介護業界 M&A

介護業界のM&A

2007年に高齢化率が21%を超える「超高齢社会」に突入し、2012年時点で65歳以上の高齢者は3,058万人でした。今後高齢化が進むことによって、2025年には3,626万人まで増加し、4人に1人が高齢者になる試算となっています。

また、内閣府が発表した2017年度の「介護給付と保険料の推移」によると、保険給付(介護給付・予防給付)における総費用額は、介護保険制度の始まった2000年度では3.6兆円でしたが、2017年度予算では10.8兆円と約3倍に伸びました。

その背景には、高齢者の増加による介護給付金の増加に伴い、サービス付き高齢者住宅や有料老人ホームを中心に、異業種からも大企業が数多く介護業界に参入したことがあります。介護業界は異業種からの参入が多い上、昨今の制度改正の影響を受けて同業者間のM&Aも増加しており、今後もますます活性化することが予測されます。

▷関連記事:【2019年最新版】介護業界のM&A事例11選!専門家による解説付き

介護業界におけるM&A活用のメリット

介護業界においてM&Aを行うことで、譲渡企業・譲受企業がそれぞれ受けるメリットについてご紹介します。

譲渡企業のメリット

・介護報酬のマイナス改定の影響などで悪化した経営危機を回避できる

・従業員の雇用を継続できる

・地域の医療・介護環境を守ることができる

・創業者利益が得られる

・後継者問題が解決できる

・資金力が強化されることで、新たな設備投資が可能になる

・事業の継続、拡大、生産性の向上により収益を確保できる

・施設の入居率を上げることができる

譲受企業のメリット

・介護サービスのエリアや拠点を増やすことができる

・有資格者などの専門性の高い人材を獲得できる

・介護事業に新規参入するにあたってはノウハウを獲得できる

・他業種とのシナジーが期待できる部分が多く、参入にあたって自社の専門分野を活かせる

・特定の地域に精通した施設を保有する事業者を譲り受けることで、地域のニーズに即して差別化したサービスが提供できる

・M&Aの手法によっては、「居宅介護支援事業者」や「介護予防サービス事業者」などの許認可を引き継ぐことができる

M&Aを実施する際に注意したいこと

介護業界 M&A 注意点

介護業界のM&Aの特徴は、他の業種のM&Aに多い「後継者不在問題の解決」という理由に限らず、介護報酬制度に依存しないための財務基盤作りや、本業のサービスを生かして事業を拡大させることを目的とした異業種からの参入など、さまざまな理由によりM&Aが行われている点が挙げられます。

介護業界のM&Aは、譲渡企業・譲受企業の双方にメリットが多いものですが、成功させるにはいくつかの注意点があります。

譲渡企業の注意点

・M&Aの手法によっては譲受企業が介護事業者の認定を受けるため、許認可を引き継ぐ手続きが必要となる

・従業員の労働条件や施設の経営方針が譲受企業によって改変される可能性があり、現場の混乱を招く恐れがある

譲受企業の注意点

・譲渡企業と譲受企業のあいだでM&Aの条件について合意した後、両社で行政の担当者にM&Aの時期や手続きを相談することになるため、あらかじめ行政手続きのスケジュールを把握しておくことが重要

・事業譲渡によってM&Aを行った場合、契約関係は引き継がれないため、従業員の雇用契約をはじめ、利用者との契約、不動産の賃貸借契約などを基本的に結び直すことになる
 
▷関連記事:M&Aの課題と具体的な対策。中小企業のM&Aにおける懸念点とは?

弊社にいただく介護業界のM&Aご相談の例

FUNDBOOKでは、M&Aに関するさまざまな相談を無料で承っています。ここでは、介護業界におけるご相談例の一部をご紹介します。

スタートアップ M&A

Aさん(関西・デイサービス)
 
都市郊外でデイサービスと訪問介護事業を運営しています。利用者は近隣の方々が中心で、利用者の家族や地域の住民からも愛されるような、地域密着型のサービスを展開してきました。私自身はまだ引退を考える年齢ではなく健在ではありますが、後継者として想定できる人材が周りにいません。
 
早い段階で後継者問題を解消したいと考えて、譲渡できる相手を探しています。私自身は譲渡後も会社に残り、引き続き事業に従事したいと考えています。

 

スタートアップ M&A

Bさん(九州・住宅型有料老人ホーム)
 
60床以上、売上高10億円以上と大規模な住宅型有料老人ホームを経営しています。その他には、訪問介護と小規模多機能型の居宅介護を組み合わせた「複合型サービス」を提供しています。
 
会社の将来のため、これまで以上に入居者の居心地の良い空間づくりや職場環境の整備、介護人材の育成などを強化する必要があると考え、成長戦略の一環としてM&Aを検討中です。施設の運営ノウハウがあり事業を更に拡大してシナジー効果が期待できる、異業種の企業との提携を希望しています。
 

 

スタートアップ M&A

Cさん(関東・訪問介護)
 
人口20万人以上の中核市で、訪問介護事業の経営をしています。訪問介護事業以外にも様々な事業を行っているため財務状態は非常に良いものの、後継者が不在のため譲渡を希望しています。
 
今後もこの地域の高齢者が増加することを考えると、現在の利用者のサポートの維持や職員の雇用の継続、取引先との契約の継続など条件が合えば、事業の引き継ぎ等スムーズに対応したいと考えています。
 

 

介護業界におけるM&Aをお考えなら

介護業界のM&Aは、譲受企業にとって新しいビジネスのエリアや拠点を獲得でき、新しく介護業界に参入しようとする企業にとっても、ノウハウや人材を獲得できる効果的な方法です。また譲渡企業にとっても、強固な経営基盤を持つ大企業とのM&Aによる財務基盤の強化や、異業種の企業と手を組むことにより介護報酬制度に依存しない新しい事業を展開することも可能です。

M&Aでは、許認可の引継ぎや行政への相談が重要であるなど、自社を譲り渡すにあたり、気を付けるべき介護業界特有のポイントも多くあります。実務上においても細かな注意点が多くあるので、介護業界のM&Aに精通したM&Aアドバイザーなどの専門家を交えながら、慎重に契約を結ぶことが重要です。