持株会社設立による経営統合。方法や手順、メリット・デメリット

カテゴリ:M&Aの基礎知識

2017/10/16

1.業界再編と持株会社

昨今、日本の経営環境はとても厳しいものになってきています。人口減少などを起因とした日本市場の縮小により、多くの企業が生き残りに必死となっています。地銀の統合や百貨店の地方からの撤退は、まさにそういった流れによるものです。

大手でさえ生き残りが厳しい中で、中小企業の負担はさらに大きいものになっているでしょう。単独で生き残ることが厳しい中で、経営統合によって経営の合理化を図る必要があります。この経営統合をする手段の1つに、持株会社の設立があります。持株会社の設立は1999年の独占禁止法改正により可能になりました。以前は合併でしか統合が出来ませんでしたが、持株会社設立が許可されたことで比較的容易に経営統合を行えるようになりました。

この記事では、持株会社とは何か、そして合併による経営統合と比べてどのような違いがあるのかを解説します。

2.持株会社(ホールディングス)とは何か

まず、持株会社について説明をします。持株会社(ホールディングス)とは、他の会社を支配する目的で、その会社の株式を保有する会社のことを指します[1]。例えば、日本の持株会社の1つに三井住友フィナンシャルグループがあります。この持株会社の子会社として、三井住友銀行やSMBC日興証券などがあります。このように、経営統合後も各法人は存続することになります。

この持株会社には、2つの形態があります。純粋持株会社と事業持株会社の2つです。純粋持株会社とは、「自ら製造や販売といった事業は行わず、株式を所有することで、他の会社の事業活動を支配することのみを事業目的とする持株会社」を指します。一方、事業持株会社とは、「グループ各社の株式を持つことで子会社を支配しながら、自らも生産活動などの事業を営む持株会社」のことを指します[2]。

持株会社設立によって統合した場合、各法人は今まで通り存続することになります。そのため、人事制度や給与水準、社内システムなどを統合する必要がありません。自社を存続したまま経営統合によるシナジー効果を享受できます。

この点が、合併による経営統合と大きく違う点です。合併は、2つ以上の会社が1つの会社に集約されることを指します[3]。合併する際には、企業文化、人事制度、経理基準など様々なものを融合しなければなりません。そのため、合併が上手くいった場合には経営合理化とシナジー効果が最大限期待できますが、合併の際の交渉は容易ではありません。

3.持株会社の設立の仕方

持株会社の設立方法には、主に抜け殻方式、株式移転方式、株式交換方式の3種類のものがあります[4]。抜け殻方式は、純粋持株会社を設立する際に用いられます。「抜け殻」と呼ばれるのは、親会社の事業を現物出資や事業譲渡、会社分割により子会社に移し、親会社は事業を行わないため、抜け殻のようになるからです。

株式移転方式は、既存会社が新たに親会社を設立するための制度で、既存会社の株主がそのまま新しい親会社の株主になります。株式移転方式は、異なるグループ会社同士の経営統合によく使われます。その理由として、子会社となる会社が持ち株会社の下で並列的にぶら下がる形となり、対等の立場による経営統合が資本関係上明確になる点が挙げられます。株式交換方式は、完全親会社となる会社が、子会社となる会社の株主から子会社株式を取得し、その対価として自社株式を交付するものです。

以上が、主な持株会社設立の方法になります。次に、持株会社設立による経営統合には、合併と比較した時にどのようなメリットとデメリットがあるのかを説明します。

4.持株会社設立による経営統合のメリットとデメリット

持株会社設立による経営統合時には、合併の際に生じる問題を解消できることがメリットになります。各法人をそのまま残して統合するので、合併による経営統合における異文化融合や人事制度統合などの障壁を取り除くことが可能となります。この点は、既存の持株会社をイメージすると分かりやすいでしょう。先述した三井住友フィナンシャルグループは、採用などは各子会社が独自に行っています。

加えて経営統合による合理化やシナジー効果などのメリットも享受できます。たとえば、規模の拡大に加えて本社機能を持株会社が担うことで、間接費や管理コストを大幅にダウンすることができます。

一方でデメリットもあります。会社の一体化が円滑に進んでいないときにシナジーが出にくい場合がある点です。持株会社のもとで、子会社はそれぞれの企業文化や制度を存続することが出来る一方で、子会社間の連携を難しくする可能性があります。

以上にまとめたように、持株会社を設立することで経営統合を比較的容易に行うことが出来ます。一方で、経営統合の効果を出すことは難しくなることもあります。利点と欠点を比較考量したうえで、どのように統合を図るかを考える必要があります。

5.業界再編に生き残る

この記事では、経営統合の手段の1つとして、持株会社について解説してきました。合併と違って各社を残したままに出来るこの制度は、経営統合を容易なものにしてくれます。
業界再編が進む国内市場では、企業が単独で生き残ることが難しくなっています。日本企業にはこの環境の変化への迅速な対応が求められています。この持株会社設立による経営統合は、厳しい事業環境へ対応するための選択肢として考えてみる価値のあるものではないでしょうか。

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