経営・ビジネス

2023/09/14

みなし配当とは?計算方法や税務処理、特例などわかりやすく解説

みなし配当とは?計算方法や税務処理、特例などわかりやすく解説

みなし配当とは?

みなし配当とは、法人税法第24条1項に規定されている制度となり、法人税法23条に規定される余剰金の配当、または分配等には該当しないものの、実態として余剰金の配当であり、これを法人税法上配当金とみなしたものを指します。

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みなし配当が生じるケース

みなし配当とは?計算方法や税務処理、特例などわかりやすく解説

みなし配当は自己株式取得や合併といった、株主がお金を受け取るケースに発生します。
主なみなし配当が発生するパターンは以下が挙げられます。

・合併(適格合併による交付は除く)
・分割型分割(適格分割型分割による交付は除く)
・株式分配(適格株式分配は除く)
・自己株式取得(市場における取得は除く)
・資本の払戻し、または解散による残余財産が分配される場合
・出資の償却や社員の退社等による持分の払戻しに伴い金銭等が交付される場合
・組織変更(該組織変更をした法人の株式又は出資以外の資産を交付した場合)

みなし配当の計算方法

みなし配当の計算方法はみなし配当が生じる取引によって変動するものの、基本となる計算式があります。
そのため、まずは基本となる計算式を押さえるようにしましょう。

▶みなし配当の基本的な算出方法

みなし配当の基本的な算出方法は、株主が受け取る対価全体から資本の払戻し部分をマイナスする方法になります。

みなし配当額=株主が受け取る対価全体-資本の払戻し分

ただし前述の様にみなし配当の計算方法はみなし配当が生じる取引により変動します。
それぞれの取引ごとに算出する計算式が細かく分かれており、正確に計算するためには専門家へ依頼した方が良いでしょう。

▶みなし配当の取引別算出方法

みなし配当の取引別の算出方法は以下の4つに分類することが可能です。

非適格合併の場合

合併により消滅する会社の資本金などに、株主の株式保有割合などを乗じ、その株主が受け取った合併対価の額とその乗じて算出した金額との差額がみなし配当額となります。

非適格分割型分割・非適格株式分配の場合

分割部分と分割法人全体の税務上の純資産額を割り出し、純資産額の比率を使って分割部分の資本金額等を別途算出します。この資本金などの金額をもとに資本の払い戻し分を算出するという流れになります。

資本剰余金の配当、および残余財産の分配の場合

払い戻した金額のうち資本金等に対応する金額を算出、払い戻し分とその資本金等に対応する金額に株式保有割合を乗じて算出した金額との差額がみなし配当額になります。
これは分割と同じような計算方法となります。

自己株式の取得・持分会社の出資払戻し・組織変更の場合

これらのケースは合併と同じような計算方法が適用されます。
まず一株あたりの資本金等の額を算出後、売却する株式などの数を掛け合わせます。こうして算出した金額と株主等が払戻等で受け取った対価の差額が、みなし配当の額となります。
ただし自己株式の取得の場合、自己株式を取得する法人が普通株式だけではなく、複数種類の株式を発行している場合、自己株式として取得する株式の種類に対応する部分だけ切り出して計算することになるため注意が必要です。

みなし配当の課税の仕組み

みなし配当とは?計算方法や税務処理、特例などわかりやすく解説

みなし配当は、同じ会社の実質的な払い戻しなので、配当として扱われます。
ただし、計算方法と同じくケースによって扱いが異なるため、以下の場合を例に紹介します。

▶株式を発行法人に譲渡した法人

株式を発行法人に譲渡した法人は、受取配当金となり受取配当等の益金不算入として、計算しない部分が出てきます。税務決算申告書は別表8の作成の必要があります。

▶株式を発行法人に譲渡した個人

株式を発行法人に譲渡した個人は、配当所得という扱いになります。譲渡した企業が上場企業か非上場企業かで税率が異なります。詳しくは、後の項で解説します。

▶自己株式を取得した法人

自己株式を取得した法人は、配当として扱われます。みなし配当の金額に対応する源泉徴収税を翌月の10日までに納付する決まりになっています。

みなし配当の税務処理

みなし配当は法人株主が自己株式の買付けや合併などによって、他の法人から金銭などを交付されたときに生じます。この交付された資産の合計額が、交付の対象となった株式または出資に対応する部分の金額を超える場合、超過額がみなし配当となります。
例えば出資した額が80,000円で、交付された資産の合計額が100,000円であった場合、差額の20,000円がみなし配当となります。このみなし配当は受取配当金と同様に扱われるため、受取配当金の益金不算入制度が適用されます。

受取配当金の益金不算入制度とは、会計上は収益として計上される配当も、税務上は出資割合に応じて一部または全部が益金に参入されず、課税所得の計算で控除されることです。
具体的な仕組みとしては、まず、内国法人の場合は、原則として配当の額の50%が益金に算入されません。配当を受ける法人が配当を行う法人の発行株式総数の3分の1超を6ヶ月以上に渡って保有する場合には、配当の全額から負債利子の額を控除した金額が益金の額に不算入となります。
また、配当計算期間を通じて株式を100%保有する完全支配関係にある場合には、配当額の100%が益金に算入されません。
ただし、発行済株式総数の5%以下の割合しか保有していない場合には、配当額の20%のみが益金不算入となります。また、外国法人についても、外国子会社益金不算入制度により、日本の親会社が外国子会社から受ける配当は、その配当の95%が益金不算入となります。条件としては、日本親会社が発行済み株式などの25%以上を保有していることと、その保有期間が配当の支払い義務が確定する日の6か月以上前から継続していることが挙げられます。
みなし配当の場合でも通常の配当と同様に、益金不算入制度により、課税所得が控除されるため、節税につながるのです。みなし配当による節税に関しては、自己株式の取得を活用して行われることが多いです。
なお、個人がみなし配当を受け取った場合には配当所得となり、原則として確定申告の対象となります。確定申告をすることで、配当控除を受けることができます。

みなし配当が発生しないケース

合併や会社分割、自己株式の取得の場合にもみなし配当が発生しない場合があります。
まず合併に関しては、適格合併の場合にはみなし配当が発生しません。
適格合併では消滅会社の利益積立金が存続会社にそのまま引き継がれ、消滅会社の株主への金銭などの交付が生じないためです。会社分割の場合も同様に、適格分割型分割の場合には分割会社の利益積立金が承継会社に引き継がれ、株主に金銭などを交付しないためみなし配当は発生しません。
また、自己株式を取得する際、みなし配当が発生しないケースとして、証券取引所などの市場で株式を取得した場合や、事業全部を譲り受けにより取得する場合、合併反対株主の買取請求権に応じた株式の取得の場合などがあります。
他にもさまざまなケースでみなし配当とならない場合があるため、判断が難しい場合には専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

自己株式の取得や合併、会社分割を行う場合には、みなし配当が発生することがあります。
みなし配当について知っておくことで、合併や会社分割を行う際に正しい会計、税務処理ができるほか、益金不算入制度により節税の効果を得られることにもつながります。今後の節税のためにも、配当金についてより理解を深めてみてはいかがでしょうか。

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