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2023/10/24

中小企業経営者の高齢化による経営者の引退

中小企業経営者の高齢化による経営者の引退

進む中小企業経営者の高齢化

少子高齢化に伴い中小企業経営者の平均年齢も上昇の一途を辿っています。

1978年に53歳だった経営者の平均年齢は、2010年には59歳にまで上昇しました。また、中小企業庁によると中小企業の経営者年齢のボリュームゾーンは1995年に47歳でしたが2015年時点では66歳にまで上昇しています。

つまり20年間で約20歳、経営者年齢のボリュームゾーンが移動しており、中小企業経営者の高齢化が深刻化しているのです。

経営者交代率も軒並み減少の一途を辿っています。中小企業庁によると1975年から1985年の10年間で平均して約5.0%あった経営者交代率が2011年には2.5%にまで落ち込んでいます。

高齢化に比例して経営者の高齢化も進んでいる一方、経営者の世代交代はあまり行われていません。

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経営者の引退平均年齢は天井止まりしている

引退平均年齢は小規模企業では2000年に69.8歳、中規模企業では67.5歳が平均年齢でした。

これらの数値は現在でも大きな変化はなく小規模事業者の場合は約70歳、中規模企業の場合は約68歳が経営者の平均引退年齢となっています。

中小企業経営者の平均年齢が上昇しているにも関わらず引退平均年齢に大きな変化がないということは、経営者の高齢化並びに中小企業存続の危機を意味します。

経営者が限界引退年齢に近づき引退をしたくても、後継者問題等により引退できないという事実が浮かび上がってきます。さらに、いわゆる団塊の世代が2017年に68歳から70歳を迎えるため、この5年間で多くの中小企業経営者が引退する見込みです。

つまり現代の日本の中小企業においては、引退を目前にしても引退できない、止むを得ず事業を存続している企業が多く存在していると言えるでしょう。

廃業を余儀なくされる中小企業経営者

日本政策金融公庫総合研究所が2016年に公表した調査によると、60歳以上の経営者の約半数が廃業を検討しています。理由の内訳としては「当初から自分の代でやめようと思っていた」が最も多く38.2%で、「事業に将来性がない」が27.9%でした。

続いて「子どもに継ぐ意思がない」が12.8%、「子どもがいない」が9.2%、「適当な後継者がいない」が6.6%と後継者問題関連の理由が28.6%を占めました。

昨今の変化が激しい経済、社会環境の中で業界の先行き不安や大企業による大規模な業界再編、少子高齢化による国内マーケットの継続的な縮小、急速なグローバル化による海外企業の日本進出、日本企業の海外進出による国内産業の空洞化等により中小企業への風当たりは一層厳しくなっています。

しかし一方でこの調査において廃業を考えている経営者の約3割が同業他社より良い業績を上げていると回答しており、必ずしも経営状況の悪化や将来性の無さが廃業の直接的な原因ではないようです。

このような中小企業においては後継者問題が深刻であると考えられます。中小企業の先行き不安により、主な後継者候補である経営者の親族が会社を継ぎたくないケースや、反対に息子や娘が継ぎたいと思っていても中小企業という厳しい世界で生き残っていけるだけの能力を息子や娘が持ちわせていないため継がせることができないというケースも見受けられます。

▷関連記事:高齢化・先行き不安による廃業の増加

子供が会社を次ぐのはもう当たり前ではない

また、時代や価値観の変化により、息子や娘が親の会社を継ぐことが当たり前ではなくなってきた現在においては、息子や娘がすでに親元を離れそれぞれのワークライフを確立している場合が多いです。

この場合、会社を引き継ついでもらうことは非常に難しくなります。そこで親族以外に会社を承継する人物として役員や従業員が考えられます。

その場合、サラリーマンである社員が会社を引き継ぐためにはいくつかの課題があります。未上場企業の場合、資本と経営の分離が行われていないため後継者は高額な会社の株式を購入し、会社の経営権を取得しなければなりません。

さらに、社長は自らの自宅や車等を担保とする借入がある、または連帯保証や個人保証を負っているケースが多くあります。経営権を引き継ぐということはこれらも社長より引き継がなくてはなりません。

万が一会社の業績が悪化した際には個人資産を全て失うどころか、それ以上に多額の借金を負う可能性があります。

また後継者には、ファイナンス力、マネジメント力など経営に必要な様々な能力が求められます。このように未上場企業の場合、社員が会社を引き継ぐことは後継者にとって非常に難しいことです。以上のように、後継者問題・先行き不安・経営権取得の難しさ・個人保証など様々な問題から、60歳以上の経営者の約半数が廃業を検討せざるを得なくなっています。

事業承継もしくは廃業が行われるのはここ5年間がピーク

現在の中小企業経営者年齢のボリュームゾーンが66歳、引退平均年齢が約70歳、そして2017年時点で団塊の世代が68歳〜70歳ということは、この5年の間に多くの中小企業において事業承継もしくは廃業が行われる可能性が高いと考えられます。日本企業の内約99%は中小企業であり、雇用の70%が中小企業のため高い技術力、ノウハウを持っていると言えます。

また特に地方においては地域経済、社会を支えており、雇用の大きな受け皿にもなっています。このように日本経済、社会の基盤を支えており、高い技術力、ノウハウを持った中小企業がしっかりと承継されていくことは単にその会社の社長や社員のためだけではなくその地域にとって、ひいては日本にとって非常に重要なことなのです。

しかし、2016年度版中小企業白書によると約50.7万社の中小企業が廃業を余儀なくされています。

もちろんこれらのすべての企業が後継者問題や先行き不安が理由で廃業しているわけではないものの、多くの会社が廃業を選択していることは事実です。中小企業の廃業は地方における人口減少に伴う地域経済の衰退にさらに拍車をかけることになります。

近年、中小企業経営者の引退に伴うM&A案件が増加している

近年日本でも、欧米で重要な経営戦略の一つとして行われているM&Aが、廃業に変わる経営手段として増加しています。「後継者問題」と「業界の先行き不安」の二つの要因が中小企業のM&Aを増加させています。廃業に比べてM&Aを行うと例えば以下のようなメリットを享受できます。

・廃業に比べてM&Aはより多くの金額が手元に残ります。株式譲渡の場合は会社の時価純資産に加え、営業権が加味されます。一方、廃業の場合は在庫商品や土地が大幅に減価されること、退職金の支払い、配当支払い時に高い税率がかかる等により経営者に残る現金が少なく、手元に債務が残ることさえあります。

・経営者は交代するものの会社自体はこれまで通り存続することができます。

・従業員の雇用を維持できます。多くのM&Aにおいて従業員はそのまま新会社に引き継がれています。

・大手傘下参入もしくはパートナーシップへの加入により安定した会社運営が可能になります。

・従業員が購入するには難しい高額な株式を売却することができ、個人保証や担保等も譲受企業が引き継ぐため、引退後の生活に困ることもありません。

このようなメリットがあることから中小企業経営者の高齢化対策としてのM&Aは年々増加しており、今後もM&Aを活用した事業承継が増えていくことが予想されているのです。

▷関連記事:M&Aとは?M&Aの目的、手法、メリットと流れ【図解付き】

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