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ダクト工事業を手掛ける新和設備株式会社は、製作から設置まで一貫して手掛けられる技術と、従業員の丁寧な対応を強みに、顧客である大手サブコンをはじめとした企業から長年厚い信頼を寄せられています。
創業者である代表取締役・土生津雄治氏は、1985年に26歳で独立。たった一人で始めた事業も、今では多くの従業員が支えるまでに成長しています。従業員を誰よりも大事に思う土生津氏が60代を迎え、将来の事業承継を考えたときに選んだ道はM&Aでした。2025年3月、ダクト工事の事業拡大を目指すナイガイ株式会社と出会い、M&Aが成約。「従業員への想い」で互いに共感した両社の社長が考えるシナジーとは――。
土生津氏と、ナイガイの代表取締役社長・淺井康雄氏、上席執行役員管理本部長・志満津幸彦氏の3名に、両社がM&Aに至った経緯や今後の展望について伺いました。
土生津氏:当社は空調のダクト工事を手掛けています。創業当初は従業員も私も若く、とにかくひたむきに働くことが一番の強みでしたが、およそ40年が経った今は、お客様からの信頼が強みとなっています。創業時からずっと勤めている従業員がお客様に対応するという安心感と、若い従業員も全員が真面目で丁寧にお客様と接していることで、長くお付き合いいただける信頼が得られていると思います。
土生津氏:高校卒業後はスポーツ用品店に入社したのですが、当時は友人たちと遊ぶことが楽しい時期で、彼らと同様に日曜・祝日が休みの仕事に就きたいと思い、1年ほどで退職しました。その後、アルバイトの求人誌で仕事を探していたところ、偶然家の近所のダクト工事会社を見つけたんです。ダクト工事なんてまったく知りませんでしたが、日給もよかったので「3カ月くらいアルバイトしようかな」程度の考えで門を叩いたのが、この仕事を始めるきっかけになりました。
アルバイトを始めてしばらくすると、先輩方が「このままここで仕事を続けろよ」と言ってくださり、その会社で5年ほどお世話になったのですが、下請けで独立した先輩方を見ているとだんだん自分もその姿に憧れだし、26歳で独立することにしました。その後、33歳で有限会社として法人化し、さらにその5年後に株式会社へ移行しました。
土生津氏:最初はたった一人で下請けとして独立したのですが、友人の息子さんが学校卒業後に入社してくれて、そこから徐々に仕事も従業員も増えていきました。そのうちに、「親事業者から、間に業者を挟まずに直接受注できるようになりたい」という考えが大きくなってきたんです。
全社で力を合わせて“信頼”を大切に仕事に打ち込んできた結果、親事業者の方々にも認められて、ついに「うちと直接取引できるようにしてあげるから」と仰っていただき、希望が叶いました。大手サブコン企業から直接受注できるようになり、この10年ほどはずっと安定した経営を続けられています。
土生津氏:検討を始めたのは60歳の頃です。それまでも色々なM&A仲介会社から案内は来ていたのですが、まだあまり真剣に考えることはありませんでした。ですが、60歳の時に体調を崩して入院と手術をすることになり、「このまま自分が倒れたら、会社はどうなるのだろう」という不安を感じました。そこから少しずつM&Aを考えるようになったんです。
後継者についても、自分の子どもや今いる従業員への承継を考えたことはありました。しかし、誰か一人を後継者に据えるよりも、良い会社とM&Aをしたほうが、従業員が安心して一丸となったまま働き続けやすいだろうと思ったんです。そうして63〜64歳頃からM&Aに向けて本格的に動き始めました。
淺井氏:当社は1923年に保温・保冷工事から始まった会社で、創業から100年以上にわたり、多くの建築物に携わってきました。現在は祖業の保温・保冷工事に加え、耐火被覆工事、ダクト工事の3つの事業が柱となっているほか、内装工事や消音器・資材等の販売も手掛けています。
柱の3事業の中ではダクト工事の規模が最も小さいですが、一番成長の余地がある分野と捉え、2024年からは関連団体に加盟するなど、特に力を入れているところです。
淺井氏:当社にも色々なM&A仲介会社から設備や建築関連の企業の紹介が来ていたのですが、正直なところ、当初は特にM&Aをする確固たる理由があったわけではなく、目を通す程度でした。そんななかで、新和設備さんを紹介されたのです。
新和設備さんとは3年ほど前に同じ現場で一緒に仕事をする機会があって、両社の担当者同士が双方を行き来したりしながら、円滑に業務が進められたという経験があります。なので、現場ではもともと良いお付き合いができていたんです。
また、当社としてもダクト工事は柱としている事業の一つであり、これからますます伸ばしていきたい分野でもあります。新和設備さんは長年培われたノウハウや技術をお持ちで、当社の工場とも拠点が比較的近くに位置しているため、製作の面でも様々な連携ができるのではないかと思いました。今後の事業展開を考えたうえでも、両社で数多くのメリットとシナジー効果が創出できると期待し、M&Aを前向きに検討することにしました。
土生津氏:できれば同業社がいいと考えていました。まったく関連のない会社や、ダクトとは違う設備の会社だった場合、従業員がこのままスムーズに業務を続けられず、負担をかけてしまうのではないかと懸念があったからです。
ナイガイさんはダクト工事を主力事業の一つとされていますし、同じ現場で仕事をしたときに従業員もお会いしていてお互いを知っていたため、まさに希望通りのお相手だと思いました。
淺井氏:従業員さんを思いやる言葉をたくさん仰られていて、ものすごく温かみのある社長だなという印象を受けましたし、そこに私も大変共感したのです。
「会社は社員のために、社員は会社のために」というスローガンを掲げている当社と、まさしく同じ意思をお持ちの方だと感じました。今トップ面談の日を振り返っても、従業員さん思いの方だという印象が一番大きかったと思います。
志満津氏:トップ面談のときだけでなく、デューディリジェンス(買収監査)に立ち会った際にも、土生津社長が従業員さん思いでいらっしゃることが伝わってくる出来事がありました。療養中の従業員さんがいらっしゃったのですが、土生津社長は「従業員のために会社としてできること」を最優先に考えて、社会保険料等の費用を会社で立て替えていらっしゃったのです。長く勤めてこられた従業員さんだそうで、「いつか復帰できるように待っているよ」という思いが込められていました。返済に何年かかろうと、何より一番は従業員さんを大事にされていることがよく分かりました。
そうした考えは、当社の淺井社長とも共通しています。淺井社長は「会社の利益は従業員の働きのおかげだから、従業員に還元しないといけない」といつも言っていますし、従業員の立場からしても、しっかり実行に移してくれていると皆が思っています。トップ面談の両社長の対話からも、お二人は良い共通点をたくさんお持ちだなと見ていました。
淺井氏:加えて、土生津社長は譲渡後も経営者としての責務を全うしたいと考えられていたので、グループになれば共通の意思を持った者同士、お互いに高め合っていけるだろうと感じました。
土生津氏:ほかに候補の会社がいたなかで、トップ面談をする前からナイガイさんがお相手として良いだろうなとは想像していたのですが、淺井社長と志満津さんにお会いしてそれが確信に変わりました。淺井社長が「今までの体制でやってください」と言ってくださったことで、ナイガイさんとなら従業員も安心だろうと、私の気持ちが固まりました。
土生津氏:社内の誰にも言わずに一人で進めていたので、必要な資料を揃える作業が少し大変でした。ですが、fundbookのアドバイザーさんがとても親身に寄り添ってくれたおかげで、成約まで至ることができました。
実は、M&Aを検討し始めてから複数のM&A仲介会社とお会いしてきたのですが、最終的にはアドバイザーさんの“人”が決め手で、fundbookさんに正式にサポートを依頼することにしたんです。最後まで常に私のことを思って行動してくださり、とてもありがたかったです。
志満津氏:やはりM&Aはお互いの企業にとって大きな局面となるので、双方が納得できるように条件の交渉はたくさん重ねてきました。紆余曲折を経ながらも成約まで進めてこられたのは、「とても良い仕事をされている新和設備さんをグループに迎え入れたい」という強い思いが原動力になっていたからでした。fundbookさんも最後までしっかり対応してくれたと思います。
土生津氏:後継者不在をはじめ、色々な背景があってM&Aに踏み出したのですが、「今まで通りの新和設備さんの体制で」と仰ってくださるナイガイさんと成約できて、本当に良かったなと率直に思いました。
土生津氏:M&Aが成約したことを伝えるまでは、どんな反応をされるだろうかと、少し心配ではありました。そんな不安を抱えたまま、まずは数人だけに話したところ、「社長が決断したことなら、それでいいよ」「年齢も考えたことだろうから、いいんじゃない?」と言われたんです。一番長く勤めてきた従業員からもそういう風に言ってもらえて、すごく気持ちが楽になりました。
淺井氏:営業面においては、両社で共通のお客様が何社かあるので、お互いに情報を共有して、より良い提案やサービス提供ができるようにしていきたいです。
そのほか、両社で人手を補い合う協力体制を築いていく取り組みにも、大いに期待しています。例えば、新和設備さんの現場が忙しい時期には当社が協力し、その逆の時期には新和設備さんに協力していただくようにすれば、人手不足の状態を回避できるだけでなく、それぞれの会社の売り上げにもつなげられます。さらには、現場がそれだけ稼働するということは、工場の製作も忙しくなるということなので、現場と工場の両方で助け合える体制を作っていきたいと考えています。
土生津氏:繁忙期と閑散期の波が抑えられれば従業員の負担が軽減できるうえ、今までなら業務が立て込んで断らざるを得なかった仕事も、これからは両社で話し合って受けられる可能性が広がります。
今はどの会社も人手不足が課題となっていると思いますが、この業界も例に漏れず人材確保には苦労していて、特に現場作業員として働いている若い人たちのうち、長く勤めてくれる人はごくわずかといった状況です。そのようななかでは、現場で協力していただける下請け業者さんを増やしていくことも、売り上げを伸ばすための重要なカギとなります。
ナイガイさんとグループになったことで、双方が関係を構築している下請け業者さんまでにも、協力の輪が広がる可能性すらあるということです。自社だけで奮闘していた頃より、もっと広くアンテナを張って柔軟に仕事を受注できるのではないかと、私も今後の取り組みに期待を募らせています。
淺井氏:当社のダクト工事事業は40年近く前に新潟営業所で小さく始まりましたが、東京や大阪で展開し始めてからはまだ15年も経っていない、言わば新規参入者です。一方の土生津社長は、もう40年以上もダクトの事業一筋で会社の成長をここまで導いてこられており、新和設備さんの皆様がダクト工事に関する技術や経験を豊富に持たれています。
当社としてもダクト工事は需要のある市場だと考えており、全国の主要都市にある各支店でダクト工事事業を展開することを目指してきたので、ぜひ新和設備さんの現場や工場の方々からもたくさんのことを教わりながら、一緒に成長していければと願っています。
土生津氏:ナイガイさんとのM&Aによって、私が一番望んだ形で後継者不在の状況を乗り越えられることになりました。成約から2年ほどは私が社長を務めていく予定なので、その間に後継者となる方へしっかりと経営を引き継ぎ、新和設備とグループの将来に貢献していきたいと思っています。
新和設備株式会社
代表取締役 土生津 雄治氏
会社を設立し、従業員やお客様が増え、そして時を経て後継者不在に直面した立場として、M&Aという手法が存在し、ナイガイさんとのご縁がいただけたことを、本当に良かったと私は思っています。
当社がM&Aを成約した後、会社を経営する友人数名に報告したところ、「それは良かったね」と反応する人もいれば、「自分も考えようかな」と言い出す人もいました。まだまだ若い経営者ですが、会社や自分自身の将来を考えると、M&Aを選択肢の一つとしてぜひ前向きに検討しておこうと思ったのだそうです。
年齢や後継者問題など、私と同じような境遇におかれている経営者は業界を問わずいらっしゃると思いますが、悩み続けるよりもまずは「M&Aも一つの手段」と考え、検討してみてはどうかとお伝えしたいです。
ナイガイ株式会社
代表取締役社長 淺井 康雄氏
20年ほど前に同業他社がファンドとM&Aをした話を聞いたときは、正直なところ私自身、M&Aに対してあまり良いイメージを持っていませんでした。ですが、今となってはもう完全に一つの選択肢として自然に考えられるほど、意識が変わっています。
日本は人手不足という大きな課題を抱えており、今後ますます深刻化していくと予測されています。人手不足は後継者問題に直結するほか、事業拡大を目指すうえでも経営者を悩ます要因となることは言うまでもありません。現在は「後継者問題を打開する手段」や、「会社の成長戦略」としてM&Aを選択肢に考える経営者がほとんどだと思いますし、働いている従業員の方々の理解も、20年前と比較にならないほど進んでいると感じます。
譲渡する側と譲受する側のニーズがしっかりマッチしたM&Aが、ひいては日本経済に良い影響をもたらすと思っているので、fundbookさんの今後の活動にもぜひ期待したいと思っています。
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担当アドバイザー コメント
この場をお借りして、土生津代表の経営者人生の最後の大きな決断を私にお任せいただけたことに、心から感謝申し上げます。
土生津代表が40年以上かけて築き上げられた新和設備様の大切な想いと、従業員の皆様の未来を守るという重責を担わせていただけたことは、私自身の人生においても非常に大きな経験となりました。
また、40年前に数名の仲間と始めた会社を、従業員の皆様と共に大きくし、多くの人の暮らしを支える存在へと成長させてこられたその歩みは、決して平坦な道のりではなかったと思います。そのかけがえのない歴史を「次の世代につなぐ」という大切な瞬間にご一緒できたことは、私にとっても人生の宝物となりました。
M&Aは単なる数字や条件だけで進むものではありません。
経営者の心の奥にある「従業員の未来を守りたい」という想いを最も近くで感じながら、その想いを両社が最も良い形でつなげられるようにと、私自身も何度も胸が熱くなったことを覚えております。
このプロセスの中で、私自身が目標としている「経営者の皆様が、M&Aを“安心して選べる選択肢”として捉えられるよう、気軽に相談できる存在であること」を、少しでも体現できたのではないかと自負しております。
そして、ナイガイ株式会社の淺井代表がトップ面談でかけてくださった「今まで通りの体制でやってください」という言葉を聞いた瞬間、土生津代表がほっとされた姿を今でも鮮明に覚えています。代表が守りたかった従業員の未来が、この瞬間に確かに守られたのだと、私も胸が震えました。
あの場にいた誰もが、このM&Aは単なる企業同士の合併ではなく、まさに“心の合意”であると感じたはずです。
同じ価値観を持ち、共に歩んでくださるナイガイ様と出会えたことは、まさに奇跡のようなご縁だったと思います。
新和設備様とナイガイ様が、これからさらに手を取り合い、大きな未来を切り拓かれていくことを、心の底から願っております。