高齢化・先行き不安による廃業の増加

カテゴリ:経営の悩み

2017/10/02

1増加する小規模事業者の廃業

総務省が行った2014年経済センサス基礎調査によると、日本には2014年時点で約382万社が存在します。そのうち中小企業は約380.9万社で、全体の99.7%を占めます。これら382万社で働く従業員数は約4,794万人です。そのうち中小企業で働く従業員数は3,361万人で全体の70.1%を占めます。このように企業数、従業員数共に中小企業が多数を占めており、中小企業は日本経済、社会において重要な役割を担っています。加えて中小企業数は長期に渡り減少しています。1999年時点では483.7万社存在していたが2006年時には419.8万社、2014年時には380.2万社と15年間で100万社が減少しているのです。

2012年から2014年にかけて中規模企業[1]4.8万社が廃業、7.2万社が開業を行いました。その他、中規模、小規模企業[2]間の移動等を含めると合計で中規模企業は4.7万社増加しています。しかし、その一方で小規模企業は合計で9.1万社減少しています。開廃業の推移の内訳は、45.7万社が廃業、28.6万社が開業、その他中規模、小規模企業間の移動等でした。

中小企業数は減少をしているものの中規模企業は増加しており、小規模企業は減少しています。このように規模が小さい企業ほど生き残りが難しく、廃業や倒産を余儀なくされています。

2高齢化により廃業を余儀なくされる中小企業

中小企業庁が2013年12月に帝国データバンクに委託して行なった「中小企業者・小規模企業者の廃業に関するアンケート」によると、廃業した企業の資産と負債状況は41.1%の企業で資産超過、36.0%の企業で資産と負債が均衡していました。廃業時の経営状況は44.1%の企業が経常黒字であり、1期の経常赤字企業が19.8%を占めました。このように経営余力がある中、廃業を決断した企業が多くあります。

ではなぜ経営者は廃業を決断するのでしょうか。
アンケート結果によると「経営者の高齢化、健康の問題」が約半数の48.3%を占めました。一方で「事業経営のさらなる悪化の回避」を理由に廃業した経営者はわずか4.4%でした。
廃業者の年齢は60歳以上が全体の86.3%を占めており、多くの経営者が経営状況の悪化よりも年齢や体調面の不調を理由に廃業しています。

2016年に中小企業庁が公表した「事業承継ガイドライン」によると1978年に53歳だった経営者の平均年齢は、2010年には59歳にまで上昇しました。
このように日本の高齢化に比例して経営者の高齢化も進んでおり、今後も高齢を理由に廃業を考える経営者が増えていくでしょう。

3中小企業が抱える先行き不安

前節で挙げたアンケート結果の中で廃業理由として2番目に多かった回答が「事業の先行きに対する不安」で全体の12.5%を占めました。
今後、中小企業への風当たりはさらに厳しくなることが予想されます。規制緩和による競争の激化、大企業による業界再編、人口減少により収縮する国内マーケット等の理由から中小企業単独での生き残りはこれまで以上に難しくなっています。

また、日本政策金融公庫総合研究所が2016年に公表した調査[3]によると、60歳以上の経営者の約半数が廃業を検討しています。
検討理由の内訳としては「当初から自分の代でやめようと思っていた」が最も多く38.2%で、「事業に将来性がない」が27.9%でした。続いて「子どもに継ぐ意思がない」が12.8%、「子どもがいない」が9.2%、「適当な後継者がいない」が6.6%と後継者問題関連の理由が28.6%を占めました。
このように廃業時の経営状況が原因ではない廃業が多く見受けられます。

4M&Aを活用した生き残り戦略

上述したように、多くの中小企業経営者が高齢や健康の問題、事業の先行き不安、後継者不在を理由に廃業を余儀なくされています。しかし、これらの問題はM&Aによって解決することが可能です。
経営者が高齢で後継者不在の場合でも同業種の会社もしくはその業種への新規参入を検討している会社に売却することができます。後継者不在の場合でも会社を引き継ぐことが可能なのです。

廃業を考えている経営者がM&Aを行うメリットは大きく2つあります。

1つ目は創業者利益を獲得することができる点です。M&Aにより会社を売却した場合、時価価格で会社、土地等を売却でき、営業権[4]も加味されます。課税に関しては株式譲渡の場合、株式の譲渡益に対する20%の課税のみです。一方で、会社清算の場合、商品や土地が大幅に減額され、退職金の増額が求められます。さらに、決算後に利益が残った際には先に法人税を納めた後に株主への配当の際、最高で55%の配当課税が発生します。
このように会社を売却することでより多くの金額が経営者の手元に残ります。さらに、担保や個人保証等も譲受企業が引き継ぐため安心して引退後の生活を送ることができます。

2つ目は同業他社との統合や大手企業傘下に入ることで安定した経営を行うことが可能になる点です。経営統合や大手企業の傘下に入ることで経営資源やノウハウ、技術力等を共有することができます。また、本社部門の統一や一括発注等により経費の削減を行うことも可能になります。より効率的で安定した経営を行うことができます。

買い手にとってもやむを得ず廃業を考えている企業とM&Aを行うメリットがあります。調査結果からもわかる通り、多くの優良企業が高齢や後継者不足、事業の先行き不安等、直近の経営状況の悪化や業績の低迷以外での理由で廃業を余儀なくされています。買い手企業はこれらの優良企業を買収することで効率的に発展していくことができます。
新規参入の場合、一から商品やサービス、ノウハウ等を開発する必要がなく、リスクも少なく短期間で事業の拡大を行うことができます。
同業種買収の場合、経営資源やノウハウ、技術力を共有することで、シナジー効果を期待できます。また、重複部門の合理化や一斉発注による経費削減を行うことができます。さらに、買収企業が他地域に店舗を構えている場合、新地域への効率的な進出が可能になります。
買い手企業にとって今後、競争が激化する経済環境の中で生き残り発展していくためにはM&Aを重要な経営戦略の一つとして考えることが必要になっていくでしょう。

_注1 中小企業から小規模企業者[2]を除いた企業
注2 商業(卸売業、小売業)、サービス業の場合、従業員数が5人以下、製造業、その他の場合は従業員数が20人以下の企業のこと
注3 (出典)日本政策金融公庫総合研究所「中小企業の事業承継に関するインターネット調査」2016年
注4 企業が有する信頼、ノウハウ、将来性、立地条件等の無形の資産、価値のこと

■出典
[1]総務省 2014年経済センサス基礎調査
[2]「中小企業白書 2014年度版」
[3]中小企業庁「事業承継ガイドライン」

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