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2023/09/29

M&A契約における「基本合意書」とは?

M&A契約における「基本合意書」とは?

基本合意書とは

M&Aにおける基本合意書とは、最終契約に先立って取り交わされる合意書です。譲渡価額、譲渡日、スケジュール等に関する事項を定めます。これまでの交渉で合意した内容を整理し、M&Aの成立に向けて認識を揃えるのが目的です。

基本合意書は、今後のM&Aにおける取引を円滑に行うために、トップ面談の後に両者の合意事項について専門家を交えて整理し、書面上で合意形成を行います。

本記事では基本合意を締結する目的やタイミング記載内容について解説いたします。

よく混合しがちな意向表明書との違いについては下記の記事がおすすめです。

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基本合意書の目的と利点

基本的には、譲渡企業と譲受企業がこれまでの交渉で合意してきた内容の整理を行い、M&A成立に向けたデューディリジェンス、最終契約締結、クロージング等をスムーズに進行させるために基本合意を締結します。また、基本合意の締結によって、譲渡企業と譲受企業の取引への前向きな意思を双方が認識できれば、お互いの案件成約への意思を強めることにも繋がります。なお、譲受企業側は、譲渡企業に対して独占交渉権を求めることが多くあります。

▷関連記事:M&Aの最後にして最大の難関。「デューディリジェンス」を徹底解説

基本合意書は一般的にデューディリジェンスの前に記名・捺印されます。デューディリジェンスにかかる費用は小規模のM&Aにおいても数百万円にのぼることもあり、そのような多大な費用を投下した後で交渉が打ち切りになれば、打ち切られた譲受企業側は、金銭的に多大な損害を被ることになります。譲受企業側は、譲渡企業が他の譲受企業候補者が存在していた場合に、他者との交渉を進めてしまうリスクを下げるために、基本合意を締結し、独占交渉権を獲得したいと考えます。

更に、上記に加えて、基本合意書に秘密保持に関する条項を盛り込み、秘密保持契約を兼ねることがあります。基本合意締結後、デューディリジェンスが始まると、譲渡企業に関する、より詳細な情報が譲受企業へ開示されます。そのため、情報開示後は、譲渡企業の情報が漏洩してしまうリスクに晒されることになります。そういったリスクを伴うために、基本合意書に秘密保持条項を盛り込むことで、秘密保持に関する合意を得ることもあります。

▷関連記事:情報漏洩対策の重要ポイント。「秘密保持契約書」とは

基本合意を結ぶタイミング

譲渡企業と譲受企業がトップ面談を行った後、前向きにM&Aプロセスを進めるという結論に至った場合には、譲渡価額の目安など取引の主要な条件を譲渡企業に対して提示します。こういった交渉を経て、基本的な取引条件について合意することができれば、基本合意書を締結し、デューディリジェンスへと進んでいきます。

基本合意書の記載内容

上記でも述べたように基本合意書には、その後の取引をスムーズに進められるよう事前に専門家を交えて決定した取引条件について記載されますが、一部の項目を除いて法的拘束力を持たせません。なぜなら、後で行うデューディリジェンスの結果やその後の状況の変化によって取引条件等が変わることがあるためです。しかし、独占交渉権や秘密保持義務などの項目については法的拘束力を持たせることが一般的です。

基本合意書の一般的な記載内容は下記のとおりです。

・M&Aの取引形態
M&Aの取引形態は株式譲渡や事業譲渡、合併、会社分割等、多数存在します。また譲渡対価として金銭、株式もしくは現物資産等、多様な選択肢がある中でどのような形態を使って取引を行うのかを定めます。

▷関連記事:M&Aの仕組みとは?企業買収の手法とその種類について

・M&Aの対象範囲
M&Aの対象範囲として譲渡企業、もしくは譲渡企業の一部の事業等、様々なケースが存在しますが、双方で合意した対象範囲について定めます。

・譲渡日
株式又は事業の譲渡等、双方で合意した取引が行われる日を定めます。

・譲渡価額
譲渡企業と譲受企業が合意に至った価額が定められます。取引条件や価格は、後述するデューディリジェンスの結果を踏まえた交渉や協議により変更できるよう規定するのが通常です。

・スケジュール
最終契約締結、取引実行までのスケジュールを定めます。そのスケジュールはあくまで基本合意締結時点の両者の理解を確認するものであり、一般的に法的拘束力は持ちません。

・デューディリジェンス
デューディリジェンスとは譲受企業が譲渡企業に対して行う調査を指します。その際、会計士や弁護士、コンサルタントなどを活用し、譲渡企業の実態やリスクを財務面や税務面、法務面など様々な側面から調査を行います。譲受企業にとって会社を譲り受ける際に多大な時間と費用を要すだけでなく、多額の対価を支払う為、大きな経営責任を伴います。そのため高額な費用を負担してでもデューディリジェンスを行い、譲受後の経営リスクを洗い出す必要があります。この項目では一般的に、譲渡企業側がデューディリジェンスに責任をもって協力をすること等が定められます。

・独占交渉権の有無
独占交渉権とは譲受企業が譲渡企業との交渉を独占して行うことができる権利のことです。この権利を譲渡企業が譲受企業に付与することで、譲受企業は他社を排除して交渉を行うことができるというメリットが生じます。一方で譲渡企業にとっては、より良い条件を提示する可能性のある他の譲受企業候補者と交渉できなくなる、というデメリットも発生するため慎重にならなければなりません。その為、譲渡企業側としては、基本合意を締結するまでに、他の譲受企業候補者から、より良い条件の提示を受けられるようにしておく必要があります。独占交渉権の期間は2カ月から3カ月程度が通常でお互いが真摯にM&Aを協議する期間を定めます。期間を長く設けると事情も変わり、譲渡企業を過度に拘束することになります。

・秘密保持
デューディリジェンスを通じて得た情報はもちろんのこと、M&Aを検討しようとしている事実についても漏洩することが禁止されます。

・その他の合意事項
上記で取り上げられた合意事項以外に、金融機関等からの借入金の取り扱い、役員及び従業員の処遇、譲渡後の事業運営方針、独占交渉権の有効期間等、様々な事項が基本合意書には盛り込まれます。

まとめ

基本合意書はあくまで基本的な事項に関する確認書であり、特定の条項を除いて法的拘束力をもたせないことが通常です。しかし法的拘束力がないといっても、実際に基本合意を結ぶ際には事前に双方の希望する条件について専門家も交えた上で、何度も交渉を重ねて作成されます。

そのため、基本合意の締結を通じて、基本条件の合意はもちろんのこと、現段階での双方の取引への意思を再確認することで、その後のプロセスをスムーズに進めることが可能になります。

混同しやすい意向表明書との違いはこちらで解説しています。併せて御覧ください。


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