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国内のEC市場がまだ黎明期だった2000年から、営業コンサルとしてEC事業者を支援してきた岩井淳行氏。働きやすさを叶えながらEC業界に貢献する企業を目指し、2004年に株式会社エスアイアソシエイツを創業しました。独自のECサイト構築システムとECサイト運用代行サービスを強みに多くの顧客企業を支えてきましたが、一方で、オーナー企業のままどれだけ将来性のある事業を展開できるかという考えは、年々深まっていたと言います。
他社と提携する道を模索していたところ、北関東と埼玉県を中心に地域活性化に尽力するケーブルテレビ株式会社と出会い、2025年6月にM&Aが成約。EC分野に強みを持つIT企業と連携し、ひいては地域DXと地方創生の事例を全国に広めたいと考えるケーブルテレビの熱意を、岩井氏は一瞬にして理解できたのだそうです。
両社がどのような経緯でM&Aを実施し、グループでどのような未来を実現しようとしているのか、岩井氏とケーブルテレビの代表取締役社長・髙田光浩氏にお話を伺いました。
岩井氏:大学で電気工学科に通っていた私は、新卒でコンピューターの専門商社に入社し、ハードウェアのエンジニアとしてキャリアをスタートしました。ただ、私はかねてから営業職を希望しており、海外志向も強かったので、後に海外製品を取り扱う営業部署へ異動することになったのです。念願叶って一人で海外出張にも行く日々を過ごしていました。
その会社は東証2部から1部へと鞍替えをし、会社を成長させようという方針が強まっていました。しかし、一方では旧態依然の体質がまだ残っていて、若手が「もっとこうしたい」と意見を出してもなかなか通りにくい環境に、私は少し行き詰まりを感じるようになっていました。そんなときに、趣味で続けていたサッカーチームの先輩が、ECのパッケージベンダー会社に転職されて、私も誘ってくださったんです。先輩の人間性には魅力を感じていたので、「この人が誘ってくれるのであれば」と心を決め、2000年7月に転職しました。
岩井氏:私もそれまでECなんて聞いたこともなかったのですが、自分なりにECについて調べてみると、アメリカではすでにネットでモノを買う時代になっていて、そのうち日本でも数兆円の市場規模になるといった予測を色々な記事で目にしたんです。ホームページ制作だけでも数百万円かかる時代だったので、新しい業界に踏み入れるのも当然多少の不安はありましたが、「大手企業でニッチな市場向けの製品を販売する今の仕事よりも、将来的にどんどん大きくなるであろうEC市場に賭けてみてもいいのかな」と。そう思ってEC業界に飛び込みました。
実際に入社してみると、大手コンピューターメーカーやSI企業などから「ECについて教えてほしい」といった依頼がたくさん寄せられていて、市場も会社もものすごく伸びている様子が肌身で感じられました。それに、従業員も30代前半の若手が中心の会社だったので皆の士気が高く、私もすごくやりがいを持って仕事ができていました。

岩井氏:2000年代前半はEC業界自体が未成熟だったので、私がいたパッケージベンダー会社ですら、ECの運営や収益の上げ方に関するノウハウは十分とは言えませんでした。そのため、案件は次々と舞い込んでくるものの、その分クライアント企業から「もっとこういう機能が必要だ」といった要望も立て込んで、どれだけ働いても全然仕事が終わらない日が数年続いたんです。
そのときに、もし経営者がスタッフの知見の強化に力を入れてくれれば現場も納得できたのでしょうが、どちらかというと株価やネームバリューの向上に目が向いてばかりだったのです。現場視点に立った経営があまり見受けられない状況に、営業もエンジニアも徐々に疲弊していっていました。
そんなある日、私とエンジニアの3人で食事をしていると、「だったら、自分たちで会社をやってみても面白いかもね」と冗談交じりにも話が盛り上がったんです。それがきっかけとなり、2004年2月20日にエスアイアソシエイツを設立しました。社名の“S”“I”“A”はその3人の名前の頭文字であり、また、「お客様と目線を合わせながらシステムを提供するシステムインテグレーション(SI)の集合体」という意味も込められています。
岩井氏:もちろん、創業メンバーだけでスタートした頃は夜遅くまで働く日もありましたが、ここで働いてくれているエンジニアやスタッフがどう幸せになるかを考えるために、前職とは違う経営視点で創業したつもりです。まだまだ実現していかなければいけない部分はありますが、頭の片隅では常に働き方やスタッフの幸せを意識して経営を続けてきたと思っています。
岩井氏:当社は2010年頃から、ECサイト構築システム「EverCart」を提供しています。このプラットフォームはECの開発で必要な機能を数多く搭載しており、それらをお客様の要件に応じて適用できるため、少人数かつ短納期で、品質が担保された開発を実現できることが強みとなっています。
それともう一つ、ECの開発だけでなく、ECの運用代行サービス「ショップアシスト」を提供していることも当社の強みです。売り上げ拡大やコスト削減など、お客様がEC運用で抱える課題を解決するサービスで、「EverCart」と「ショップアシスト」の2本柱により、EC事業を一気通貫で丸ごとサポートできる体制を築き上げています。
髙田氏:当社は1987年に栃木ケーブルテレビ株式会社の社名で設立し、1991年からケーブルテレビ事業をスタートしました。私は、第1期社員として同年に入社しています。
ケーブルテレビ事業を手掛ける会社は、1990年頃から全国各地で地元の方々が中心となって次々と立ち上げられ、大きな動きを作り出しました。当初はテレビサービスだけで始まった当社も、今ではインターネットや固定電話・スマートフォン、電力販売など、展開する事業は多岐にわたります。
また、サービスを提供する対象も、従来は個人・家庭のBtoCがメインでしたが、地域活性化をめざす会社として、現在は企業向けのBtoBや、行政向けのBtoGにも力を入れており、地元の企業や行政のDX推進にも取り組んでいるところです。

髙田氏:ケーブルテレビ業界自体が、事業の多角化に舵を切ってきています。当社も有線テレビから始まり、放送インフラ、通信インフラ、電力インフラへと、地域の皆様に役立つ事業を拡大させてきました。
IPによる映像配信の登場で、ネットさえつながっていればいろんなコンテンツが見られる環境になりましたし、若い人のテレビ離れも叫ばれる今は、テレビ事業だけでこれまで通りの収益を上げることは難しい時代になっています。当社も以前までは、テレビ、固定電話、インターネットの3つが事業の柱となっていましたが、そのうちのインターネット以外はすでに厳しい時代を迎えています。
インターネット事業も、お客様を増やせる状況にはありますが、常に超大手通信事業者との競争になってしまいます。その中でお客様から選ばれるために、地域サービスをどんどん取り込んで差別化を図ろうとしています。
髙田氏:当社はもっと地域のために何かできないかと常に考えて事業を拡大してきました。BtoG(Business to Government:国や地方自治体などの行政機関を相手に、商品やサービスを提供するビジネスモデル)に関しても、行政は限られた人員と予算の中で住民サービスをより高めていかなければならず、地域DXを進めようとする動きが非常に活発化しています。私たちは大手企業よりも地域課題をよく分かっているつもりですので、一緒に解決していこうと、行政のお手伝いを積極化させているところです。
岩井氏:もっとお客様や従業員の数を増やして売り上げも拡大させたいという意思は以前からありました。しかしそんな中でコロナ禍に突入してしまい、2年間で退職者が相次いでしまったのです。お客様は減らなかったのですが、これ以上コロナ禍が影響してスタッフの減少に歯止めがかからなくなると、今いるお客様にも迷惑がかかってしまう。そういう不安が大きくのしかかっていました。
また、これまでオーナー企業として経営を続けてきましたが、私も歳を取っていくわけで、何年後かには会社が自助的に成長できる力を付けておきたいという考えも持つようになりました。「このままオーナー経営を続けたとして、福利厚生や給与で思い切ったことができるだろうか」「スタッフにどれだけ未来を見せてあげられるのだろうか」と。私一人では限界があっても、資本提携やM&Aで力のある会社と手を組めば、人材確保や販路拡大の可能性は広がっていくだろうと思い、2024年から本格的に動き始めました。
岩井氏:当社は「ウェブを通じて事業再生・発展を目指し、日本を熱く元気にする」という使命を掲げているのですが、同じ使命感を持つ企業でないとM&Aは難しいと思っていました。M&A後にこれまでとはまったく違う方向性が示されると、従業員のストレスになってしまうため、使命や方向性は重視しました。
また、もし同業社の場合は、「EverCart」などの強みが活用されずに、人と能力だけが必要とされる懸念もあったため、使命が似ていたとしても特に慎重に検討すべきと考えていました。当社が20年かけて作り上げてきた資産を活用したうえで、シナジーが創出できる企業であること。これも譲れない条件でした。
そういう視点で相手探しをしていたところ、fundbookさんから地域の事業再生や発展に尽力されているケーブルテレビさんを紹介いただき、当社にすごくぴったりな企業に巡り合えたと思いましたね。

髙田氏:私たちの拠点である4県(栃木・群馬・茨城・埼玉)の企業や商店も、コロナ禍で大変な思いをされていました。当社もなんとか応援したいとの思いから、地域のお店やグルメ、観光スポット、イベントなどを紹介する地域応援サイト「ふらっとろーかる」を立ち上げたんです。この「ふらっとろーかる」は、当社だけのサイトとしておらず、全国のケーブルテレビ事業者がオープンに使っていただけるようにしています。全国に広がっていけば、「ふらっとろーかる」を見に来る人もより一層増えるだろうと考えたからです。
ただ、現時点の「ふらっとろーかる」は、自分たちでホームページを開けないようなお店や企業を紹介するレベルにとどまってしまっています。「もっとお店や企業の方々の売り上げにつながるサイトにするためには、やはりECの機能が必要だ」という考えが私の中で膨らんでいったんです。
今の当社がシステム開発能力を持っているわけではありません。ですが、いずれは自社でIT領域も強化して、全国のケーブルテレビ事業者の中でも地域DXを推進する先駆者的な存在になり、「ふらっとろーかる」に限らず私たちのシステムをどんどん活用していただきたいとの目標も前々から掲げていました。こうした理由から、「ふらっとろーかる」の拡張性を高め、さらには地域DXも一緒に進めていただけるIT企業とM&Aができればと考えるようになりました。
髙田氏:エスアイアソシエイツさんはまさしくECに強みを持つIT企業でいらっしゃるので、まさに理想のお相手に出会えたと思いました。
「一番苦しかったコロナ禍が過ぎた後も、販売拠点を地元に置いているだけでは商売が伸び悩んでしまっている。とは言え、大手ECサイトに出店するにも手数料がハードルになってしまう――」そんな悩みを持つ地域のお店も少なくありません。エスアイアソシエイツさんと当社が組むことで、地域の企業の方々に本当に寄り添った形の特別なECサイトが展開できるのではないかと、期待が高まりました。
エスアイアソシエイツさんはサイト構築にとどまらず、お客様企業の課題解決や売上拡大まで支援されていますが、これはケーブルテレビ事業者が地元で行っていることと同じなんです。エスアイアソシエイツさんと、当社と、地元のお店・企業の方々とで、良い関係性が構築できるはずだと確信し、ぜひこのM&Aを成功させなければいけないという思いになりました。
岩井氏:実は以前、某大手ケーブルテレビ事業者と仕事上のお付き合いがあったのですが、地域DXなどの深いところまでお話を伺ったことがなかったので、まずはケーブルテレビさんがどれだけ当社を必要としてくださっているのか、面談でお聞きしたいと思っていました。
初回はオンラインでの面談だったのですが、会社紹介だけでなく、「ふらっとろーかる」や地域DXについてもしっかり資料を作ってご説明いただいたので、すぐに理解が深まり、丁寧な姿勢もすごく伝わってきました。
髙田氏:私たちがどんな会社で何を目指しているのか、そのためにエスアイアソシエイツさんをいかに必要としているか、そしてこれからお互いにどういう関係が築いていけるのか――といったことお伝えしたく、エスアイアソシエイツさんのホームページを見ながら資料を作成しました。
岩井氏:面談や会食の中で、髙田社長や役員の方が本当に実直に話をしてくださったんです。お会いするまでは、「こういうことはできるのか?」などといった当社に対する質問をたくさんされると思っていたのですが、逆にケーブルテレビさん側から事業や展望を丁寧に教えていただく場になりましたね。
髙田氏:岩井社長は立派な企業をつくってこられた方ですから、細かく問答しなくても、少し対話しただけでお人柄は十分伝わってきました。
岩井氏:「EverCart」や「ショップアシスト」をこれまで通り継続していけることや、今いるお客様とも変わらずお付き合いを続けていけることはすごく大きな決め手になりました。現にM&A後も従業員の仕事は基本的に変わっていないので、誰にもストレスなく無事成約できたと思っています。
髙田氏:エスアイアソシエイツさんには、これまでに培ってきた顧客基盤を大事にしていただきながら、私たちケーブルテレビ事業者だからこそ提供できる新たな顧客基盤も、これから築いていっていただきたいと願っています。

髙田氏:エスアイアソシエイツさんの手掛けている事業を待っている方々は、全国各地にかなりの数でいらっしゃるはずです。ただ、エスアイアソシエイツさんが単独で全国の企業に直接営業して回ることは当然難しく、これまではホームページ等を見たお客様から依頼に来るケースがほとんどだったと思います。そこを今度は、地域に根差した私たちケーブルテレビ事業者が「エスアイアソシエイツにはこんなサービスがあるので、使ってみませんか?」と提案していける。そんな構想を思い描いています。
エスアイアソシエイツさんと地域のお店・企業との間を取り持つお手伝いをケーブルテレビ事業者が実施し、サービス活用の輪がどんどん広がっていく未来が私には見えています。両社がしっかりと協力することで地域が活性化し、さらにはこの取り組みが全国のケーブルテレビ事業者へと横展開されていけば、ケーブルテレビ業界もまた活性化するだろうと考えています。
全国各地のケーブルテレビ事業者が私たちのサービスを使っていただければ、各ケーブルテレビ事業者が個別にコストや人を割く必要なく、地域振興にますます貢献していけるようになります。ケーブルテレビ業界ももっと良い方向に変わってくるのかなと、そんな期待も今回のM&Aに込めています。
髙田氏:例えば、行政と協力して見守りサービスを提供したり、地域の施設のウェブ対応にケーブルテレビ事業者が関与したりと、様々な取り組みが実施されています。ですが、全国に500社近くあるケーブルテレビ事業者のうち、自らの力で実施できている事業者はまだ10~20社程度しかありません。まして個々の地域内での活動にとどまっているので、他の地域への横展開はまだまだこれからといったところです。
私は現在、一般社団法人日本ケーブルテレビ連盟や一般社団法人日本ケーブルラボで副理事長を務めるなど、業界内の複数の企業・団体で役員に就任しており、業界のために何ができるかと常に考えを巡らせながら、自社の事業も展開してきました。私の持つ横のつながりも生かし、エスアイアソシエイツさんと作り上げるサービスを全国で広く活用していただけるよう努めていきたいです。
岩井氏:色々な企業と話をする機会があったのですが、途中で先方の返事を待つ期間が長くなったときなどは、少し不安に思うこともありました。やはり時間が経つと報告するデータも変わってしまうので、センシティブになっていたんだと思います。
そんなとき、会社を譲渡した経験のある経営者や、かつての同期で会社を上場させた経営者などに「早くM&Aを終わらせたい」とため息を漏らすと、「妥協したらダメですよ!」と励ましてくれまして。fundbookのアドバイザーさんにも自分の思うことを遠慮なく伝えさせてもらっては、それらを吸収していただきながら進めてこられました。
何と言ってもケーブルテレビさんとお会いしてからはとても早くご対応いただきましたし、当社と真摯に向き合ってくださり、あのときに出会えて本当に良かったと思っています。
髙田氏:当社側は全て私が先導してM&Aを進めていたものですから、話がスムーズに進めやすかったのだと思います。もちろん、幹部社員には逐一相談しながらでしたが、かねてから私たちが膨らませていた構想に、エスアイアソシエイツさんというピースが完全にはまったという印象しかなかったので、社内でも話は早かったです。
迅速に対応することが、お相手の企業に対する誠意ある姿勢だと思っていましたので、役員会から結論を出す日まで全てスケジュールを組み、滞りなく進めてきました。
髙田氏:当社はお相手となる企業の業務を大きく変えるつもりはありません。強みがあってこそ一緒になるわけなので、今までの強みを生かしていただきつつ、新たな事業展開に向けて徐々に人やリソースを確保していくようにしています。
それと、最も大事に考えているのが、グループに入っていただく企業の従業員の方々ですね。従業員思いで経営を続けてこられた岩井社長には共感しかなく、私も「人がいてこその企業」という意識をずっと持ち続けてきました。ケーブルテレビ業界もハードワークになりがちな業種ですが、2011年に私が当社社長に就任して以降、絶えず働き方や待遇を改革してきた結果、2023年にはホワイト企業ランキングTOP100で第1位になることができました。
当社のグループに入っていただく企業の皆様がもっと幸せになれるよう、働き方や待遇の面では当社の良いところを落とし込んでいって、より働きやすい環境を作っていただきたいと考えています。
岩井氏:もっと手放しに晴れ晴れとした喜びの気持ちだけになるのかと予想していましたが、今までの20年間を振り返る自分や、「やっと成約できた」と安堵する自分もいて、総じて意外とフラットな感覚でした。
それよりも、「ケーブルテレビさんにM&Aを実施してよかったと思われるよう、これからもしっかりやっていこう」と、気が引き締まる思いのほうが大きかったかもしれないです。
岩井氏:ケーブルテレビさんから「従業員の皆様が不安にならないよう、M&A後もこれまでの事業を続けていただきたいことや、待遇面も必ず良くしていく旨をお伝えください」という内容を文面でいただいていたので、それをちゃんと皆に伝えました。当社の従業員はもともと感情が表に出るタイプではないのですが、不安を取り払うメッセージのおかげで、すんなりと受け入れてくれた様子でした。
髙田氏:せっかくグループになったにもかかわらず、不安に思った人が去ってしまって会社だけしか残らなくなるようでは、何の意味もありません。まずは岩井社長からしっかりとメッセージをお伝えいただいたことは、皆様が不安にならずに済むうえで大きかったと思います。
岩井氏:私から従業員に発表してから数日後には、髙田社長や役員の方々にご来社いただき、従業員と直接話す機会も作ってくださいました。今はもう不安の声が聞かれないどころか、成約の翌月から早速、協業に向けた話し合いが両社間で始まっています。

髙田氏:2025年秋頃から「EverCart」「ショップアシスト」を地域の企業・商店に提供していけるよう、チラシを作って商工会から配布しているほか、必要に応じてECセミナーを開催するための準備も進めています。
また、今後「ふらっとろーかる」をどう進化させて、どうECと結び付けていくのか、両社の従業員同士が知見を交えながら打ち合わせを重ねているところです。
髙田氏:全従業員の皆様とマンツーマンで面談して、悩みや思いを伺わせていただいたのですが、静かに闘志を燃やしている方が多く、この会社に対する思いをとても強く持っていることがよく分かりました。
普通なら、面談なんて面倒だと思われてもおかしくないところ、「子育てが落ち着けばフルタイムで働きたい」など、それぞれの置かれる環境の中でどんな働き方ができれば長く勤められるのか、皆様が要望や提案まで率直に話してくださったんです。それだけこの会社に愛着を持っているのだろうと、私も安心しました。
エスアイアソシエイツさんの皆様と話して、ケーブルテレビの様々な資本を活用しながら待遇面もより良くしていき、ますます働きがいを持って働いていただける会社にしていこうという思いが強まりました。今後も従業員の皆様と対話する場をどんどん増やしていきたいと考えています。
岩井氏:最初の数年は、グループのシナジーを最大限に発揮するための土台を作る期間と捉え、既存の「EverCart」「ショップアシスト」以外にも用意しておくべきものをしっかり作り上げていきたいです。そのためにはエンジニアの数もより必要となるので、ケーブルテレビさんと相談しながら採用強化を図っていきたいと思っています。
これからケーブルテレビさんとともに目指す新しいサービスは、ほかの地域にも広く展開していけるものになります。ゆくゆくは当社のウェブマーケティングを通じて自社からも発信していきながら、ケーブルテレビさんの営業に頼りきらずとも、自助的に直接販売していける強みも持ち合わせていきたいです。
そのうえで、待遇面を向上させていくことがベストな道だと思うので、まずはグループのシナジーをもってして業績を改善・拡大させ、その分を給与や福利厚生に反映していける、強い企業体質にしていきたいと考えています。
髙田氏:エスアイアソシエイツさんは利益をしっかり出して成長できる素養をお持ちなので、必ずや強い会社になっていくと確信しています。その成長の過程では、岩井社長の仰る通り人材確保が重要です。今はどの企業も人材の取り合いになっているので、人材を守り、そして人材が集まってくるような会社にしていかなければいけません。
それには待遇面の向上も大事ですし、地域活性化に大いに貢献するやりがいのある事業であることを伝えていくことも大事です。当社の従業員や私も、地域を盛り上げる自社の事業にやりがいを感じながら仕事をしていますから。ケーブルテレビ本社から都内までは約1時間の距離ですし、テレワークも可能だと思うので、地元の方々にも声をかけながらエスアイアソシエイツさんの採用を手伝っていきたいと思っています。
地域活性化は大きなテーマですが、成功事例が一つできれば、その後の横展開は早く進むと考えられます。栃木市からそのスタートを切れるよう、エスアイアソシエイツさんと力を合わせていくので、私たちの今後にぜひ注目していてください。

株式会社エスアイアソシエイツ
代表取締役 岩井 淳行氏
多くのオーナー経営者は、資金面や人材面、営業面など、自社に足りない様々な部分を、自分自身と自社の力だけで強めていきたいという希望を持っていると思います。それらの強化に時間をかけるのか、他社との提携・M&Aでパーツを補うのか――。私はその選択を早い段階でしてもいいのではないかと、20年のオーナー経営者人生を振り返って思いました。
ただ、闇雲に提携をすればいいというわけではありません。相手企業と一緒になることで、自分ではできなかったことがどれだけ可能になるか、どんなシナジーがあるのか、そういった点をしっかり確認したうえで進めていくことが大事です。もし提携後に自分のやりたいことができなくなってしまうようでは、当然ながら残念な結果に終わってしまいますし、「提携・M&Aは良くない」と周囲にも映ってしまいかねません。
私は「ケーブルテレビさんとなら、シナジーも自社のメリットも大きい」と、間違いなく確認できました。自分たちの望む企業像に近づけると思う提携・M&Aであれば、ポジティブに検討してみてはどうかと、オーナー経営者の皆様にお伝えしたいです。

ケーブルテレビ株式会社
代表取締役社長 髙田 光浩氏
M&Aとは、それぞれの企業に足りない部分を補い合い、シナジーを創出することに一番の意義があると思っています。つまり、「このM&Aで『1+1』が2になるのではなく、5にも10にも20にもすることが可能だ」という意識を持ってチャレンジすれば、必ず成功すると私は考えているのです。両社の強みを掛け合わせるとどのようなことが起きるのかと、色々な考えを巡らせながら前向きに考えられれば、会社を譲渡する側も譲受する側も、互いに目標を達成していけるのではないでしょうか。
それと同時に考えるべきは、従業員の幸福です。「このM&Aによって従業員をより一層幸せにできるのか」を念頭に置いて進めていくことが重要です。
複数のM&Aを実施してきた当社もまだまだ道半ばではありますが、皆がプラスの意識を持っているので、必ずやグループでさらなる成功に導いていけると信じています。

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担当アドバイザー コメント
このたび、都内でEC制作・運用代行を手掛ける株式会社エスアイアソシエイツ様と、栃木市を拠点に北関東でケーブルテレビ事業を展開するケーブルテレビ株式会社様とのM&Aをお手伝いさせていただきました。
ケーブルテレビ株式会社様は、祖業であるケーブルテレビ事業にとどまらず、地域情報サイト「ふらっとろーかる」の運営などを通じて、地域の中小企業支援にも注力されています。
その中で不足していた「EC開発力」や「運用ノウハウ」を補完する存在として、株式会社エスアイアソシエイツ様の長年の知見がまさに適合するかたちで、本件のM&Aが実現しました。
また、株式会社エスアイアソシエイツ 岩井社長からは、当初より「会社の成長と従業員を大切にしつつ、明確なシナジーを生み出せる相手企業との提携を望む」とのお考えを伺っておりました。今回のご縁が、そのご意向に沿うものとなったのであれば、担当としても大変嬉しく思います。
今後とも、両社様の一層の発展を心よりお祈り申し上げます。