不動産業界 M&A

不動産業界のM&A

国土交通省の発表によると、全国の住宅数と持ち家率・空家率は、1973年では3,105万戸、持ち家率59.2%、空家率5.5%でしたが、1993年には順に4,588万戸、59.8%、9.8%、2013年では6,063万戸、61.8%、13.5%と推移しています。

つまり、住宅数はおよそ2倍も増加した一方、近年では空き家が増え、建物の老朽化やゴミの不法投棄場所になったりと地域の問題にもなってきています。

今後の予測としては、人口の高齢化・減少により、新築市場はもちろん、将来的には賃貸や管理の市場に関しても縮小することが予想されています。特に、2020年の東京オリンピック・パラリンピック以降の業界動向を不安視する声も多く、不動産業界全体が縮小傾向になるともいわれています。

そんな時代を乗り切る解決策のひとつとして、M&Aを行うことにより業績の改善を図ったり、大手企業の傘下に入ることによる財務基盤、ブランド力の強化が注目されています。

不動産業界におけるM&A活用のメリット

不動産業界には、「開発・分譲」「流通」「管理」「賃貸」の4分野があります。「開発・分譲」は、商業施設やビル、マンション、リゾート施設など大規模な開発を行うデベロッパー(開発業者)が手がけ、「流通」は住宅販売会社が、マンションや一戸建てなどの売買を行います。「管理」は不動産物件を管理する管理会社、「賃貸」は不動産仲介会社・不動産屋が物件の売買・賃貸の仲介を行います。

近年では「不動産M&A」と呼ばれる、主に不動産の獲得を目的として行われるM&Aが注目を集めています。M&Aの仕組みを活用し、不動産を保有する企業ごと売買することで、不動産を単純に売買するよりも高い節税効果を得られるという特徴があります。不動産業界におけるM&Aのみを指すものではなく、異業種においても不動産の獲得を目的として行われるものが、不動産M&Aと呼ばれています。

▷関連記事:「不動産M&A」とは?メリットやデメリット、税務面、会社分割についても解説

不動産業界においてM&Aを行うことで、譲渡企業・譲受企業がそれぞれ受けるメリットについてご紹介します。

譲渡企業のメリット

・従業員の雇用が確保でき、その家族の生活も守ることができる

・大手企業が持つ集客力や管理システムのノウハウを吸収できる

・大手企業のブランド力・営業力を活用できる

・後継者問題が解決できる

・借入金の個人保証や担保を解消できる

・不動産M&Aを行う場合、不動産譲渡に比べて税金が安く抑えられる

譲受企業のメリット

・効率的に新しい地域のマーケットへ進出できる

・賃貸から管理へ、流通から賃貸へと、同業他分野への進出が容易になる

・スケールメリットを得られる

・安価で物件を仕入れることができる

・転売によるキャピタルゲインが期待できる

・事業の多角化に役立つ

・「賃貸不動産経営管理士」や「マンション管理士」といった資格を保有している人材を獲得できる

M&Aを実施する際に注意したいこと

不動産業界 M&A

M&Aは譲渡企業・譲受企業双方にメリットが多いものですが、成功させるにはいくつかのポイントがあります。

譲渡企業の注意点

・不動産仲介分野では、おもに譲渡企業の物件オーナーへの対応を含む物件の仕入れ体制、販売プロモーション戦略、顧客へのサービス水準、経営管理状況がチェックされるので、それを踏まえて話し合いを行うことが重要

・不動産賃貸分野では、おもに譲渡企業の持つ物件についての立地条件、物件管理状況、営業・マーケティング力、賃借対照表がチェックされる。それを踏まえて話し合いを行うことが重要

譲受企業の注意点

・不動産仲介分野では、それまでの顧客との関係が大切となるため、譲渡企業の仕入れ体制や営業姿勢などのチェックが必要

・不動産賃貸分野では、譲渡企業の持つ物件の立地条件や管理状況で企業価値が変わる。そのため、詳細な調査が必要となる

・事業譲渡により不動産事業を譲り受けた場合、「宅地建物取引業免許」といった資格を引き継ぐには一定の条件を満たす必要がある

・M&Aのスキームは株式譲渡が一般的だが、事業譲渡による不動産事業のみの譲渡方法も検討できる。その場合、「登録免許税」や「不動産取得税」がかかる
 
▷関連記事:M&Aの課題と具体的な対策。中小企業のM&Aにおける懸念点とは?

弊社にいただく不動産業界のM&Aご相談の例

FUNDBOOKでは、M&Aに関するさまざまな相談を無料で承っています。ここでは、不動産業界におけるご相談例の一部をご紹介します。

スタートアップ M&A

Aさん(関東・不動産賃貸会社)
 
東京23区内に、去年竣工されたばかりのマンション1棟を所有しています。駅から徒歩圏内にあり、内装に関してもこだわりを持ち、充実した設備も整っています。人気の立地ということもあり、現在は満室で運営していますが、新規事業の開業資金を得るために売却を考えています。
 
できるだけ早く新規事業を始めたいので、希望の条件に合うお相手が見つかれば、すぐにでも検討をしたいと思っています。

 

スタートアップ M&A

Bさん(関東・不動産賃貸会社)
 
東京都内にて、最寄り駅から徒歩10分、高立地の5階建てマンション一棟を所有しています。近辺にはコンビニやスーパー、商業施設もあり、立地条件としては申し分ない物件です。入居者層としては特に若い人の入居者が多く、現在満室で人気です。
 
そのため、付近のエリアで同じような条件の物件に比べても高い売上高となっていますが、新規事業の資金調達のため、譲渡を検討しています。

 

スタートアップ M&A

Cさん(四国・不動産賃貸会社)
 
地方都市の中心部に10棟以上の収益物件を所有している不動産会社を運営しています。どの物件もスーパーマーケットや商店街の近くにあり、生活に便利な環境であることから、特に一人暮らしの方の入居が多く、空室率は5%程度です。
 
しかし、当社の保有企業が県外にあるため、より運営の効率化や生産性の向上を図るために、譲受企業を募集しています。

 

不動産業界におけるM&Aをお考えなら

不動産業界 M&A

不動産業界のM&Aでは、所有している物件の質や譲渡企業の財務状況の良さ、営業力のある人材が多いことが評価されます。

今後、市場規模が縮小すると、大手企業であっても業績は伸びにくくなります。そのため、M&Aのタイミングも非常に重要になるので、M&Aアドバイザーなどの専門家を交えながら慎重に契約を締結することが必要です。

不動産業界におけるM&Aにおいて、手続きなどに不安がある場合には無理に自社で進めず、弊社M&Aアドバイザーまでご相談ください。