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2023/09/14

株式保有特定会社とは?評価方法や株特外しについても解説

株式保有特定会社とは?評価方法や株特外しについても解説

株式保有特定会社とは、会社の資産のうち株式等の割合が50%以上ある会社のことです。
株式保有特定会社は通常の会社と比べて株式評価額が高くなり、それに伴って税金も高くなるため、対策が必要です。

そこで本記事では株式保有特定会社について解説します。

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株式保有特定会社とは

国税庁によると、株式保有特定会社とは以下のとおりです。

「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)の割合が50%以上である評価会社」
引用:[特定評価会社の株式189-2|国税庁]

「株式等」とは、株式や出資および新株予約権付社債のことを指し、その合計額は相続税評価額によって計算した金額です。
株式保有特定会社は、会社が事業承継として持株会社を作る際にできる場合がほとんどです。持株会社は、自社の持つ株をまとめて保有・管理する目的で作られるため、必然的に株の保有率が上がるためになります。

▷持株会社が株式保有特定会社になりやすい理由

会社が持株会社を作るのには、2つの目的があります。
——————–
・別の株式会社を子会社化する際に株式の分散を防ぐため
・会社の所有者がもつ株式の評価を下げて節税するため
——————–
目的のために持株会社を作るとしても、株式の割合に注意しなければ株式保有率が一定数(50%)を超えてしまい、結果として株式保有特定会社になります。

株式保有特定会社の判定基準

株式保有特定会社かどうかを判定するための基準は、以下の式で株式等の保有割合が50%以上になった場合です。

●株式等の価額の合計額 ÷ 総資産価額 ≧ 50%

ここでの株式等とは、下記の5つを指します。
————————
・上場株式
・非上場株式
・外国株式
・株式制のゴルフ会員権
・証券会社が保有する商品としての株式
————————

一方、下記の2つは株式等には含まれません。
————————
・証券投資信託の受益証券
・匿名組合の出資
————————

また、下記の事業者は判定基準から外れるため、事前に確認しておきましょう。
————————
・開業から3年未満
・休業中
・清算中
・開業前
————————

株式保有特定会社の評価方法

株式保有特定会社の評価方法には、以下の方法があります。
————————
・純資産価額法
・S1+S2方式
・配当還元価額
————————
さらに株主区分によって2つに分かれます。

株主区分評価方法
同族株主純資産価額法/S1+S2方式
同族外株主配当還元価額

同族株主の所有する株式は、原則として純資産価額法を利用します。
純資産価額法の計算方法は、以下の通りです。

●課税時における資産 -(負債 + 法人税)= 評価額

純資産価額法は会社の含み益が多い場合、株式の評価額が高くなります。
一方、S1+S2方式は会社の資産をS1(株式以外の評価)とS2(株式等の評価)に分けて2つの評価を合わせる方法です。
S1は株式以外の評価で、会社の規模に応じて類似業種比準方式という計算方法が利用できます。これは、自社と似た業種の上場企業の株価を基準にして評価する方法です。純資産価額法より低い評価額が出やすいのが特徴と言えます。

S2は純資産価額法を利用して、株式等の評価額を決定します。
結論として、純資産価額法よりもS1+S2方式を利用した方が株式評価額を下げることが可能です。純資産価額法は、会社の資産すべてを純資産価額法で計算して負債や法人税を差し引いていましたが、S1+S2方式は、株式以外の評価を類似業種比準方式で計算することができるためです。

株式保有特定会社の株特外し

株特外しとは、文字どおり「株」式保有「特」定会社の条件を「外す」ことを指します
つまり、会社が株式保有特定会社の条件に当てはまらないように対策をすることです。株式保有特定会社だと判断される条件は、会社の所有する株式等の割合が50%以上かどうかです。
株特外しを行うことで割合を49%以下にでき、条件から外れます。

▷株特外しの方法

株特外しをするには、株式等の割合を50%未満にする必要があります。割合を下げるには、分母を増やす方法と分子を減らす方法の2つがあり、株特外しでは下記2つの方法がよく使われます。

1)株式以外の会社の資産を増やす

会社の資産のうち、株式以外の資産を増やすことで株特外しが可能です。
株式に当てはまらない会社の資産の例を挙げると、不動産や投資信託、債権などがあります。
資金にゆとりがあり、資産を増やすことを検討している事業者は、この機会に株式以外の資産を増やすのがおすすめです。

2)株式等の割合を減らす

会社の持つ株式等の割合を減らすことで50%未満を目指すことも可能です。
前述したように株式等に当てはまるもの、そうでないものは以下となります。

分類項目
株式に当てはまる・上場株式
・非上場株式
・外国株式
・株式制のゴルフ会員権
・証券会社が保有する商品としての株式
株式に当てはまらない・証券投資信託の受益証券
・匿名組合の出資


つまり、この中の株式等に当てはまる項目のいずれかを減らす必要があります。
株式であれば持株会社を新たに作ることで株式を移動させたり、売却したりすることで減らせます。
ただ株式の売却を行えば、会社の資産が減り結果的に不利益を与えてしまう可能性も考えられます。持株会社を作るときは保有株式の割合を調整し、株式保有特定会社にならないよう注意しましょう。

▷株特外しを行う際の注意点

持株外しは節税目的で行われることが多く、税務署からのチェックが入る可能性があります。
国税庁では、会社の課税時期の周辺で合理的な理由のない資産の変動を確認した場合、株特外しと判断し変動がなかったものと処理する旨を下記のように記載しています。

「なお、評価会社が、次の(2)又は(3)に該当する評価会社かどうかを判定する場合において、課税時期前において合理的な理由もなく評価会社の資産構成に変動があり、その変動が次の(2)又は(3)に該当する評価会社と判定されることを免れるためのものと認められるときは、その変動はなかったものとして当該判定を行うものとする。」
引用:[特定の評価会社の株式 189|国税庁]

つまり、明らかに節税目的の不動産の購入や株式の売却が確認されると、その手続きが行われる以前の状態の株式評価がされる可能性があります。せっかく対策をしても元の状態で評価をされてしまっては意味がありません。
「合理的な理由」の判断基準は難しく、株特外しをする場合は税理士や専門家と相談しながら進めましょう。

まとめ

今回は、株式保有特定会社の概要や株式の評価方法について紹介しました。
株式保有特定会社になるのを避けるためには、「株特外し」という方法もありますが、専門家への相談なしに進めるのは危険です。
株式保有のバランスを調整しながら、株式保有特定会社にならないよう対策することが大切でしょう。

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