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2023/09/15

社会福祉法人に関するM&Aの手法やメリットを紹介!実施する際の注意点もチェック!

社会福祉法人に関するM&Aの手法やメリットを紹介!実施する際の注意点もチェック!

2020年9月11日に厚生労働省によって、社会福祉法人の合併や事業譲渡等の手続きや留意点などを整理した「社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン」が策定されたこともあり、近年では社会福祉法人のM&Aが注目を集めています。社会福祉法人のM&Aは、一般的な企業のM&Aとは異なる性質を持っているため、注意しなければいけない点も多くあります。
本記事では、社会福祉法人に関するM&Aの手法やメリット、実施する際の注意点をわかりやすく解説していきます。

▷関連記事:M&Aとは?M&Aの意味・流れ・手法など基本を分かりやすく【動画付】

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社会福祉法人のM&Aとは

社会福祉法人とは、「社会福祉事業を行うことを目的として、社会福祉法の定めるところにより設立された法人」と定義されています。
最も一般的な法人である株式会社は事業目的を自由に決定できますが、社会福祉法人は社会福祉事業を主な目的とし、社会福祉事業の他には公益事業および収益事業を行うことが可能です。各事業の内容は以下のようになっています。

事業の種類事業内容
社会福祉事業【一種】
・特別養護老人ホーム
・児童養護施設
・障害者支援施設
・救護施設等

【二種】
・保育所
・訪問介護
・デイサービス
・ショートステイ等
公益事業・子育て支援事業
・入浴、排せつ、食事等の支援事業
・介護予防事業の経営
・有料老人ホームの経営
・老人保健施設の経営
・人材育成事業
・行政や事業者等の連絡調整事業
収益事業・貸しビル
・駐車場
・公的な施設内の売店の営業


また、社会福祉法人は非営利組織となるため、株式会社のように営利性がなく、株式の発行もありません。そのため、社会福祉法人のM&Aでは、合併または事業譲渡の手法が用いられるのが特徴です。

社会福祉法人がM&Aを実施する目的

社会福祉法人がM&Aを実施する目的は、主に以下のようなことが挙げられます。

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・変化する地域社会のニーズに対応

・運営体制の見直し

・一法人では対応が難しい課題への対応(外国人の人材確保など)

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例えば、近年は少子化による人口の減少や福祉ニーズの複雑化・多様化といった地域社会の変化が進んでいますが、社会福祉法人がM&Aを実施することにより、変化する地域のニーズに応じた福祉サービスの提供を継続して行えるようになります。

また、M&Aによって運営体制の改善や事業の再生を図ることもできます。その結果、提供するサービスのさらなる向上が期待できるだけでなく、経営難により存続が危ぶまれる社会福祉法人を残すことができるため、施設を利用する地域住民への影響を抑えることもできるでしょう。

厚生労働省策定の「社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン」とは

人口の減少や福祉ニーズの複雑化・多様化により、地域社会のニーズが変化する中、社会福祉法人がその役割をさらに発揮していくことが期待されています。
このような背景の中、2020年9月11日に厚生労働省によって、社会福祉法人の合併や事業譲渡等の手続きや留意点などを整理した「社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン」が策定されました。
「社会福祉法人の事業展開に係るガイドライン」では以下のような内容が記載されています。
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・社会福祉法人を取り巻く現状と課題
・社会福祉法人の事業展開と期待される効果
・合併・事業譲渡等の手続と留意点
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▷「合併・事業譲渡等マニュアル」について

社会福祉法人の事業展開に関して、合併と事業譲渡等については、社会福祉法に定められた手続きなどを行う必要があります。厚生労働省では、社会福祉法人の合併と事業譲渡等の実施において、手続きや法令等に関するポイントと留意点を「合併・事業譲渡等マニュアル」としてまとめています。

「合併・事業譲渡等マニュアル」は、社会福祉法人の事業譲渡の検討や実施を行う際に、以下の関係者が実務的な対応を行なうときの手引きとして活用することを想定し、作成された資料になっています。
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・社会福祉法人の役職員
・社会福祉法人を監督指導する所轄庁
・事業所管行政庁の担当者
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社会福祉法人のM&Aスキーム

社会福祉法人に関するM&Aの手法やメリットを紹介!実施する際の注意点もチェック!

ここでは、社会福祉法人のM&Aで用いられる合併と事業譲渡について、厚生労働省がまとめた「合併・事業譲渡等マニュアル」を参考に紹介します。
それぞれの手法で期待できる効果も解説するので、参考にしてください。

▷社会福祉法人のM&Aスキーム:合併

合併は、2つ以上の法人が契約によって1つの法人に統合される手法です。合併しようとする全ての法人が解散し、合併と同時に新しく新設する法人に権利や資産を承継する「新設合併」と、既存の法人が他の法人の権利や資産を承継する「吸収合併」の2種類があります。

合併により期待できる主な効果は以下になります。
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・法人が一体となることで、事業の安定性や継続性の向上(経営基盤の強化)
・スケールメリットによるコストの削減(事業効率化)
・合併する法人の人材やノウハウなどの活用により、サービスの質の向上(サービスの質の向上)
・職員間の意識向上や新たな法人風土の醸成(組織活性化)
・新たな領域の知識・技能・経験の交流によるスキルの拡大と向上(人材育成)
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なお、社会福祉法人の合併は、社会福祉法人間でのみ認められています。

▷社会福祉法人のM&Aスキーム:事業譲渡

事業譲渡は、特定の事業を継続していくために、当該事業に関する組織的な財産を他の法人に譲渡・譲受する手法です。譲渡・譲受するものには、土地や建物などの単なる物質的な財産だけでなく、事業に必要な有形的・無形的な財産の全てが含まれます。

事業譲渡により期待できる効果は、合併による効果に加え、以下のようなものがあります。
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・事業継続が困難になっている社会福祉事業の継続
・即戦力資源の活用や新設、増設に比べ迅速な事業展開や事業化に関する負担軽減等
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なお、社会福祉法人の事業譲渡では、一部の社会福祉事業を譲渡するのは可能ですが、社会福祉事業の全部を譲渡することはできません。

社会福祉法人のM&Aを実施する際の注意点

一般的な企業などのM&Aとは違い、社会福祉法人のM&Aではいくつか注意しなければいけない点があります。

ここでは、社会福祉法人のM&Aを実施する際の注意点を3つ紹介します。

▷社会福祉法人のM&Aでは所轄庁の認可が必要

社会福祉法人の合併では、所轄庁より合併の認可を受ける必要があります。合併認可の申請は、新設合併と吸収合併によって異なるため、事前に所轄庁へ合併の趣旨目的や背景事情などを説明し、申請方法や疑問点などを適宜相談する必要があります。

また、社会福祉法人の事業譲渡では、定款の変更を行う際に所轄庁の認可が必要となるため、状況に合わせて相談するとよいでしょう。

▷M&Aを実施する前に職員や利用者への説明が必要

社会福祉法人のM&Aでは、M&A後の給与や就業時間、休暇などについて譲渡側の職員に事前に説明しておくことが大切です。

合併の場合、雇用契約及び労働条件は承継されるため、大きな変更がなければ問題ありませんが、大きな変更を行う際は職員の同意を得る必要があるので、注意しましょう。

また、事業譲渡の場合は、職員が譲受企業へ自動的に引き継がれるわけではありません。そのため、譲渡企業から譲受企業へ職員を移転させる場合は、職員の承諾が必要となることに注意が必要です。

その他、M&Aの目的や背景を施設の利用者やその家族に説明することも大切になります。特に、事業譲渡については利用契約が当然に引き継がれるわけではないため、利用者と再契約が必要となるケースもあります。

▷寄附財産や国庫補助を受けている財産については税務署などに相談を

社会福祉法人のM&Aでは、租税特別措置法第 40 条の規定の適用を受けた寄附財産を承継または譲渡する場合に以下の事柄が発生します。そのため、事前に所轄の税務署へ相談することをおすすめします。

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・引き続き同条の適用を受ける場合は所轄の税務署を経由して国税庁長官あてに必要な書類を提出する必要がある(合併)

・事業譲渡する資産が有償、無償に関わらず、原則として非課税承認が取り消されるため、譲渡企業は納税が必要となる(事業譲渡)

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また、社会福祉法人においては、法人外への対価性のない支出は認められていません。そのため、事業譲渡等では支払対価との関係で以下の点に注意が必要です。

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・譲渡事業の価値を見積り、少なくともその価値以上の受取対価でなければ、法人外への資金流出に該当すると考えられる(譲渡側)

・譲受事業の価値を見積り、少なくともその価値以下の支払対価でなければ、法人外への資金流出に該当すると考えられる(譲受側)

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単に国庫補助金を返還しないための無償譲渡など、事業の価値を適切に見積らずに取引を行うと法人外流出に該当する可能性があるため、事前に行政庁へ相談することをおすすめします。

まとめ

社会福祉法人は、株式会社のように株式の発行がないため、M&Aでは合併と事業譲渡の手法が用いられます。M&Aの手法によって効果が異なるため、特徴をしっかりと把握しておくことが大切です。

また、社会福祉法人のM&Aは、一般的なM&Aの知識に加えて行政機関も関係するため、幅広い専門知識が必要です。

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