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2023/10/03

事業承継ガイドラインとは?政府主導の支援策の活用法をわかりやすく解説

事業承継ガイドラインとは?政府主導の支援策の活用法をわかりやすく解説

日本企業全体のうち99.7%を中小企業が占めています。安定した雇用のための受け皿であったり、生活をするうえでのサービスの提供であったりと、中小企業が日本を支えていると言っても過言ではありません。

しかし、近年では経営者の高齢化と後継者不足が問題となっており、後継者が決まらずに廃業を迫られる中小企業も多くなっています。このような背景の中、政府も問題を重く受け止め、事業承継に関わるガイドラインが策定されました。

本記事では、事業承継ガイドラインの概要や政府主導の支援策等を解説するので、ぜひ参考にしてください。

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事業承継ガイドラインとは

事業承継ガイドラインは、中小企業・小規模事業者の経営者に対して、事業承継の課題を知ってもらうために策定された指針です。また、中小企業・小規模事業者のサポートを行う専門家や機関にも、普段の業務で事業承継支援の基準としての活用が期待されています。

事業承継ガイドラインには3つの根幹があります。

・事業承継に向けた早期取組の重要性(事業承継診断の実施)
・事業承継に向けて踏むべき5つのステップ 
・地域における事業承継支援体制の強化の必要性

事業承継ガイドラインはこれらを中心として、円滑な事業承継に必要な取り組みや、活用ツールの注意するポイントを紹介しています。

●事業承継ガイドライン策定の背景

日本の企業全体の99.7%を占めている、中小企業・小規模事業者は雇用の受け皿としてだけではなく、技能や技術の担い手としての重要な役割を果たしており、日本経済には必要不可欠な存在です。

しかし、近年は経営者の高齢化や後継者不足の問題により、廃業という選択をする中小企業・小規模事業者も少なくありません。そこで、次の世代へ事業を承継させるために政府が打ち出した政策の1つとして、事業承継ガイドラインが策定されました。

●前身は「中小M&Aガイドライン」

中小M&Aガイドラインは、2020年に経済産業省が中小企業におけるM&Aの促進のため、「事業引継ぎガイドライン」を全面改訂し、発表したガイドラインです。

中小M&Aガイドラインでは、中小企業がM&Aを躊躇する以下3つの要因に対して、適格なM&Aのための行動指針を提示しています。

・M&Aに関する知見がなく進め方がわからない
・M&A業務の手数料の目安が見極めにくい
・M&A支援対する不信感

事業承継ガイドラインがM&Aを含めた事業承継のための指針であるのに対し、中小M&Aガイドラインは、M&Aを実施する際の指針という位置づけになっています。

●事業承継ガイドライン20問20答

「事業承継ガイドライン20問20答」は大きく7項目を20問のQ&A形式で、まとめたものになります。

「事業承継ガイドライン20問20答」で回答している7項目は以下になります。

・事業承継対策ってしなきゃいけないの
・事業承継計画ってどんなもの
・親族内の事業承継を円滑にしたい
・従業員に事業を承継したい
・M&Aを検討したい
・事業承継計画を作ってみたい
・専門家に相談したい

事業承継をする際に、経営者が疑問に思う内容について詳しく回答しているので、事業承継を検討している経営者は「事業承継ガイドライン20問20答」で、事業承継について理解を深めると良いでしょう。

チェックリストが事業承継計画の作成に役立つ


事業承継を円滑に進めて成功させるためには、事業承継計画の作成が必須です。事業承継計画には現状の把握や承継方法、後継者の確定等、多くの事項を盛り込まなくてはいけません。

「事業承継ガイドライン20問20答」の19問には、事業承継計画の作成に必要な項目を確認できるチェックリストがあります。

また、各チェック項目で参考になる情報が記載されたページも明示されているので、事業承継を検討しているのであれば、活用をおすすめします。

事業承継ガイドラインの概要

事業承継ガイドラインは先述した、根幹となる3つの項目を中心に、全6章わたり事業承継で起こる問題や解決方法等を紹介しています。

各章の主な内容は、以下になります。

・事業承継に向けた早期・計画的な取組の重要性
・事業承継に向けた5つのステップ
・事業承継の類型ごとの課題と対応策
・事業承継の円滑化に資する手法
・個人事業主の事業承継
・政府主導の事業承継支援策

それでは順に解説していきます。

●事業承継に向けた早期・計画的な取組の重要性

日本企業の大半が中小企業であることから、中小企業は社会基盤としてだけではなく、雇用の受け皿としても必要不可欠です。しかし、経営者の高齢化や後継者問題で廃業を選んでしまうという実態があります。

一般的に事業承継を行うには、後継者の育成等に5年~10年の準備期間が必要とされていることから、中小企業の維持の実現には、事業承継の早期かつ計画的な取り組みが重要であると言えるでしょう。

●事業承継に向けた5つのステップ

事業承継ガイドラインでは、事業承継に向けた5つのステップは、以下のように記載されています。

・事業承継に向けた準備の必要性の認識
・経営状況・経営課題等の把握(見える化)
・事業承継に向けた経営改善(磨き上げ)
・事業承継計画の策定(親族内・従業員承継の場合)
・M&A等のマッチング実施(社外への引継ぎの場合)
・事業承継の実行

まずは、後継者の育成や選定等、事業承継の準備には5年~10年かかるとされていることを考慮し、経営者の年齢が60歳前後から事業承継に向けて準備をする必要があることを認識しましょう。

次に、経営状況・課題等を「見える化」し、強みは活かして弱みは改善します。事業承継に向けてブラッシュアップをすることで、より良い状態で事業を承継できるように務めましょう。

「見える化」を十分に行ったら、事業承継計画の策定とマッチングを行います。親族内・従業員承継では事業承継の時期や後継者候補、どの形で承継を行うのか等、具体的な計画を立案し、会社の関係者で意識の共有化を行います。また、社外へ事業を引き継ぐ場合はM&A仲介業者の選定、売却条件の検討も行いましょう。

最後の実行段階では、事業承継計画やM&A手続きに沿って、事業承継・M&Aを実行します。なお、この段階で法的な手続き等、専門性が高くなるので、専門家のサポート受けるのが良いでしょう。

●事業承継の類型ごとの課題と対応策

先述したように、事業承継の類型は以下のようになっています。

・親族内承継
・親族外承継
・M&A

親族内承継は他と比べて、承継時に多額の税金が発生するという課題があります。この課題に対しては、暦年課税や相続時精算課税制度を活用して税金を抑えることが重要です。

親族外承継では、後継者が十分な資金を準備できないケースが多いという課題があります。解決策として、一般的に金融機関からの借り入れや、後継者候補の役員報酬を上げる等がある他、経営承継円滑化法に基づく金融支援の活用もおすすめです。

M&Aは成立がゴールではなく、M&A後のシナジー効果が企業の成長に繋がるのかが重要です。したがって、譲渡側の従業員や技術・ノウハウのような知的財産の流出を防ぐために、譲渡側の経営者に一定期間の協力を仰ぐことが効果的です。

●事業承継の円滑化に資する手法

この章では、事業承継を円滑に行うための手法として以下の4つを紹介しています。

・種類株式の活用
・信託の活用
・生命保険の活用
・株式会社の設立

各手法は事業承継で起こり得る課題の解消が期待されています。各手法にはいくつかの活用方法があるので、事業承継ガイドラインを参照して内容を把握しておきましょう。

●個人事業主の事業承継

個人事業主の事業承継での課題は、会社形態が抱えるものとほとんど変わりません。ただし、個人事業主は取引先や顧客との信頼関係が会社ではなく、経営者本人である場合が多いです。そのため、事業承継の成功には知的財産を適切に承継することが重要です。

また、個人事業主の先代経営者は、親もしくはそれ以外の親族である場合が大半であることから、親族内承継を前提として、事業承継に向けた準備を行う必要があります。

●中小企業の事業承継をサポートする仕組み

中小企業経営者の周りには、身近な支援機関をはじめ、専門家や公的な支援機関等、さまざまな支援機関が存在しています。事業承継を進める第一歩として、所属している商工会議所・商工会の経営指導員や取引のある金融機関等の身近な機関への相談がおすすめです。

なお、事業承継に関して、より専門的なサポートを希望するのであれば弁護士等の専門家に相談するのも有効的です。

●政府主導の事業承継支援策

政府主導の事業承継支援策は以下のようになっています。

・事業承継・引き継ぎ支援センター
・事業承継・引継ぎ補助金
・事業承継税制
・経営資源集約化税制
・登録免許税・不動産取得税の特例
・遺留分に関する民法の特例・所在不明株主に関する会社法の特例
・事業承継ファンド
・所在不明株主に関する会社法の特例
・承継円滑化法に基づく金融支援等

これらの施策には事業承継時に発生する税金を抑える税法や、事業承継について無料で相談できる機関等があります。

他にも中小企業庁のホームページには、さまざまな支援策が掲載されており、事業承継を円滑に進めるために、内容の把握と活用をおすすめします。

まとめ

事業承継の成功には、早くから事業承継に向けて準備を進めていくことが大切になります。準備を始める際は、事業承継ガイドラインを参考にして、円滑に事業承継を進められるようにしましょう。

また、事業承継の準備を進めるうえで、疑問や不安に感じることがあれば専門家のサポートを受けるのがおすすめです。

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