そんなとき、能代から長文のメールが届いたんです。いつもは短文でしかやりとりしない能代が、そのメールで自身が社長となって会社を守り、育てていく決意があることを語ってくれました。嬉しかったです。その文面は大事に保存しました。アドバイザーの方も中さんも、その間一切急かすことなく寄り添ってくれたのも助かりました。あの能代からのメールがなかったら、誰かの言動が一つでも異なっていたら、このM&Aはなかったと思います。
中氏:谷川さんの心境は当然のことだと思います。譲渡を直前にして気持ちがブレない経営者の方はいらっしゃいませんから。やはり大切にしていた会社への想いがあるほど、心が揺らぐものです。我々からすると、今回はむしろ順調だったという印象でした。それは、fundbookのアドバイザーの方とEarth Technologyさんが深く話し込まれていたからだと思います。M&Aは、誤解しながら進めていくと、途中で何度も転んでしまうもの。しかし今回は、立ち止まることはあっても、転ぶことはありませんでしたから。
能代氏:もしアドバイザーの方が違う方だったら、きっとこの展開にはなっていなかったと思います。谷川に対するメンタルのケアだけではなく、M&Aには必要書類の準備など物理的な作業もとても多く発生します。通常業務に支障がないように一生懸命サポートしてくださっているのが伝わってきました。
黒澤氏:能代さんが谷川さんに代わって社長に就任し、上場を見据えた体制を整えているところです。当社では投資をしてから100日間で管理部門の組織作り、月次活動報告などの経営状況をモニタリングできる体制作りは優先順位を上げて取り組んでいます。
今後は「英語×IT」の主力事業に加えて、2019年7月よりセールスフォース・ドットコムからコンサルティングパートナーとして認定されたセールスフォース事業を第二の事業として伸ばしていく予定です。
能代氏:経営課題でもあった、優秀なバイリンガルエンジニアの定着についても、長く活躍できるイメージが持てるようなキャリアパスの整備も進めているところです。海外での活躍を希望するエンジニアも多くいるため、CLSAのネットワークを活かすこともできるのではないかと考えています。離職することなく働き続けることによって、組織の規模も売上実績も、これまで以上に拡大していくのではないかと見込んでいます。
谷川氏:今、新たな会社を立ち上げているところです。社会に新しい職業を作るようなプロジェクトを進めています。改めてゼロからイチを築くフェーズに立ってみて、大変さが身に染みているところです。この第二子とも言える新しい会社の生みの苦しみは、経営者としての新たな挑戦、自分が望んだ勉強だと思っています。
託した会社の体制が変わり進化していく様子を見て、寂しさがないといったら嘘になります。しかし自分が作った会社が大きくなっていくことは、とても喜ばしいこと。こっちも負けてられないぞ、という刺激にもなります。一社だけではなく、二社三社といい会社を作っていくことができてこそ本物の経営者。このM&Aはゴールではなく、新しいスタートに他なりません。あのM&Aが「いい選択だった」と言えるようにするためにも、新たな道を突き進んでいきたいと思います。
Earth Technology株式会社
会長 谷川 昭雄氏
今回のM&Aでは、経営者として今後も成長していきたいと考えていた私も、Earth Technologyでこれからも頑張りたいという従業員たちも、それぞれが自分の道を迷いなく進むことができました。こんな新しい形のスタートを迎えることができて、大変嬉しく思っています。
M&Aを通じて気づかされたのは、自分が作った会社を、自分以外の誰かに託して成長させる手段もあるということ。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、創業者なら誰もが「自分じゃないとできない」と言うと思います。しかし、それは願望のような思い込みでした。会社を成長させる手段として、M&Aという選択肢にはマイナス要素はありません。もちろん、しっかりとした企業との出会いが大前提です。
最近では、利益目的のためにイグジットする若手経営者も増えてきていますが、ビジネスはどこまでも人ありき。数字だけで成立した関係性では、強い組織として進化させていくことは難しいものです。これから若手経営者が新たな成長機会としてM&Aを検討することが増えていくと思いますが、そのときには、M&Aをする目的を見失わないよう、寄り添い、そして冷静な相手選びをサポートしてくれるアドバイザーの存在はさらに大きくなっていくのではないでしょうか。
CLSAキャピタルパートナーズジャパン株式会社
マネージングディレクター 中 俊二氏
今回は、素晴らしい企業様をご紹介いただいてとても感謝しています。当社では主に中堅優良企業に特化して支援しています。Earth Technologyさんは、その安定性や成長性から、今後間違いなく成長曲線の角度を大きく上げることができると確信し、投資を決定しました。
近年ではM&Aに対するイメージもかなり変わってきました。以前は60〜70代の経営者が後継者不在をきっかけにM&Aを検討されるケースが大多数でした。しかし現在は、30〜40代経営者が「新しいビジネスに着手するために」という声が多くなってきたのを感じます。
当社としても、今後より多くの将来有望な経営者を、そして彼らが生み出した新たなビジネスの可能性を広げていきたいと考えています。そうした出会いの数々が、より明るい社会へと繋がっていくことを信じて。
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担当アドバイザーのコメント
Earth Technology様はITと英語をかけ合わせた独自性のあるビジネスモデルと、高い技術力を持った素晴らしい企業です。しかし、谷川会長は、より自社の事業を拡大し、従業員満足度を高めていくためには他社と協業して経営体制の再構築、仕組み作りが必要だと、課題をお持ちでした。
ご一緒になられたCLSAキャピタルパートナーズ様は、これまで数多くの企業をご支援され上場に導かれた、経営構築のプロフェッショナル企業です。谷川会長や能代社長、そして中様や黒澤様の人柄も含め、これほどM&Aのニーズが合致したお相手はいないと確信し、ご提案いたしました。ご両社が顔合わせした初回のご面談の際は、想定していた通り意気投合されていた様子で、私自身も今後のご両社の発展を期待し、胸を膨らませたのを覚えています。
ご成約に向けて取引を進めていた中、新型コロナウイルス感染症が発生したため影響を懸念しましたが、非常にスムーズに今回のご成約に至りました。現在も変わらず関係はご良好で、業績も堅調に推移されています。そして、高いモチベーションで働かれている従業員の皆様のお姿を拝見し、担当アドバイザーとしてとても嬉しく思います。
今後もご両社のノウハウが交わり、多くの相乗効果を発揮され、一層ご発展されていくことを祈念しています。