よくわかるM&A

2024/02/05

M&Aの手数料は?仲介会社の報酬体系や相場、計算方法

M&Aの手数料は?仲介会社の報酬体系や相場、計算方法

M&Aの件数は年々増加しており、その背景には経営者の高齢化などによる後継者問題などさまざまな要因があります。
また後継者問題の解決策としてのみならず、事業拡大や新規参入のための経営戦略としてもM&Aは活用されています。

実際にM&Aを進める際は、専門家であるM&Aアドバイザーに依頼して進めることが一般的です。
しかし、M&Aアドバイザーに支払う手数料は細かく分かれているうえ、会社によって料金体系が異なっているため、明確に把握している方は少ないのではないでしょうか。

M&Aアドバイザーへの依頼にかかる手数料としては、サポートを依頼した時点で発生する「相談料・着手金」や「月額報酬」、「中間報酬」などがあります。
M&Aアドバイザーへの依頼にかかる手数料は、法律で決まっていないため、会社によって金額に幅があります。

そこで、今回はM&Aアドバイザーへ依頼する前に確認しておきたい「M&Aの手数料」に関して、現役のM&Aアドバイザーがその項目や内容を簡潔にご紹介していきます。

なお、中小企業の経営者の高年齢化による引退は、こちらの記事でまとめています。
▷関連記事:中小企業経営者の高齢化による経営者の引退

また、M&Aアドバイザーが結ぶアドバイザリー契約は、こちらの記事で詳しく解説しています。
▷関連記事:アドバイザリー契約とは?専任契約、非専任契約の違いと規定内容

坂根 崇真
この記事を執筆した専門家
税理士 坂根 崇真
秋田税理士事務所 代表税理士、株式会社坂根ホールディングス 代表取締役 年間400件以上の相談を受ける、相続・事業承継等に関連するM&Aをサポートしている税理士。著書:相続実務のツボとコツがゼッタイにわかる本秋田県会社設立サポート
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M&Aの手数料の種類と相場

M&Aに要する費用は、依頼する会社によって具体的な料金設定が開示されている会社もあれば、開示されていない会社もあります。
通常、規模の大きなM&Aほど手続きの負担が増えるため、かかる費用も高くなります。また、支払うタイミングなどが異なったり、契約上の注意すべき項目もいくつかあります。

ここでは、押さえておくべきM&Aの料金の項目や相場について解説します。

料金相場
相談料・着手金無料~数百万円
月額報酬(リテイナーフィー)無料~数百万円
中間報酬成功報酬の10~30%
成功報酬レーマン方式によって算出
デューディリジェンスの費用数十万円~数百万円
報酬以外の費用内容により様々

M&Aの具体的な流れと手順は、こちらの記事で解説しています。
▷関連記事:M&Aの一般的な手続きの流れ(プロセス) 検討~クロージングまで

▶︎M&A仲介の手数料:相談料

M&A仲介会社にサポートを依頼する際に、最初に発生するのが「相談料」です。
M&Aアドバイザーに対して、M&Aに関する相談を行った時に、M&Aへの意向の有無に関わらず、アドバイザーの専門的な知見や経験から導き出される助言や判断に対し、相談料金が発生します。
近年では、無料で相談を受ける仲介会社も増加しています。

▶︎M&A仲介の手数料:着手金

M&Aアドバイザーが企業のニーズを基に該当する企業を探す際に発生するのが「着手金」です。これらの費用は最終的にM&Aが成約しなかったとしても、多くの場合返金されることはありません。
相談料・着手金はM&Aを進めるためのさまざまな準備にかかる料金ですが、近年の傾向では着手金が無料という会社も多くあります。このように着手金がかからない会社もあるため、金額的には無料~数百万円とかなりの幅があります。

▶︎M&A仲介の手数料:月額報酬(リテイナーフィー・コンサルタント料)

着手金のほかに、M&A成立時までに毎月支払うのが「月額報酬(リテイナーフィー)」です。
毎月定額の場合もあれば、業務内容に応じて支払う場合もあります。アドバイザリーやコンサルタントへ支払う報酬のため、コンサルタント料ともいいます。また、相談料・着手金と同様に月額料金もM&Aを進めるうえで必要なさまざまな作業に対してかかる報酬です。
月額報酬のかからない会社もあり、金額の目安としてはこちらも無料~数百万円と幅があるので、依頼前に確認しましょう。

▶︎M&A仲介の手数料:中間報酬(譲渡先・譲受先との基本合意)

相手先が見つかり、M&Aの基本合意を結んだ時に支払うのが、「中間報酬」です。一般的には、成功報酬の10~30%程度が発生します。
この中間報酬を支払った後に、デューディリジェンス、最終合意、クロージングなど最終局面に進み、その中で大きな問題が発覚しなければ、M&Aの成約へと進んでいきます。
中間報酬はM&Aが成約しなかった場合でも返金されません。しかし、M&Aが成功した場合には、成功報酬に充当するケースが多いです。

▶︎M&A仲介の手数料:成功報酬(M&Aの成約・成功報酬)

M&Aが成約し、M&Aの最終契約を締結した時点で発生するのが「成功報酬」です。成功報酬の金額は、一般的にレーマン方式という計算方法を採用しているところがほとんどです。
この方式の場合、譲渡金額が高ければ高いほど、成功報酬として支払う額も大きくなります。レーマン方式については、長くなるので、後の章で解説します。

また、中間報酬や月額報酬は成功報酬に充当されることも多いです。
例えば、M&A成立までの全体の報酬が4,000万円で、中間報酬や月額報酬の合計で1,000万円を支払っていた場合、M&Aが成約した際に充当され、3,000万円の支払いで済む場合もあります。
中間報酬や月額報酬が充当されるかを契約する前に確認することをおすすめします。

▶︎M&A仲介の手数料:デューディリジェンスの費用

譲渡候補の企業の財務や税務、法務に関して譲受企業側が調査を行うデューディリジェンスでは、依頼するコンサルタントや専門家、M&Aの規模によって発生する金額に大きな幅があります。
また、デューディリジェンスをどこまで細かく行うかによって発生する金額も異なり、総額が数十万円から数百万円以上の場合もあります(小規模なM&Aではデューディリジェンスを行わないケースもあり、行わないのであれば当然0円です。ただし、潜在的なリスクを負うことになります)。この費用は着手金や成功報酬に含まれているケースもあります。
なお、デューディリジェンスは譲受企業が行うため、費用がかかるのは基本的に譲受企業のみです。

M&Aのデューディリジェンスについては、こちらの記事を参考にしてください。
▷関連記事:解説動画付|「デューディリジェンス」とは?種類や手順・費用や注意点

▶︎M&A仲介会社への報酬以外の費用

M&Aには報酬など以外の費用が発生することがあります。
例えば、M&Aでは調査や契約時などさまざまな手続きで書類を必要とするため、これらの書類作成代などです。
あわせてM&Aを行った後の法人税などの税金負担をはじめ、M&A仲介会社に支払う仲介手数料と合わせてM&A時の予算を検討する必要があります。

M&Aの手数料:レーマン方式とは

M&Aの手数料:レーマン方式とは

M&Aの成功報酬の計算方法では、レーマン方式が活用されることが多いです。
レーマン方式について解説していきます。

▶︎レーマン方式とは

「レーマン方式」とは、多くのM&A会社が採用する、取引金額に応じて報酬料率が変わる報酬体系です。譲渡金額が大きいほど手数料率は低く、譲渡金額が少なければ手数料率は高くなります。
また、仲介会社によっては最低報酬金額を設定している場合もあります。最低報酬金額は多くの仲介会社で500万円~2,500万円で設定されています。

ただし、レーマン方式では起算基準が会社によって異なるため、契約する際は何に対して成功報酬料率を定めているのか確認をすることが重要です。
例えば、会社の資産と営業権(のれん代)をもとに成功報酬を算出する場合などがあります。

取引金額報酬料率の一例
5億円まで5%
5~10億円まで4%
10~50億円まで3%
50~100億円まで2%
100億円超1%

▶︎レーマン方式の算出例

レーマン方式によって上記のように報酬料率を定めている場合、起算基準額が例えば11億円であれば、成功報酬額は4,800万円となります。
※5億円部分までは5%、5億円~10億円部分を4%、10億円~50億円部分を3%とした場合

1)5億円(~5億円部分) × 5% = 2,500万円
2)5億円(5~10億円部分) × 4% = 2,000万円
3)1億円(10~11億円部分) × 3% = 300万円

1)+2)+3) = 4,800万円

なお、のれん代については、こちらの記事で詳しくまとめています。
▷関連記事:M&Aの「のれん」とは?償却期間や会計処理、注意点を分かりやすく解説

M&A仲介会社の役割

M&A仲介会社の役割は、以下の通りです。

・スケジュールと戦略の決定
・M&Aの手続きの全般的な支援
・弁護士や会計士などの紹介

それぞれ解説していきます。

▶︎スケジュールと戦略の決定

M&Aを行う場合、半年から1年以上かかることが多いです。
その点、依頼主の経営の状況や希望に基づき、M&A仲介会社はスケジュールを管理してくれます。

▶︎M&Aの手続きの全般的な支援

M&A仲介会社はM&Aの相手探しや企業価値の算定、交渉、デューディリジェンスの援助、書類作成といった全般的な支援をします。
M&Aの手続きは専門性が高いため、自社だけで行うのは困難です。そのため、M&A仲介会社のサポートを受けながら、手続きを進めるのが一般的です。

▶︎弁護士や会計士などの紹介

M&Aは法律に従った手続きや会計の処理、業界の動向などさまざまな専門知識が求められます。
しかし、全ての弁護士や会計士がM&Aの専門知識を持っているわけではありません。そのため、M&A仲介会社がM&Aの専門知識を持っている弁護士や会計士を紹介する場合もあります。
特に、譲受企業となる場合は一般的にデューディリジェンスを行う必要があるので、M&Aの専門知識を持った弁護士や会計士の紹介は大いに役に立ちます。

なおM&A仲介会社については以下記事で詳細に触れていますので、ご参考ください。
▷関連記事:M&A仲介とは?仲介会社のメリットや選び方、FAとの違い【動画付き】

M&A仲介会社を活用するメリット

M&A仲介会社を活用するメリット

上述のように、法律や会計といった専門知識の支援が受けられることはM&A仲介会社を活用する大きなメリットになりますが、その他にもいくつかのメリットがあります。

・専門的な知識や経験でサポート
・本業に集中できる・取引相手の選択肢の拡大
・交渉役となりM&Aを円滑にすすめられる
・譲受候補企業が欲しい情報を提供
・トラブルを回避

M&Aを検討されている場合、M&A仲介会社のメリットは、把握しておきましょう。

▶︎専門的な知識や経験でサポート

上記の様に、M&Aには専門的な手続きが多いです。しかし、M&A仲介会社は専門的な知識や経験を持っているため、M&Aをスムーズに進めることができます。

▶︎本業に集中できる

M&A仲介会社を利用することで、専門的な手続きをサポートしてくれるため、依頼主は本業に集中できます。
譲渡企業は本業の業績が下がってしまうと、M&Aが破談になる可能性があります。そのため、本業に集中しながら、M&Aの手続きを進められることは大きなメリットです。

▶︎取引相手の選択肢の拡大

M&A仲介会社によっては、譲受企業や譲渡企業の候補となる企業のネットワークを持っていることがあります。そのため、取引相手の選択肢が広がりより理想に近い企業とM&Aの取引ができる可能性が高まります。

▶︎交渉役となりM&Aを円滑にすすめられる

譲渡企業と譲受企業双方の希望や条件をM&Aアドバイザーがすり合わせることで、M&Aを円滑にすすめられることもメリットといえます。
また、M&Aアドバイザーがつくことで、自身にとって不利な条件が契約に盛り込まれることを避けられるなどリスク防止も期待できます。

▶︎譲受候補企業が欲しい情報を提供

譲受候補企業が欲しい情報を提供してくれることもM&Aのメリットです。譲受候補企業が納得しないとM&Aは成立しません。しかし譲受候補企業を納得させる方法はなかなか分からないと思います。
そんな時にM&A仲介会社は、企業概要書(IM:インフォメーション・メモランダムともいう。譲渡企業の詳細な情報を記載した資料を指す。)の作成に協力してくれます。企業概要書の内容に納得すれば、M&Aが成約する可能性が高まります。
企業概要書については、長くなるので、以下の記事で解説しています。
▷関連記事:M&Aを成約させる「企業概要書(IM)」の作り方

▶︎トラブルを回避

さらに、M&A仲介会社を利用することで、例えば、以下のようなトラブルを回避できます。

・M&Aに必要な手続きを把握しておらず破談になった
・相手企業が反社会勢力の企業だった
・契約書の内容に自社が不利になる内容が盛り込まれていた
・適正価格から大きく外れた買収金額となった

M&A仲介会社の選び方と注意点、着手金・報酬体系の違い

M&A仲介会社の種類や選び方と注意点、着手金、報酬体系の違いを説明してきます。

▶︎M&A仲介会社の種類

M&A仲介会社には、以下の種類があります。

・「プラットフォーム型」
・「アドバイザー型」
・「ハイブリッド型」

・プラットフォーム型

譲渡企業と譲受企業の候補がマッチングするプラットフォームを持っているM&A仲介会社のことです。

・アドバイザー型

M&Aの専門知識を持った担当者がついて、M&Aを成約まで支援するM&A仲介会社を指します。

・ハイブリッド型

「プラットフォーム型」のようにプラットフォームを持っており、さらに、「アドバイザー型」は、M&Aの専門知識を持った担当者がついて、M&Aを成約まで支援する仲介会社を指します。「ハイブリッド型」のM&A仲介会社は少ないですが、他の2つに比べて、理想のM&Aを実現しやすいです。

▷関連記事:M&A仲介とは?仲介会社のメリットや選び方、FAとの違い【動画付き】
▷関連記事:【2022年版】M&Aマッチングサイトとは?メリットや選定方法など成功のポイント

▶︎M&Aの着手金や中間報酬

M&A仲介会社の報酬には相談料や着手料、中間報酬、成功報酬などがありますが、会社により報酬体系は異なります。事前にどういった費用が発生するのか確認するようにしましょう。
M&Aアドバイザーに、M&Aを相談する際に発生する相談料は、時間ごとに設定されていることがあります。一方で最近では、相談料を無料にしているM&A仲介会社も存在します。

その後、具体的にM&Aの話が進むと、M&Aアドバイザーは各種調査を開始するため、そのための費用でもある着手金が発生します。
また、中間報酬は、M&Aの基本合意を締結した際に発生する費用で、「第1次成功報酬」と呼ぶ会社もあります。
これらの相談料や着手金、中間報酬などはM&Aが成立しなかった場合でも、一般的には返金されません。

▶︎M&A仲介会社の報酬体系の違い

M&A仲介会社の中にはM&Aの成約時にのみ、報酬を請求する成功報酬型と呼ばれる方式を採る企業があります。成功報酬は一般的に譲渡価額に一定の手数料率を乗じて算出します。実際に、着手金や月額報酬を請求しないM&A仲介会社も数多く存在します。

しかし、成功報酬の金額は計算方法や料率の設定によって大きく変動するため、着手金、月額報酬、中間報酬、成功報酬の総額と、成功報酬だけのどちらが費用を抑えられるのか一概に判断することはできません。
M&Aアドバイザーを選択するうえで、重要な点は優良なパートナー企業とのM&Aの成約に導いてくれるかどうかということです。依頼を検討している会社ごとに信頼できる相手であるか、アドバイザーにじっくりと相談することが重要です。

また、譲渡企業と譲受企業の双方の納得の行くM&Aが行えない可能性があるにも関わらず、M&Aを進めてしまう仲介会社もあるようです。そうした状況を避けるためにも、親身になってくれるM&Aアドバイザーであるか、信頼できるかなどを相談時に判断するようにしましょう。
そのため、M&Aを相談するタイミングで、料金や報酬体系については事前に確認しておいた方がいいでしょう。

まとめ

お伝えしてきたように、M&A仲介会社を利用した場合には、さまざまな料金や報酬が発生します。
しかし、M&Aを成功させることができれば、支払った料金や報酬以上のリターンを得ることができます。また、M&A仲介会社を活用することで、M&Aに関する大きな損害の防止も期待できます。

数あるM&A仲介会社の中でも、fundbookはお客様がM&Aの知識を深め、納得して具体的に検討を進めて欲しいという想いから、相談料・着手金・中間報酬・月額報酬を頂いておりません。
「後継者が不在だから今後の為にM&Aの相談をしたい」「経営戦略としてM&Aを考えたい」といった際には、ぜひご相談ください。

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