インタビュー

2024年4月30日、譲渡成立

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ
  • 譲渡企業
    株式会社クレイリッシュ
    設立
    2001年
    事業内容
    事業者向けの金融事業、売掛債権の売買事業
    URL
    https://901901.jp/
  • 譲受企業
    CRGホールディングス株式会社
    設立
    2013年
    事業内容
    人材派遣、アウトソーシング等
    URL
    https://www.crgh.co.jp/

株式会社クレイリッシュは、2001年の創業以来「誠実」な経営を貫き、全国でも有数の事業者向け貸金業者へと成長しました。

会社員の頃から創業後のこれまで、数々の困難を乗り越えてきた代表取締役社長・髙木秀男氏は、ゆくゆくは円満な廃業で幕を引こうと考えていましたが、お客様のため、そして従業員がより仕事に専念できるようにしたいと考えを一新し、M&Aで事業拡大を目指すことに。程なくして、金融事業への進出を目指していた総合人材サービスのCRGホールディングス株式会社と出会い、2024年4月30日にM&Aが成約しました。互いに理想の相手と手を組めた様子で、成約後のクレイリッシュはますます活気づいているそうです。

M&Aに至るまでの経緯や今後のビジョンなどについて、髙木氏とCRGホールディングスのマネージングディレクター・米津雅史氏に伺いました。

金融業界に進み約四十数年。会社員時代から創業後も数々の困難を乗り越えてきた

髙木様が金融の仕事を始められた経緯をお聞かせください。

髙木氏:幼少期まで遡るのですが、私が生まれた頃、父は中小企業の代表取締役を務めていました。しかし、中学校に入って間もなくオイルショックで父の会社は倒産し、中学・高校は経済的に厳しい時代を過ごすことになりました。倒産後、5人だった家族も3年間で3人も家から離れていってしまい、最終的には父と私の2人だけになったんです。

会社が倒産した影響でアルバイトを転々としていたのですが、当時の私は定職に就かずにまとまった収入も得られない父と一緒にいるのも辛かったので、高校を卒業してすぐに就職し、一人暮らしを始めました。

そしてお金がなく、家賃が払えなくなったあるとき、大手消費者金融から7万円を借りてなんとか家賃を払えたことがあり、その経験が金融業界で働く一番のきっかけになりました。それまでは「金融会社=怖い人たち」というイメージを持っており、不安な気持ちで消費者金融を訪問したのですが、実際はまったく逆でとても対応が良く、「金融業界にはこれほどスマートな会社があるんだ」と認識したのです。

また、困ったときに借り入れができることはサラリーマンにとっても然り、経営者にとっても、お金がなければ会社が倒産してしまうのでとても大事なことです。このときに社会における金融業界の存在意義や重要性を痛感し、19歳にして金融業界に進もうと決意しました。

クレイリッシュ様を創業されるまでは、どのような会社員時代を過ごしましたか?

髙木氏:金融業自体は意義深い仕事ですが、転身してからも様々な困難がありました。1社目の金融会社はバブル崩壊に伴って業績が悪化し、さらには代表者による不正な貸し付けが発覚したのです。要は粉飾決算をしていたわけで、実際には大きな損失が発生していたことが分かり、新卒採用者や給与の高い社員が続々と解雇され、私もその対象となってしまいました。

そして転職した2社目の金融会社は、超ワンマン経営だったのです。金融以外にも色々な事業を運営していたのですが、それらは全て赤字で、金融事業で上げた利益をほかの事業が全て食いつぶしている状態でした。その実態が判明した頃には、働くことに理不尽さすら覚えるわけです。それに、当時は私一人でその会社の利益の半分ほどを稼ぐトップセールスだったのですが、利益を出せていない営業担当とボーナスは同等で、働きがいがまるでありません。それならば、約20年間の経験を生かして自ら起業しようと考えるようになりました。

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ
株式会社クレイリッシュ 髙木秀男氏

そうして2001年に、クレイリッシュ様を創業されることになったのですね。創業からは順調でしたか?

髙木氏:いえ、様々な困難がありました。創業当時は金融業者向けに積極的に融資をしている上場企業があって、そこから約20億円の資金調達が実現し、業容は急拡大しました。ただ、その融資に応じてくれた企業はリーマン・ブラザーズから借り入れをしていたため、リーマンショックにより状況が一変し、それに伴って当社も借りていた20億円を毎月1億円ずつ返済しなければならなくなったのです。

当社には当時16人の従業員がいましたが、やむを得ず6人をリストラし、残った10人で毎月1億円前後の返済を約2年も続けて、ようやく全額返済できました。これが創業時に立ちはだかった大きな苦境でした。

数々の困難を乗り越えてこられた髙木様。創業からこれまで、どういったことを意識して経営を続けてきたのでしょうか?

髙木氏:やはり、「放漫経営をしてはいけない」ということです。これは、私が勤めていた会社を辞めたきっかけから来ています。会社に貢献している従業員に十分な報酬を支払えなかったり、不正な貸し付けを放置したり、そういったことが私の反面教師となって心に強く刻まれているので、ワンマン経営はしないと決めています。そういう会社になれば従業員が幸せになれるだろうし、従業員が幸せであればきっと私も幸せになれるだろうと考えています。

従業員に多くの利益を還元する会社にしたいと創業当初から考えているので、従業員の半数ほどは私よりも給料が高くなっています。

「誠実」な経営でお客様がお客様を呼び、県内トップクラスを維持する企業に

改めて、クレイリッシュ様の強みをお教えください。

髙木氏:会社として一番の強みで、かつ最も大事にしていることは、「誠実であること」です。金融業というのは、お客様がお金を借りる側の資金需要者となるため、貸す側の業者が優越的地位に立ってしまいがちです。

借りる立場としては、「貸してくれる業者の提案を何でも受けないと借り入れができないのでは」と考えてしまうので、融資と同時に投資信託や保険商品などを抱き合わせ販売するような金融機関も決して珍しくありません。ですが、当社はそういった優越的地位の濫用になるようなことは一切せず、お客様目線に立った誠実な貸し付けをするよう常に心掛けています。

誠実な対応を受けたお客様からは、きっと評判も良かったのではないかと思います。

髙木氏:当社では業界経験の長い従業員が活躍しているうえ、社員教育も徹底しているため、これまで「クレイリッシュから融資を受けたら、接客が丁寧で金利も良心的だし、誠実でとても良い会社だった。」と周りに伝えてくださる多くのお客様に恵まれてきました。営業の宣伝広告をしていないにもかかわらず、口コミで全国から新しいお客様が集まってきてくださっています。誠実な経営を続けてきた結果、県内企業の業種別売り上げランキングでも常にトップクラスを維持する企業へと成長できたのだと思います。

40年以上にわたり金融業に従事してこられた髙木様から見て、業界はどう変わってきたと思いますか?

髙木氏:貸金業者数はピーク時である昭和61年頃の4万7,000社超から、現在は約1,500社まで減少しています。激減した理由は様々あると想像しますが、一番の影響は貸金業法の規制が厳しくなり、上限金利が引き下げられたことだと思います。金利規制が緩やかな欧米諸国に比べると、日本は世界で最も厳しい規制が敷かれている国だと言えます。そうした規制に対応できない会社の多くが、撤退や廃業に追いやられたのでしょう。

もう一つ、過払い金返還請求が多発したことも影響したと思います。貸金業者は法律の範囲内で営業してきたにもかかわらず、最高裁判所の判例により過払い金として利息の一部を返還せざるを得なくなったのです。特に消費者金融はキャッシュディスペンサーから機械的に借りられますから、困っていたときにお金を借りることができた感謝の気持ちが生まれにくく、気軽に返還請求しやすいのかもしれません。

当社の場合、法令順守は当然のこと、貸付担当者とお客様が対面のコミュニケーションをしっかり取りながら融資しているので、過払い金返還請求はほぼ受けていません。優越的地位を濫用しない営業活動を続けてきたからこそだと思いますし、そうした誠実さが業界でより求められるようになっていると感じます。

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ

資金調達力を高め、事業拡大へ。異業種の上場企業とのM&Aを検討

CRGホールディングス様のグループの事業内容や強みをお聞かせください。

米津氏:私たちは人材派遣や人材紹介のほか、製造現場や倉庫の請負業など、グループ全体で総合人材サービスを中心に手掛けています。人材サービスの会社はどこも人が資本であり、人件費もある程度相場が決まっているので差別化が図りにくい業界ではありますが、私たちはこれまでに蓄積した豊富な経験を生かし、職場と人材を最適にすることに真摯に取り組んできたことが強みとなっています。

また、時代に合わせて変化していこうとする社風も特徴です。請負業では自分たちで工場を持って製造業に進出したり、人材に関しては介護福祉の分野に進出したりしていますし、今はまさにクレイリッシュさんとともに、グループとして新たに金融業へのチャレンジも始まっています。変化や挑戦を掲げていても、社内調整に難航してなかなか踏み出せない企業は少なくないと思いますが、CRGグループは徐々にですが確実に実践できていると感じています。

CRGホールディングス様は、金融系の企業とのM&Aをどのような背景で検討し始めたのでしょうか?

米津氏:2023年初頭から新規事業として「金融事業への進出」を検討し始め、まずは要件や規制を調査したり、必要資格を取得したりして、社内でスモールスタートをしようとしていました。その事業を社内で推進していた私が、同年中に貸金業務取扱主任者の免許を取得し、本格的に登記もし事業を開始しようと考えていたところ、fundbookさんからM&Aの提案をいただいたんです。

ちょうど私たちも、CRGグループで独自に金融業を始めるうえでは、何人か金融経験者をお呼びしないと難しいと考えていたため、M&Aも視野に入れることになったのです。髙木社長にお会いしてお話を聞けば聞くほど、やはり金融はノウハウや経験則が極めて重要であることを痛感し、ぜひ経験豊富なクレイリッシュさんと手を組ませていただきたいと声を掛けさせていただきました。

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ
CRGホールディングス株式会社 米津雅史氏

クレイリッシュ様は、どういった理由でM&Aを検討されたのですか?

髙木氏:1つは、後継者がいなかったという理由がありました。しかし、もし身内に跡取りとなる人材がいたとしても、必ずしも跡を継ぐのに十分な能力が備わっているとは限りませんし、世襲で社長になったとしても会社をまとめられるとは限りませんので、親族内承継は考えておりませんでした。

後継者問題もさることながら、やはり一番の理由は事業規模の拡大でした。私たちの商売では、大口の融資をしようとすると、それに見合う資金を調達しなければなりません。

つまり、金融は資金調達能力がとても大切な事業であり、元となる資金がなければ事業を拡大できません。私が一人で当社の全株式を保有していた頃は40数億円までは融資残高を積み増しできたのですが、それが精一杯なラインでした。

貸付の原資が無いことを理由として融資をお断りせざるをえない状況が頻発していましたので、このままではいけないと考え、信用の高い上場企業に株式を譲渡して上場子会社になれば、資金調達がよりスムーズになって従業員のやりがいも増すであろうと考えたのです。

従業員の皆様のことも考えた結果のM&Aだったのですね。

髙木氏:私が全株式を保有していた頃は、例えば1億円の融資の話が来た際には、同時に1億円を調達する計画を進めなければなりませんでした。お客様に貸し付けるプランが成功しても、当社が借り入れるプランが失敗すれば、担当者がいくら頑張っても成果を挙げられなかったのです。私は、それが従業員に対してとても申し訳なく思うばかりでした。

M&Aをするにあたり、髙木様はどういった企業をお相手に希望していましたか?

髙木氏:最初は漠然と、同業者がいいだろうと考えていました。しかし、もし同業者に会社を譲渡すると、システムを変えることになったり、「こういう貸し付けはやめよう」と言われたりと、当社の経営に細かく干渉されることが十分にあり得るとも考えたのです。

私は、当社のノウハウや利益率は国内トップクラスだと自負していますし、私以上に金融のノウハウを持つ者はそうそういないだろうと思っています。当社のやり方に色々と干渉されると、おそらく従業員もがっかりするでしょうし、やる気をなくしてしまうことは明らかでした。なので、今までの当社のやり方や経験を尊重してくださる異業種の上場企業が理想だろうと考えるようになりました。

経営はそのままに、「ヒトとカネ」を強化できる理想の上場企業との出会い

まさにCRGホールディングス様は希望に合った会社でいらっしゃいますが、ほかにM&Aの候補先はあったのでしょうか?

髙木氏:fundbookさんの他に別のM&A仲介会社も通じて、合計4社の候補先から話をいただきました。そのうち3社が希望条件に挙げた上場企業でしたが、私はお相手を選ぶうえで、信用調査会社による企業評点をはじめとした「信用力」を1つの軸に考えていました。信用力が高いほど資金調達がしやすくなるうえ、金利も安くなるため、そういった企業と提携することで、当社の資金調達能力も上がるだろうと判断したのです。

CRGホールディングスさんは企業評点が特に高く、信用力があるという印象を持ちました。希望していた条件にもマッチしていたので、ぜひお会いしたいと思い、紹介してくれたfundbookさんにご紹介をお願いいたしました。

実際にお会いした際、お互いに最初はどのような印象を持ちましたか?

髙木氏:トップ面談は飲食店で行い、お互い気さくに意見を交わしました。最初からとても良い印象を受けました。「資金調達面のサポートはするけど、クレイリッシュの方法で経営を続けてほしい」と仰ってくださったので、CRGホールディングスさんと一緒なら、私のやりたい経営が続けられるだろうと思いました。

米津氏:私たちとしては、これまであまり金融系の企業と深く資本業務提携のお話をしたことがなかったので、どういった方が来られるのか想像がついていませんでした。なので、fundbookのアドバイザーさんに髙木社長のお人柄などを事前に伺ったうえで、面談に臨みました。実際にお会いすると、先ほど髙木社長が仰っていた「誠実」という言葉通りの方でしたね。複数回の面談を経て、最初の印象が確信に変わりました。

誠実な経営をされているからこそ、私たちからしてもぜひ現場はこれまで通り髙木社長に舵を取っていただき、体制も維持していただきたいと思いました。私たちが一部手掛ける部分はありますが、お客様に対応する現場に関しては、これまでと変わらずクレイリッシュさんにお任せしたいという意見で双方一致しました。

面談で、特に印象に残っている出来事などがあればお聞かせください。

髙木氏:実はM&Aを検討する前まで、私は従業員に対して「全員が定年に達した時期に廃業する」と公言していたんです。なので、これまでは採用時にも定年後に会社が残らないことをあらかじめ伝えていましたし、ここ10年以上は若い人を採用していませんでした。そのため、社内の高齢化がだんだんと進み、人材不足も事業拡大を難しくする一要因となっていました。

そんななかでCRGホールディングスの井上会長と面談したところ、「企業はヒトとモノとカネが必要だ。CRGグループは総合人材サービスの会社として豊富な人材を持っているので、若い人を派遣することもできる」と仰ってくださったのです。なおかつ、CRGホールディングスさんは上場企業ですから、当社とは桁違いの資金調達力を持っています。クレイリッシュに足りないヒトとカネが補えて、事業拡大が現実的に目指せるに違いないと思い、このときにM&Aをしようと決意しました。

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ

髙木様は廃業を考えていたところ、なぜM&Aをしようと考えを切り替えられたのでしょうか?

髙木氏:やはり、お客様の今後が気にかかっていました。当社が廃業すれば、当然ながらその分の資金繰りに穴が開きますから、通常なら新たに他社から調達して当社に返済を完了しなければならなくなります。なので、事業を続けていく道を選んだほうが、社会的な意義や価値が大きいと思ったのです。

それに、以前の私は廃業して貸し付けを止めると、その時点の融資残高分が1年後に戻ってくるわけなので、M&Aより廃業のほうが手残り金額は多くなるのではないかと、淡い皮算用をしていたんです。しかし、当社が融資を止めると倒産する企業が増えるかもしれません。fundbookのアドバイザーさんから、廃業するよりM&Aをしたほうがキャッシュフローの状態も良くなるだろうと教えていただいたことも後押しになり、廃業の意向を取りやめて、M&Aで会社を続けていこうと思いを改めました。

大怪我を乗り越えM&A成約。上場企業からの支援が加わり、より一層勢いを増すクレイリッシュ

M&Aを進めるなかで、大変なことはありましたか?

髙木氏:約2週間という、かなり短期間でDD(デューディリジェンス:買収監査)を終わらせなければならなかったので、それが一番大変でした。しかも、DDが始まる週に、私が社内で脚立から転落してしまい、肋骨を折って救急車で搬送されたんです。肺に穴も開いて血が溜まっていたため、医師からは一晩入院して安静にするよう言われたのですが、私の気持ちはそれどころではありませんでしたし、CRGホールディングスさんに心配をかけられないと思い、そのまま帰宅して翌日も定刻に出社しました。

すぐにCRGホールディングスさんから「大丈夫ですか」とお電話をいただき、「大丈夫です」と答えたのですが、実際は満身創痍の状態でした。それでも休まずDDに取り組み、2週間後の期日に間に合わせることができて本当によかったです。

米津氏:一報をいただいたときは断片的な情報しか分からなかったので、DDのことより何より、お体は大丈夫だろうかと本当に心配しました。かなりタイトなスケジュールで、かつ大怪我を負って相当つらい状況の中、資料提出などもスピーディーに対応していただいたのですごく驚きました。

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ

怪我で大変な状況の中、ようやくM&Aが成約された際の髙木様のお気持ちはいかがでしたか?

髙木氏:正直、ほっとしました。無事に成約できたこともさることながら、DD中の2週間は毎日たくさんの設問に対応していたので、期限内に終えられたことも相まって、どこか解放されたような気持ちでした。

成約後の今は、クレイリッシュのやり方や私のノウハウを、第三者にも理解できるような形にしていかなければならないので、引き続き仕事にまい進しているところです。

CRGホールディングス様とのM&Aで期待していた「ヒト」の面で、すでに何らかの前進はあったのでしょうか?

髙木氏:20代の若い従業員が1人来てくれましたし、年内にはもう1人増やしていただける予定です。当社の既存の従業員は徐々に定年退職の時期が到来してしまうので、それに合わせて今後も新しい人材を増やしていきたいと考えています。

M&A成約後、従業員の皆様の反応や社内の雰囲気はいかがでしょうか?

髙木氏:とても喜んでいます。私が全株式を保有していた頃は、貸し付けをするにも資金調達を同時に気にしなければならなかったうえ、資金調達の額にも限界がありました。でも今は、CRGホールディングスさんが調達を主導してくださっているので、当社は貸し付けに専念できるようになり、従業員は皆以前にも増して生き生きと仕事をしています。

それに、長い間採用をせず、古くからのメンバーで固定されていたところに新しい従業員が入ってくれたことで、上下の風通しがより良くなったり、社内全体のコミュニケーションがさらに活発化したりと、いろんな面で良い方向に変わりつつあるなとつくづく感じています。

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ

目指すは業界ナンバーワン。社長としてさらなる成長に向け力を尽くす

CRGホールディングス様では、クレイリッシュ様とともに金融事業を始められたことについて、社内や周囲からどのような反応が寄せられていますか?

米津氏:グループ内のほかの事業会社とも扱う商材がまったく異なるので、皆も実際にクレイリッシュさんの中を見させていただかないと、どういう仕事をしているのかまだ分からないことは多いと思います。ただ、私も含め、皆が熱心に勉強しているところで、だんだんと「こういう考えで事業をされているんだ」といった理解や、価値観の変容は起きていると感じています。

一方、グループの経営目線においては、クレイリッシュさんの事業はまだまだ需要があることが再確認できたので、私たちが最も貢献できる「資金」と「人材」の2つで可能な限り支援していき、事業拡大を後押ししていきたいと考えています。

米津様はクレイリッシュ様の取締役に就任されましたが、実際に社内に入ってどのような印象や感想をお持ちでしょうか?

米津氏:皆様の社歴が長いこともあって、社内の雰囲気や関係性がとても良いという印象を受けました。それと、一番驚いたのは、髙木社長がいつも縦横無尽にオフィス内を動かれて、指示確認や業務をされていることです。

DDの際のご対応にも通ずることですが、経営者によっては「ここは、従業員に任せているから、中身はあまり管理していない」というケースは少なからずあると思うんです。しかし、髙木社長はそういったことが一切なく、まさに経営者として鑑となる働き方をされていると感じました。そんな社長の働き方をいつも見ているので、従業員の皆様も必然的に同じような動きをされているのだと思います。

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ

クレイリッシュ様が加わったCRGホールディングス様の今後のビジョンをお聞かせください。

米津氏:せっかくCRGグループに加わっていただいたからには、これまでメインとしてきた人材サービス良い意味で競っていただき、「金融事業ってすごいね」とグループ内でも目立つ存在にしていきたいです。

また、将来的には金融事業自体をさらに大きくしていければと考えています。金融の中でも、クレイリッシュさんの手掛けている事業以外の分野にも広げていける可能性はあると思っているので、ゆくゆくは具体的に検討していけるよう、クレイリッシュさんとともに金融事業の土台をしっかり固めていきたいです。

引き続き代表としてクレイリッシュ様を率いていかれる髙木様。ご自身の抱負や、貴社の今後の目標をお聞かせください。

髙木氏:今の当社は事業者向け貸金業界において国内で30位あたりで健闘しているのですが、CRGホールディングスさんに資金と人材を支援していただけるわけなので、ぜひ業界ナンバーワンを目指していきたいですね。業界ナンバーワンになるのは私が引退した後だろうと思いますが、働ける限り社長としてクレイリッシュの成長に尽力し、DNAをしっかり残していきたいと思っています。

米津氏:私たちからもぜひお願いしたいです。髙木社長の過去からの積み重ねはかけがえのない経験値となっていて、従業員の皆様にもノウハウが蓄積されていることがクレイリッシュさんの大きな強みだと感じています。これからは私たちもどんどん吸収させていただきながら、目標に向けて一緒に前進していきたいです。

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ

会社の成長にも、経営者の出口戦略にも、M&Aは有効な手段

株式会社クレイリッシュ
代表取締役社長 髙木 秀男氏

金融業はお金がなければできない商売であって、経営者は「お金がないから融資できない」と、従業員やお客様に極力言いたくないものです。以前までは私の口座にお金があれば、その全てを会社につぎ込んで事業を繰り回しており、結果的に会社に貸し付けている金額は億単位に膨れ上がっていました。なので、会社がどれだけ事業を拡大して利益を出そうとも、私自身の使えるお金は、常に口座に入っているわずかな金額だけという状態を、何十年も続けてきたわけです。

私がつぎ込んできた資産は「貸付金」という3文字の言葉で会社に積み上がっていましたが、これ自体はお金になっていません。M&Aは貸付金をお金に変えられる数少ない手段であり、そういう背景を考えても、経営者の出口戦略としてM&Aはとても有効な方策だと強く実感しました。それに会社にも、M&Aで「ヒト・モノ・カネ」が揃い、大きなメリットがもたらされています。

当社が所属する業界団体の会員企業の中では、もしかすると私が株式を譲渡した最初の経営者になったのかもしれず、それだけM&Aの事例がまだ少ない業界だと言えます。ただ、経営者の高齢化も進んでおり、事業承継やM&Aは興味深いテーマとなっている様子です。この業界でもこれから徐々に、良いM&A事例が増えていくのではないかと想像しています。

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ

M&Aでシナジーを創出。時代に合わせた変化と挑戦を続けられる

CRGホールディングス株式会社
マネージングディレクター 米津 雅史氏

ずっと同じ組織のままだと、そこのルールや社風に適合した人だけが残り、全体的に似通った考えしか持てなくなってしまいかねません。全体としてうまくいっているときはそれでいいと思いますが、変革を求められたときや、何か違う取り組みを始めようとしたときなどは、新たな風を入れたほうが刺激になり、皆の意識も劇的に変えられるのではないかと思います。当グループもこれまで、M&Aやスタートアップ企業への出資によって、新しいつながりや交流を積極的に構築し、時代に合わせた変化と挑戦を続けてきました。グループ各社やそれぞれの事業同士が切磋琢磨したり協業したりすることで、シナジーが創出できていると感じています。

また、M&Aの意義に関してもう一つ言うならば、私は率直に高齢化だけを理由に、数十年続けてこられた事業を廃業させるのは非常にもったいないと思います。手を組むことで私たちからの支援が成長につながったり、「ヒト・モノ・カネ」が補い合えたりするのであれば、お互いに力を高めていけるに違いありません。今回のクレイリッシュさんも、髙木社長が作り上げてきた社風や組織力に、当社がさらに燃料を追加したような形です。そんなM&Aが実現できることを広く知っていただき、今後も積極的に様々な企業とつながりを持っていきたいと思っています。

「誠実な経営」を続けた事業者向け貸金企業。異業種M&Aで業界トップへ

担当アドバイザー コメント

この度は、金融事業を営むクレイリッシュ様と人材派遣業を営むCRGホールディングス様とのM&Aをご支援させていただきました。
髙木社長は、「誠実であること」をモットーに、聡明ながらも心の内に熱い気持ちを持たれ、そして自社の発展、及び従業員様含めたステークホルダー様の将来を真剣にお考えになられている方でございました。
一方で譲受企業であるCRGホールディングス様におかれましては、新規事業の発足に伴い金融業において知見を持ち合わせた方を迎え入れたいとお考えがございました。本件が進行するにつれ益々クレイリッシュ様とのご提携を強く望まれていた事を覚えております。
タイトなスケジュールの中でもスムーズに進行が出来ましたのは、お互いが理想のお相手様と感じていたからだと思っております。
事業シナジーが大いに期待出来る素晴らしいM&Aをご支援できたこと、アドバイザーとして大変嬉しく思います。
今後ともご両社の益々の発展をお祈り申し上げます。

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