M&A その後

後継者不在のオーナーが、第三者に事業を承継するための手法として注目を集めるM&A(エムアンドエー)。後継者問題をM&Aで無事に解決されたオーナー経営者は、その後どのように過ごされているかは、皆さんも気になる点かと思います。本記事では実際に弊社で担当した企業事例も含めて、事業承継後のオーナーの過ごし方についてご紹介していきます。

業務の引継ぎが完了するまでが M&A

M&A業界にはPMIという言葉があります。PMIとは「Post Merger Integration」の略で、M&Aが終了した後の経営統合のプロセスを指します。元々別個であった会社を一つにまとめるM&Aには、擦り合わせるべき様々な事案が発生します。M&Aが成立して事業承継が完了しても社風や仕事の進め方等が揃わないままだといずれ破綻をきたします。そのような点では、M&A(事業承継)成功の可否はPMI(M&A後の統合プロセス)の可否に懸かっていると言えます。

そして、PMIをうまく行えるかは譲渡企業と譲受企業のオーナー同士がいかに円滑に引き継ぎを行うかがカギになっているのです。自分が引退するだけで終わらせるのではなくて自分が大切な従業員、そして従業員らと作り上げてきた事業をうまく継いでもらうためにも、M&Aを終えても引継ぎを終らせるまで会社に残るケースがほとんどです。では、引継ぎを終えた後はどのような人生を過ごすのでしょうか。

▷関連記事:PMIとは?M&A成功の鍵となる、M&A後の融合プロセスについて解説

M&A後も会社に残るケース:従業員とともに大好きな教育の仕事に関わる

事業承継後も会社に残るオーナーも少なくありません。有名大学を出て、外資系金融機関で務めた後、かねてより興味のあった英会話教室を開校したNさんもその一人です。

駅前という好立地と講師陣の丁寧な授業解説によって、とても賑わっていました。しかしNさんの目標は常に高く、思い描く理想の教育を行うためには、単なる一企業として限界を感じ、以前から気になっていた M&A を行うことを決断しました。とはいえ、目標を持って経営に携わっていたため、M&A 後も自分が業務に携わること、そして従業員を当面雇用し続けることを条件にパートナー企業を探しました。

成約相手は有名な上場企業。M&A による新規事業の展開を模索しており、Nさんの会社はまさに理想だったそうです。契約もとんとん拍子で進み、あっという間に成約となりました。事業承継した後はパートナー企業からの資金をもとに自分の理想の教育を実現すべく、日々邁進しているそうです。

M&A後に会社に残らないケース:家族との時間を増やす

① 引退後、妻と二人で世界一周旅行

長野県の小さな町工場をお父様から継いだSさんは、奥様と二人順調に経営していました。しかしある時腰痛を患ってしまい、前線で活躍するのが厳しい状況に。夫婦二人とも60歳を超え、2人の子どもは名の知れた大企業に就職。順調に出世しているようで、今さら戻ってくる気もないようですし、業界再編によりこれからの経営難が予想される中、無理にお子様に継がせたくはないとお考えになったようです。しかしSさんのお父様の代から続いてきたこの会社を潰したくないとのこと。

負債もさほどなく、業績も好調だったため、譲受企業が殺到し、結果としてSさんも予想しなかったほどの金額で事業承継することが可能となりました。無事引継ぎもひと段落し、時間ができたSさんご夫妻はここまで頑張ってきたお互いへの労いも含め、世界旅行に行きました。奥様が大好きなウィーンに行きミュージカルを楽しんだ後、ヨーロッパを3か月かけて回り、これからアジア圏を回るご予定とのことです。

② 会社を売却し、支えてくれた家族に恩返し

人材紹介会社を経営しているYさんは誰もが知っているエリート企業に入社し、トップセールスマンになった後すぐ独立した天才肌の方です。Yさんの会社のサービスは、ありそうでなかったもので、競合他社の盲点もついており、独自に作成したアルゴリズムは業界問わず注目されていました。しかし、技術は非常に優れていましたが営業力が弱く、じりじりと業績は悪くなる一方。経営は苦しい方向へと傾き始めました。

家族から「応援しつづけるから頑張ってね」と言われ、家族と自分のプライドを守るために頑張り続けましたが、会社が上手く回らず、夜も眠れない日々が続いているとき、事件は起こりました。自分を支えてくれていた奥様が病気で倒れてしまったのです。

すぐに快方に向かったものの、自分の大切な人との時間をもっと取りたいと考えたSさんは、会社と家族の将来について考え始めました。弊社がSさんの会社のパートナー企業として推薦させていただいた会社は営業力が高く、Sさんが開発したアルゴリズムにとても関心を持ち良いシナジーが双方見込めると、めでたく成約となりました。無事に引継ぎを終え、自宅も会社名義から個人名義に変更した後は今まで自分を支え、後押ししてくれたご家族にために時間を使っています。最近のSさんの楽しみは週に一回の奥様とのデートと、ご子息との野球観戦だそうです。

事業承継後の人生はさまざま

ここで上げたのはほんの一例にすぎませんが、M&Aによってハッピーリタイアを実現し、第二の人生を送ることができます。後継者がいない、そろそろリタイアをして新しい人生を過ごしたいとお考えの方は一度、事業承継について検討してみてはいかがでしょうか。弊社では無料であなたの会社の状況診断を行っています。会社状況を客観的に把握することは今後の経営人生にとっても大きな判断材料となります。ぜひご連絡ください。