よくわかるM&A

2023/10/03

M&Aで活用される経営統合とは?統合後のPMIについても解説

M&Aで活用される経営統合とは?統合後のPMIについても解説

近年、持株会社化する企業が増加しています。グローバル市場における競争力を強化するために、NTTグループは2018年11月に、NTTコミュニケーションズ株式会社や株式会社NTTデータを含む5社を新たに設立したグローバル持株会社とするNTT株式会社の傘下へと移行しました。

また2019年1月には株式会社アサツーディ・ケイが「株式会社ADKホールディングス」を純粋持株会社とした統合を行っています。

本記事では、経営統合と似たM&Aの手法である合併との違いについての解説や経営統合のメリット、経営統合を行う際のPMI(post merger integration)のプロセスについて解説していきます。

▷関連記事:M&Aとは?M&Aの目的、手法、メリットと流れ【図解付き】

\資料を無料公開中/
幸せのM&A入門ガイド
資料
【主なコンテンツ】
・M&Aの成約までの流れと注意点
・提案資料の作成方法
・譲受企業の選定と交渉
・成約までの最終準備

M&Aによる事業承継をご検討の方に M&Aの基本をわかりやすく解説した資料です。
1分で入力完了!

経営統合と合併の違いとは?

経営統合とは統合する会社同士で持株会社(ホールディングカンパニー)となる新設会社を設立し、複数の会社が持株会社の子会社として傘下に入る手法です。持株会社は子会社の株式を保有し、子会社を管理していくことになります。

この持株会社は主に純粋持株会社と事業持株会社の2種類に分けられます。純粋持株会社とは自ら製造や販売といった事業は行わず、株式を所有することで、他の会社の事業活動を統制することを事業目的とする持株会社のことです。

これに対し、事業持株会社とはグループ各社の株式を持つことで子会社を統制しながら、自らも生産活動などの事業を営む持株会社のことです。

他方、合併とは複数の会社を1つの会社にすることです。合併には新設合併と吸収合併の2種類がありますが、吸収合併の場合は消滅会社(被合併会社)が既存の存続会社(合併会社)に吸収され、消滅会社が消滅します。新設合併の場合には合併する会社の事業や権利義務の全てを新設した会社に引継ぐため、新設の会社を除く合併する全ての会社が消滅します。

大きな違いとして、合併が複数の会社が1つになるのに対し、経営統合は持株会社の下で複数の会社が存続するという点が挙げられます。

そのため経営統合では一般的には制度やシステムを1つにまとめる必要がなく、また社内の軋轢も生まれにくいです。

一方、合併は1つの会社になるため、経営の合理化が進みシナジー効果を得やすくなりますが、人事制度や社内システムなどを1つにまとめる必要があり、後述のPMIに時間がかかってしまうことも多々あります。

▷関連記事:M&Aの合併と統合の違いとは?事例を含めて解説
▷関連記事:持株会社設立による経営統合とは?合併に代わるM&Aの手法
▷関連記事:M&Aによる子会社化とは?子会社とグループ会社の違いについて解説

経営統合と合併の違いとは?

経営統合の目的・メリット

主に事業領域の拡大や競争環境の変化への対応、グループ全体でのスピーディーな意思決定などを目的として経営統合を行います。

経営資源の合理化によるコスト削減

経営統合のメリットとしては、まず親会社は経営戦略に、子会社は事業の運営に専念できるようになり、経営資源の合理化を図れることが挙げられます。親会社は経営戦略の策定のみならず、子会社の人事や経理といった管理業務を一括して行うこともあり、グループ全体での効率化も見込めます。

さらに持株会社は各子会社の監督やリスク管理を中心に行うことで、コーポレート・ガバナンス*1の強化にもつながります。

*1コーポレート・ガバナンス : 企業経営において公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組みのこと。企業統治と訳される。

異なる環境・文化などの摩擦回避

経営統合では合併のように1つの会社に統一されないため、人事制度や社内システム、社内文化などの融合が不要なケースもあります。そのため、M&A後に勤務環境が大きく変化したり、文化が異なる社員同士の摩擦が生じるといった事態を避けることができます。

効率的な経営資源の配分によるシナジー効果

他のM&Aの手法と同様に、経営統合を通して得られるシナジー効果も多く存在します。例えば親会社を通して、グループ内での人員の最適な配置や、最適な資源配分を行えるといったものがあります。

また、それまで独立していた子会社同士の結びつきが生まれて技術、情報、人材の横断的な活用が可能になったり、グループ内でブランドやノウハウを共有できることも大きなシナジー効果といえるでしょう。

効率的な経営資源の配分によるシナジー効果

経営統合におけるPMIのプロセス

上述のように、経営統合は合併と比べると制度やシステムをまとめることは原則不要なので、PMIのプロセスが他の手法に比べるとやや簡易です。ですが、M&Aの成否に直接つながるPMIは両方の手法で非常に重要なものとなりますので、内容の理解は必須です。

PMIとは「Post Merger Integration」の略であり、M&A成約後の両社の経営方針や業務ルール、情報システムや社員の意識などを融合するプロセスのことを指します。PMIはM&Aを成功させるためにはとても重要であり、PMIを円滑に進めることで見込んだシナジー効果が十分に発揮されるようになります。

▷関連記事:PMIとは?M&A成立後の統合プロセスについて株式譲渡を例に解説

スムーズなPMIのポイント

PMIをスムーズに進めるために、主に以下の点に留意しましょう。

1. M&A後のビジョンの共有

譲渡企業と譲受企業の間で、M&Aを行った目的や想定されるシナジー効果を改めて確認し、M&A成約後の会社のビジョンの認識を共有することが大切です。ビジョンを共有することで、将来的な事業展開や運営方針、それに必要な人員、商材などといったより具体的な戦略についての考えも共有することができます。

また、従業員に対してもしっかりと情報発信を行い、M&Aの意義やビジョン、具体的な変化を伝えることが重要です。M&Aの意義やビジョンが分からないまま働き続けることで、従業員のモチベーションの低下につながり、またきちんとした情報共有がなされない状態だと不安を覚える従業員も出てくるでしょう。

そのため、従業員に会社のビジョンや変化をきちんと理解してもらうことが重要です。

2.強いリーダーシップやマネジメント能力

M&Aは譲渡企業、譲受企業双方の従業員にとって大きな変化であり、多くの場合において働くモチベーションが低下したり、不安を感じる方も少なくないです。また、経営統合は合併と比べると子会社間のつながりが弱くなるため、親会社となる会社は子会社を管理し、1つにまとめていかなければなりません。

経営者や現場のリーダーとなる立場の社員は、従業員と緊密にコミュニケーションをとり、従業員を導くリーダーシップや従業員を管理するマネジメント能力が求められます。

3. 綿密なPMI計画の策定

事前に綿密なPMIの計画を策定しておくことで、M&A成約後の見通しを立てたり、従業員に伝えるべきことを明確にすることが可能になります。PMIは従業員にとって負担にならないように、長期的かつ段階的に行うことも一つの方法です。

社内の業務プロセスや情報システムなどといった業務面での統合や、社内規定の見直しやコミュニケーションの推進、人事・労務面の変更といった管理面での統合を、誰がどれくらいの期間で行うのかなどをできる限り具体的に定めておきましょう。

まとめ

本記事では経営統合や合併、M&Aにおいて重要となるPMIについて解説しました。複数の会社が統合することは意識面、業務面でハードルがありますが、M&Aの手法と成約後のPMIについて深く理解することで、スムーズに統合を行うことができるでしょう。

    【無料ダウンロード】自社の企業価値を知りたい方へ

    企業価値100億円の条件

    企業価値100億円の条件 30の事例とロジック解説

    本資料では実際の事例や企業価値評価の手法をもとに「企業価値評価額100億円」の条件を紹介します。
    このような方におすすめです。

    自社の企業価値がいくらなのか知りたい
    ・企業価値の算出ロジックを正しく理解したい
    ・これからIPOやM&Aを検討するための参考にしたい

    は必須項目です。

    貴社名

    売上規模

    貴社サイトURLもしくは本社所在地をご入力ください

    お名前

    フリガナ

    役職

    自社の株式保有

    電話番号(ハイフンなし)

    メールアドレス

    自社を譲渡したい方まずはM&Aアドバイザーに無料相談

    相談料、着手金、企業価値算定無料、
    お気軽にお問い合わせください

    他社を譲受したい方まずはM&A案件情報を確認

    fundbookが厳選した
    優良譲渡M&A案件が検索できます

    M&A・事業承継のご相談は
    お電話でも受け付けております

    TEL 0120-880-880 受付時間 9:00~18:00(土日祝日を除く)
    M&A案件一覧を見る 譲渡に関するご相談