M&A アドバイザー

M&Aアドバイザーとは?

「M&Aアドバイザー」とは、M&Aに関するさまざまな業務についてアドバイスや取りまとめを行い、M&Aを成約までサポートする専門家のことをさします。

「M&Aコンサルタント」「ファイナンシャルアドバイザー(FA)」「M&A仲介業者」なども、細かな点は違いますが、基本的にM&Aに関連する業務を取り扱っているという意味では同じであるといえるでしょう。

M&Aを成功させ、短期間で結果を出すためには、M&Aアドバイザーのような多くの経験を積んだM&Aの専門家のサポートを受ける場合がほとんどです。M&Aでは、法務的な手続きから税務処理、相手企業の選定にいたるまで、幅広い経験と知識を要します。M&Aにおいて、M&Aアドバイザーの存在は心強い存在といえます。

この記事ではM&Aアドバイザーとはそもそも何か、その位置づけや定義、業務内容、メリット、デメリットなどについて詳しく解説します。M&Aを専門家へ依頼する際の参考として活用できる内容です。

M&Aアドバイザーの業務内容と手数料

M&A アドバイザー

まずは、M&Aアドバイザーの業務や手数料について解説していきます。

M&Aアドバイザーの業務の種類について

一般的にM&Aは、M&Aの仲介業務を依頼する会社を1社に絞って契約(アドバイザリー契約)を締結します。そのため、M&Aアドバイザーが携わる業務は、相手企業探しや交渉、各種書類の作成など非常に多岐にわたります。

条件の取り決め、資料作成、企業価値の算定、相手企業探し、面談および交渉、デューデリジェンスという6つの代表的な業務と、一般的な手数料についてわかりやすく解説します。

条件(譲渡価額、譲渡条件、スケジュールなど)の取り決め

譲渡企業からM&Aの相談を受けた場合、希望譲渡価額や譲渡の条件、M&Aを進めるスケジュールといった内容について取り決めます。

M&Aアドバイザーは、特定されない粒度で譲渡企業の情報をまとめた「ノンネームシート」をもとに譲受企業に打診します。

そのため、譲渡企業が譲受企業に希望する先述の条件やスケジュールなどの取り決めを予め行っておく必要があるのです。

譲渡企業の会社概要などの資料の作成

多くの場合、譲受企業へ打診する際に必要な資料をM&Aアドバイザーが作成します。

譲受企業に打診を行い、検討してもらうために、ノンネームシートよりも詳細に企業情報をまとめた「企業概要書(IM)」を作成します。

企業概要書は譲渡企業の事業内容や希望する条件、企業の将来性など、譲受企業へ打診する際の重要な資料となるものです。

企業価値の算定

譲渡企業から提出された資料をもとに、譲渡企業にどれくらいの価値がつくのかを算出するための企業価値評価(バリュエーション)を行います。こちらは、M&Aアドバイザーだけでなく公認会計士などの専門家が行う場合もあります。

企業価値で算出された価額は、M&Aの交渉を進める上で目安となる譲渡価額です。そのため、M&Aの交渉や最終的な譲渡価額を決めるために必要となります。

紹介、選定作業

譲渡企業の希望する条件に合致した譲受企業を選定し、ノンネームシートでの打診を行います。譲受企業の要求も受入れる必要があるため、双方が納得する企業が選定され、紹介をします。

一般的には、自社で保有している譲受企業のニーズや、アドバイザー自身のネットワークなどを活用して選定します。

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譲渡企業への事前プレゼンテーション、面談や交渉、契約書作成実務

紹介、選定作業が進むと、譲渡企業に対して事業的なシナジーや譲渡後の会社の経営に対してイメージを持ってもらうために、譲受企業の会社案内や経営方針などを事前にプレゼンテーションする場合もあります。

その後、幹部陣同士の面談(トップ面談)や交渉を随時進めていきます。留意事項やスケジュール進捗の確認、M&Aに必要な契約書作成といった実務も、M&Aアドバイザーが行う業務の1つです。

トップ面談を終え、信頼できる相手であることを双方が確認できれば、M&A成約までのスケジュールや譲渡価額、譲渡企業と譲受企業の双方で合意している条件などを定めた基本合意を締結します。

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デューデリジェンス(買収監査)を行う

基本合意の締結後、譲受企業が譲渡企業のリスクや価値、将来の収益性などについて監査を行います。この監査は「デューデリジェンス」とも呼ばれ、譲受企業が依頼した会計士や弁護士などが行うこともあります。

デューデリジェンスを行うことで、資産価値から組織の体制、登記内容、定款といった法務的な内容まで詳細な調査を行い、譲渡企業のあらゆるリスクの洗い出しやM&A成約後に想定されるシナジーの考察を行います。

多くの場合、譲渡企業はM&Aを初めて経験するでしょう。そのため、デューデリジェンスを円滑に進めるために、事前に疑問点を解消したり、不安な感情を取り除くこともアドバイザーの役割です。加えて、資料の準備や最終確認、対応の仕方なども含め、アドバイザーを交えて綿密な準備を行います。

ここまでの一連の作業が終了し、譲渡企業と譲受企業の双方がM&Aを行うことに合意したら、最終的な条件や契約内容を定めた最終契約を締結します。その後、決済などが行われ、クロージングが完了します。

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ファイナンシャル・アドバイザーの必要性と仲介業務、経営コンサルティング業務の違い

M&A アドバイザー

最後にM&Aにおけるアドバイザーの必要性と、ファイナンシャル・アドバイザー(FA)とM&A仲介業務、経営コンサルティング業務との違いについて解説しましょう。

着任形式について(アドバイザリー形式・仲介形式)

M&Aアドバイザーの主な形式は2つあり、それぞれ「アドバイザリー形式」「仲介形式」と呼ばれます。

アドバイザリー形式とは、譲渡企業と譲受企業のそれぞれにM&Aアドバイザーが着任しM&Aを進める形式です。一方、仲介形式は同一のM&Aアドバイザーが譲渡企業と譲受企業の双方を仲介する形式となります。

ファイナンシャル・アドバイザー(FA)と仲介業務は着任形式が異なる

上述のように、ファイナンシャル・アドバイザー(FA)は、譲渡企業か譲受企業のどちらかに着任し、一方の利益を最大化するためにアドバイスを行います。自社の希望する条件を実現できるように尽力してくれる反面、過度な要求を行ってしまうと相手企業が見つからないというケースもあります。

一方M&Aの仲介業務は、譲渡企業と譲受企業の双方の間に立ち、M&Aの相談から成約までのサポートをします。そのため、双方の条件のすり合わせを行ったり、中立的な立場からアドバイスを受けられます。

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M&Aアドバイザーと経営コンサルティング業務は業務範囲が異なり、専門性も違う

経営コンサルティング会社からも、M&Aについてのアドバイスを受けることは可能です。

しかし、経営コンサルティングは幅広く経営への助言を行うため、必ずしもM&Aに関わる情報や知識を網羅しているわけではなく、自社が欲しいアドバイスが得られないケースもあります。

経営に関する全般的なアドバイスを受けたり、M&Aの検討に至るまでの相談や問い合わせなどは経営コンサルタントの業務範囲ですが、実際にM&Aを検討、実施する際には、M&A業務に特化したM&Aアドバイザーのサポートを受ける方が、より具体的で適切な助言を受けることができるでしょう。

M&Aアドバイザーを利用するメリット

M&Aアドバイザーに依頼するメリットは、希望する条件をもとにM&A成約までのサポートが受けられる点にあります。

M&Aの検討の段階から企業価値の算出、書類作成、交渉などM&Aに特化した専門家のサポートを受けられるのです。こうしたM&Aの専門家であるM&Aアドバイザーを介さずにM&Aを実施するのは、非常に難しいといえるでしょう。

M&Aアドバイザーを利用するデメリット

M&Aアドバイザーに依頼することはメリットだけでなく、デメリットも存在します。

M&Aアドバイザーによっては、契約の時点でその後の結果に責任の所在がない、という旨の同意を得ることがあります。そのため、M&Aの手続きの途中でトラブルが生じたり、結果が予想に反するものであった場合に、責任の追及ができず、曖昧になってしまう可能性もあるのです。

そのような事態を避けるためにも、知識や経験の有無などを確認した上で、親身になって相談に乗ってくれて信頼できるM&Aアドバイザーを選定することをお勧めします。

M&Aを成功させるためには

M&Aを成功させるためには、M&Aアドバイザーのような相談から成約までをサポートしてくれる専門家の存在が欠かせません。

M&Aはその目的や企業規模に応じて手続きや手法も異なります。また、専門的な知識が必要となる場面や多くの資料の準備など、一人で全てを行うのは非常に難しいです。

そのため、M&Aを成功させるためには高度な知識を持つ信頼できるM&Aアドバイザーの存在は心強いものとなるでしょう。

まとめ

M&Aアドバイザーとは、M&Aに関する業務をトータルでサポートする専門家のことです。そのM&Aアドバイザーにはアドバイザリー形式と仲介形式という2つの契約形式があります。

また、経営コンサルタントが全般的なビジネスアドバイスを専門とするのに対し、M&AアドバイザーはM&Aに特化した助言を行います。

M&Aを成功に導くために、信頼できる優秀なM&Aアドバイザーを見つけるには、企業が実施する無料相談などを利用してみるのもよいでしょう。