M&A時の薬局の譲渡価格と相場について

カテゴリ:業界ごとの動向

2017/11/08

現在、調剤薬局(以下、薬局といいます)業界ではM&A(Mergers&Acquisitions:企業の合併と買収)の件数が増加傾向にあります。では、実際のM&Aの場において、薬局は一体どれほどの価値で譲渡されているのでしょうか。今回は、薬局のM&Aにおける評価額の相場についてご紹介します。

薬局のM&A件数は年々増加している

薬局のM&A件数は年々増加しています。なぜなら、個人薬局の経営者が後継者不足等の理由で今後の経営方針に悩みを抱えており、売却を検討されている方が増えているからです。調査した所、2011年にM&Aをされた薬局は48店舗でしたが、2016年には720店舗まで増加しています。

総務省の統計局資料によると、日本に薬局は5.8万店舗以上あると言われており、コンビ二エンスストアの数よりも多いと言われています。その背景として、1980年頃にヨーロッパの医薬分業(医薬の処方と調剤を分業し、それぞれ医師と薬剤師という専門家に取り扱わせるようになった動き)の概念が広がったことが挙げられます。処方と調剤が分離したことで医師と薬剤師が完全に分かれ、それ以降薬剤師として薬局を開業する動きが起こり、多くの方が開業しました。

薬局開業黎明期に開設した創業者の方は60代~70代になっており、経営者の平均引退年齢が67歳であることを踏まえると、経営の第一線を離れるタイミングを迎えつつあります。しかし調剤薬局の管理者は薬剤師ではないといけないため、後継者不足の理由で会社を続けていくことができず、M&Aを検討する方の数は増加傾向にあるのです。

薬局売却時の相場の決まり方

M&Aの際に自ら経営してきた薬局の企業評価が気になる方は多いはずです。では、売却時の値段はどのようにして決まるのでしょうか。M&Aを実施する際、薬局の企業評価は将来性やリスクなどを加味した上で決定し、目安としては時価純資産価額+純利益の3年〜5年分となります。より詳細にご説明すると、M&Aにおける薬局の譲渡価格は「営業権価格」「時価純資産価額」という2つの要素の総和で決まります。

この2つの要素について詳しく解説します。

営業権価格

薬局が利益を上げる力を表した価格です。営業利益から薬局の将来性や経営する上でのリスクを考慮し、今後3〜5年間の経営状況を予測した上で価格を算出します。

時価純資産価額

貸借対照表の棚卸資産や設備、ソフトウエア資産、売掛金などの資産を時価に評価しなおし、貸借対照表で時価ベースの純資産を導きます。これらから算出された譲渡価格の通りにM&A成約になるとも限りませんが、基本的にはこの2つの価格をベースに、譲渡先企業の要望も取り入れながら綿密な条件交渉を行います。

現段階で自分の薬局の価値を把握することの意義

上記の価値評価はあくまで目安です。業績が好調でキャッシュフロー(現金)が多く見込まれることにより、より高値の売却となる可能性や予想以上に低い価値になる場合も十分考えられます。また、キャッシュフローの多さは譲渡先企業とのシナジー(相乗効果)の強さに影響を受けるのでどのような会社と交渉するかという観点でも金額は変動します。

しかし実際に行う・行わないに関わらずM&Aを選択肢の1つとしているならば、現時点で譲渡価格を把握しておくことは調剤薬局市場における自会社の価値が客観的に把握できるので非常に有意義であるといえます。なぜなら価値が高かったらM&A有効な選択肢となり、万が一価値が低かったとしても今から対策可能だからです。今後の経営のモチベーションにもなります。

最近は無料で企業価値評価を行い、現時点での譲渡価格を算出してくれるM&A会社も増えていますので、相談してみるだけでも今後の選択肢を広げる上では有用かもしれません。

赤字経営の会社でもM&Aは可能

「M&Aで自分の薬局を譲渡したいけど、赤字続きの経営だし、譲受してくれる(買い取ってくれる)会社があるか不安」と、お悩みの経営者の方は一定数いらっしゃいます。たしかに赤字会社や債務超過の会社がM&Aを行うのは簡単ではありませんが、M&Aができる可能性はゼロではありません。下記のポイントを抑えましょう。

自社を知ること

自社の強み・弱みを把握しておくことは非常に重要です。多くの場合、買い手側企業は売り手側企業に対して事業のシナジー効果を期待しています。いくら現状が赤字だとしても、買い手側企業が将来的に利益がでると考えればM&Aの可能性は十分にあると考えられます。しかしながら、売り手企業が自社の企業価値に気づいていない場合があります。事前に自社の強み・弱みを客観的目線でしっかり整理しておくことが大切です。

経営改善を行うこと

いくら業務内容が魅力的でも経理の透明性に欠けていたり、社内のシステムに問題がある、労務トラブルがある場合ですと、興味を持ってくれた買い手企業が交渉時に難色を示す場合があります。逆に言えば、経営改善を行い利益を上げられる体制を整えた会社であれば、現時点での収支に関わらずスムーズに交渉を進めることが可能になります。

適切なタイミングを計ること

実際にM&Aをするには買い手となる企業探しや、自社の価値評価、両オーナーのニーズ調整など、多方面において行うべきことがあるので3ヶ月~6ヶ月ほど時間がかかります。したがって、経営のピンチが訪れてからM&Aを検討するのではタイミングがやや遅いです。最悪の場合、廃業しか選択肢がないという結果も考えられますので、M&Aは早めの準備や情報収集をした上で適切なタイミングを計る必要があります。

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