自社を譲渡したい方まずはM&Aアドバイザーに無料相談
相談料、着手金、企業価値算定無料、
お気軽にお問い合わせください
他社を譲受したい方まずはM&A案件情報を確認
fundbookが厳選した
優良譲渡M&A案件が検索できます
岡山県倉敷市で高齢者向けの配食サービスを展開する株式会社優食は、代表取締役社長の今城栄一郎氏と、取締役の今城はるみ氏のご夫婦で創業されました。自社製造かつ冷蔵で届く食事の質は自治体や施設からも大変な定評があり、お客様の日々の楽しみとなっています。
自社単体でも順調に事業を営んでいましたが、人手不足や後継者不在といった将来訪れるかもしれない課題の解決やさらなる成長の手段として、いずれはM&Aを行うことが有効だと気づいた今城栄一郎氏。そんなとき、給食事業者との成長を思い描いていた株式会社KOMPEITOと出会い、代表取締役CEOの渡邉瞬氏の人柄や熱意に心を打たれ、2025年10月にM&Aが成約しました。
「今すぐ」と考えていなかったM&Aを実施した背景には、どんなエピソードがあるのか。そして、夫婦二人三脚で育ててきた優食が、KOMPEITOとともに今後どう発展していくのか――。お三方から話を伺いました。


今城栄一郎氏:私は地元が倉敷市なのですが、大学進学で上京してそのまま東京で就職し、結婚後、夫婦共働きで暮らしていました。長男という理由から、両親から「いずれは地元に帰ってきてほしい」と言われていたなかで、父が体調を崩してしまい、30歳を過ぎた頃に妻と一緒に地元へ戻ってきたんです。
ただ、田舎に帰るとなると、仕事をまたゼロから探すことになりますし、都会ほど企業があふれているわけでもありません。とりあえず最初の1年ほどは、製造関連の会社でお世話になりました。そこは雰囲気が良い職場だったのですが、一生やりがいを持って続けられる仕事がもっとほかにもあるのではないかと思い始め、起業を考えるようになりました。
今城栄一郎氏:まずは家計を成り立たせることが大事だったので、フランチャイズのオーナーになれるところを探しました。フランチャイズであれば、すでにできあがった仕組みの上で業務が始められますから。
いろんな業種があるなかでも、私たちには高齢者向けの配食サービスが一番合っていると感じました。私は「経営者=口が立って営業能力が高い」と思っていて、自分自身はそれが苦手なので、一生懸命誠実に仕事をしたら伸びる事業を選びたいと思ったんです。この仕事は誠実さが求められるので、自分にも向いているなと感じ、33歳でフランチャイズオーナーになりました。当時は完成品の食事を受け取って個人のお宅にただ配っていくだけでしたが、その後創業する優食の原型はここにあります。

今城はるみ氏:まだ20代で何も分からずに、ただ「きっと大丈夫だ」と信じて倉敷に来ました。ですが、私は生まれも育ちも千葉県で、結婚するまではずっと親元にいましたし、仕事も辞めて、友人や親から遠く離れた場所への初めての移住だったので、寂しくて泣いたことは何度もありました。
それに、フランチャイズのオーナーになったときも子どもが生まれたばかりだったので、家族で力を合わせて年中無休で頑張ってきました。
今城栄一郎氏:私はそのときにすごく覚えていることがあって。サラリーマンを辞めて、子どもも生まれたばかりの状況で、どこかに就職するのではなくオーナーになるという、この先どうなるか分からないことを始めるなんて、普通は相当高いハードルがあると思います。でも、「そのくらいの借金だったら、別に失敗しても返せるから」と、妻が背中を押してくれたんです。創業支援金しか元手がないなかでも、その言葉で「じゃあ、やれるな」と思ったんです。
今城はるみ氏:大変ながらも、若かったので何とかやってこられました。

今城栄一郎氏:フランチャイズを始める前に、県内で先んじてオーナーになっていた方々のもとを訪ね回っては、実際にどんな仕事なのかとお話を伺っていたんです。そのうちの一人にすごく敏腕なオーナーさんがいらっしゃって、その方がフランチャイズから独立して、食事の調理から自社で手掛ける配食事業を立ち上げられたのです。その姿を見て、私たちも「やっぱり食事を作るところから自分たちでやりたいね」と、新たな目標を持つようになりました。
私たちも実質1年ほどでフランチャイズのオーナーを辞めて、その独立した元オーナーさんの会社から給食をもらって配送する仕事を3~4年間させていただいたんです。その間に、自社で食事を製造するノウハウなどを少しずつ学ばせていただきました。
ちょうど県内でも高齢者向け配食サービスが認知されだした頃で、隣の岡山市ではすでに始まっていた給食補助サービスを、ついに倉敷市も行政として始めることになり、その動きを見越して私たちも2002年に創業して5年後の2007年に、株式会社優食を設立しています。
今城栄一郎氏:そうなんです。倉敷市の高齢者等給食サービスが始まって20数年経つのですが、指定事業者の入れ替わりが起きているなか、当社は最初からずっと変わらず受託し続けています。今では50%以上のシェアとなっているんです。
今城栄一郎氏:食事を作ることが困難な方へ食事をお届けするサービスなので、皆様に喜んでいただけますし、命をつなぐ仕事ですから、このビジネス自体がものすごく社会貢献性が高いと言えます。そのなかで当社独自の強みを挙げるなら、やはり味へのこだわりです。
大規模に全国展開している配食サービスだと、どこかの工場で大量に調理して冷凍で各地へ届けざるを得なくなるので、どうしても味に限界が生じてしまうと思います。フランチャイズで冷凍の給食を配送していたときも、もちろんお客様に喜んでいただいていましたが、味へのご意見をいただくことがよくあり、質の高い手作りの食事をお届けしたい気持ちを強くしていました。
そんな思いから、当社では地元の新鮮素材を使った食事を、冷蔵のチルドパックとお弁当の2タイプで提供しています。他社と比べて原価は高いかもしれませんが、それでも味にこだわり続けてきました。
渡邉瞬氏:当社はオフィス向けに食の福利厚生サービス「OFFICE DE YASAI(オフィスで野菜)」などを展開しています。「OFFICE DE YASAI」は生産者の販路拡大とオフィスワーカーの健康支援を目的に、全国各地の新鮮野菜をサラダや惣菜にしてオフィスへお届けするサービスです。現在は中小企業を中心に、全国5,000社強にオフィスチャネルが広がっており、そのための配送・物流網も整備していることが強みとなっています。
渡邉瞬氏:確かに、社会課題の解決や、誰かの役に立ちたい思いが創業につながったことは、今城社長と共通しているかもしれません。
私は新卒で入社した会社でオペレーションコンサルタントとして勤務していて、3年目に新規で農業向けのコンサルティングサービスを作るチームに参画しました。そのときに色々な生産者の方々からお話を伺うと、皆様が「販路に困っている」という課題を口にされていたんです。農作物の流通経路は昔からあまり変化もなければ種類も多くないので、新しい流通モデルを作ったら面白いのではないかと考えました。
その後起業して、野菜のECサイトや八百屋を運営しては試行錯誤を繰り返していたところ、ある人から「米国のITベンチャーだと、社内にサラダバーを置いている事例もある」と、アドバイスをいただいたのです。それをヒントに、地方活性化と農業の新しいビジネスモデル、そして企業の健康経営に貢献する「OFFICE DE YASAI」が誕生しました。

今城栄一郎氏:以前より色々な会社から、電話やDMでM&Aの案内がよく来ていて、「一応、情報だけは知っておこう」程度の考えで、数社から話だけ聞いたことはありました。そんななかで、偶然fundbookさんからの連絡が私につながりました。そのときも情報収集のために来社してもらったところ、アドバイザーさんがすごく丁寧で良い印象を持てる方だったんです。ただ、当時の私はまだM&Aを自分ごととして考えていませんでした。
翌年に再度連絡をもらい、「あのfundbookさんだから、またお話を聞かせてもらおうかな」と思ってお会いすることにしました。今後の事業の希望などいろんな話をしているうちに、将来的に直面しそうな事業の課題がM&Aで解決でき、より大きな成長を実現できそうだと気づき始めたのです。それなら今を情報収集だけで終わらせるのではなく、将来然るべきタイミングでしっかり動けるための準備期間にしようと。まだ具体的な検討段階ではなかったものの、このときから何年後かの自分ごととして考えるようになったと思います。
今城栄一郎氏:「失われた30年」と言われるように、日本経済がずっと元気のない状態が続いているなか、特に地方は疲弊していると実感しています。長期的に見ると、人手不足は今後も顕著に厳しさを増すだろうと懸念するばかりです。一方で、国内企業の生産性にも課題が多く、高めていくためには事業や組織が小規模で分散しているより、大きな組織となって効率を上げていく戦略もあるという考えは、自分の頭の中にもありました。
それともう一つ、将来私が引退するときに後継者不在の可能性があることも、当社の課題だと思っていました。
なので、今すぐではなくとも、いずれは当社も何らかの形で他社と組む可能性はあるだろうなと。そう思っていたからこそ、以前から情報収集をしていたのです。fundbookさんと話して、M&Aという手法で課題解決と当社のさらなる成長を包括的に推進できそうだと、より理解できました。
今城栄一郎氏:時期の目安はだいたい5年後で考えていました。fundbookさんと話をしたとき、私は55歳でした。一般的にはM&Aが成約してから2~3年で引き継ぐケースが多いと聞きますし、前々から65歳での引退を考えていたので、60歳までは準備期間として焦る必要はないという気持ちでいました。
加えて、始動するための一番の条件は「良いお相手」でした。今の優食は順調であるものの、私は決して現状維持で満足しているわけではありません。倉敷市発のこのサービスを、全国や世界にも広げていきたいという思いはあります。65歳までの10年間で叶えられることが最大化する企業と出会えれば、M&Aに向けて動く理由になると考えていました。
今城栄一郎氏:良いお相手に出会うためにもまずは探さないといけないので、自分の経験のためにも、譲受を検討している企業と面談してみることにしたんです。すると、1社目との面談で、私のM&Aに対する価値観が変わりました。
従来のM&Aのイメージでは、同業の大手に吸収されるパターンが多いのだろうと思っていたのですが、でもそれでは面白くないなと。それに、都会を知ったうえで地元に戻ってくると、やはり活気が落ちているところも見えていたので、地元を盛り上げたいという思いが強く、そんな経緯から最初に近隣のエリアである広島の企業と面談しました。
その企業とはM&Aの成約まで進まなかったのですが、相手の社長も「地方を盛り上げたい」と仰っていて、「こういう考えのM&Aもあるんだ」と思えたことが、本格始動した理由として大きかったように思います。

渡邉瞬氏:当社の基幹事業が中小企業向けの設置型社食事業なので、元々は首都圏を中心に営業を展開していたところ、コロナ禍で都市部の出社率が激減し、従来の取引先の売上が減少してしまいました。その一方で、地方での需要が伸びてきたんです。さらに今度はアフターコロナでの変化も起きました。都市部のオフィスにも人が戻ってきたものの、リモートワークの普及でコロナ禍前ほどの出社率には至っていないことから、「オフィスに入っていた給食事業者が撤退して困っている」という問い合わせがすごく増えたのです。
ただ、当社のサービスは比較的小規模な事業所向けに最適化されているため、中規模~大規模のオフィスにはフィットしきらないことが課題でした。この課題にアプローチするためには、自社でゼロからサービスを立ち上げるより、給食事業に長けた事業者と組んで互いの相乗効果を高めたほうがいいだろうと。そうした経緯が今回のM&Aのスタートラインになりました。
渡邉瞬氏:給食事業のマーケットを見ると、お客様先でオフィスが占める割合もそれなりに高いのですが、それ以上に高齢者施設に対してサービスを提供している割合が高いと分かりました。なので、社員食堂を運営している事業者に限らず、高齢者施設向けに給食サービスを展開している事業者も、一緒に組みたいお相手だと捉えていました。
そのなかで希望を挙げると、まず、当社が製造部門を持っていないため、自社で製造している事業者に出会えればありがたいと考えていました。加えて、事業の収益性も良く、できれば配送も自社で行っている事業者であれば、これ以上ないベストなお相手だと思っていました。
渡邉瞬氏:そうなんです。当社でM&Aを主体となって担当しているメンバーが全国の給食事業者を調べていたのですが、これほどの条件を兼ね備えている企業はほぼなく、非常に数少ない希望のお相手として、仲介を受ける少し前から私たちも優食さんを存じ上げていました。
優食さんとのM&Aを望んでいたところ、当社とfundbookさんがつながりを持ち、仲介を依頼することになりました。
渡邉瞬氏:一言でいうと、仕事に対してすごく真面目な方だと思いました。今城社長の全ての言動から、そう伝わってきました。

今城栄一郎氏:私としては東京から優秀な方が3名も来られていると思うと、「こちらから伝えるべきことはちゃんと伝えなければ」と、話すことに一生懸命で、会話の内容の詳細はあまり覚えていなくて。ただ、面談前から渡邉社長にお会いできることをすごく楽しみにしていました。
初回の面談はfundbookさんの大阪オフィスで行ったのですが、岡山から向かう道中で、アドバイザーさんから送ってもらった渡邉社長のコラムを読んでいたんです。そこにはKOMPEITOさんの創業から経験してきた数々のご苦労、そして会社が成長していくまでが綴られていて、ものすごく感動したことを覚えています。
私自身が、事業を立ち上げてから大変な思いもたくさん経験してきたわけで、渡邉社長は今まさに私以上の激闘を繰り広げられていらっしゃいます。勝負に挑む姿がコラムから見て取れて、「かっこいい生き方だな」と、心に響きました。私も誰かに媚びるのではなく、自分の理想を貫いていきたいと思ってきましたし、渡邉社長もそんな生き方を実践されていますから。実際にお会いしたときは、イメージそのままの方だという印象が残っています。
今城栄一郎氏:65歳までは一緒に歩むことになるわけなので、できれば苦労や喜びを共感し合える創業社長がお相手ならいいなと思っていました。渡邉社長はその通りの方でしたし、KOMPEITOさんも今を生きている会社さんだと思い、すごく魅力を感じました。
KOMPEITOさんとお会いしてすぐに直感的な安心感を覚えましたし、KOMPEITOの皆さんの感性やオフィスも雰囲気も全てが新しくて、私たちに良い刺激をもたらせていただけそうだという期待も膨らみました。
今城栄一郎氏:渡邉社長からの提案で、KOMPEITOさんが委託している広島県内の製造工場と配送センター、それからお客様先を一緒に訪問させていただくツアーの機会をいただいたんです。お忙しいにもかかわらず、丸一日かけて渡邉社長自らの運転で案内してくださり、なおかつ東京ではなく当社の近場でツアーをセットしていただいたので、その行動力に大きな衝撃を受けました。
渡邉瞬氏:やはり現場を見て生の声を聞いていただけると、一番ご理解いただけると思います。当社のサービスや私自身をよく知っていただいたうえで決めてくださればと思っていたので、2回目の面談で自然と「ぜひ見に来てください」とご提案しました。当日はツアーの中で色々なお話で盛り上がり、私も今城社長のお人柄を深く知れる良い機会になりました。
今城栄一郎氏:KOMPEITOさんのお客様のお話から、演出のないリアルな姿が見えてすごく良かったです。表面的な良い面ばかりをひたすらアピールされるより、一緒に各所を回って素のままのKOMPEITOさんと渡邉社長が見られたことで、余計に「良いお相手だ」と確信に変わりました。fundbookのアドバイザーさんも同行してくれて、3人で和気あいあいと一気に親睦が深められた日になりましたね。
今城はるみ氏:広島での渡邉社長とのツアーの前には、社長からM&Aをしたい意向を聞いていました。ただ、その頃私はまだKOMPEITOさんとお会いしていなかったこともあり、「まだ早いと思う」と率直な気持ちを伝えていました。確かに、この先の後継者がいないかもしれないし、色々と大変なことはあるけど、もう少し自分たちで頑張っていこうと思っていたので。
当時の私は「M&A=会社が人のものになる」という考えがあったため、まだそんな時期じゃないという気持ちが強かったのかもしれません。

今城はるみ氏:社長の話を聞いているうちに、私の中にあるM&Aの知識が全てではないと知りました。KOMPEITOさんとのM&Aは、会社がもっと発展していくための前向きな話なのだと。これからも会社を伸ばしていくには、自分たちだけではなく一緒に力を合わせてくれる企業が必要であることや、従業員の待遇ももっと良くなるといったことを、社長から説明を受けました。
そのうえ、「渡邉社長は本当にいい経営者だから、一緒にやっていきたいんだ」と熱弁するものですから、元々はM&Aに反対の立場だったのですが、少し気持ちが前向きに変化していました。
今城栄一郎氏:やはり二人で創業した優食なので、100%反対されている状況を押しきってまでM&Aはできないと考えていました。それで、一旦M&Aの話は止めようかと思ったこともあったのですが、渡邉社長とのツアーの直前に「(M&Aの意思決定は)任せるよ」と言ってくれて。このときにまだ完全に反対のままだったら、ツアーに行ってもお断りしていたと思います。
今城はるみ氏:広島から帰ってきたら「(M&Aをすると)決めてきた」と言われてびっくりしました。でも、KOMPEITOさんは社長の言っていた通りの会社さんでした。私が渡邉社長にお会いしたのは最後の面談の後だったのですが、本当に魅力があって、人柄も素晴らしいなと思いました。私たちにすごく丁寧に接してくださって、とてもありがたく思っています。
正直なところ、M&Aが成約する直前まで私の心は揺れていました。M&Aが嫌だというよりは、やっぱり何か寂しいような感情があったので。ですが、10月1日の成約日を迎えたときはもうスッキリして「良い日を迎えられたな」と思いましたし、今はすごく前向きで楽しみな気持ちです。
渡邉瞬氏:実は、広島でのツアーは当初の予定より2週間ほど遅れて実施させていただいたんです。今、当社は海外でのサービス展開を始めているのですが、ツアーの直前に現地で少しトラブルが発生して、急遽出張しなければならなくなりまして。
ですが、そのトラブルも無事解決しましたし、延期していなければ奥様も反対のままで優食さんとグループになれていなかったかもしれないと思うと、いろんな巡り合わせを感じますね。
今城栄一郎氏:ツアーの車内で、海外出張の話を聞けたことも嬉しかったです。現在進行形で試行錯誤しながら事業を作り上げている会社はすごく魅力的で、守りに入らず前進する姿勢がやっぱりかっこいいなと思って聞いていました。

今城はるみ氏:何人かに聞いたところ、特に何か言われるわけではないものの、戸惑いは感じている様子でした。ですが、なかには「OFFICE DE YASAI」を知っている人もいましたし、KOMPEITOさんのホームページを共有すると、「なんだか面白そう」という反応も寄せられました。
渡邉瞬氏:私からはまず、当社の社名の意味や創業経緯などの自己紹介をさせていただきました。その後、今回のM&Aは一般的に想像されるような支配関係の親子会社ではなく、KOMPEITOも優食さんのノウハウを勉強させていただく立場であり、一緒に協力し合うスタンスだということもお伝えしました。
ありがたいことに皆さんがすごく真面目に話を聞いてくださって、やっぱり真面目な経営者のもとには真面目な従業員さんが集まるのだなという印象を強く受けましたね。
渡邉瞬氏:もしもうまくいっていない部分があれば改善しなければなりませんが、優食さんはずっと成果を出し続けられているので、かえって私たちが足を引っ張ることがあってはいけないなと。そのうえで、お互いの強みを理解し合い、実現したい未来を話し合いながら、より良い方向へ進化していきたいと考えています。
優食さんの既存のお客様や従業員の皆さん、そして創業者のお二方から、「グループになってよかったな」と言っていただけるように、より一層頑張っていくことが当社の務めだと考えています。
渡邉瞬氏:優食さんは高齢者の個人と施設向けに、自社で食事を作ってお届けするノウハウを長年にわたり培われてきました。そのノウハウをKOMPEITOが勉強させていただき、オフィス向けのサービスに転用できればと思いますし、逆に当社の強みであるオフィスチャネルやマーケティングなどを、ぜひ優食さんに活用していただければと思っています。また、今城社長が懸念として挙げられていた人材確保においても、グループで協力して採用強化等を図っていく考えです。
今城栄一郎氏:その期待は大きいです。これまでのステージは、売上を伸ばしていくことに重点を置けばよかったのですが、今は次なる成長に向けて課題とリスクを解消していくステージにあります。やはりここ数年は物価も高騰していれば、地方の人手不足は特に深刻化していて、その不安は従業員もどことなく感じていたはずです。
人が足りないのに仕事が増えても不満が募るだけなので、まずは皆が安心して働ける体制を目指し、安定した先で全員が事業の成長を喜べる会社へとステップアップしていきたいと思っています。
今城栄一郎氏:世間ではまだM&Aに対する誤解も少なくないと思うので、せっかくなら良い見本になる成功事例を作っていきたいです。M&A成約から2~3年で引き継ぐのではなく、もっと長い期間伴走するなんて、「会社同士、経営者同士がうまくいくのか」「リスクが多いのでは」と思われるかもしれません。そういったネガティブな考えを、私は覆していきたい。その気持ちが一番大きいです。KOMPEITOさんとの相性は必ずや良いはずで、生産性も向上すると確信を持っています。
一方で、「KOMPEITOさんから期待されたものをしっかり提供できるのだろうか?」と思うこともあります。ですが、役に立てるように、そしてグループのサービスや成功事例を全国に広げていけるように、これからも頑張ってきたいと心から思っています。
今城はるみ氏:私も「当社に何ができるのか?」という思いはあります。でも、従業員も皆が必ず良くなっていくと信じているので、今できることから一歩一歩進めていきたいです。
成約日まではマリッジブルーのような感覚がありましたが、KOMPEITOさんと一緒に歩み始めた今は、グループのお役に立ちたいという思いを強くしています。優食の皆にも喜んでもらえる進展を遂げられるよう、頑張っていきたいです。

株式会社優食
代表取締役社長 今城 栄一郎氏
日本経済が再生するために、M&Aが有力かつ有効な手段の一つになると私は考えています。ただ、日本ではまだまだ過渡期にあるのか、M&Aのネガティブな事例ばかりが目立って、世間の誤解や不安は解消しきれていません。私の周りも当社がM&Aをする前は「若いのに、もう引退するのか」といった否定的な意見や、心配する声がほとんどでした。そうではなく、ほかの企業と一緒になって発展していくケースも確かにあると分かったからこそ、当社は今に至れています。今回、自分の中の概念や価値観が変わったことは、とてもありがたかったです。
M&Aはお金が絡むイメージや、「売った/買った」の思考にとらわれがちですが、的確な見方と認識を持てば、会社の未来を考えるときの意識や目線も大きく変わってくると思います。M&Aについて、私はこうしていつもポジティブに話しているものですから、成約後は多くの方に「よかったね」と言っていただきました。
M&Aの成功事例によって、国内の1社でも多くが、そして経済全体が豊かになることを願っています。

株式会社KOMPEITO
代表取締役CEO 渡邉 瞬氏
当社は2024年秋に牛乳等の宅配事業者とのM&Aを実施したのですが、その企業は1年以内で本業の牛乳販売事業の売上が拡大し、当社が持つオフィスチャネルに向けてのデリバリーも内製化できているため、両社で収益性が高められました。1社単体で運営していると収益性に限界があるような事業も、複数の企業が統合して相乗効果を創出することで、売上拡大と利益構造の改善が図れるケースは決して少なくないと思います。
今の日本には、世界中から優れた外資系サービスがたくさん入ってきています。それが良いか悪いかは別にしても、国内の企業やサービスが飲み込まれたり、追いやられたりしてしまう状況には、大きな懸念を抱かざるを得ません。加えて、高齢化が進むなかで「黒字倒産」や「人手不足倒産」が増えていることも、見過ごしてはいけない課題だと感じます。
単独で何とかしようとするのではなく、相性のいい事業同士が一緒になって、収益性の高い事業モデルを作り上げていくことが、今こそより重要になっているのではないかと私は思っています。

相談料、着手金、企業価値算定無料、
お気軽にお問い合わせください
fundbookが厳選した
優良譲渡M&A案件が検索できます
担当アドバイザー コメント
この度は、担当アドバイザーとして両社のご縁をつなぐことができ、大変光栄に思います。ご成約、誠におめでとうございます。
岡山県倉敷市を拠点に高齢者配食事業を展開する優食様は、堅調に成長されていた一方で、将来を見据えた際の経営課題に向き合われ、「解決と成長を同時に実現する手段」としてM&Aをご選択されました。
ご支援の過程では、今城社長、はるみ様にとって大きな決断を迫る局面も多く、ご負担をおかけする場面もありましたが、「優食の味を全国に届けたい」「従業員の皆さまの働く環境をより良くしたい」という強い想いが一貫していたことが特に印象的でした。
譲受企業であるKOMPEITO様は、渡邉社長を中心に“OFFICE DE YASAI”などの健康社食サービスを手掛ける成長企業であり、近隣領域への事業拡大を目的に積極的にM&Aを検討されていました。特に高齢者施設向けに給食サービスを展開するパートナーとの出会いを求められていた中で、優食様とのマッチングはまさに理想的なご縁であったと感じています。
初めて両社が顔を合わせた時から、双方のビジョンが自然と重なり合い、確かなシナジーの芽生えを間近で感じておりました。今回のご成約が、両社のさらなる飛躍に繋がることを心より願っております。