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2023/09/26

休眠会社をM&Aするメリット・デメリットとは?覚えておきたい注意点

休眠会社をM&Aするメリット・デメリットとは?覚えておきたい注意点


日本国内には多くの休眠会社が存在します。
そんな休眠会社も、ポイントを押さえたM&Aが実行できれば、譲渡企業・譲受企業の双方でメリットを得ることが可能です。

節税目的で休眠会社のM&Aを検討している方もいるでしょう。しかし、よく内容を理解していないと、思うように税金対策ができないケースも存在します。
そこで本記事では、休眠会社の特徴やM&Aする際のメリット・デメリット、税制上の注意点などを、現役のM&Aアドバイザーが解説します。

記事の後半では「休眠会社のM&Aを成功させるためのポイント」もまとめてありますので、ぜひ最後までご一読ください。

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・M&Aの進め方や全体の流れ
・成約までに必要な期間
・M&Aに向けて事前に準備すべきこと

会社を譲渡する前に考えておきたいポイントをわかりやすくまとめました。M&Aの検討をこれから始める方は是非ご一読ください!
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休眠会社とは

休眠会社とは、最後に登記があった日から12年が経過している株式会社のことです。この定義は、会社法第472条で定められています。

世間一般では、「長期間にわたって企業活動が行われていない会社」を休眠会社とイメージすることが多いです。
なお、株式会社が自社を休眠させるには、税務署や市区町村役場、年金事務所などへ書類を提出する必要があります。
手続きとしては書類を提出するだけなので、会社を休眠させること自体に費用はかかりません。

ただし、休眠手続きに際して税理士や司法書士などの専門家に依頼した場合は、別途専門家への報酬が発生します。

ここまで休眠会社の概要をお伝えしてきましたが、以下の2点を知ることで休眠会社に関してさらに詳しく理解することができます。

・休眠会社ができる理由
・休眠会社のみなし解散

それでは1つずつ見ていきましょう。

休眠会社ができる理由

休眠会社ができる理由は、会社によって様々です。

たとえば、会社の清算が必要な状況にも関わらず、手続きが面倒で放置しているケースがあります。清算に必要な資金がない場合や、経営者が気力を失っているケースもあるでしょう。

2015年に法務省が発表したデータでは、約8万6,000社が休眠状態にあると判断されました。
中には、「いつかチャンスがあれば企業活動を再開したい」と経営者が考えている会社も存在します。

また、規模の小さな会社では、経営者が突然の病気や事故に見舞われて事業運営を継続できないケースや、後継者が見つからず一時的に企業活動をストップさせているケースもあります。

このように、休眠会社ができる理由は様々ですが、多くの会社に共通するのは「その時点で企業活動の継続が不可能・不要になった」という点です。

休眠会社のみなし解散

会社法472条に、休眠会社のみなし解散に関する記述があります。この条文を要約すると、主な内容は以下の2点です。

・休眠会社に法務大臣から通達があった場合、休眠会社は事業を廃止していないことの証明を2ヶ月以内に管轄の登記所へ届け出るべき
・もし2ヶ月以内に届出がなかった場合、休眠会社は解散したものとみなす

法務局では、2014年から休眠会社の整理を毎年行っています。
法務省の発表によると、2021年に解散したものとみなされた株式会社数は29,605社となります。

なぜ法務局がこのような取り組みを行っているかというと、休眠会社を放置し続けた場合、別の人が会社を立ち上げる際の商号決定時に支障をきたすからです。

また、企業犯罪を防止する目的もあります。過去には、休眠会社の不正転売や休眠会社を利用した給付金詐取などの事件も発生しました。
ちなみに、もし解散したものとみなされた場合でも、3年以内であれば株主総会の決議によって株式会社を継続することが可能です。

株主総会については、以下の記事で詳しく解説しています。
▷関連記事:株主総会とは?意味・目的や決議方法と流れをやさしく解説

休眠会社とペーパーカンパニーとの違い

休眠会社とペーパーカンパニーとの違い

休眠会社とペーパーカンパニーの違いは、明確な定義があるかどうかです。

前章でもお伝えしたように、休眠会社は会社法第472条で「最後に登記があった日から12年が経過している株式会社」と定義付けがなされています。
一方のペーパーカンパニーは俗語であり、明確な定義はありません。一般には「法人登録されていても企業活動の実態がない会社」をペーパーカンパニーと呼んでいます。

ペーパーカンパニーという言葉は広い意味で使わるため、ペーパーカンパニーとして扱われている会社の中に休眠会社が含まれていることもあります。
ペーパーカンパニーは、悪徳商法や税金対策などの目的で設立されることが多い会社です。そのため、世間一般的に悪い意味で捉えられることの多い言葉が、ペーパーカンパニーです。

休眠会社をM&Aするメリット

休眠会社のM&Aを検討する際に気になるのは、「M&Aによってどんなメリットがあるのか」という点でしょう。

・売却企業側のメリット
・買収企業側のメリット

まずは、売却企業側のメリットから見ていきましょう。

売却企業側のメリット

売却企業側のメリットは、大きく分けて3つ挙げられます。

1つ目に、廃業コストがかからない点が挙げられます。
会社を廃業する場合、一般的に約7万円〜10万円の費用が必要です。廃業に際して司法書士や税理士などに依頼をすれば、費用が発生します。

廃業にかかるコストは、金銭面だけではありません。廃業の手続きには、株主総会での決議や解散届出の提出など、時間的コストも発生します。

休眠企業を譲渡すれば、この廃業コストをカットすることが可能です。
会社をたたむ際にかかる費用は以下の記事で解説しています。
▷関連記事:会社をたたむ費用・流れ・手続きを解説。検討したい3つのポイント

2つ目のメリットは、高値で譲渡できる可能性がある点です。特にある業種で許認可を取得している会社では、休眠会社であっても高値で譲渡されるケースがあります。

許認可が必要な業種には不動産業や風俗業、旅行業などがあり、これらの事業を営む場合は行政機関からの許認可が必要です。
許認可を取得しないまま事業を営んでいることが発覚した場合、刑事罰を課せられることがあります。

買収企業によっては、許認可を取得している休眠会社に高い価値があると判断するケースもあるのです。

3つ目のメリットは、税金対策に繋がるケースがある点です。もし高値で譲渡できなかったとしても、休眠会社を売却するメリットはあります。
なぜかというと、会社の個人株主は譲渡損をその他の所得と相殺すれば税金対策することが可能だからです。

なお、休眠会社の売却であれば通常は非上場株式の譲渡になります。しかし、非上場株式の譲渡による譲渡損は、上場株の譲渡益との損益通算は不可能で、他の所得との損益通算もできません。

買収企業側のメリット

1つ目のメリットは、価値の高い会社を通常よりも安値で買収できる可能性がある点です。
たとえば、業界によっては社歴の長さが高い評価に繋がることもあります。社歴の長い休眠会社を安値で買収できれば、買収後の事業運営において大きなプラスをもたらすかもしれません。

2つ目のメリットは、資本金が必要ない点です。
たとえば、資本金3,000万円の休眠会社を買収したとします。

この時、もし買収企業の手元に3,000万円がなかったとしても、買収企業は資本金3,000万円の会社を所有できたことになります。
もっとも、現在は資本金1円からでも起業ができる時代です。一方で、資本金が多いということは会社設立時にそれだけ資金調達できたという証明にも繋がります。
資本金の大きさが一定の評価に繋がる可能性もある点は、押さえておくと良いでしょう。

3つ目のメリットは、許認可を取得できる点です。
許認可を取得している休眠会社を買収できれば、新たに許認可の申請を行う必要がありません。

許認可が必要な業種での事業展開を検討している方は、休眠会社のM&Aを検討してみてはいかがでしょうか。

4つ目のメリットは、会社設立時の手続きを省略できる点です。
株式会社の設立時は、登記申請や各機関への書類提出など、手間や費用が発生します。
休眠会社を買収すれば、この手間や費用を省略することが可能です。

休眠会社をM&Aするデメリット

休眠会社のM&Aには、デメリットも存在します。
M&Aを実施する際は、それぞれのデメリットを理解しておくことが重要です。それでは、1つずつ見ていきましょう。

売却企業側のデメリット

売却企業側のデメリットは、譲渡後の簿外債務などが見つかった場合に損害賠償請求や違約金が発生する可能性もあることです。

このような事態を防ぐためにも、休眠会社は事前に財務状況を明確にしておきましょう。
財務状況を調べた結果、譲渡できるか不安になった場合には、M&Aアドバイザーをはじめとする専門家へ相談するのもおすすめです。

買収企業側のデメリット

買収企業側のデメリットは、休眠会社に想定外の債務が見つかる可能性もある点です。
一般的に、売り手側はより魅力的な情報を開示したいと思っています。そのため、交渉時に都合が悪くなる情報は隠したがる傾向にあるのも事実です。

対策としては、表明保証条項を取り交わすことも1つでしょう。表明保証条項とは、売却企業側が開示した内容が、事実かつ正確であることを保証する条項のことです。

もし買収した休眠会社がブラックリストに載っていた場合、企業の信用度にも影響します。買収前は、休眠会社の債務について入念に確認しておきましょう。

休眠会社のM&Aの手続きの流れ

休眠会社のM&Aの手続きの流れ

休眠会社をM&Aする際の手続きの流れは、以下の通りです。
—————————————————
1:目標・戦略の明確化
2:支援を依頼する業者の選定
3:マッチング
4:休眠会社売買に向けての交渉
5:各種契約書の締結
6:デューディリジェンス(買収監査)
7:最終契約の締結・クロージング
—————————————————

休眠会社のM&Aであっても、基本的な流れは一般的なM&Aと同様です。
M&Aを進める上では、財務面や法務面での専門的な知識が求められます。特にM&Aの経験が浅い方は、M&Aアドバイザーをはじめとする専門業者に依頼するのがおすすめです。

また、いくらM&Aを進めたくても、相手が見つからなければ交渉のテーブルにすら着けません。
相手探しに難渋してしまうケースも少なくないので、より確実にM&Aを進めたい方は仲介業者を利用するのも1つでしょう。

M&Aの手続きの流れは、次の記事でもまとめています。
▷関連記事:M&Aの一般的な手続きの流れ 検討~クロージングまで

休眠会社をM&Aした場合の税金

特に買収企業は、休眠会社をM&Aした場合の税金について注意が必要です。
ここでは、繰越欠損金と法人住民税の均等割について解説します。

繰越欠損金

税法上では「税務上の赤字」を欠損金と呼びます。繰越欠損金とは言葉の通り、欠損金を将来に繰り越せる制度のことです。

たとえば、2020年度にA社の課税所得がマイナスになったとします。もし2021年度にA社で課税所得が発生した場合、繰越欠損金により2021年度の課税所得を減額することが可能です(※繰越欠損金には繰越期間が存在します)。

休眠会社でのM&Aに話題を戻します。
休眠会社には繰越欠損金があるケースも見られますが、基本的に繰越欠損金を買収企業が引き継ぐことはできません。

なぜなら、法人税法(57の2)により繰越欠損金の引き継ぎに制限がかかってしまうからです。この制限は、租税回避防止を目的として2006年度の税制改正で導入されました。

ただし、買収企業が休眠会社の事業をそのまま続ける場合には、繰越欠損金を引き継げるケースも存在します。

法人住民税の均等割

休眠会社の場合、法人住民税の均等割が免除されるケースがあります。
しかし、免除を受けるには、各自治体で手続きを済ませなければなりません。

法人住民税の均等割について不安な方は、各自治体の窓口へ尋ねてみることをおすすめします。

休眠会社のM&Aを成功させるためのポイント

最後に、休眠会社のM&Aを成功させるポイントを紹介します。

・売却企業側のポイント
・買収企業側のポイント

お伝えする内容を参考にして、自社での取り組みに活かしてください。

売却企業側のポイント

売却企業側は、買収企業にどれだけのメリットを提示できるかがポイントです。
具体的には、これまでもお伝えしてきた以下の3点が挙げられます。

・繰越欠損金の有無
・許認可の有無
・債務の透明性

1つ目は、繰越欠損金についてです。
買収企業の中には、節税目的に休眠会社の譲受を検討する企業もあります。休眠会社は、交渉前に繰越欠損金の有無を確認しておきましょう。

2つ目は、許認可の有無についてです。
たとえば、買収企業が許認可の取得を要する業種での事業展開を計画しているとしましょう。
この時、もし休眠会社が該当する許認可を取得していれば、買収企業にとって大きな魅力に感じるはずです。
許認可の保有は、より高値で譲渡するための材料にもなり得ます。

3つ目は、債務の透明性についてです。
買収企業側は、休眠会社に想定外の債務が出てこないか不安に感じています。
譲受前にはデューディリジェンス(買収監査)と呼ばれる調査も行われますが、それでも後から新たな問題が見つかるケースは存在します。
休眠会社は、事前に債務の透明性を見せておくことが良い契約に繋げるポイントの1つです。

デューディリジェンスについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
▷関連記事:M&Aの最後にして最大の難関。「デューディリジェンス(DD)」を徹底解説

買収企業側のポイント

買収企業側のポイントは、以下の2点です。

・財務状況が良い休眠会社を選ぶ
・専門家の協力を得る

1つ目は、休眠会社の財務状況についてです。将来のリスクを避けるために、財務状況の把握に多くの時間を費やしましょう。
現在のM&A業界では、デューディリジェンス(買収監査)を行うことが欠かせなくなってきています。
デューディリジェンス(買収監査)の結果、本来譲受すべきでない休眠会社とのM&Aを事前に防ぐことも可能です。

2つ目のポイントは、専門家の協力を得ることです。休眠会社とのM&Aでも、上記のデューディリジェンスはもちろん、税務面や法務面などあらゆる分野での専門知識が必要になります。
M&Aアドバイザーをはじめとする専門家に依頼をすれば、これまでの経験や知識をもとにM&Aの実務をサポートしてもらえます。
また、相談内容やプロの目線での経営分析を通じて、より戦略的なM&Aの提案を受けることも可能です。

まとめ

国内だけでも数万社レベルで存在すると言われているのが、休眠会社です。休眠会社のまま放置していると、法務省から解散したものとみなされてしまいます。
もし休眠会社のM&Aに成功すれば、譲渡企業と譲受企業の双方でメリットを得ることも可能です。

ただし、休眠会社のM&Aでも、税務面や法務面での専門知識が求められます。
特にM&Aの経験が少ない企業にとっては、M&Aアドバイザーをはじめとする専門家の活用がおすすめです。

fundbookでは、経験豊富なアドバイザーがプロの立場でM&Aをサポートします。公正な視点でアドバイスを行い、譲渡側と譲受側の双方が納得できるM&Aへ導くことが可能です。
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