医療経営における積極的M&A活用

医療経営における積極的M&A活用

国民の生命と健康を支える医療業界は、その適切な体制の維持のため法や規制で守られている面があります。結果として、他業界に比べて競争環境が緩やかで、変化のスピードも遅い傾向があります。

しかし、経済社会に大きな構造的変化が生じた時、医療業界だけがそれと無縁でいることはできず、やはり変革を迫られます。その構造変化とは、たとえば人口動態であったり、それと関連した国の予算配分であったり、あるいは人々の意識の変化だったりと、さまざまです。

本記事では医療経営の将来を考える際の参考として、他業界で現在トレンドとなっている変化に目を向けながら、今後の医療機関経営のあり方について考察します。

後継者不在問題解決のためだけではなく、成長のためのM&Aが増えている

昨今、中小企業の後継者不足の深刻化を背景に、事業承継の一手段としてM&Aによる第三者承継を選ぶ経営者が増え、M&A市場が隆盛の一途をたどっています。

しかし、現在のM&A市場の隆盛は、必ずしも後継者不足・事業承継問題の解決手段だけが理由ではありません。

後継者問題が顕在化していない企業においても、自社を成長拡大させるための手段として、他社に経営支配権を譲り、戦略的なパートナーシップを組むことを選択する経営者が増えているのです。これは「成長戦略型M&A」などと呼ばれることもあります。

通常、成長拡大のためのM&Aと聞くと、事業領域拡大を企図して自社に不足するリソースを補うために他社を買収する「買い手」の戦略がイメージされます。しかし、売り手にとっても、M&Aが成長戦略になることがありえます。

たとえば、業務シナジー(相乗効果)を見込めそうな大手企業に買収されることにより、大手企業のリソースを最大限活用しながら自社の成長と発展を図るというのも立派な成長戦略といえます。

サプライチェーンの上流または下流にある取引先のグループ傘下に入ることで、市場における競争優位性を高めるという戦略もあります。

さらには、PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)が買い手となるM&Aも選択肢となりえます。PEファンドの持つ経営ノウハウやネットワークを活用することで、自社だけでは成しえなかった会社の成長や、将来のIPOを目指す経営者もいます。

経営者に求められるさまざまな資質

一般的な中小企業において、成長のためのM&Aが増えてきたことには、経営の専門性、いわば「プロ経営者」に対する意識の変化もあります。

かつては、斬新なアイディアや行動力で新しい市場を生み出す、いわゆる「0→1」のベンチャー起業をした経営者が、そのまま企業を成長させて、やがてはIPOで上場企業となるというのが、典型的な企業家の成功モデルでした。

古くは、本田宗一郎氏(ホンダ)、盛田昭夫氏(ソニー)から、稲森和夫氏(京セラ)、小倉昌男氏(ヤマト運輸)、孫正義氏(ソフトバンク)など、立志伝中の経営者のモデルです。これらのスーパー経営者は、自らが起業し、一貫して経営トップで指揮しながら、零細ベンチャーを世界的大企業まで育て上げたという点で、まさに例外的な才覚を持つ経営者でした。しかし、その影には、画期的なアイディアや行動力で、事業の起ち上げには成功しながら、その後の成長過程で失敗して消えていってしまった同時代の経営者が何十倍、何百倍といたはずです。

普通に考えて、新しい発想で新規の市場や製品を作る、いわゆる「0→1」を成功させるための資質や才能と、組織を効率的にマネジメントして育てていくための資質や才能は、かなり異なるものだと想像がつくでしょう。それらの両方での突出した成果を1人の経営者に求めることは、かなりハードルが高い課題です。だからこそ、事業の誕生から世界的規模での成長まで常にトップで指揮を続けた、上のような例外的な名経営者たちは賞賛されているわけです。しかし、多くの経営者は、そういった資質や才能を持ちません。そのことが、成長のためのM&A増加の背景にあります。

経営の専門分化が成長戦略型M&A増加の背景に

成長戦略型のM&Aが増えているのは、自らの資質に気づいて、経営者としての役割分担を変える選択をする人が増えているということでもあります。
「自分は、新しい発想で新しい製品や市場を作ることが好きだし、得意でもある。でも、大きな組織をマネジメントすることは苦手だ」と気づいたときに、自分が苦手とする部分は、それが得意な人に任せて、自分は再び新しい市場や製品を作る「0→1」の仕事に取り組もう、と考える経営者が少しずつ増えているということです。
これは、「起業家」と「経営者」の専門分化だといってもいいでしょう。そこから、最近は、「起業」だけを連続で実行する「連続起業家」(シリアルアントレプレナー)という存在も生まれています。
それは起業だけの例ではありません。より広く、会社の成長段階に応じて、適切な経営のプロに会社の指揮を任せようという考え方は広まっています。10人の組織を動かすことと、100人、1000人の組織を動かすことは、異なる仕事だからです。10人の組織はうまく指揮できても、100人の組織を動かすことは難しいと考えるのなら、それが得意な人にバトンを渡すことは、経営者自身にとっても、組織にとっても良い選択になりえます。
そこでのM&Aは、かつてのような“身売り”のイメージと異なることはもちろんですが、事業承継のイメージとも多少異なり、会社も経営者自身も、より高いステージに進むための「登竜門」として、M&Aが捉えられています。

医療経営にも、専門のプロが求められる時代へ

以上説明したように、他業界において、経営の専門分化を背景にした成長戦略型のM&Aが増加しているのと同様に、今後は医療業界においても、医療経営を専門とするプロ経営者に経営を任せるケースが増えていくものと思われます。

現在まで、病院経営においては、理事長が医療と経営の両面に責任を負ってコミットし、担っていくことが当たり前になっています。しかし、今後は、医療機関においても「医療のプロ」と「経営のプロ」が、専門分化して、経営のプロが求められてくるケースが増えると考えられるということです。それには、次のような背景があります。

▼経営環境の変化や営業ノウハウの取得

一昔前の医療機関経営では、ある程度立地のよい場所に病院・診療所を構え、適切な医療体制を整えていれば、一定の高い収益、利益を確保することができました。ところが、現在では度重なる診療報酬改定や人口減少などにより、同じような環境で、以前ほどの収益性を確保することが難しくなっています。

このような状況下では、医療機関といえども一般の事業会社のように積極的な集患、営業活動をおこなっていく必要が増えるということです。いままでまったくそういったことに関心がなかった理事長が、そのような知識やノウハウをゼロから学んでいくことは難しい面があります。

▼経営管理

2004年4月に医師の新臨床研修制度が必修化されて以降、医師の採用確保が難しくなったといわれる状況が続いています。医師だけではなく、看護師その他の有資格者の確保も年々難しくなっています。構造的な人手不足に加えて、2024年には、医師の時間外労働に条件を設けるなどの「医師の働き方改革」が法整備化される予定です。人材の採用・確保も含めて、細やかな人材マネジメント体制を築くことは、医療機関経営にあたり今まで以上に重要な経営課題となっています。

総じて、これからの時代の医療経営には、一般の事業会社のように営業活動や計数管理、労務マネジメントといった通常の医師があまりおこなわず、ノウハウも有していない分野の知見がより一層必要となってきます。しかし、ただでさえ多忙な医師にとって、これらのノウハウを学び、身につけるために多くの時間を割く余裕はない(また、意欲もない)というのが実情ではないでしょうか。

内部から高度なプロ経営者を育てることは難しい

かつては、医療と経営の両方を1人で高度にこなす、いわゆる「スーパースター理事長」が全国に存在しました。いまでもそういった理事長は現存しますが、今後は生まれにくくなってくるのではないでしょうか。

たとえば、長年理事長の右腕として医療現場を統括してきた院長や副院長の医師がいたり、理事長の子が診療科長などとして勤めていたりしても、その人たちが前述した営業活動などの経営面のことをしっかり理解して、経営改革を実行できるかというと、一般的には難しいものと思われます。上述のように医師に求められる専門知識・専門技術が高度化し、オンライン診療などの新しい医療領域も登場してくる中で、さらに経営やマネジメントについて学び、経験やノウハウを積んでいくことは、長い時間を要し、医療機関や本人にも大きな負担となるでしょう。それは、働き方改革の流れとも逆行するものです。

そこで、医療と経営の分業体制を敷くというのが1つの解となるのです。医療機関経営の中でも「餅は餅屋」の発想で、特に営業活動や計数管理、労務管理などの、医師が得意ではない課題に対しては、これらの課題への取り組み実績があり、十分なノウハウを有している外部の「プロ経営者」と手を組んでいくことは、有望な方法です。

M&Aによるプロ経営者との連携も選択肢の1つ

プロ経営者との連携といっても、具体的にはさまざまな形が考えられますが、その1つが、医療施設の成長戦略型M&Aです。つまり、M&Aによって、経営ノウハウを持つ病院グループに加わる、あるいは、事業会社と連携して経営ノウハウを提供してもらうということです。

ここで、「他の病院グループの傘下に入るならともかく、事業会社に医療経営のことがわかるのか?」と疑問を持たれる経営者もいるかもしれません。しかし、マーケティングやコスト管理、人材マネジメントなど、経営の根幹部分はどの業界でもある程度共通しています。他業界において効率的で収益力の高い経営を実現している事業会社が、そのノウハウを医療施設に応用することは、現実的な方法です。もちろん、医療業界独自の知識はありますが、それは事務長などと情報共有をすればよいだけのことです。

医療業界ならではの成長戦略として、積極的にM&Aを目指すケースも

医療経営者の中には、自身が理想とする医療を普及させるために、自院の収益性の向上させ、さらに病院、診療所や介護施設を増やしていくなど、量的な拡大を積極的に図っていきたいという考えの方もいらっしゃるでしょう。それももちろん、経営者のあり方として正しいものです。

そういった量的拡大を目指す場合、株式会社であればIPO(株式市場への上場)という手段によって、短期間で一気に経営拡大を加速させる可能性が開けます。しかし、医療法人にはそれができません。

さらに、病院の場合は新規開業にしても増設にしても、許認可の壁があります。そのため、医療法人が迅速に経営拡大をしようと考えた場合、M&A(譲渡、譲受けの双方)が最適解となるケースが多いのです。

IPOが選択肢にならないという点では、積極的な成長拡大を目指す場合、むしろ他の業界よりも、医療業界のほうがM&Aを選ぶべき理由があるといえるのです。

他業界に遅れて、事業承継目的のM&Aが浸透し始めた医療業界ですが、今後は、成長戦略としてのM&Aも、積極的に採用されていくのではないかと思われます。

OUR CASES

成約実績

fundbookヘルスケアチームは病院・クリニックのあらゆる
M&Aスキームを経験しており、法人形態・事業内容・病床数・場所を問わず対応可能です。

  • M&Aで複数の課題を一挙に解決。クリニック経営の負担を軽減し、医業へ専念できる体制へ
    • 譲渡企業
      業種
      地域
      設立
      事業内容
    • 譲渡企業
      業種
      地域
      設立
      事業内容

    全事業の譲渡へ変更し、持続可能な経営の実現を目指す

    クリニックのほか、デイサービスやグループホームを運営している法人A。A理事長は当初、赤字であった介護事業の切り離しを検討していた。しかし、fundbookアドバイザーとの面談で、「中期的な後継者不在」「エリアと業績の観点から介護事業のみの譲渡は困難」などの課題が浮彫りになる。赤字事業単体ではなく法人全体の譲渡を実施することで、A理事長が医師として医業へ専念することも可能になるため、事業譲渡から法人全体の譲渡へと方針を転換した。

    • 譲渡法人A
      理事長

      元々は、赤字の介護事業の経営をどうしていこうかと悩んでいました。そんな時にfundbookのセミナーで介護の話を聞き、細かいスキームまでは把握できなかったものの、「2段階譲渡」という手法が当法人には適していると感じ、fundbookのアドバイザーとお会いして詳しい話を聞くことにしました。経営を支えてくれている妻も同席のうえ面談したのですが、そのときに介護事業のみの譲渡が厳しいこと、法人全体の譲渡を通じて後継者不在の課題も解決すること、私や妻の経営負担が軽減されること、私が医業に専念できるということなど複数のメリットが感じられたので、法人の全体譲渡を妻とともに決めました。

    • fundbook
      アドバイザー

      当初は「介護事業のみの譲渡」という形で面談していましたが、法人A様の全体的な話を聞く中で、このエリアで赤字かつ小規模な介護事業のみを譲受いただける候補先を探すのは、正直困難だと感じました。また、医師になったご子息はいるもののご子息側に承継の意思はないという課題や、理事長ご自身が医業は得意とされるものの、経営業務には煩わしさを感じていて、本当は介護だけでなく、経営を誰かに任せられればと考えていたことが明らかになりました。
      経営サポートをしている奥様も「早く経営から離れたい」という思いが強く、これらの課題や理事長夫妻の希望を実現させるため、法人の全体譲渡を提案させていただきました。

    クリニック経営の成功ノウハウを有する法人との出会い。夫婦経営という共通点で意気投合

    fundbookが譲渡候補先としてご提案したのは、法人Aと同じエリアでクリニックを多店舗展開する法人B。クリニック経営において独自の成功ノウハウを有しており、これをさらに展開させていきたいと考えていた。しかし、A理事長は赤字だった介護事業を譲渡先によって回復してもらうことを期待していたため、介護事業を運営していない法人Bへの譲渡意欲は当初低かった。しかし両法人間で面談を行う中で、「介護事業は介護事業者がやるべき」という考えが一致。法人Bは事業譲渡のノウハウも有していることから、法人Bに譲渡した後、介護事業者へ事業譲渡を行うという方針で交渉が進んだ。また、夫婦経営という共通点から奥様同士が大きく共感し合い意気投合。加えてエリアが同じという点もあり、両法人は互いに好印象を抱き、交渉は順調に進んでいった。

    • 譲渡法人A
      理事長

      実際にお会いしてお話するなかで、法人Bさんは多店舗展開しており、クリニック運営のノウハウを熟知していると感じました。また同じエリアの医療機関同士ということもあり、親和性も感じていました。そして何より、今後も私が理事長として限界が来るまで働き続けることに対して一切反論なく同意いただけたことで、法人BさんとのM&Aを決意することができました。

    • 譲受法人B
      理事長

      法人Aさんは収益の多くが手術報酬で成り立っていたため、手術を得意としていた理事長がこれまで通り継続していただけることは不可欠でした。一方、当法人が多店舗展開している中で培った経営ノウハウで収益を上げる動きやコストダウン、また、理事長に医業に専念いただける体制づくりなど、当法人からサポートできる側面もあると感じ、法人Aさんの譲受を通じて、法人Aさんの更なる成長をお手伝いできれば、と思いました。

    • fundbook
      アドバイザー

      両法人の面談の際は、医師としてだけでなく、どちらも夫婦二人三脚で経営をしている点など共通した話題も多く、終始円満な印象でした。また当初法人A理事長様が課題に感じていた介護事業に関して、法人B理事長様より、「介護事業は本来介護事業者がやるべき」という経営者としての率直なご意見もいただき、飾らずありのままをお話されていたことに、誠意を感じました。

    理事長は医業へ専念し、奥様の経営負担も軽減。理想的な立場で法人Aを今後支えていく

    交渉は大きなトラブルもなくスムーズに進み、無事にM&Aが成約。引き続きA理事長は医師として法人Aで勤務していくため、譲渡後も法人Aの経営方針が大きく変わることはなく、法人Bは法人Aの課題把握のほか、A理事長が医業に専念できる環境の整備や患者がより集まってくるような設計を行うといったサポートに徹することとなった。同時に、A理事長の奥様の経営負担の軽減も実現。「パートナーができてやる気が戻ってきた」と心の余裕も生まれた。また奥様が家庭に集中する時間もでき、理事長・奥様ともに理想とする形で今後法人Aを支えていくこととなった。

    • 譲渡法人A
      理事長

      自分が理事長という立場であることは変わらずに、経営権を譲れてよかったと感じています。法人BさんとM&Aが成約したことにより、今後、より厳しくなっていく医療経営に対して、良き相談相手ができた感覚です。また妻は、経営の良きパートナーの存在ができたことで、より「ちゃんとしなきゃ」という気持ちが生まれたようです。そのうえで、自身の業務を棚卸しを行い、少しずつ家庭の時間も増やしていく方針でいます。私は医業に専念できるようになり、妻の経営負担も軽減することも実現できてよかったと思っています。

    • 譲受法人B
      理事長

      エリアも同じで、かつ夫婦経営という共通点もあり共感できる部分も多い法人でしたので、無事にM&Aが成約してよかったと感じています。今後、A理事長には医業に専念していただき、煩わしい業務はできる限り巻き取れる体制を作り、より地域において必要不可欠な医療機関になれるように力添えしていきたいと考えています。

    • fundbook
      アドバイザー

      本件は当初、介護事業だけの切り離しの相談から始まりましたが、時間をかけてお話をした結果、より深い課題をお伺いし、法人の全体譲渡のメリットを感じていただき、それがあって法人B様とのM&A成約に至ることができました。法人A様が有する課題を解決するお手伝いができ、大変嬉しく思います。今後、法人B様のサポートのもと、さらに地域に貢献していただけるような医療機関へ成長していただけることを切に願っております。

  • 訪問診療も再開へ 沖縄の専門医療を担うクリニックの事業承継
    • 譲渡企業
      設立年月日
      事業内容
    • 譲受企業
      設立年月日

    沖縄県で生まれ育った川平稔氏は、2001年に内科・神経内科・リハビリテーション科を診療科目とする「医療法人かなの会 コザクリニック」を沖縄市で開設。県内で神経内科に対応する医療機関が少なかった頃から神経疾患の治療に励み、パーキンソン病治療の「LSVT BIG」を県内で初めて導入したほか、「全国パーキンソン病友の会・沖縄支部」の立ち上げも率いてこられました。

    後継者を探すべくM&Aに動き始めていたコザクリニックに、突如としてコロナ禍の影響が降りかかることに。当初の予定よりも早く譲受法人を見つけなければならない――。不安と焦りの中でしたが、リハビリや介護事業に強みを持つ法人とめぐり逢い、2022年5月、M&Aの成約に至りました。譲受法人との連携によりコロナ禍で打撃を受けていた収益は大幅に改善し、休止していた訪問診療も再開に向かうなど、相乗効果が顕著に表れています。

    川平稔理事長と、医師の町田憲彦氏、総務を担当するご子息の川平史明課長に、M&A成約までの経緯や、今後への期待などについて伺いました。

    訪問診療も再開へ 沖縄の専門医療を担うクリニックの事業承継

    沖縄県を代表する神経内科専門クリニック

    川平理事長がコザクリニックを開設された経緯をお教えください。

    川平稔氏:私はここ沖縄県で生まれ育ち、大学進学等で10年近く県外へ出た後沖縄に戻り、以降はずっと県内で医師として勤めてきました。私自身、神経内科を専門にしてきたのですが、昔は県内に神経内科が少なかったんです。県内の患者さんが県内で治療とリハビリを受けられるようにしたいと思い、2001年にコザクリニックを開設しました。現在は北は本島最北端の辺戸から、南は石垣島・宮古島からも患者さんが来られています。沖縄県は非常に広域ですが、当院の近くまで高速道路が通っていますし、離島と本島間の航空便も充実してきましたから、県外の病院に通わなければならなかった頃に比べて、コザクリニック開設後は患者さんたちもはるかに治療が受けやすくなったと思います。

    特にパーキンソン病治療では沖縄県の第一線で活躍されてきたそうですね。

    川平稔氏:当院は県内初のパーキンソン病治療を行うクリニックですが、沖縄県でパーキンソン病の患者会を立ち上げてはどうかとずっと働きかけてきて、ようやく「全国パーキンソン病友の会・沖縄支部」を発足させられたことは思い出深いです。当院は沖縄市に位置していますが、友の会の拠点は県内の中心都市にあった方がいいだろうと提案し、那覇市に拠点を置くこともできました。コザクリニックに来てくださった皆さんが中心となって立ち上げられたことはとても嬉しかったですし、今も継続して友の会の活動に力を注いでいます。

    訪問診療も再開へ 沖縄の専門医療を担うクリニックの事業承継
    医療法人かなの会 川平稔氏

    M&Aを進め始めたところで襲い掛かったコロナ禍の大打撃

    かなの会様がM&Aを検討し始めたきっかけをお聞かせください。

    川平稔氏:私の年齢やクリニックの建て替えなどいろんな事情が相まって、数年前からM&Aを視野に入れるようになっていましたね。神経内科の医師として、20年以上にわたって続けてきた訪問診療も、年齢的にだんだん難しくなってきたと感じていた矢先、4年ほど前に病気を患ってしまったんです。そのときに課長の呼びかけで町田先生が当院に来てくれたのですが、町田先生にはご自身が続けてきた研究に専念できる時間も必要です。診療以外の病院経営の面まで負担をかけないようにしたいという思いから、M&Aが最善の策ではないかと真剣に考えるようになりました。

    町田先生はそのような状況をどう感じられていましたか。

    町田氏:私はコザクリニックに来てから2年間ほど訪問診療にも携わってきました。神経疾患は進行すると通院が困難になる場合もありますし、療養病棟に入院するより、落ち着いて過ごせる自宅での療養を選ばれる患者さんも多くいらっしゃいます。また、特別養護老人ホームに伺って診療することもあるなど、訪問診療は地域医療の一端を担う重要な取り組みであることは間違いありません。

    一方で、訪問診療は人材と時間と体力が要求されるため、容易には行えない医療サービスでもあります。また、私はコザクリニックに来る前からある医療分野の研究を続けている最中の身で、川平理事長と従来のペースのまま訪問診療を続けていくには限界があり、やむを得ず休止することになりました。訪問診療はコザクリニックの看板でもあるので、将来的に再開できればと色々な考えを巡らせていました。

    訪問診療も再開へ 沖縄の専門医療を担うクリニックの事業承継
    医療法人かなの会 町田憲彦氏

    その後、いつ頃からM&Aに向けて本格的に動き始められましたか?

    川平史明氏:2021年末に開催されたfundbookさんのセミナーを受講したことが、第一歩になったと思います。セミナー後に個別の相談をしたこともあってM&Aが具体的にイメージできるようになり、翌月には担当アドバイザーさんとともに、M&Aに向けて動き出しました。

    当初はM&A成約まで半年から1年弱のペースでゆっくり進めていこうと話していたのですが、直後に当院がコロナ禍の影響を大きく受けてしまったのです。県内でオミクロン株が急速に感染拡大し、途端に運営状況が悪化してしまいました。私がここで勤めてきたなかでも、最も大きな困難でした。資金繰りの不安もあり、その時点からスピードを上げてM&Aを進めていただくことになりました。

    短期間でM&Aを進めるうえで、大変だったことはありましたか?

    川平史明氏:強いて挙げるならば、資料の準備が大変でした。ただ、分からないことがあったときもfundbookさんが丁寧に教えてくださったので、問題なく資料を作成することができました。私たちとしては大変だったことより、時間が限られた中でも素晴らしい法人を紹介していただけたことに感謝の思いでいっぱいです。

    訪問診療も再開へ 沖縄の専門医療を担うクリニックの事業承継
    医療法人かなの会 川平史明氏

    譲受法人の支えで、クリニックの経営や職員の意識が向上

    譲受法人様と面談されたときの感想をお聞かせください。

    川平史明氏:当院はリハビリに力を入れており、譲受法人さんもリハビリを得意とされていらっしゃいますので、まず率直に相乗効果がありそうだと感じました。譲受法人の代表からも「一緒にやりましょう!」という熱い言葉を掛けていただき、こちらとしてもぜひ手を組ませていただければと、初回の面談から思いましたね。本格始動から4~5カ月でM&A成約に至れたことは奇跡的と言いますか、本当に良いご縁をいただけたと身に染みて感じています。

    町田氏:私も、初めて代表にお会いしたときから、そのエネルギッシュさと、従業員や周りの人々を大事にされているお人柄を見て、「とても良い法人さんを紹介していただけたな」と嬉しく思ったことを覚えています。また、私は鍼灸の分野にも興味を持っていて、研究対象にしたいと考えていたことがあったんです。譲受法人さんは鍼灸治療にも強みを持たれていますから、色々と勉強させていただけるのではないかという期待も膨らみました。

    M&Aが成約した際の川平理事長のお気持ちはいかがでしたか?

    川平稔氏:もう、「良かった」の言葉に尽きます。クリニックの移転や建て替えから後継者のことまで、今後どうするべきかと模索し続けていましたし、とにかく職員の雇用を守るために一番良い方法は何だろうかと探っていましたから。譲受法人さんに経営を応援していただけることになり、安堵の気持ちはひとしおでした。私は80歳(取材時)を迎え、無事にM&Aも成約したので、これからは少しゆっくりさせていただこうかなとも思いましたが、患者さんやクリニックが必要としてくださるときはぜひ、引き続き力になっていきたいと考えています。

    訪問診療も再開へ 沖縄の専門医療を担うクリニックの事業承継

    M&A成約後、コザクリニックではどのような変化が表れているでしょうか?

    川平稔氏:今までも「コザクリニックの人たちは良心的だ」という評判は得られていたと思います。ただ、クリニックを長く続けていくには、そういった評判と同時に、経営もしっかりしておくことが大事です。譲受法人さんの代表が当院を見てくださるようになって、評判と経営の双方が乖離なく良い状態になったと実感しています。

    やはり経営者というのは、自身の生活をかけてその職を担っているものでしょうから、バイタリティーがあって、職員に対する気配りも大事にしてくださる代表が当院を率いてくださることは、すごく良いことだと思いますね。代表の「一緒にやっていくんだ!」という思いがこれからますます職員にも浸透していくと、さらに当院が発展していくのだろうと楽しみにしています。

    川平史明氏:職員にM&A成約を伝える際は、多くの人が離れていかないだろうかと心配していましたが、今も大半の職員が勤務し続けています。それに、譲受法人さんの施設との連携や職員間の交流も進んでいますし、譲受法人さんによる教育によって、職員の意識もますます向上している状況です。

    また、以前はほぼ私一人だけで財務管理をしていたのですが、譲受法人さんからノウハウの提供やサポートが受けられるようになり、負担もかなり軽減されました。様々な連携と支援によって、医業収益もM&A成約前に比べて倍近くまで伸長しています。

    訪問診療も再開へ 沖縄の専門医療を担うクリニックの事業承継

    クリニックの存続は患者の安心につながっている

    今後のコザクリニックに期待することをお聞かせください。

    川平稔氏:まずはこのコザクリニックが存続し、職員が安心して生活できる基盤を固めることですね。医療機関であっても、世の中の移り変わりに合わせて、その都度、柔軟に方向性を変えていくことは必要です。その際に、医療法人としての核となるものをしっかりと持ちながら、経営に長けた譲受法人さんからアドバイスをいただいていけば、最適な方向に進んでいけると信じています。医療も経営も、一人だけで全てができるとは考えられませんから、皆がお互いに協力し合うことはとても大切です。職員同士、そして譲受法人さんと当院との協力が相乗効果を生み出し、その雰囲気が患者さんや外に向けても伝わっていけば嬉しく思っています。

    町田氏:ありがたいことに、譲受法人さんとの取り組みによって、訪問診療が小規模から徐々に再開できるようになりました。川平理事長も市外の患者さんのところまで行かれているんですよ。

    訪問診療も再開へ 沖縄の専門医療を担うクリニックの事業承継

    川平稔氏:訪問診療はまさに、コザクリニックの一つの核です。

    訪問診療について少しお話させていただくと、診療報酬のルール上、訪問診療を行えるエリアは医療機関から16km以内という決まりがあります。今でこそ神経内科に対応する医療機関が増えてきましたが、当院を開設した20年前は県内にほとんどなく、その上離島に住む患者さんも多くいらっしゃるので、当時は何とか遠方の患者さんにも訪問診療を行えないかと、厚生局などへ熱心に掛け合ったものでした。その結果、専門的な治療が必要な患者さんを例外として認めてもらえたこともあります。それだけ訪問診療は必要とされていますし、私たちにとっても強い思いがあるんです。

    訪問診療の再開など、M&Aは患者様とコザクリニックの双方にとって喜ばしい結果を生み出しているのですね。

    川平稔氏:そう思います。クリニックがより良くなって経営を続けられ、そして求められる医療が提供できるのですから。

    いろんな事情で閉院するクリニックがありますが、そのときは患者さんをほかの医療機関にお願いするわけですよね。いつも診てくれていた医師や医療機関を丸ごと変えなければならなくなると、患者さんに対しても大きな不安や負担を与えかねません。しかし、M&Aでその医療機関が続いていくのであれば、職員も然り、患者さんも心配せずに過ごせられると思うのです。M&Aがなければ、ただ単に閉院することになる医療機関もあるでしょうから、医療業界にとってもこういう手段があって本当に良かったと思っています。

    訪問診療も再開へ 沖縄の専門医療を担うクリニックの事業承継

    個人レベルではなく、公共の視野で物事を考えることが大切

    医療法人 かなの会

    理事長 川平 稔氏

    十数年前までは、M&Aに関するネガティブなニュースの影響で、M&Aに対して悪い印象を持った人は少なくなかったと思います。しかし今は、後継者不在など様々な課題を解決する手段を模索するなかで、M&Aは必要だと認識する人が多くなったのではないでしょうか。実際に当院もM&Aを実施してみると、課題を解消しながら、これまでの長所はさらに伸びていると実感しています。

    人は物事に対する良い印象は忘れやすく、悪い印象の方が残りやすいものです。医療業界でも「M&Aをして良かった」というところは当院以外にもたくさんあるでしょうから、もしM&Aに対して悪い印象が払拭できないまま悩んでいる医療機関があれば、ぜひ良い事例にも目を向けてみてはどうかと思うのです。

    理事長である以上、年齢を重ねるといくら健康に自信があっても「このまま続けられるのか?何かあったときにどうするのか?」という、将来の不安は必ず出てきます。そのときに、個人のレベルで物事を理解するのではなく、職員や患者さんたちも考慮した公共の視野で物事を理解し、考えようとすることが大切です。今回のM&Aを経て、改めてそう思いました。

    訪問診療も再開へ 沖縄の専門医療を担うクリニックの事業承継

    担当アドバイザー コメント

    この度は、沖縄県でも数少ないパーキンソン病の専門治療を担うクリニックとリハビリに強みを持つ譲受法人のM&Aをご支援させて頂きました。

    クリニックには毎年延べ数万人のパーキンソン病患者が通い、地域に欠かせない医療機関の代表例のような存在でした。そこに突如として襲い掛かかったオミクロン株の影響で経営にも打撃が・・・、1日でも早くM&Aでお相手を見つけたいと願った矢先、奇跡とも呼べるタイミングと相性で現れたのが譲受法人でした。

    譲受法人の経営支援により患者数が増え、コロナ禍の影響で失われた業績も一気に回復、休止していた訪問診療も再開の目途が立ちつつあり、新たな風が吹いたことで職員にも活気が湧いてきたように思えます。

    理事長から成約式で言われた「いいお相手に縁を持たせてくれてありがとう」という言葉が今でも胸に残っています。医療法人かなの会が地域に欠かせない医療機関として更に存在感を増していく姿をとても楽しみにしております。

  • 地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援
    • 譲渡企業
      設立年月日
      事業内容
    • 譲受企業
      設立年月日

    福島県いわき市で、長年にわたって地域医療を支えてきた社団医療法人養生会。かしま病院をはじめ、特別養護老人ホームやケアハウスなどもグループで運営しながら、職員が一丸となって住民の健康と福祉の向上に尽力されています。

    県外の大学病院で勤めていた中山大氏は、父が創設したかしま病院から手伝いを求められ、地元へ戻ることに。そこで地域医療の重要性を目の当たりにし、理事長を引き継いで献身的に医療・看護・介護の地域連携の推進に取り組まれています。そんな中山氏にとって大きな壁となったのが、東日本大震災とコロナ禍でした。

    医師として現場に対応したいが、経営も見なければならない――。その葛藤から、経営支援を受けようと考え始め、医療グループの株式会社地域ヘルスケア連携基盤(CHCP)と出会いました。CHCPの社名と事業内容はまさに、養生会の目指す地域連携そのものだと期待を寄せています。中山氏と、CHCPの代表取締役会長・武藤真祐氏、代表取締役社長・国沢勉氏の3名に、医療業界の課題や養生会の展望について伺いました。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援

    地域多機能病院のかしま病院。勤務当初は戸惑いの連続

    中山様が医師を志したきっかけやご経歴をお教えください。

    中山氏:私の父はかしま病院の創設者であり、もともと開業医でもあったため、私も物心がついた頃から「将来は医師になるんだろう」という環境にいたと思います。

    臨床研修医時代は心臓カテーテル治療の創生期で、その分野に魅力を感じた私は、研修を終えて大学に戻ってからもカテーテル治療を中心に対応していました。そうしているうちに、米国への留学の機会を得て、循環器科で1年半ほど臨床研究や論文の執筆、学会での発表などに携わり、帰国してからもしばらくはそういった仕事をしていました。

    そんなあるとき、かしま病院から「人手不足で大変だ」と手伝いに来るよう求められ、いわき市に戻ってきました。でも、最初は一時的な手伝いの予定だったんです。

    もともとはかしま病院を継ぐと思っていなかったのでしょうか?

    中山氏:私は末っ子ということもあって、かしま病院を継ぐなんて自分には関係ないだろうと思っていたほど、当初はまったく考えてもいませんでした。私が戻ってくる前から兄や姉夫婦が手伝いに来ていたのですが、当時兄は医大の仕事で多忙を極めていたので、「だったら、弟の私に」という程度で声がかかったのだと思います。

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    社団医療法人養生会 中山大氏

    ですが、中山様は今もかしま病院で尽力されています。医師としてかしま病院に戻ってきて、お気持ちに変化はありましたか?

    中山氏:それまでは大学病院等で専門医として勤務していたため、循環器のことしか知らない状態で戻ってきたわけですが、地域多機能病院であるかしま病院にはいろんな症状の患者さんがいらっしゃいます。例えば、腰椎の圧迫骨折など、高齢者にはよくある外傷で来院された患者さんにも何をすればいいのか分からず、整形の先生に電話で聞いたりして、本当に「日々、勉強だな」と思うばかりでした。

    一方で、自分の得意とする分野の患者さんでも、併存症の状態が悪ければなかなか退院できない。大学病院とはまるで違う戸惑いの連続でした。今でこそ、重複して持つ病気を総合的に管理する医療は当たり前になっていますが、振り返れば私は20年ほど前から対峙していたということになります。

    今、中山様は医師としてどういうことを心掛けながら医療の現場に立っていますか?

    中山氏:常に“利他”を心掛けるようにしています。やはり、医療は中立的な立場でなければいけませんし、疾病や年齢で差別があってもいけません。それに、自分のことより相手を中心に考えることが大切です。若い頃の私は自分のやりたいことに目が向いていましたが、かしま病院に戻ってきてからは、「求められることにしっかり応えていこう」という意識を持って現場に立つようになりました。

    当法人のValue Statementには、①何物にも先入観を持って対応せず、医療・介護弱者の手助けを行うこと②他の施設が遂行困難な問題にこそ大きな需要があることを知ること③その仕事に誇りを持ち、決して皮肉はいわないこと――を掲げています。職員にも同じベクトルで考えてほしいと思い、この3つを明文化しました。「そんなの自分じゃなくてもいいでしょ」ではなく「自分がやらねば、誰がやる」と思って対応しようと、職員全員で心掛けています。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援

    格差、高齢者ケア、医療従事者の負担など、業界の課題は山積

    皆様が感じられる医療業界の課題についてお聞かせください。

    中山氏:地域医療に関わる立場からすると、やはり都市部と地方の格差が非常に大きな課題です。また、医業に関しては、「高齢者の管理」が目の前にある一番の課題だと思っています。例えば、脳梗塞を起こした場合、最初に救命センターで機能障害を最小限に食い止めてから、かしま病院のような回復期リハビリテーション病棟を利用することになりますが、高齢になり再発を繰り返すとどうしても回復機能は低下してしまうので、再発時に高次特定機能病院で診てもらえなくなってしまうといった現状があるのです。在宅や介護施設などでの療養中に身体能力の低下や、症状が急性憎悪した状態を「サブアキュート」と呼びますが、そういった方々を私たちがしっかりと管理していかなければいけないと考えています。

    かしま病院では、訪問診療を活用しながら集合住宅に住んでいる高齢者を包括的に管理できるような仕組みを作ったり、地域内で救命センターを持つ病院との協力関係を構築したりと、課題の解決に向けた様々な取り組みに力を入れています。高齢者が過ごしやすく、健康長寿を叶える地域「Age-Friendly City」を実現するのは単独では難しいですから、病院をハブとした地域内の連携を推し進めていくことも、今必要になっていると思います。

    武藤氏:私たちも在宅診療を行っていますので、中山先生が仰った課題は身に染みて感じています。医療業界の課題は様々ありますが、格差の問題はものすごい勢いで広がると考えられます。その理由の一つに、医局の構造の変化が挙げられるのではないでしょうか。以前は大学が中心となって医師が各所に派遣されていましたが、今は医師個人の選択に変わってきているように思うのです。若い医師たちへのある調査結果を見ても、「教育」や「自身の成長」が重視されていることが分かりますし、働き方改革の流れも踏まえると、今後は「自分の時間」も大事になってくるとも想定されます。そうなると、教育や希望の働き方を提供できる医療機関とそうでない医療機関との間で、人材の集まり方にますます格差が生じてしまい、結果的に地域医療の格差も広がってしまいます。

    また、高齢者のケアについても、一人暮らしの高齢者が増えていますし、入院先の病院が十分ではない地域も少なくないので、病院外で高齢者が安心して生活できる環境の整備がいっそう重要になっています。そのために訪問看護・介護、薬局などと連携する制度の充実化は課題だと思います。

    最後に、新しい仕組みやイノベーションを導入できるか否かが、格差をさらに助長するのではないかと懸念しています。ITの活用などで、より少ない人材でより良い医療・介護が提供できるようになるにもかかわらず、従前どおりのオペレーションを続けていれば、人頼みになる上に人材が集められない状況になってしまう。従って、イノベーションをきちんと導入していくリーダーシップや、支援する仕組みが今まで以上に必要になってくると考えています。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援
    株式会社地域ヘルスケア連携基盤 武藤真祐氏

    国沢氏:医療従事者や、特に医師が多忙すぎることも課題だと思います。理事長が典型的な例になりますが、理事長や医師が、診療から経営、さらには関係各所との会合まで、全てに対応しなければいけません。まして、病院は医療の中心という考えがあるので、退院後に在宅看護に移られた患者さんのことまでも考えていらっしゃるほど、医療従事者が地域全体を一手に担っていると言えます。今までは理事長や医師のやる気と「私が支えていく」という意志に頼って何とか成り立っていましたが、このシステムがいつまでも維持できるとは考えられません。長く続いた「気合いと根性」の風習を、これからの時代は変えていかなければならないと思っています。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援
    株式会社地域ヘルスケア連携基盤 国沢勉氏

    CHCP様の事業についてお教えください。

    国沢氏:私たちは医療グループとして、医療機関や調剤薬局、訪問看護・高齢者施設運営などの在宅サービス事業者に対し、資金・人材・ノウハウの提供を通じて、新しい地域包括ケアモデルを創出する支援をしています。これまでの医療支援は、医療機関のみ、調剤薬局のみ、といった形でそれぞれの業態に特化した支援をする事業者が一般的でしたが、私たちは全てのヘルスケア・プロバイダーを総合的に支援していることが特徴です。

    また、医療の現場はやはり医師・看護師と患者さんとの関係性が大事ですから、専門的な医療サービスは医療従事者にお任せし、経営部門を全面的にサポートするのが私たちのスタンスです。ヘルスケアと経営の両方に精通したメンバーが、医療従事者の皆様としっかりコミュニケーションを取りながら、一体となって経営を改善・推進する体制を整えていることも強みとなっています。

    CHCP様の社名にもある「連携」についてのお考えをお聞かせいただけますか?

    国沢氏:まず、これまで医療従事者にかかっていた猛烈な負荷を軽減するために、「機能の連携」と「サービス提供者の連携」の両軸が必要だと考えています。この2つは、医療従事者が医療行為に集中していただけるよう、経営などその他のことは私たちのような事業者がサポートすること、そして、調剤薬局や歯科医院などのいろんな医療資源と病院が連携して役割分担をすることを意味しています。

    格差においても、人材が集まる都市部ではできるようなことが、できない地域で生じてしまうものなので、私たちはその課題認識に則って、地域で連携と役割分担がうまく機能するインフラを構築したうえで、格差を解消していこうとしています。

    武藤氏:少子高齢化が進行し、社会保障費が国家財政を大きく圧迫している現状にある日本では、地域の医療機関・薬局・在宅系サービス事業者がそれぞれ孤軍奮闘しながら地域の医療インフラを支えている現行の医療・介護システムは限界に近づきつつあります。だからこそ、連携を進めなければいけません。また、後継者を含む人材の確保・育成や、IT化への対応は、組織の存続と地域医療の継続を左右する課題にもなっています。地域医療の担い手が誇りとやりがいを持って協働するネットワークを構築し、地域医療の現場から新しいイノベーションを創出していくことも私たちの大事な責務だと考えています。

    医師として経験した震災とコロナ禍。経営はプロに任せるべきと再認識

    中山様が理事長に就任して以降、特に印象に残っている出来事をお聞かせください。

    中山氏:東日本大震災での原発事故と昨今のコロナ禍は、本当に大きな出来事でした。震災後2カ月ほどは断水が続きましたし、避難地域からもそう遠くなかったため、当然、職員の中にも病院に残ると言う人もいれば、子どもが心配で避難させたい人など、いろんな思いや事情がありました。なので、私から正式に「避難しなさい」と伝えたんです。2週間ほどは職員が減って大変でしたが、通常診療を再開した途端に皆が戻ってきてくれてすごくありがたかったですし、職員との関係性がさらに強まったと感じました。このときに改めて「職員に対しても、私がしっかりやっていかないといけないな」と思いましたね。

    そして次は今のコロナ禍です。ワクチンも治療薬もなかった頃に地域の病院とコロナ患者の受け入れについて話し合ったのですが、そのときはどの病院も手を挙げなかったんです。ですが私は、「地域に求められていることだから、私たちがやらないといけない!」と思い、受け入れを決めました。震災の経験から、地域に応えていこうとする土壌が職員の間でもしっかり固められていたのだと思います。この規模ながら、今では県内で3番目に多くのコロナ患者を受け入れており、各職員がプロフェッショナルとして、誠実に義務を果たしてくれているなと実感するばかりです。

    震災やコロナ禍の経験を経て、中山様が病院を経営していくうえで何らかの変化はありましたか?

    中山氏:震災のときを思い返しても、本来ならば私は経営者としての目線も持っていなければいけなかったのに、どうしても現場に走ってしまったんです。その反省があったにもかかわらず、コロナ禍でも同じことをしてしまって。だったら、自分が不得手としていることは、その道に長けた人から全面的なサポートを受けた方がいいと考えたんです。数年前に母校の理事長が「教授は医療と学問に専念すべきで、医局の運営はプロがすべきだ」と話されていたのですが、まさにその通りだと思いました。こうした経緯から、経営支援や協業の仕方を勉強するようになり、fundbookさんのセミナーも受講させてもらいました。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援

    経営コンサルティングではなく、しっかりと中に入っていただける経営支援には、どういったメリットがあると思いましたか?

    中山氏:過去には当法人も経営コンサルタントに色々と相談に乗っていただいたことがあるのですが、その多くは短絡的な提案で、やはり長期的な視野で見ていただきながら、経営の母体を強固にする仕組みを作る必要があると思ったんです。また、病院経営をするうえで、ほかの医療機関と比較して自分たちがどの立ち位置にいるかを知ることも重要ですが、欲しいデータはなかなか手に入らないものです。その点、情報を豊富に持っている医療グループと協業できれば、メリットも大きいだろうとも感じていました。

    CHCP様と面談されたときのお気持ちをお聞かせください。

    中山氏:fundbookさんから最初にCHCPさんを紹介頂いた時は、「経営のサポートを受けながら、共に地域医療のあるべき姿を目指していくーー。そんな方法があるんだ!」と、イメージが覆りましたね。そして迎えた面談の日、お話ししていくなかで「私が求めていたことはこれだ!」と直感しました。私たちが目指していることは間違っていなかったんだと再確認できましたし、何よりCHCPさんの社名がそれを表していらっしゃいます。まだ経営支援が決まった段階でもないのに、面談後に浮足立っていたことを思い出します。

    CHCP様は、養生会様にどういった印象を受けましたか?

    国沢氏:最初に訪問したときから、とてもアットホームで良い雰囲気が醸成されていることがよく伝わってきました。しかも、そのアットホームさが病院の中だけに閉じているのではなく、地域に広く染み渡っているんです。地域のほかの病院や保育園とどう協業するのか、地域住民とどういった形で関係を構築するのかなど、医療機関を中心に皆で役割分担と連携をしながら地域全体をケアしていこうとされていて、まさに私たちが目指す地域医療の姿を体現されていると思いました。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援

    面談や見学を重ねた結果、養生会様にはどういった形で経営支援を提供されることになりましたか?

    国沢氏:経営の概念には、「リーダー」と「事業運営」の2つの側面があります。中山理事長をはじめ、養生会さんのトップマネージメントの方々から医療に対する思いを伺うと、皆様が本当にリーダーシップを持っていらっしゃることがよく分かりました。ですので、引き続き中山理事長やトップマネージメントの皆様にリーダーを務めていただきながら、私たちは事業運営の支援に徹し、そのうえで地域連携に向けて協力していきましょうと、そう気持ちを一つにしました。

    武藤様は養生会様や中山様にどのような印象を持ちましたか?

    武藤氏:長年にわたって地域医療に貢献されてきており、単なる医療機関ではなく「無形の財産」と言える存在になっていると思います。私も医療法人を運営していますので、地域を巻き込んでアットホームな雰囲気を作り上げることは決して容易ではないと重々承知しています。日々の診療やマネージメントを通じて実現されてこられたことを本当に素晴らしいと思うばかりですし、中山理事長の医師としての姿勢、そして地域における病院の価値の正当性を築き上げてこられた功績に、心から感銘を受けています。

    これまでの医療業界はイノベーションや協業などに馴染みが薄かったと思いますが、中山理事長はそういったことにも関心を持たれ、新たな価値を生み出せるのではないかと期待してくださっています。私自身、医師及びCHCPの立場として色々な活動をしてきましたので、中山理事長のお考えには大きな共感と尊敬を持っていますね。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援

    いわき市のこの地で「Age-Friendly City」を実現していく

    CHCP様からの経営支援が決まった際の中山様のお気持ちと、職員の皆様の反応はいかがでしたか?

    中山氏:私はもう「よしっ!」の一言でしたね。職員からは色々な反応がありましたが、ネガティブな意見はまったく出ませんでした。CHCPさんとお会いする前からも、全職員に向けて地域連携や多職種業務連携の話を頻繫にしていましたし、例えば訪問診療に行く最中にも看護師やドライバーとざっくばらんに意見交換をしていたので、「常日頃から言っていたことね」と、すんなり捉えてくれたのだと思います。

    CHCP様からの経営支援が始まってから、すでに何らかの変化は起きていますか?

    中山氏:今まで自分たちだけではできなかったことも、CHCPさんの丁寧なサポートのおかげで着実に進められています。収益構造も目に見えて向上していますし、いろんなことがものすごいスピードで前進していると、身をもって実感する毎日です。それに、現場もより未来志向になり、前にも増して明るくなったように思います。

    国沢氏:採用も、少しずつ強化しています。医療制度や教育はそんなに急激に変われるものではないので、まずは技術と熱意を持った人に集まっていただき、中長期的な視野で、段階的かつ確実に良い方向へと進んでいくことが大切です。私たちもその心づもりでチームをセットしているので、末永くお付き合いさせていただければと願っています。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援

    経営支援を受けるべきか悩んでいる医療機関に向けて、CHCP様から一言アドバイスをいただければと思います。

    国沢氏:経営支援や事業連携など、医療機関ごとに最善の方法は異なりますから、まずは色々な事業者をご存じの、fundbookさんのような立場の方々とたくさんお話しして、良い選択肢を提示してもらえればいいと思うんです。その後、私たちのような事業者とお話しする際にも、じっくり時間をかけて最適解を導けばいいのではないかと思いますね。「話をしたからには、何かしなければいけないのでは?」と悩む必要はまったくありませんし、第一歩として選択肢を広げることが大事だとお伝えしたいです。

    最後に、養生会様の目指す将来像や今後の展望をお聞かせください。

    中山氏:まずは、目の前にある高齢者救急問題をしっかりと解決していけるようになること。次いで、健康長寿を目指す高齢者に向けて、地域が一体となって親身な介入をしていくことが大きな目標です。当法人の中だけでも、病院のほかにグループホームや特別養護老人ホームもありますし、近くには小学校や保育園、複数の介護施設などもあって、実はかなり魅力的な地域なんです。医療から介護までシームレスにケアしていくことはこれからますます重要になりますから、かしま病院を中心に点と点を連携させ、この地域で「Age-Friendly City」を実現していきたいですね。CHCPさんの力もお借りしながら、地域での医療・介護・福祉の連携を推し進めたいと思っています。

    武藤氏:養生会さんのお取り組みは、いわき市の「街づくり」に直結していると思います。それだけに、養生会さんの発展が地域には欠かせないのです。地域医療や住民の方々の健康と福祉を守ることに、中山理事長や職員の皆様がさらに多くの時間と情熱を注げるよう、私たちも労力を惜しまず最大限のサポートをしていきます。

    国沢氏:当社の社名にもなっている「地域ヘルスケア連携」は、養生会さんがずっと前から力を入れてこられていることです。養生会さんの成功モデルや中山理事長の理念を、全国各地の同じような課題やニーズを持つ地域に向けて展開していくことも当社の使命だと考えていますので、良い成果を出して全国に広くインパクトを与えていきたいですね。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援

    職員たちが“良い夢”を見られる職場にすることが私の役目

    社団医療法人 養生会
    理事長 中山 大氏

    2015年に地域医療構想が策定されてからも、色々なところで格差は生じてしまっています。やはり、各々の医療機関が各々の考えで「連携を組んでいきましょう」と言っても、相当なリーダーシップを持った医療機関がないと、実現は難しかったと思うのです。今回のような協業によって、様々なシステムや人材、地域とのコネクションが広がっていけば、例え私たちが今までと同様の取り組みをしていたとしても、地域医療構想の推進力はもっと強くなっていくのだろうと感じています。そういう意味でも、経営支援や協業は、一医療機関の経営課題の解決にとどまらない、非常に大きな価値があるのではないでしょうか。

    地域のためにしっかりと真面目に働いてくれる職員たちにとって、もっと自慢できる職場にすることと、次世代の職員たちが“良い夢”を見られる職場にすることが、私の役目です。CHCPさんからのご支援もいただきながら、一歩ずつ実現していきたいと考えています。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援

    「医療と経営」それぞれの責任者で役割分担する必要がある

    株式会社地域ヘルスケア連携基盤
    代表取締役会長 武藤 真祐氏

    日本は原則として、医師・歯科医師でなければ医療法人の理事長になれない制度のため、結果として理事長が経営にも関わらなければならないケースが多くなります。しかし、診療報酬は年々複雑になってきていますし、中山理事長が仰る通り、震災やパンデミックなどの不確実な事態がいつ起こるとも限らない中で、従前のマネージメントスタイルだけではうまく対応できないこともあるかもしれません。また、医療機関としては、医療従事者に成長できる場所を提供して人材を集めていくことも、ますます重要になっています。こうした全てを、プロの医師である理事長だけに任せるということは、企業であればほぼ無理な話です。

    海外では、CMO(チーフメディカルオフィサー)と経営の責任者が役割分担をして、より良い組織にしていく動きはすでに一般化しています。日本でもこうした流れは今後ますます取り入れられると思いますし、そうならざるを得ない状況になっているのではないでしょうか。私たちは医療機関への経営支援を通じて、医療従事者の業務改善から地域医療の発展まで、医療を取り巻くあらゆる課題を解決していきたいと思っています。

    地域医療の課題解決に挑む、病院理事長が決めた経営支援

    担当アドバイザー コメント

    医療法人の経営は、新時代を迎えようとしています。

    医療職中心で運営していく時代から、各々スキルを持ったプロが集い、スキルシェアをしていくこれからは、

    ・CMO(最高医療責任者)

    ・CEO(最高経営責任者)

    ・CTO(最高ICT・DX導入責任者)

    ・CAO(最高地域連携責任者)

    など、各々の役割分担を明確にした組織体の増加、今までになかった呼称も誕生していく可能性を感じています。地域の患者様・働き手となる生産年齢人口がこれだけダイナミックに変化する時代を迎え、変化し続ける医療機関が、その地域の地域医療の新しい形を創っていくのではないでしょうか。この度の経営支援が、養生会様の更なる発展に繋がるとともに、いわき医療圏の皆様にとって有益となることをとても楽しみにしています。

M&A成約まで完全無料

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M&A仲介会社では「着手金」「中間金」「成功報酬」といった料金体系があります。
fundbookはM&Aが成約するまで一切の費用が発生しない完全成功報酬制を採用しています。
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M&Aの流れ

ADVISOR

アドバイザー紹介

fundbookヘルスケアチームは、数多くの
「病院・クリニックM&A」を成功に導いた豊富な経験を持つ専門家集団です。

濱田 貴也
医療業界、介護業界、福祉業界

領域特化ならではの高いノウハウをもって、日本のライフラインの永続的な発展に寄与します。

濱田 貴也第一ヘルスケアビジネス戦略本部長

東京理科大学経営学部卒。2012年に株式会社リクルートスタッフィングへ入社し、人材を求める企業と働き先を探す求職者を結びつける業務に従事。2017年に株式会社日本M&Aセンターへ入社し、医療・介護業界のサポートを専門で行う医療介護支援部に配属。2021年にfundbookへ入社。

西山 賢太
医療業界、介護業界、福祉業界

理事長・家族・従業員・患者の誰もが幸せになれるM&Aを約束します。

西山 賢太第二ヘルスケアビジネス戦略本部 部長

日本大学薬学部卒。薬剤師・調理師・医療経営士。埼玉県済生会川口総合病院にて薬剤師としての実務経験を得た後、2018年に株式会社日本M&Aセンターへ入社。病院・診療所における事業承継やM&Aのほか、事業計画策定・病床機能転換など経営支援にも従事。2021年にfundbookへ入社。

平田 樹
医療業界、介護業界、福祉業界

ヘルスケア業界での知見を活かし、納得感のあるM&Aを戦略立案から実現までサポート致します。

平田 樹第二ヘルスケアビジネス戦略本部長

近畿大学生物理工学部卒。2013年にスリーエムジャパン株式会社へ入社し、医療材料の営業に従事。2016年にエムスリーキャリア株式会社へ入社し、医療法人に対する経営支援業務に従事。2019年に株式会社日本M&Aセンターへ入社し、医療介護業界のM&A及び病院経営改善コンサルティング業務に従事。2021年にfundbookへ入社。

横山 朗
介護業界、福祉業界、調剤薬局業界

ヘルスケア領域の経営課題解決を通じて、地域および国全体のウェルネスに貢献します。

横山 朗提携戦略本部長

名古屋商科大学大学院マネジメント研究科卒。外資系大手製薬会社へ入社後、MBAを取得。2016年に株式会社日本M&Aセンターへ入社。医療・介護・ライフサイエンス分野専門のM&Aアドバイザーとして、50件以上のM&A成約を支援。ヘルスケア分野の譲渡相談数はチーム内で最多を誇り、M&Aのみならず親族承継などコンサルティングサービスも提供。セミナー講師依頼も多数。2021年にfundbookへ入社。

よくある質問

  • 相談料はいくらですか?

    ご相談は無料です。また、簡易財務診断や候補先とのマッチングなどM&A成約までのサービスはすべて無料で提供しております。

  • 自院の将来について悩んでいるのですが、経営相談にのってもらえますか?

    もちろん可能です。M&Aや事業承継に関することだけでなく、経営に関するお悩みも気軽にご相談ください。

  • 自院の譲渡価額が知りたいです。譲渡価額はどのように算出されるのですか?

    複数の評価方法による理論的な財務診断と経営者様の意向を考慮したうえで決定されます。fundbookでは簡易財務診断を無料で行っていますので、気軽にご相談ください。

  • 知り合いの会社とのM&Aを検討しています。仲介会社に依頼する必要はありますか?

    当事者同士の交渉も可能ですが、双方が納得できる契約条件を引き出せず、うまくいかないケースがほとんどです。M&A検討の段階から専門家のサポートを受けることをおすすめします。