M&Aとは「Mergers and Acquisitions」(合併と買収)の略で、資本の移動を伴う企業の合併と買収を指す言葉です。耳にすることは多くともなぜM&Aを行うのか、実際どのような手法やプロセスで進めるのかを把握している方は多くはないでしょう。本記事では譲受けの目的やM&Aの手順、得られる効果、成功の秘訣について詳しく解説します。

なぜM&Aを行うのか

M&Aは合併や譲受けなどを通じて、企業規模の拡大を目的に行うことが一般的です。新規事業の立上げやシェア拡大の手段などとして活用され、成約すれば双方の企業の融合によってシナジーが働き、効率的な企業の発展が見込めます。また近年では譲渡企業の後継者不在による廃業を避けるために第三者への承継を視野にM&Aが活用されることも増えています。

また譲受することで、譲渡企業側の経営資源を一挙に獲得することも可能です。事業の多角化に伴って規模の経済(スケールメリット)が働き、商品の大量仕入れによるコスト削減や知名度向上による広告費用などの削減といったメリットが見込めます。

▷関連記事:成長戦略としてのM&Aとは?経営基盤を安定させる選択肢

M&Aの手法は株式譲渡が主流

中小企業のM&Aでは株式譲渡のスキームがよく採られます。譲渡企業の株式を譲受企業が譲受け、譲渡企業の経営権が譲受企業に移転する手法です。中小企業は経営者が自社の株式の大部分を保有していることが多いため、この手法が主流になっています。基本的には株式譲渡契約を締結し、譲受企業が株式の対価を払い、株主名簿を書き換えるというシンプルな手法です。

▷関連記事:株式譲渡とは?中小企業のM&Aで最も活用される手法のメリットや手続き、事前に確認しておくべき注意点を徹底解説
▷関連記事:中小企業のM&A

M&Aの手順・流れは4ステップ

M&Aは成約まで半年~1年以上の期間がかかる上、複雑な会計、税金、法律の知識が欠かせません。また、譲渡企業からなぜM&Aをしたいのか、どんな相手先を希望するのか、自社の強みは何かなど、質問されるケースも少なくありません。そのため、事前の計画が必要不可欠です。ここではM&Aの流れについて解説します。

▷関連記事:M&Aを検討する前に知っておきたい、M&Aの流れと手順

目的と戦略の整理

M&Aの目的はさまざま考えられますが、主だった目的は下記になります。

事業規模の拡大

譲渡企業の売上、取引先の引継ぎ、培ってきた情報や従業員などの経営資源の獲得によって譲受企業は規模の拡大ができます。また、多くのケースで譲渡企業側の優秀な従業員やノウハウを獲得できるため、その後の事業展開にも良い影響を及ぼします。

事業の多角化

既存の事業と異なる事業を譲受け、複数の事業展開を目的にM&Aを行うこともあります。事業の多角化を図ることで、企業の収益源が複数に分散し、事業が一つしかないケースに比べて企業収益の変動が安定するというメリットがあります。

新規事業への進出

一から新たに事業を立ち上げるよりも、事業運営のノウハウや経験のある従業員を保有している企業を譲受ける方が素早く新規事業に参入できるため、M&Aによって参入したい事業の譲受けを行うことがあります。

海外市場の開拓

海外進出したい場合、その土地の価値観やビジネスの方法をすでに持っている企業を譲受ければ、スムーズな海外進出がしやすくなるため、海外市場開拓のためにM&Aを行うケースもあります。

事業の整理

企業の統合や会社分割を行うことで事業の整理を行うことができます。事業の分割、集約による経営の集中化が主な目的ですが、税金など複雑な手続きを必要とする場合もあります。

▷関連記事:組織再編とは?代表的な4つの手法とそれぞれのメリットについて解説

M&Aの目的を事前に明確化することで、その後の戦略が大きく変化します。また譲受けたい企業とのシナジー効果を考えることも重要です。またシナジー効果は技術力、開発力、ブランド力、営業力や販路など多岐にわたります。

譲渡する企業によって得られるシナジー効果は大きく異なるため、綿密に相手先の情報を集めましょう。その際には、業界の徹底的な分析とともに、あらゆるリスクを考慮し、現実的なM&A戦略を立てましょう。

▷関連記事:M&Aを行う目的とは?注目される理由をメリット・デメリットと共に解説
 

決めた戦略に基づいた、対象企業の選定

M&Aで選択できる戦略は、主に2つに分類することができます。

  • 事業拡大のためのM&A戦略
  • 技術や人材など経営資源やノウハウの獲得を目的としたM&A戦略

どのような戦略でM&Aを行うか決まった後、相手企業探しをします。譲受けを考える場合、譲渡企業候補の情報収集はもちろんですが、改めてどんな目的でM&Aを行うかなどを明確にしておきましょう。

この他にも企業価値評価の費用などを設定しているM&A仲介会社もあります。また、最近ではM&Aが成約するまで、相談料から、着手金、中間金、月額報酬まで、アドバイザリー業務に関するあらゆる報酬が発生せず、譲渡価額に応じた成功報酬のみを支払いする「完全成功報酬型」を採用する会社も少なくありません。

経営者との交渉

譲渡企業と譲受企業の経営者同士の面談をトップ面談とよびます。企業情報などの書面で確認できる情報以外に、相手先の経営者の価値観や理念、企業への思いや将来への展望を直接話して確認する場です。自社の強みやM&Aの希望、譲受する予定の会社について疑問点がなくなるまで、細かく確認しましょう。

契約の締結と事業の統合

譲渡企業と譲受企業の最終的な合意内容を明らかにしたものが最終契約書(DA)です。一般的に最終契約は、デューデリジェンス(買収監査)や譲渡企業の分析の結果、譲受企業側がM&Aの条件と譲受価格の合意によって締結されます。

また、M&A成約後には業務の融合が行われるため、両社の経営方針や業務上のルールなどを融合し、スムーズにM&Aの目的を実現するためのプロセスである、PMI「Post Merger Intertation」に取り組むことになります。そのため、統合の計画まで事前にトップ面談時に双方間で確認しておくようにしましょう。

▷関連記事:M&Aの最終契約書(DA)とは?基本合意との違いや各種項目を弁護士が解説
 

M&A成功の秘訣である相談先の選定

M&Aは会計や法律などの専門知識が欠かせないため、M&Aアドバイザーなどに仲介を依頼することが一般的です。M&Aのサポートを依頼できる相談先には主に下記のような機関があります。

  • M&A仲介会社
  • 譲渡企業と譲受企業の間に入り、M&Aの仲介を行う会社です。M&A全体の流れを把握しているだけでなく、専門の知識と経験を持っているため、利害関係者が納得しやすい方法を提案するなど、M&Aが成立しやすいというメリットがあります。

  • アドバイザリー会社(FA)
  • M&Aを検討している企業へ助言業務を行う会社です。基本的に譲渡企業もしくは譲受企業のどちらかに着き、一方の利益を最大に考えた助言を行います。また、この助言業務を行うのがファイナンシャル・アドバイザーです。

  • 事業承継センター
  • 中小企業庁が各都道府県に設立している事業承継センターで、金融機関やM&A支援サービス会社などでの勤務経験のあるスタッフにM&Aについて基本的に無料で相談することができます。

  • 商工会議所
  • 商工会議所にも事業承継の相談機関が設けられています。地元企業のネットワークを保持しているため、地域企業に強い相談先として活用できます。

自社にとって最適な選択を行うためにも、それぞれを比較しながら自社にあった相談先を選びましょう。また検討する際はそれぞれ手数料や受けられるサポートの内容も異なるため、そういったことも含め、自社に適した相談先を決めましょう。

▷関連記事:M&Aで企業が選ぶべきは仲介会社やFA、マッチングサイトのどれ?

まとめ

M&Aの目的や手順を把握することは、円滑にM&Aを進めるために非常に重要なポイントです。事前の準備と知識が重要ですので、自社内の準備や情報収集は何度も確認しながら確実に準備を進めましょう。また、M&Aにおいて不明点が見つかった際には、専門家に相談することをお勧めします。