中小企業における後継者問題の現状

2017/11/10

後継者問題に悩む中小企業

後継者がいないという問題を抱える中小企業が増えてきています。帝国データバンクの調査によると、国内企業の66.1%が後継者不在であり、中でも売上1億円以下の企業では約78%の企業において後継者がいないという結果になっています[1]。一方で、経営者の平均年齢は年々上昇しており、2016年では61.19歳になっている一方、平均引退年齢は15年前から68歳で高止まりしています[2]。従って、後継者が見つからなければ、数年のうちに廃業する企業は増加していくと見られます。

それでは、なぜこのような後継者問題が発生するのでしょうか。以下では、後継者問題が発生する理由を3つのタイプに分けて説明します。

後継者問題が発生する理由(1)子供が継がない

後継者問題が生じる原因の1つが、社長の子供が会社を継がないというケースです。自分の会社を子供が継いでくれると期待していたが、子供には継ぐ意思がないというケースは多くあるようです[3]。

なぜ子供が後継者になろうとしないのでしょうか。1つには、子供が企業に勤めている、あるいは医者や弁護士などの専門職に就いており、仕事を辞めたくないというパターンがあります。創業者には優秀な方が多く、また子供の教育にお金をかけている人も多いので、子供は一流大学を出ていてやりたい仕事をしているという場合が多い傾向が見られます[4]。

また、子供が自身の経営者としての資質や能力が不足していると感じて継がないパターンもあります。昨今は、経営環境がますます悪化しています。経済停滞や地域の人口減少により、収益を悪化させている中小企業は数多くあります。[5]さらには、技術革新やグローバル化で変化のスピードはますます速くなっています。このような環境の中で経営者になることへの不安を感じるのは仕方が無いと言えます。

後継者問題が発生する理由(2)子供に継がせたくない

子供が継がないというケースに加え、経営者自身が継がせたくないと考えている場合もあります。それは、自分の子供に経営者になる素質が無い場合です。いくら自分の子供とは言っても、経営の能力が無いまま継がせたら、子供だけでなく従業員も不幸なことになるでしょう。

また、先述したとおり、事業環境は厳しいものになってきています。このような状況では、素質が無い人を後継者にした場合にはたちまち経営難に陥ってしまうでしょう。そして、倒産ということになれば、子供に莫大な借金が残ってしまいます。このようなことを考えると、子供に継がせたくないと社長が考えてもおかしくはないでしょう。

実際、事業環境の厳しさを理由に事業承継を諦めた経営者は多いようです。中小企業庁の調査によると、事業承継を検討したが断念した理由の55%が「将来の業績悪化への懸念」となっています[6]。子供への負担を考え、事業承継を諦めるケースは半数以上も占めているのです。

後継者問題が発生する理由(3)社内に継がせられる人材がいない

自分の子供に継いでもらうという選択肢が無理だった場合、社員に継がせるという選択をすることもできます。しかし、この場合にも多くの問題点があります。
まずは、経営者にふさわしい人材がいない場合です。社員や役員として優秀であったとしても、経営者にふさわしいとは限りません。経営者になるには財務の知識や経営の知識、またリーダーシップなどといった人間性など様々な能力が要求されます。

その能力は優秀な社員が必ずしも持っているわけではなく、経営者としてはふさわしくないということも考えられます。また、仮に経営者の素質を持った社員がいたとしても、実際に継がせるには数多くのハードルを越えなければいけません。まずは、株式に関する問題です。仮に、時価総額5億円の会社を譲渡するには、買い手には5億の資金が必要となります。継がせたい社員がいた場合、会社の株式を買えるだけの資金を持っていなければなりません。

また、会社の負債を背負う必要もあります。会社の資産だけで担保が足りない場合は、社長が自らの資産を担保とすることが一般的です。さらに、個人保証をする場合には、自己破産にいたる可能性もあります。以上のことを考えた場合、社員に継がせるには大きな負担をかけることになります。

株式を買えるだけの資金や、担保出来るだけの資産を持っている必要があります。そして、そのような条件が揃い、社員に継ぐ意思があったとしても、その社員の家族が反対をするということも考えられます。社員への事業承継は難しいものなのです。

中小企業における後継者問題の現状:まとめ

以上のように、後継者を探すということは簡単なものではありません。今後の事業環境の厳しさを考えると、自分の子供や社員に経営者の素質がある人がいなければ、安易に会社を継がせることは難しいでしょう。また、優秀な人がいたとしても、その人に継ぐ意思が無ければなりません。さらに、優秀でかつ事業を承継する意思のある人がいたとしても、実際に承継するには数々のハードルがあります。

事業承継が出来なければ、あとは廃業かM&Aという選択肢しかありません。しかし、廃業をすると、従業員の雇用など新たに様々な問題が発生します。従って、第3の選択肢として第三者へ承継、つまりM&Aが考えられます。

M&Aであれば株式は譲渡企業に引き継がれ、同時に負債も従業員も引き継がれます。更には、M&Aで株式譲渡をした場合は親族継承や廃業よりも金銭的メリットがあります。このように後継者問題に伴ってM&Aが急速に増加しているのです。

■参考データ

注1『非同族への後継者指名が増加―高齢社長の後継者難、同族外承継がカギ―』https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p160204.pdf
注2『2016年 全国社長の年齢調査』http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20170203_01.html
注3 分林保弘(2011)『中小企業のためのM&A徹底活用法』
注4 三宅卓 (2013)『みんなを幸せにするM&A』
注5『平成28年度(2016年度)の中小企業の動向』http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/PDF/chusho/03Hakusyo_part1_chap1_web.pdf
注6『事業承継・廃業―次世代へのバトンタッチ―』http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H26/PDF/08Hakusyo_part3_chap3_web.pdf

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